IS 罰の記録   作:elf5242

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エピソード《R》5

「ぐっ…………ううっ…………!?」

 

「…………」

 

アリーナで、ワイヤーのようなもので縫い針のように各部装甲を貫かれ、雁字搦めに拘束されているラウラ。その様子をハルファスに似た鋭角的なデザインが特徴の機体がそのツインアイで見つめる。

 

「レイヴン!?やめろって!もう勝負はついてるだろ!?」

 

足元ではレイヴンにうつ伏せの状態で足蹴にされている一夏がレイヴンに止めるように叫んでいる。ハルファスに似た機体はほんの少し足に力を込める。メキッ、という音とともに一夏が苦悶の声を上げる。

 

『…………排除開始…………』

 

ハルファスに似た機体は、手を握りしめるとそのままラウラの鳩尾に叩き込む。

 

「がっ…………!?」

 

ミシッ、という音が聞こえると共に苦悶の声を上げるラウラ。そしてさらにワイヤーがラウラを締め上げる。

 

『…………』

 

続けて、肘打ち、膝蹴り、拳打を次々と打ち込んでいく。

 

「おい、レイヴン!やめろ!やめろって!おい!」

 

一夏の制止の声を無視し、ラウラに格闘を打ち込んでいく。そしてレイヴンの後頭部に銃が構えられる。

 

「流石に…………これ以上は容認できないよ、レイヴン」

 

レイヴンの背後では自身の専用機"ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ"を展開し、重機関銃を突きつけたシャルルがいた。

 

『…………』

 

なんの反応も見せないレイヴンに対し、思わず唾を飲むシャルル。そしてシャルルの手に衝撃が走る。

 

「うわっ!?」

 

手にしていた重機関銃が放物線を描いてアリーナのピット近くに転がる。

 

「まさか…………!?」

 

シャルルが驚いていたのはレイヴンの姿勢、一夏を踏みつけている足をそのままに、逆の足の裏を空へと向けている。つまり、後ろ蹴りでシャルルの重機関銃を蹴り飛ばしたのだ。

 

「クッ…………!!」

 

ウィングスラスターを操作して、距離をとりつつアサルトライフルを拡張領域からコール、左右二丁でレイヴンに撃ち込もうとレイヴン狙いを定め、アサルトライフル引き金にマニピュレーターの指をかけた瞬間、アサルトライフルが暴発する。

 

「しまった!?」

 

浮遊してるのはビーム刃を出現させるワイヤー兵器。そのビーム刃がアサルトライフルの断層を貫き、暴発させたのだ。そしてワイヤー兵器はうねるように動きながら、シャルルに迫る。

 

「速い…………ッ!」

 

シャルルは無数のワイヤー兵器の間を縫うようにして回避するが、多角的に向かってくるワイヤー兵器、フェザースクィーズに装甲を次々と傷つけられる。

 

「やめろって!聞こえてんのかよ!」

 

足蹴にされながらも一夏はレイヴンに呼びかけるが応答は無く、帰って来たのは、踏み付け。それにより一夏の背骨と胸骨、肋骨が軋む。

 

「ガハッ!?」

 

「一夏!」

 

一夏の苦悶の声を聞いたシャルルの動きが鈍くなる。フェザースクィーズはその隙を逃さずにまずラファールの左右のマニピュレーターを同時に貫く。

 

「しまった!?」

 

そしてそのまま縫い針のように、ウィングスラスター、脚部装甲、ウェポンラッチなどを貫いていく。

 

『…………』

 

そしてレイヴンが指を動かすとシャルルの身体が引っ張られる。そしてレイヴンは逆方向の拳を握りこむと、そのまま胸部の左寄り、心臓の位置に拳を撃ち込む。

 

「がっ…………はっ…………!?」

 

そしてそのまま機体が解除され気絶したシャルルがアリーナの地面に放り出される。

 

『…………』

 

そしてレイヴンは次にラウラに目線を向け、背部から刃のない大鎌を手にする。大鎌の刃の部分にビームが構成される。そして、そのままラウラの頭を掴み、首筋を晒させる。そして大鎌を振り上げる。

 

「やめろって!このっ!このっ!」

 

一夏も必死に足をどけようとするが、殴り付けようと、両手のマニピュレーターでパワーアシストを全開にしてずらそうとしても全く動かず、そうしているうちに白式の腕部装甲と、マニピュレーターがフェザースクィーズによって貫かれ地面に縫いとめられる。そして数本のフェザースクィーズが一夏の顔近くに突き刺さる。

 

「…………っ!!!」

 

いくら戦いに疎い一夏でもレイヴンの言いたいことは伝わった。

"邪魔するな、次は当てる"。

それを尻目にレイヴンは振り上げた大鎌を持つ手に力を込め振り下ろす。そしてアリーナにいる全員が目を背けた瞬間。

 

「あーい、そこまでっスよー」

 

大鎌の刃が分厚い氷の壁に阻まれる。レイヴンの真後ろ上空には専用機"コールド・ブラッド"を纏ったギリシャの代表候補生、二年生のフォルテ・サファイアがレイヴンに向けて手をかざしている。

 

「これで止まらないってんなら、次は全身氷漬けにしてやるっス。」

 

「フォルテちゃん、ナイス!」

 

さらにレイヴンの周りに球形に水が集まると、そのまま全身を包み込む。さらにそれをフォルテが凍らせる。

 

「ふう…………これでひとまず安心ね。」

 

ピットから降りてきたのは、外跳ねの水色の髪にルビーの瞳、水を纏った極端に装甲の少ない機体を纏った少女が、槍を氷漬けになったレイヴンに向けている。

 

「いいんすか?楯無生徒会長。こんなとこでサボってて。」

 

「死人が出るくらいならデスクワークなんてあってないようなものよ、フォルテちゃん?」

 

「そんなもんすかねぇ…………」

 

やれやれといった様子でフォルテが肩を竦め、首を横に降る。楯無と呼ばれた少女は氷漬けになったレイヴンを見る。

 

「まあ、圧力も手加減したから多分死んでは無いでしょう。精々仮死状態よ」

 

「むしろそれくらいなってくれないと困るッス」

 

「取り敢えずは、織斑先生に報告ね。」

 

楯無とフォルテがレイヴンから目を離した一瞬に、客席とピットを除いたアリーナ全体が紫色の炎に包まれた。

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