二人は妖怪の山を駆け上がっていた。
「サイタマさん疲れないんですか?」
「ああ、全然。お前は疲れないのか?」
「ハイ。師匠特製の俊足ポーションがあるので」
「微妙に俺との距離が離れてる気がするのは気のせいか?」
「気のせいではないですね」
「そうか」
「・・・。」
「どうした?」
「サイタマさんって飛べないんですね」
「何故飛べると思ったんだ?」
「竹林では上から降りてきたので」
「あれは竹の上をピョンピョンしてただけだぞ」
「それ凄くないですか?」
「そうかもしれん」
「いつもあんなことを?」
「ああ。ビルとビルの屋上を一っ跳びぐらいは当たり前だな」
「さすがです。サイタマさん」
「ま、ほとんどは怪人出現からの被害発生には間に合ってないんだがな」
※ちなみに二人の服装は
サイタマ:OPPAIパーカーに長ズボン
鈴仙:原作通り
となっております。
「もうすぐだと思いますよ」
「そうか、みじけーな」
「サイタマさんが速すぎるだけだと思いますよ」
「そっか~?」
「そうですよ」
「待て!そこの二人!」
「「?」」
二人が立ち止まって後ろを振り向くと背中に大剣を背負った少女がいた。
「貴様ら!この山に何用か!」
「ゑ?普通に招待されてきたんだけど」
と言いながらサイタマは彼女に例の手紙を渡す。
「・・・これは、間違いないな。すまない、早とちりしてしまった」
「いいよ。別に気にしてないし」
サイタマは返された手紙をポケットに突っ込むとすぐさま走り出した。鈴仙もそれに続く。
「・・・」
「珍しいこともあるのですね。椛、あなたが吠えかかるなんて」
二人が去った後、射命丸が下りてきた。
「いえ、あの時」
「?」
「あの男からは」
「あの男からは?」
椛が恐怖を感じたような顔をしていった。
「濃密な力を感じた・・・!」
射命丸が戦慄したような目つきをする。
そもそも、椛、犬走椛は相当な手練れである。何事にも臆さない精神力、その剣から繰り出される攻撃力、自身の身軽さを利用した戦い方、どれをとっても非の打ち所がないのが彼女である。しかし、今、彼女がおびえたのだ。あのパッと見、さえない外来人に。文はこれだけでサイタマがどれだけ恐ろしいかを感じることができた。そして思った。
―――あ、これ取材しないほうが身の為だわ―――
と。
~一方サイタマは~
「ここか?」
「はい。ここがサイタマさんを馬鹿にしたような手紙を送りつけてきた守矢神社です」
「お前は喧嘩を売るスペシャリストか?」
「褒められても困ります」
「褒めてねぇよ」
「来ましたね!噂の頭の寒そうな外来人さん!」
急に叫び声が聞こえてきたので二人はそっちを見た。サイタマはむっとした。
(頭の寒そうな人ってなんだよ)
「そこのハゲ頭さん!」
「ハゲっていうんじゃねぇ!!」
「そうだ!サイタマさんに失礼だろ!」
「じゃあ、サイタマさんで!」
「気安くサイタマさんの名前をy「鈴仙」・・・ういっす」
「で、お前はいったいなんだ?ここに俺を招待してどうする気だ?」
「フッフッフ、知りたいですか?知りたいですよね?そうですかそうでs「そんなのいいからさっさと言ってくれないか?」・・・ゴホン」
目の前の緑の髪をした女がやたらとハイテンションで語り掛けてくる。
(帰りたい)
サイタマは切実に思った。
「あなたは奇跡を信じますか?!」
「いや、これっぽっちも」
「神様の存在は信じますか?!」
「いや、全然」
「私が現人神だと言ったら信じますか?!」
「『あらひとがみ』ってなんだ?」
「つまり、私はこの世に降り立った神だと言ったら信じますか?!」
「(こいつ頭大丈夫かな……)いや、別に」
「その顔は信じてませんね?!」
「いや、いきなり信じろって言われても無理があるぜ」
(あれ?私ものすごい勢いで空気になりつつあるけど気にしないほうがいいのかな?)
「じゃあ、お見せしますね!」
「いや、結構です」
「見せますよ!」
「だからいいって」
「では、括目せよ!奇跡の力を!」
「人の話を聞いてくれ」
サイタマの意見をガン無視しつつ、彼女は手を天に高く上げた。その手から煙がポンッとでてきて、そこから鳩が飛んで行った。
「・・・」
「どうですか?!奇跡の力は!」
「すげぇ手品だな」
サイタマは興味が全くないようなそぶりで適当に返した。
「これで信じないんですか?!」
「別に信じるかどうかは人次第だろ?俺は信じねぇけど」
「ぐぬぬ・・・」
「で、俺を呼んだ理由ってそれだけ?それだけだったら俺もう帰るけど」
「いえいえ、そんなわけないじゃないですか。この二人に会わせるためですよ」
「貴様、まさか…!」
鈴仙が何か気づいたように声を上げた。
「あれ?鈴仙さんわかっちゃいましたか?」
「薄々と感づいてはいたがこれで確信が持てた。貴様・・・!」
「ええ、あなたが思ってる通りだと思います。この二人がサイタマさんに会いたいといったものでしてね!」
すると神社から二人の女が出てきた。
一人は紫色の髪で赤い服を着ている。背中には縄のわっかがあってその後ろには柱が立っている。
もう一人は一言で表すとチビだ。それにしては奇抜な帽子をかぶっている。そして手には鉄製と思われるわっかがあった。
「すでに臨戦態勢じゃないですかー!!!」
鈴仙が叫ぶ。
「・・・」
サイタマは興味がないのか鼻をほじりながら見ていた。しかもご丁寧にあくびまでした。
「そこの外来人よ!」
とその赤い服の女が叫んだ。やかましいとサイタマは思った。
「貴様のうわさは聞いておる!何を隠そう、化け物を一撃で倒したと聞くではないか!」
「うん、そうだけど?」
サイタマは暢気に返した。
「ハッハッハッ、面白いやつだな!貴様とは勝負してみたいと思っていたのだ!」
「だからあの招待状を?」
「ああ、そうだ!」
サイタマは頭の中で考えていた。今夜の晩飯なんだろう、と。それでもどんどん話が進んでいく。
「そこの外来人聞いておるか!」
「え?何が?」
「これまた滑稽な奴だ!もう一度問う!この私と勝負してみないか!」
漫画だったら集中線が走っていることだろう。サイタマは暢気に考えていた。
「サイタマさん!やめといたほうがいいですって!相手は武神ですよ?!その相方は祟り神ですよ?!」
「・・・」
この時、サイタマには純粋な好奇心が芽生えていた。どれぐらい強いんだろうか、と。
「ああ、いいぜ」
「サイタマさぁん?!!」
「おお!乗ってくれるのか!」
「ああ」
「では、尋常に勝負!」
赤い服の女は背中の柱を構えた。サイタマはゆる~く構えていた。
続く