さあ、今回も紗理奈視点でどうぞ。
「久しぶりね映姫ちゃん。ざっと500年ぶりかしら?」
先に言っておく。ケタは一切間違っていない。
あとこの人、身長高いなぁ。私もそこそこ背はある方だけれどヘカーティア様は170cmくらいはあるんじゃないかと思う。その背の高さが女神の威厳を醸し出している。
「あら、こちらの船頭さんはだーれ?あ、私はヘカーティア・ラピスラズリ。地獄の女神よ〜」
「あ、私は船神紗理奈と申します。初めまして、ヘカーティア様」
「あらあら、別に畏まらなくてもいいのに」
「ですが……」
この方、押しが強い。これだけの会話で大体性格が分かった。
1つ、この人個性が強すぎる。Tシャツで気分を表現できそう。
2つ、結構フレンドリー。上下関係はどうでも良いらしい。
そして最後に。
この人、雰囲気からただ者じゃないオーラが漂っている。どのくらいかはまだわからないけれど、とにかく強いとかそういうレベルを超越している気がする。
「そうそう、聞いてよ映姫ちゃん。最近だんだん力が弱くなってきたかなーって思うの。惑星を2個同時にしか射ち落すことができなくなったし。前は5個とか余裕だったのになぁ」
……。
……前言撤回。この神、普通の神ではない。なんだよ惑星五つって。そりゃあ四季様フリーズするわけだ。
「あ、そうそう、紗理奈ちゃんに歓迎の印としてこれ、あげるわ!」
そう言ってヘカーティア様は持っていた手提げバッグの中から1枚のTシャツを取り出した。普通のTシャツ……ではなく、前にはでかでかと『部下』と書かれていた。廃センスである。
「あと映姫ちゃんにもあげる」
そして四季様に渡されたTシャツには……
『説教魔』
と書かれていた。これには私も不覚にも吹き出してしまい、挙げ句の果てにヘカーティア様と大笑い。そして裏には、
『逃げなきゃ1日潰れるよ』
と書いてある。
「ヘカーティア様〜!はっはっはっ、ヤバいヤバい腹がよじれる〜!」
「はははっ!これ採用ね!今日1日これ脱げないようにしておくから!」
「ちょっ、ヘカーティア様!?これ着て裁判とか恥ずかしすぎます!」
「たまにはそういう日があってもいいんじゃないかしら?」
ヘカーティア様も完全にお遊びモードに入っていて、四季様の弁護はゼロ。
そして笑い終わると、ヘカーティア様が私に優しい笑みを浮かべて話しかけた。
へ「ねえ紗理奈ちゃん」
「はい、なんでしょう?」
へ「貴女、少しは幻想郷のことを知ったほうがいいんじゃないの?」
「え?私は知っているつもりですが……」
へ「紗理奈ちゃん、一回、船頭っていう仕事だけにとらわれないで視点を変えてみなさい。そうすると貴女の知っている世界はもっと広がるわ」
「えっ……?それはどういうことですか……?」
へ「もう、察しが悪いわね。要は、私と一緒に幻想郷を探検しようって言ってるのよ、クラウンピースを探すのも兼ねて。ねえ、いい映姫ちゃん良いでしょ?借りてっても」
映「え?ま、まあいいですけど……」
へ「決まり!じゃあ1時間後にここに集合ね!」
「は、はい。直ぐに」
確かに私は彼岸と此岸の近くしかうろつかないし、人里には小さい頃に行ったきりだ。だからヘカーティア様に誘われたのが、少し嬉しかった。
これから長い旅になりそうだ。わくわくしてきた。
さあ、次回からは幻想郷探検の巻。ヘカーティアがいればまず死なないし百人力どころの力じゃないね!
というわけでまた次回、お会いしましょう。