......どうも、塔城小猫です。何気に私の視点は久し振りですね。
メタい?なんの事でしょうか。
なにはともあれ、あの後私は鴉に案内されてご主人様を家の中へ運び込み、リビングのソファに寝かせました。
赤くなってはいますが、傷等は無い様です。
とるあえず一安心ですが、それ以上の問題が目の前で座っている以上気は抜けません。
「......堕天使、貴女の目的は一体何ですか。
ご主人様の親戚を名乗っているようですが、当然嘘なのは分かっています」
堕天使の女は答えようとしない。
「......最初に言っておきましょう。
目的が何であれ、ご主人様があなたを大切だと思っている以上、悔しいですが私はあなたに手を出すことが出来ません」
ご主人様は身内に非常に甘く、疑う事は殆どしません。
だから堕天使だとしても気付けない。
「...何故?私は貴女が何者かは知らないけれど、ご主人様なんて呼ぶ以上、何かしら繋がりがある事ぐらいは分かるわ。
今、貴女にとって私はらいくん...ご主人様を欺いて近付いている相手とも言えるのよ?」
「......ええ、その通りです。
どんな理由があったとしても、ご主人様を騙すなんて許し難い行為です。
可能であれば今すぐにでも貴女を殺して魔物の餌にでもしたい気分です」
「なら、何故しないの?
貴女の実力なら私ぐらい簡単に殺せるでしょう」
「......何故?面白い事を聞きますね。
私はさっきもご主人様が悲しむ事は出来ないと、手が出せないと言ったばかりですが?
話をしっかりと聞いていたのですか?」
堕天使は俯いて何も言わなくなる。
どうやら別の事に気を取られて、話があまり頭に入っていないようですね。
仕方がありません、多少無理矢理にでも意識をこっちに向けさせることにしましょう。
「......あなたの様子からご主人様の事が好きなのは分かっています」
「...ッ!」
堕天使の肩が僅かに震えた。
予想通りの反応です。
「......無理もないことです。ご主人様のような魅力的な方と一緒にて、そうならない方がおかしいんですから。
ただ、別の目的で近付いたあなたにとっては誤算だったかもしれないですが」
普段とは打って変わって、かなり饒舌なのが自分でも分かる。当然でしょう。
ご主人様を騙した上に、あまつさえそのまま近くに居座り続けているなど簡単に許せる事ではない。
「......ご主人様は優しい方です。
あなたが堕天使だと、自分を欺いていたと知っても受け入れてくれるでしょう。
そして、私の中ではご主人様が何よりも優先されます。
ご主人様が良しとするのなら、私はあなたについて何も言いません」
そこで一度言葉を切り、椅子から立ち上がってご主人様を寝かせているソファへと近付く。
立ち上がった時の音で視線をこっちに向けていた堕天使は、私が何をするのか分からないといった様子でこちらを見ている。
「......ご主人様、失礼します」
意識の無いご主人様に一言ことわってから、ご主人様の頭を少し持ち上げてそこに座り、ご主人様の頭を自分のふとももに乗せる。所謂ひざまくらです。
こんな状況でも、ご主人様に触れていると愛おしさが溢れて来てしまいます。
「......ご主人様が最優先なのは本当ですが、私にも譲れないものがあります。
あなたがご主人様の近くにいるのを良しとしたとしても.........ご主人様の一番だけは、絶対に誰にも譲りません」
それが私の想い。
たとえご主人様の意思にそぐわなくても、ご主人様を誰にも渡したくない。
だから、お姉さまには二番目で我慢してもらいましょう。
「......ご主人様は私のものです」
▽▲▽▲▽▲▽
なんだこの状況は......。
目が覚めたかと思えば白には膝枕されながら私のもの宣言されてるし、加奈さんはそれ聞いて滅茶苦茶驚いてるし、なんだこの状況は(2回目)
「...て」
「......?」
微妙な空気が漂う中、加奈さんがボソッっと何かを言った。
白も聞こえなかった様で首をかしげている。
「私だって......私だってらいくんの事大好きだもんっ!!
いきなり出てきても渡さないなんて言われても、納得出来る訳無いじゃない!!!!」
加奈さんは内に秘めていた感情を爆発させるかの様に叫んだ。
衝撃の......いや、今までも俺が見て見ぬ振りをしていただけでそういった素振りはあった。
...やはり最低のクズだな俺は。
いい加減に不義理な真似はやめにしよう。
覚悟を決め、俺は起き上がると同時に口を開いた。
「.........おはよう」
ミスったあああああ!!!!!
何だおはようって!!!??
朝の挨拶?知ってるわァァぁぁあああ!!!!
「らいくん!何時から起きてっ///」
加奈さんが顔を真っ赤にして狼狽えている。
「今さっき。白に私のもの宣言された辺から......ごめん、盗み聞きの様な真似をするつもりは無かった。
それでも、不義理な真似をしてしまったからにはどんな罰でも甘んじて受ける」
「.........いいよ。本当はずっと言いたかった気持ちだったし。
今まで通りじゃ言えなかったかもしれなかったし、ある意味言えて良かったのかもしれない」
加奈さんはそう言うが、それでは俺が納得出来ない。
罰を求めるのも俺の自己満足でしかないが、それでもケジメとして俺は罰される事を求める。
「だとしても、それじゃあ俺が納得出来ないんだ」
俺がそう言うと加奈さんは困ったような様子だったが、すぐにいい事を思い付いたと言わんばかりの表情へと変わり、白の隣でソファに座っていた俺の元へ来る。
「罰の代わりにらいくんには私がしたい事をします!」
「......あなたまさか!?」
隣で白が何かを察知したのか、慌てて俺と加奈さんの間に割り込んで止める。
「......させませんっ!」
「私はらいくんの為にするの。邪魔しないで欲しいんだけど?」
邪魔されたのが気に障ったのか、少しムッとしながら言う。
「......いけしゃあしゃあとっ!!あなたのそれはっ「いいんだ白。この罰は俺が求めてるんだからさ」ですがっ!?」
俺はそれでも退こうとしない白の頭に手を乗せて優しく撫でる。
「頼む」
「.........分かり、ましたっ」
白は沈痛な面持ちでその場から退き、再び俺の隣に座った。
「ありがとう」
「もういいみたいね?じゃあ、行くから目を閉じてて」
言われた通りに目を閉じる。
自分から求めた罰ではあるが、何をされるかわからない分不安になる。
......だが、その不安も次の瞬間には一瞬で何処かへと吹き飛んでいった。
「らいくん...大好き♪」
耳元でそんな声が聞こえた瞬間、唇に柔らかい感触。
って?!さっきもこんな事あったような気が!!?
慌てて目を開くと、目の前には加奈さんの綺麗な瞳があった。
綺麗で、真っ直ぐな...いつまでも見ていたくなるような瞳が、俺だけを映していた。
思考とは別の部分が、この時を永遠にしたいとそう望んでいるのが分かる。
身体が、心が、それを求めていた。
時間の感覚が無く、それが数秒だったのか数分だったのかすら分からない。
思考が纏まらない中俺は、今日はよくキスされる日だな...等と的外れな考えを巡らせていた。
争いは避けて通れぬのか...。
えっと、加奈さんの想いの爆発と小猫...白の歪な病み方の説明をセットでぶっ込んでみました。
ご主人様至上主義。白の説明はこの一言に尽きますね。
自分は嫌でもご主人様がそうしたいのなら邪魔は出来ないと。
加奈さんと白を絡ませるだけでもこれなのに、まだ控えているヒロインがいるという地獄。
果たして作者の脳味噌は持つのか、乞うご期待。