雷電D×D   作:生麺です

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斬ノ参拾壱 Close Quarters Combat

盛大に吹っ飛んで行ったドーナシークを尻目に走り抜ける。

白が障害物を排除してくれたお陰でアーシア・アルジェントまでは一瞬でたどり着く事が出来た。

 

すぐ様手足の拘束具を切断して倒れ込んでくるアーシア・アルジェントを受け止め素早く一誠の所まで行きそっと受け渡す。

 

「アーシアッ!!」

 

「イッセー...さん」

 

おそらくこれが、二人の最後の会話となるだろう。

 

「行け......奴は俺が抑えておく。

喋れるうちに言いたい事は言っておけ」

 

俺は言うだけ言って振り返り、飛来した瓦礫を斬り捨てる。

 

一誠はそれに驚くも、アーシア・アルジェントを抱えて走り出した。

 

「やはりあれだけでは死なんか。

白もここの崩落を恐れて加減したとはいえ、しぶとさはゴキブリ並みだな」

 

未だ晴れぬ砂煙に向かってそう言い放つと、その中で歪な人型の影が揺れる。

 

「おいおい、ゴキブリはひでぇんじゃねぇのかぁ?」

 

「ほざけ、そういう事は自分の姿を見てから言うんだな」

 

煙が晴れ、その姿を露にしたドーナシークに向けて吐き捨てるようにそう言う。

 

「うわっ、そういう事言っちゃう?

俺をこんな姿にしたのはそこのお嬢ちゃんだろうが!あぁ!?」

 

奴の姿はギリギリ人型を保ってはいるものの、白の拳が直撃した部分は大きく抉れ、それ以外にも手足の骨は砕け、他にも折れた骨が皮膚を突き破っている部分すらある。

 

しかし、それも神器の力により、グチャグチャと不快な音を発しながら治っていく。

 

「......化け物が」

 

俺は治った手足をブラブラと動かして具合を確かめている奴を更にきつく睨み付ける。

 

「こわいねぇ...怖過ぎて殺っちまいそうだぜ!!!」

 

「そういう事は俺に傷の一つでも付けてから言え」

 

「ほざけぇ!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

......このままじゃアーシアは死ぬ。

 

神器を取り戻せばいいのかも知れないけれど、アーシアはもう今にも死んでしまいそうな程に衰弱している。

 

そんな状態で神器だけが返ってきても、失った生命力までは返ってこないだろう。

たいした知識もないはずなのに、そんな確信めいたものが俺の中にはあった。

 

悪魔の感覚が、死の淵に立つ人間特有の何かを感じ取ったのだろうか。

 

「アーシア...」

 

生気の感じられない彼女の頬に優しく触れる。

 

やはり体温は異常な程に低く、反応も鈍い。

 

ーーー助からない。

 

頭では理解しているが、心がそれを否定する。

 

俺はそんな心境のまま、まだ僅かに意識のあるアーシアと言葉を交わす。

 

友達、遊び、学校。

 

色々な事を話す内に、アーシアもどんどん言葉少なになり肌色も半ば死人のそれと遜色ないほどに悪化している。

 

「......ありがとう......」

 

アーシアは最期にそう言い残し、息を引き取った。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「どうした?神器を手に入れてもそんなものか?

いや、神器を得たとしても本人が強くなる訳ではないか」

 

「黙りやがれ!!さっきからてめぇ舐めてやがんのかッ!」

 

「一体何の事だ?イマイチ要領を得ないのだが?」

 

俺は両の掌を上にして肩をすくめる。

 

要するに┐(´д`)┌ヤレヤレって感じのアレだ。

 

「てめぇ......俺はその手を言ってんだよクソッタレ!」

 

奴は自身の怒りを隠そうともせず、俺の”何も持っていない両手”を指差して喚き散らす。

 

「あぁ、そういう...何も不思議な事は無いだろう。

貴様程度の相手に、それも足止め程度では全くもって必要性を感じないのだが?」

 

「ぶっ殺す!!!」

 

「そのセリフももう何度目だったか分からんな」

 

安い挑発に乗った奴は、光の槍を出したかと思えば飛び上がり、そこから真っ直ぐ突っ込んで来る。

 

何かの策かと一瞬疑ったが、今の奴にそんな事を考える余裕は無いだろうと判断し迎撃を選択。

 

棒立ちのまま構えは取らずに攻撃来るのを待つ。

 

「てめぇは俺を舐めすぎなんだよ!!!くたばっちまいな死神野郎!!!!!」

 

罵声と共に槍が突き出される。

 

「らいくんッ!!」

 

「......大丈夫です」

 

俺は自身を貫かんと迫る槍を半身になる事で躱す。

 

避けられる事は予想していたのか、瞬時に左手にも光の槍を出し、横薙に振るった。

 

「取ったァ!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「くたばっちまいな死神野郎!!!!!」

 

叫ぶのと同時に右手に持った槍をあのクソ野郎の心臓めがけて突きを繰り出す。

 

「らいくんッ!!」

 

しかし、その突きはあいつが僅かに体の向きを変えたことで回避された。

 

だが俺も馬鹿じゃねぇ。

何度も同じ事をやってりゃ避けられる事位予想はしていた。

 

回避されたのが分かった瞬間、左手にも光の槍を出し、あいつの首をぶった斬るために全力で振り抜く。

 

「取ったァ!!」

 

次の瞬間、俺は天井を見上げていた。

 

「なっ?!...ぐぅ!」

 

起き上がろうとするが、背中に鈍い痛みが走り中断させれる。

 

「クソが!一体何が起きたってんだ!」

 

「教えてやろうかドーナシーク君?」

 

見たくもねぇ死神野郎の顔面が視界に入ってくる。

 

「そうか、てめぇか!!」

 

「当然」

 

「俺に何しやがったんだてめぇ!!」

 

「ハァ......本当に分からなかったのか?」

 

俺は何をされた!野郎の神器の能力か?!

 

「なんの事は無い。

ただ、”受け流した”それだけだ」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

流石ですご主人様。

私も早くあの領域に辿り着きたいです。

 

...そうすればご主人様に褒めて頂ける!

まさか、御褒美にあんな事やこんな事もッ!!!

 

「投げた?らいくんは何をしたの?」

 

......ハッ!いけません、妄想を広げすぎました。

 

幸い、加奈さん(鴉や堕天使呼ばわりは嫌と言われ、この呼び方に収まった)は気付いていないようですが、見られていたら恥ずかしいかったです。

 

丁度いいですし、説明でもして気を紛らわせましょう。

 

「......ご主人様は攻撃が到達する瞬間、

振るわれた腕を掴み、そのまま攻撃に乗った力を受け流すと同時に地面に引き倒しました。

これはCQCと呼ばれる近距離用白兵戦闘技術です」

 

「し、シーキューシー?」

 

「......”Close Quarters Combat(クロース・クオーターズ・コンバット)”本来は銃やナイフ、素手等を状況に応じて使い分けて戦う技術ですが、今回ご主人様は素手のみのでそれを行った様ですね」

 

「どこでそんな技術を......それに白ちゃんも何でそんな事を?」

 

「......少し前にご主人様と戦闘スタイルの話をしていて、その時に格闘がメインなら覚えておいて損は無いと教えて頂きました」

 

「いつの間に...」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

うむ、やはりCQCは便利だな。

 

何故か家にあったシリーズの一つ”VR訓練シュミレーター”に雷電装備の訓練以外に、これまた何故かCQC訓練もあったので習得していたのだ。

 

基本的に斬る事がメインなので、あまり多様はしないのだが、相手を殺してはいけない場合(敵司令官の生け捕り)などで有効活用している。

 

ちなみに、訓練はスネークが直接付けてくれた。

VR訓練と銘打ってはいるが、勿論神様製なのでスネークもデータからの再現ではなく、ほぼ本物みたいなものだった。

 

ちなみに、組み手ではまだ一回も勝った事が無い。

 

「む、どうやら俺がお前の相手をするのはここまでの様だ」

 

「なに?」

 

「言っただろう。

お前を倒すのは俺じゃない......」

 

そう言って既に立ち上がり距離を取っていたドーナシークから、入口が見えない様に立っていた俺はそこからどいて隠れていたものを見せつける。

 

「俺が相手だ......アーシアの仇は俺が討つ!!!!!」

 

丁度俺の後ろ辺にまで来ていた一誠がそう吼えた。

 

『Dragon booster!!』

 

その叫びに呼応するかのように、左手に現れた一誠の神器についた宝玉が光を放ち、籠手の形状が大きく変貌していく。

 

「そういう訳だ。

早々にくたばってしまえドーナシーク」

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