声、集会、最後ノ学校。
いつもいつも、頭の中で責められ続けた。お前のせいだお前のせいだという声が、何かがある度に大きく聞こえる。その声に苦しめられて、一度精神科で診てもらい、薬を渡されたけど、全くもって効果は無かった。それどころか、日を重ねる毎にその声は大きくなり、今では何もしていなくても頭の中に喧しい声が響く。そうなると、眠りにつくこともなかなか出来ず、最近は睡眠不足で授業なんてとても受けていられない状態。
けど、明日からは違う。
初夏の陽気はさっぱり消え、じめじめとしたうざったい暑さが昼夜問わずに纏わりつくようになった夏。座っているだけで汗ばみ、肌と肌が触れ合っている部分はぬるぬるとして気持ちが悪い。
「気を抜かず、生活リズムを整え──」
大勢の子どもの前で話す大人の話は、多分ほとんどの人が聞いていない。人が変わっても、毎年毎年同じようなことを言っていて、この世の校長先生というものは全員同じ人間なんじゃないかと疑ってしまう。
「また、三つの車に──」
くだらない話を続ける先生は、時折汗を拭う。みんな暑いんだから、早く終わらせてこの人が密集している空間から出させてくれれば良いのに。
明日から夏休み。当然、宿題だなんて面倒くさいものはあるけど、それよりも夏休みという事実の方が勝って、とても嬉しい。学校に来なくて良いのなら、寝不足に悩まされることなく、一度眠ったら自主的に目覚めるまで寝ていられる。眠ってしまえばこちらのものだし、睡眠時間は充分になると思われる。
汗が目に入り、滲みる。ぱちぱちと瞬きを繰り返すと、涙が零れる。なんだか、夏休みになるのが嬉しくて泣いているみたいで、少し心の中で笑ってしまう。
涙を親指の付け根で拭くと、校長先生の話しが終わったことに気がついた。やっとか、と思う。こんな暑苦しい空間での長話しは、正直二度とやらないで欲しいけど、どうせまた新学期になったら同じようなことになる。今から既にうんざりし、大きなため息を漏らす。
その間も頭の中では例の声が聞こえ、一体何が私のせいなのと問いたくなる。すると、
「すべてだ」
と、聞こえた気がして、目を見開く。幻聴と会話した? いや、誰かが呟いた言葉がたまたま聞こえただけかも。しかし、それにしては声の質が中年っぽく、十代の少年少女の声には思えなかった。
真相は分からない。けど、あの声は、やはり幻聴なのではないかと思った。そもそも、あんな高圧的な話し方をする人はこの学校にいないし、こんなに威圧感のある声の人も、いない。だからやはり、あの声は幻聴だったと片付けて、そこで夏休み前最後の学校を終える。
もちろん、通知表の評価はよろしくなかった。普段から真面目にしていればこうはならなかったのかなあ。