その頃。ドイツの某研究所にて。
「クソッ、撃てっ!撃てっ!」
普通の研究所に配置されないようなフル装備の兵士が向かってくる一人の少女に向かって手に持つサブマシンガンを乱射する。それを実につまらなそうな雑な動きで避ける。
「畜生!バケモンが!」
警備部隊の一人が手榴弾のピンを抜き投げつける。それをまるで味方からパスされたサッカーボールをシュートするかのように蹴り返し、手に持つ拳銃で撃ち抜き、誘爆させる。
「チッ!クソが!」
奥の部屋からさらに数人がフル装備で出てくる。
「…………」
それを確認すると先頭の男の懐に素早く潜り込み、顔面に膝蹴りを打ち込み、男の頭部の上から腕を伸ばして銃を向け後方の男達に弾丸を撃ち込む。
「な、なんだ!何が目的だ!?」
足を撃たれた男が叫ぶが、それを気にも留めずに眉間に銃口を押し付け、そのまま男の頭を消し飛ばす。
「…………」
拳銃のリロードを済ませると、周りを見渡す。まだ数人の兵士が残っていた。そして、兵士たちが一斉にサブマシンガンを構えた。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「…………排除完了…………」
一時間もすれば研究所の中は、血と脳漿と腸と肉塊しか残っていなかった。そして今リンクスは研究所のコンピュータを解析していた。
「…………」
リンクスは一枚レンズのサングラスのようなメガネをかけ、握った手を広げて何かを落とす。落とされたそれは白い不可思議な魔法陣を描いていく。
「…………」
そしてディスプレイを空間に投影させる。瞳の輪郭が赤く点滅するとパスワードやファイヤーウォール、セキュリティなどが次々と解除される。
「…………はぁ…………間に合わなかった…………」
リンクスは一枚レンズのメガネを外し、銃をコンピュータに向けると無造作に引き金を引き、修復不可能になる迄破壊する。
『ジェネレーションシステムに通達、ヴァルキリートレースシステムの現物、及び設計データは既に現地にはない事を確認。データは他のものから吸い上げて修復する、現物は…………I既にシュヴァルツァ・レーゲンに組み込まれている模様…………』
『こちらジェネレーションシステム、承りました。以上の情報を直ちにレイヴンにも共有して下さい。』
『了解』
そしてリンクスはすぐさまレイヴンに情報を共有しようと、アクセスをかける。が、レイヴンの強固なファイヤーウォールに阻まれる。
「こっちも間に合わなかった…………」
リンクスは踵を返すと、すぐさまドイツの研究所から引き返していった。そしてその研究所はリンクスが去った数分後に物理的に地上から消え失せた。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎
一方、IS学園では。
「グッ…………ハッ…………!?」
「…………」
ドイツ代表候補生兼ドイツ軍少佐"ラウラ・ボーデヴィッヒ"が、細いワイヤーのようなもので首を絞められていた挙句に同じ様なもので身動きを封じられていた。
「…………」
それを目の前に浮かぶ、ハルファスに似た鋭角的なデザインが特徴の黒と紫の機体が無機質に見つめていた。