「スーパー・ノヴァ・オーシャン!!」
大空の結界に匣コンビネーションの大技「スーパー・ノヴァ・オーシャン」が直撃する。
少ししか破れ目を入れられなかったが、あの男が侵入するには申し分なかった。
「なにシケたツラしてんだ?」
「γ・・・」
ユニを誰よりも愛している男が自分の死に怯えるユニに近付き、ユニを抱き締める。
「俺の炎も使ってくれ」
γが自分がどうなるかを覚悟した上でユニに伝えた言葉だった。
「あのときの返事がまだだったよな?」
そっとユニの耳に囁く愛の言葉。
そして、みんなが見ている前で二人は・・・キ、キキキキ、キスを・・・・・。
「ボウヤ、怖がらなくてもいいんだよ?」
「えっ!?」
ユニとγのラブシーンを楽しんでいたのに、俺の肩をガッシリと後ろから誰かが掴んでいた。
その瞬間、俺の見ていた風景が全て変わり、周辺に血が飛び散ってる殺人現場になったんだ・・・。
「ボウヤ、お外に出られるからね・・・。さぁお行き・・・」
嘘だろ・・・。なんでコイツが俺の肩を・・・?
そ、そんなことはいい! 廊下に向かったらいけないと俺の本能が警告している。
けど、足が勝手に動いて廊下に向かっていく・・・。ダ、ダメだ・・・。廊下に出たら・・・。
「ヴッ!?」
玄関の隙間から陽の光が射し込むのを見て感動した直後、俺の視界をナニかが覆い隠した。
やっと恐怖から解放されると思い、希望に満ちた玄関を潜るだけだったのに・・・。
俺は苦しみの呻き声を上げながら喰われる俺を眺める二人の悪魔を呪って死んだ。
「いいですか? 恐怖にも鮮度があるのですよ・・・。ねぇ・・・冬馬乃助?」
自分の名前を呼ばれ、俺はハッとした。
部屋に飾ってある鏡に視線を移すと、返り血を浴びている俺の変わり果てた姿があった。
じ、じゃあ・・・あの化物達に喰われた俺っていったい・・・?
「冬馬乃助、私と共に美を追究しましょう。代わりはいくらでもいるんですから・・・」
スッと、ソイツが指した方向にゆっくりと顔を向ける。そこには高町がいた。
虚ろな眼をした高町がまっすぐ俺のことを見つめているから、俺の動悸がはやくなる・・・・。
そして、高町が血の涙を流して小さく呟いた・・・・・・。
『タスケテ』
~現実~
「アァアアアアアアッ!!・・・・?・・・・夢?」
俺は高町の最後の台詞を聞いたあと、自分のベッドの上で目を覚ました。
上体を起こし、激しい動悸を抑えるために心臓の辺りを擦って自分を落ち着かせる。
悪夢だ。悪夢としか言いようがねぇ・・・。これは・・・前世の俺のバカ妹のせいだな・・・。
てか、冬馬之助って誰だよ・・・・。
前世の俺の家族構成は、親父・お袋・バカ妹・俺の4人で構成されていた。
バカ妹はFateの大ファンだった。俺の宝であるREBORNのアニメ録画DVDを『この世全ての悪』
つまり、俺にとっては「アンリマユ」な中身にREBORNアニメの名場面を汚染してやがった。
想像してみてくれ。
大空の結界に僅かに開いた裂け目から中に侵入したγがユニの元に駆けつけてユニを抱き締める名シーンが、Fate/Zeroのキャスター「ジル・ド・レェ」の子供を海魔に喰わせる惨殺シーンになっていた俺の気持ちを・・・。γがユニの告白にOKを出すタイミングで、海魔のお食事シーンに変わった俺の絶望が分かるか・・・? あのタコみたいな軟体怪物がトラウマになったわ!!
結局、バカ妹と聖杯戦争(兄妹喧嘩)になり、バカ妹から背負い投げと腕ひしぎと卍固めとトドメの鼻フックを喰らい、俺は泣きながら家を飛び出していた。「もうテメェの顔なんて見たくねぇ!」って泣き叫んで・・・。だが、家を飛び出して20秒後、俺のスマホに『シュークリームお願い』という妹様からの脅迫文が届いてたっけ・・・。最悪な黒歴史だな。
「もうこんな時間かよ」
ふと部屋の時計を確認すると、もう09:30になっていた。
前世なら絶対にお袋かバカ妹が起こしにきてる時間だな・・・と、懐かしみながら俺はベッドから下りた。そして、机の上に置いてあるボンゴレ匣を全てリビングに持っていき、開匣した。
「おはよう、お前ら今日も元気か?」
勿論、俺が開匣して出したのはアニマル達だ。
雨犬の「小次郎」と雨燕の「次郎」と雷牛の「牛丼」が俺にすり寄って甘えてくる。
このとき晴カンガルーの「漢我流」がボクサーで言うところのロードワークをしようと外に行こうとしたので、慌てて拳骨した。嵐猫の「瓜」は俺のことをジト目で見たあと、すぐにソファーの上に寝転んでしまうし、雲ハリネズミの「ロール」は、俺が自分のために買った新品のクッションを占領して眠ってしまった・・・。
「よぅし、全員不調とかは無さそうだな」
自宅にいるときは、こうやって皆を匣から出すのが日課になってしまった。
最初は躊躇ったんだけど、コイツら全員の主張を受け入れ、毎日匣から出している。
6歳の頃は、死ぬ気の炎を大量に消費するからくたびれまくってたけど、今は違う。
今ならそんなに疲労感は感じないし、独りで家にいるよりもアニマル達の元気の姿を見ることが俺は大好きになってしまっていた。
『さぁ始まりました。プロ野球・・・』
今、次郎と小次郎が自分達で録画したプロ野球を見るためにTVの電源をつけて見ている。
俺も最初は驚いたんだけど、いつの間にか自分達で録画することを覚えてしまい、プロ野球がある日は必ず録画している。字をある程度は理解しているみたいで、TVの番組表を見てプロ野球があるかどうかを判断しているみたいだった。
「モォ・・・」
牛丼は別の子供向け番組を見たいらしいけど、TVを占領している2匹がそれを許さない。
次郎の手元にTVのリモコンがあるんだけど、奪おうとすれば俺が吠えられる。ガチに・・・。
「ガァ!」
漢我流は、極限に退屈だとアピールしてくるが、外にロードワークなんて行かせるつもりなどない。ちなみに、2門のキャノン砲は外してある。あれは俺の意思で脱却が可能であり、ロールのアーマーや次郎の小刀3本も外してある状態だ。戦いがあれば、コイツらに装着してやるつもりだけど、俺はリリカルマジ狩るに無理に介入するつもりなんてないから出番はないと思う。この前、学校で小次郎を開匣したけど、アレは例外中の例外だ。本当なら外で開匣するなんてありえないんだよ・・・。
『打ちましたァ!! やはり、大内がやってくれましたァ!!』
「ぴゅーい♪」
「ワンワン♪」
あーぁ・・・テンションMAXだよ、次郎と小次郎が・・・。
「えっと・・・冷蔵庫の中身は・・・こりゃ買い出ししないとダメだな」
次郎と小次郎が騒ぐ声をBGMにして、俺は冷蔵庫の中身を確認する。
前世じゃお袋の仕事だったんだけど、一人で家事をしている俺にとっては当たり前のことだ。
自分で料理するなんて想像もしてなかったけど、3年の月日が俺を主夫に変えてしまった。
お袋の苦労が今なら分かる。タイムセールで修羅と化す近所のババア達と闘う日々が俺の主夫力を引き上げていた。今日はタイムセールがないらしいけど、食糧がないので買い物に出掛ける必要がある。エコバッグを持って、玄関で靴を履いていると、我流が俺のところにきた。
「ガァ?」
「何処に行くのかって?・・・買い物だよ、海鳴スーパーに行くから留守番よろしく・・・」
玄関のドアノブを回して俺が外に一歩踏み出した瞬間、その先が全然進まなかった。
頑張って両足を動かしているんだけど、前にちっとも進まない。
それもそのはず。我流が俺のTシャツの襟を掴んでいるんだからな?
「・・・・・・」
「極限にいつもの場所に連れてけと無言でアピールすんな」
「ガァーーーーー!!」
「叫んだら、連れてくと思ったの!?」
たぶん、俺を極限に"いつもの場所"に連れていけーーーー!!と、言ったに違いない。
気のせいかもしれないが、この3年の間でアニマル達が守護者達と性格が似てきた気がする。
・・・・・・我流が離してくれないから他の奴等にも希望を聞くとしようか。
「なぁ、いつもの場所で修行するけど・・・一緒に行きたいヤツいる?」
俺の質問に我流以外のアニマル達が俺の顔を見る。
次郎と小次郎は今はプロ野球がいいところだから遠慮すると首を振ってきた。牛丼は家で呑気にするのが好きなヤツだからついてくる気配すら感じられない。瓜は昼寝再開してるし、ロールは・・・・・・雲雀さんの目つきで「ボクの眠りを邪魔しないで?」と無言の圧力を俺に向けていた。
結局、我流以外は修行に付き合うのを断り、我流にいつもの場所でスパーリングの相手をしてやるから、大人しく家で待っていろとお願いした。
海鳴スーパーで買い物を済ませた俺は、一旦家に帰って当面の食糧を冷蔵庫に入れたあと、我流を晴のボンゴレ匣の中に戻し、海鳴市の外れにある森に出かけた。森の奥は俺がボンゴレ匣の力を使いこなすための修行場として利用してきた場所がある。幽霊が出るという噂のおかげか、あまり人が近寄らず、修行するにはもってこいの場所と化している。森の奥には広い空間があり、のびのびと修行出来る環境が整っていた。
「非力な僕は絵筆を取って~♪ 乾いた絵の具に水を注す~♪」
まだ森に着かないから暇潰しにREBORNの初代OP曲を歌いながら歩いている。
我流の気の済むまでスパーリングの相手をしてやるつもりだけど、夜まで付き合うつもりはない。
子供が一人で暗い夜道を歩いてたら、不審者と警官に捕まる可能性が大だ。そんなの面倒だし、夕方になる頃には切り上げるつもりだった。
「この手が力を失っても~♪ 僕は描いてみせ・・・・うぉっ!?」
「あぅ!?」
サビを歌っていたら、背中に衝撃を受けた。
何事かと思って振り返ってみると、金髪ツインテールの女の子が涙目で尻餅をついていた。
どうやら背中にたいあたりしてきた正体は、この娘らしい。とりあえず立たせないと・・・。
「大丈b・・・」
「フェイト~~~♪」
「ひぃっ!?」
・・・・・・・え? なんで俺の後ろに隠れたの? なんで俺の後ろでガタガタ震えてんの?
俺が女の子を立たせるために右手を差し出した瞬間だった。聞き覚えのある嫌な声が聞こえたと思ったら、女の子が一瞬で立ち上がり、俺を盾にしたんだ。何かに怯えているみたいで俺の背中でガタガタと震えている・・・。
「フェイトぉ♪ ボクから逃げなくてもいいだろう?」
げっ!? 騎士王モドキじゃねぇか!? なんでここに・・・・
「もう私のことは諦めてください。お願いだから近寄らないで・・・・」
「フッ・・・照れるフェイトも可愛いな♪」
「「ひぃっ!?」」
俺の悲鳴と女の子の悲鳴がシンクロした。何を言ってるんだ・・・。頭のネジがないのか?
それにフェイトって、あのフェイトだよね? 高町と百合関係まっしぐらのフェイトだよね?
困ったぞ。どうやら厄介なことに巻き込まれたみたいだ。
「誰? ボクのフェイトに何をしてるの?」
「何もしてねぇし、この娘の方から俺に・・・」
「なんだって?」
「な、なぁ? 君も何か言ってやってくr・・・」
「助けてください!? あの子が私に結婚を申し込んでくるんです!!」
騎士王モドキに人指し指を指して、必死な顔で俺に助けを求めてきたよ。
しかも結婚だって?それは君の未来の婚約者である高町の役だよ。
高町のスターライト・ブレイカーが君を変態から助けてくれるはずだよ。
「あ、あのさ・・・この娘も迷惑してるみたいだし・・・そういうのはちょっと・・・?」
「迷惑? ボクとの結婚が迷惑? ・・・・・ハッ! 君、フェイトを洗脳しただろう!?」
「どうやってそんな考えに辿り着いたの!!?」
ヤベェよ・・・・頭の中が宇宙になってるんじゃねぇの?
キチガイ宇宙人が俺の目の前にいるんだけど・・・・。
「フェイトに近寄るモブはブッ飛ばさないとッ!!」
そう宣言すると、騎士王モドキが上着のポケットから蒼いカードを取り出した。
「セイバー! セットアップ!! そして、結界!!」
「!? 魔導師だったの!?」
フェイトから驚きの声が上がる。
そして、空間が隔離され、俺達は騎士王モドキの結界に閉じ込められてしまった。
今のヤツの服装は騎士王そのもの。握られている約束された勝利の剣(エクスかリバー)が俺にまっすぐ向けられる。なるほど、どうやら俺を倒すつもりらしいな・・・。
「そこのモブ野郎! 徹底的に痛めつけてやるからな!」
「ま、待って!? 一般人に魔法を使う気なの!?」
「当然だ。フェイトを洗脳するモブなんて穢らわしいモブだからね!!」
好き放題言ってるなぁ・・・。俺も本気でなんとかしないと殺されるかもな・・・。
懐にある晴のボンゴレ匣に手を伸ばそうとした瞬間、フェイトが叫んだ。
「バルディッシュ! セットアップ!!」
俺の背中に隠れていたフェイトがバリアジャケットに身を包み、俺の前に移動した。
そして、騎士王モドキに向けて、サイスフォームのバルディッシュを構える。
「何のつもり?」
「ふざけないで! 私は君みたいな最低な人となんか・・・絶対に結婚しないんだから!!」
「あぁ・・・そこまでそのモブ野郎に毒されているなんて・・・」
「なんなの!? なんで私に拘るの!?」
「それは・・・君がボクの愛妻になることが決まってるからさ♪」
「嫌ァ!?」
おーい、俺を護ってくれるんじゃないのー?
騎士王モドキがフェイトに放った台詞で、フェイトは再び俺の背中に隠れてしまった。
無理もないよ。いきなり変態から嫁にこいって言われてるようなもんだからな・・・。
「今すぐフェイトをモブ野郎から助けてあげるからね?」
「近寄らないで!?」
さっきの勇ましい顔が怯える子猫ようになってる・・・。
1歩1歩と自分に近づいてくる変態に拒否反応が出てしまって戦えないのか・・・。
仕方ない・・・初陣といきますか・・・。
「あ!? ど、どうする気なの!?」
「なに? ボクに償いでもする気なの?」
俺は震えてるフェイトの手を振り払い、1歩前に出て、騎士王モドキを睨む。
お前に償いだと? 笑えないジョークだ。償うことは何一つしてねぇんだよ!!
「我流ーーーーーー!!」
俺は晴のボンゴレリングに晴の炎を灯し、晴のボンゴレ匣に注入して開匣する。
開匣して出てきたのは、2門のキャノン砲を装着した頼もしい相棒「漢我流ver.VONGOLA」
俺は、俺の横に並んで立ってくれる我流の頼もしさを心地よく感じていた。
「き、君も魔導師だったの?」
「違う。けど、安心してくれ。あのどうしようもない変態は俺が倒してやるから」
そうフェイトに伝えて、俺は此方の様子を窺っている騎士王モドキを睨んだ。
騎士王モドキも俺の正体に気づいたらしく、動揺しているみたいだな。
「君も・・・やはり・・・」
「察してる通りだ。俺はお前と同じ境遇の存在だよ」
「じゃあ・・・君の目的も・・・ボクと同じハーレm・・・・」
「我流、アイツの顔面を蹴ってきて!」
「ガァ!」
「ぶっ!?」
バカな奴等と同類にされかかったから、我流にカンキックをお願いした。
騎士王モドキは、我流が俊敏に動けるとは思ってなかったらしく、モロに顔面で我流のカンキックの餌食になり、5mくらい後方にブッ飛ばされた。
「ナイスキック♪」
「ガァ♪」
俺は我流と漢の握手を交わす。フェイトは、俺達のことを唖然と見ていた。
「き、君はいったい・・・」
「魔導師じゃないよ。俺は守護者だ。護るべきボスはいないけど・・・」
「守護者?」
フェイトが首を傾げて俺のことを見ている。
でも、今は騎士王モドキを倒すことを考えないといけない。
試合のゴングは俺が鳴らしてしまったもんだからな・・・。
「ボクの顔に・・・・・よくもォオオオオオ!!」
「我流! フェイトの側についてあげろ!」
猛スピードで特攻し、斬りかかってきた騎士王モドキのエクスカリバーを紙一重で避け、ボクシングの構えを取った。それを見た騎士王モドキはニヤつく。
「何の力を貰ったか知らないけど、武器なしでボクを倒す? 滑稽だな!
セイバーの力を貰ったボク相手にボクシングで挑もうなんて・・・・」
どうやら、REBORNを知らないようだ。俺と趣味が合わなくて残念だよ。
「安心しな。武器ならある・・・。砕けない拳がな?」
「砕けない拳?」
フェイトの不思議がる声を聞いたあと、俺は我流に叫ぶ。
「晴グローブ 射出!!」
「ガァ!!」
我流の腹から晴グローブが射出され、俺の両手に装着される。
騎士王モドキは、俺の晴グローブを歯痒そうに見つめていた。
「砕けない拳・・・・・喰らってみるか?」
「だまれェ!!」
再び俺に袈裟斬りで迫るエクスカリバーの刃を右ストレートで迎え打った!
その一度のぶつかり合いで終わるわけがなく、激しい攻防が始まる。
俺は果敢にストレート・アッパー・フックで攻めるが、防御に徹する騎士王モドキに拳が届かない。
大振りすれば、カウンターを狙われるから下手に深追いは出来ねぇ。
「ッ!」
「しまっ!?」
いつまでも防御に徹していた騎士王モドキが業を煮やしんだろう。
俺の左ストレートを紙一重で避け、俺はまんまと前のめりに体勢を少し崩してしまった。
その少しの隙を狙われるのは当然だ。風を纏っているエクスカリバーが俺を狙ってやがる。
「風王鉄槌(ストライク・エア)!!」
「チッ!」
間一髪ストライク・エアを右斜め前方に柔道の受け身の要領で転がり、俺は回避した。
もし、喰らっていたらと思うと寒気がする。地面がストライク・エアで抉れてるからな・・・。
「いい反応するね。君も貰った力に酔って己を鍛えないバカじゃないらしい・・・」
「俺は、お前がそのバカであってほしかったよ・・・」
俺の言葉を聞いて少し笑ったあと、騎士王モドキが空中に浮かび、そのまま上昇していく。
「君は近接戦闘に特化したタイプだ。
さっきの攻防で分かったけど、君との地上戦は面倒だよ」
「何が言いたい?」
「飛べない鳥なんて価値がないと思うだ・・・ろ!!」
遠回しな言い方に俺は凄く腹が立った。
騎士王モドキが地上にいる俺に向けて魔力の刃を飛ばしてくる。
俺はルッスーリアのフットワークを駆使して避けていくが、反撃に出れない。
しかも、俺の回避力を目の当たりにしたからか、魔力の刃の数がどんどん増えていった。
「逃げてるとボクを倒せないよッ!」
「ハァ? 俺を倒すなら出し惜しみしてんじゃねぇっての。さっさと宝具使えや」
頼む。この安い挑発に乗ってくれ。
もう足が限界に近いんだよ。ルッスーリアのフットワークってマジで疲れるの!!
「君相手に本気を出すのは癪だけど、愛しのフェイトに見てもらおうかな♪」
「こっち見ないで!?」
俺の安い挑発に乗り、勝利を確信した騎士王モドキはフェイトにウィンクしやがった。
それにフェイトは悪寒を感じたんだろう。我流の背中から決して前に出ようとしてない。
フェイトは、心配そうに俺のことを見てるけど、俺も負けたくないから心配すんな。
「フェイト、君にボクの勇姿を見せるよ・・・・約束された(エクス・・・・・)」
いいぞ、約束された勝利の剣(エクスカリバー)を撃つ体勢に入った。
俺は我流に視線を合わせる。我流・・・・準備はOKだよな?と、思いを込めて。
我流は黙って頷いて答えてくれた。『極限に任せろ!』と・・・・。
「勝利の剣(カリバーーーーーーーーーー)!!」
「ッ!? 射出!!」
「ガァ!!」
黄金の光の奔流が俺を狙って飛んでくる。
フェイトのことを考えて威力は絞ってるのは理解できるんだが、それでも恐い。
相手を塵に出来る必殺技だもん。悟空のかめはめ波もあんな感じなのかな・・・・。
とりあえず・・・・〝晴シューズ〟万歳!!
「な、なにィ!?」
「隙だらけだな! 極限(マキシマム・・・・・)」
俺は晴シューズの力で塵にされる未来を回避することに成功した。
ホントのホントにダメかと思った。なんか走馬灯っぽいのが少し見えた気がする。
今、大技を放ってる最中で隙だらけの騎士王モドキを極限太陽(マキシマムキャノン)で狙う。
相手が飛べないと勝手に判断したお前の負けだ!!
「太陽(キャノン)!!」
「ガハッ!?」
極限太陽(マキシマムキャノン)が騎士王モドキの鳩尾を捉える。
騎士王モドキも約束された勝利の剣(エクスカリバー)を中断して迎撃しようとしてたけど、
1歩遅かったな。半分賭けだったけど、なんとか塵にならなくて済んだ。
「よっと!」
俺は気絶した騎士王モドキを抱えて地面に着地する。
本家には程遠いとはいえ、極限太陽(マキシマムキャノン)を喰らわしたんだ。
しばらくは眠ってるはず。気絶してしまったせいか、バリアジャケットから私服に戻ってる。
「ほいっと♪」
騎士王モドキを雑に地面に落とし、俺はフェイトに視線を合わせる。
右手でピースサインを送ってやると、おそるおそると我流の後ろから前に出てきた。
「君っていったい・・・」
「なんでもいいさ。コイツも少しは懲りただろ? じゃあな」
俺はフェイトの質問には答えないと決めていた。
別にいいところを見せたくて騎士王モドキを戦闘不能にしたんじゃない。
自分に降りかかろうとした火の粉を払っただけし、俺が喧嘩を売られただけの話だ。
我流に晴グローブと晴シューズを返し、晴のボンゴレ匣を我流に翳す。
「我流、今日は疲れたから極限に修行中止だ」
「ガァ!?」
極限に納得いかーーーん!と、俺を睨んでたけど、晴のボンゴレ匣に我流を戻す。
もう足が限界だ。明日は筋肉痛確定で少し憂鬱だぞ・・・。明日は学校だし・・・。
「じゃあね?」
「ま、まって!? 名前を・・・・」
フェイトに背を向けて家に帰ろうとしたとき、俺はフェイトに右手を掴まれた。
振り向いてフェイトのことを見るけど、フェイトは少し俯いていた。
「・・・・・ごめん、名前は教えらr・・・・」
「危ない! フェイトォオオオオオオ!!」
「ぐぴゃっ!?」
申し訳ないと思ってたけど、やっぱり面倒事は嫌だから帰らせてもらおうとした瞬間だった。
何者かが俺の顔面にライダーキックを炸裂させ、俺はランボの悲鳴を上げて地面に倒れる。
薄れていく意識の中、俺は自分を倒した仮面ライダーを一目見ようと視線を上に上げた。
「こ、この人はマトモなんだよ!? アルフ!!」
「騙されちゃダメだよ! 地球の男は全員変態なんだから!!?」
そういう会話を聞きながら、俺はアルフを呪って意識を失った・・・。
こうなった原因は察しがついてた。たぶん、変態達のせいで俺にもとばっちりがきたんだと・・・。
・・・・・・・・・・残り二人の変態も・・・・絶対に噛み殺す・・・・・・