「お、織斑一夏です…………以上!」
そんな短いごく単純な自己紹介を披露した少年、織斑一夏。教室は空気が死んだように"死ぃ〜ん"(誤字にあらず)を作り出していた。そんな中、一夏の頭に黒い直線が引かれる。
「いってぇ!?」
「まともに自己紹介も出来んのか、貴様は。」
一夏を出席簿で殴打したのは織斑千冬。彼の姉であり初代世界最強とも言われる女性である。
「山田先生、HRを押し付けてしまいすみませんでした」
「い、いえいえ!副担任ですからこれくらいは…………!」
千冬が教団の前に立つと自然に全員の体が引き締まる、ある一人を除いては。
「いいか、私が織斑千冬だ。私の仕事は貴様ら使えない15、16歳を少しは使えるマシな奴らにする事だ。出来なければ出来るまで付き合ってやる、分からなければ分かるまで教えてやる。いいか?いいなら返事をしろ、良くなくても聞こえてなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ。わかったな?」
「「「「「きゃあああああああ!!!!」」」」」
その瞬間、教室が揺れた。一夏は耳を抑えて机にダウンしている。千冬はすでに眉間を抑えて"またか"、という顔をしている。
「で…………?先ほどの自己紹介は何だ?貴様?」
「ち、千冬姉!?俺は…………いってぇ!?」
「学校では織斑先生だ。公私の区別くらいつけろ馬鹿者」
そして千冬はこのクラスのもう一人の男子生徒に視線を向ける。
「ついでだ、構わん。貴様も自己紹介をしろ」
その男子生徒は一番左の角の席で腰のあたりで手を組み、目を閉じていた。だが違和感はなくむしろいて当然のようにその場に溶け込んでいた。
「…………」
男子生徒はゆっくりと目を開け、千冬を見た後に周りを見る。そしてゆっくりと立ち上がり口を開いた。
「名はレイヴン。諸事情によりファミリーネームはない。以上だ。」
言い終えた瞬間にレイヴンに何かが飛来してくる。それを親指と人差し指による軽いデコピンで寸分狂わず千冬の手元に帰るように弾きかえす。
「…………やる様だな、今回は免除してやろう。さあ、授業だ!すぐさま参考書を出せ!」
千冬の声に全員が動く。レイヴンもいざこざを避けるために参考書を出す。
(織斑千冬…………初代ブリュンヒルデ、及び、モンドグロッソ格闘部門ヴァルキリー…………現時点での障害率12%…………問題ない、見定を続行する。)
レイヴンは頭の中でコンピュータにアクセスして得た簡単な情報を纏める。
(日時を変更を検討、後にリンクスとの交換通信を開始する。)
こうして、レイヴンによる表の見定が始まったのだ。