IS 罰の記録   作:elf5242

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取り敢えず戦闘まで。名前も姿も攻撃シーンもかっこいいあの機体が出てきます。


エピソード《R》1

「…………あ、悪魔…………」

 

地面に叩き落とされた一人がそう呟く。今、周囲の人間の視線は全てあるものに集中されていた。

 

「…………」

 

そこにいたものは青い炎を纏った、黒い不死鳥だった。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

一週間前

 

「今からクラス代表を決定する。自推薦、他推薦どちらでも構わん。誰か居ないか?」

 

「はい!織斑君がいいと思います!」

 

「私も!」

 

「異議なし!」

 

次々と一夏に推薦が上がる、当の本人は今更気付いたらしく必死に回避しようと弁解していた。

 

「ま、待ってくれ!俺はそんなのやらな…………ふげ!?」

 

「他薦されたものに拒否権はない。諦めろ」

 

「ぐぬぬ…………なら俺は「納得が行きません!」え?」

 

突如机を叩いて立ち上がったのは、イギリスの代表候補生、セシリア・オルコット。

 

「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

かなりプライドの高い人物なのだろう、言葉の端々からそう伺える。

 

「実力から言えばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからなどという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国にIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ありませんわ!」

 

だが、この言葉が一夏の堪忍袋の尾を切ってしまった。

 

「うるせぇよ!イギリスだって島国だし、いつまでメシマズランキングのトップに君臨するつもりだよ!」

 

我慢ならずに言い返した一夏。そこからお互いの国の罵り合いが始まる。

 

「そこで無関心な貴方!貴方もですわよっ!」

 

そしてここで被害がレイヴンにまで飛び火した。

 

「…………」

 

レイヴンは片目だけを細く開けて、セシリアを見る。その後に目を閉じる。

 

「貴方!!!私を無視するのですか!何か言いなさい!」

 

「…………」

 

高い声で叫ばれるが、レイヴンは我関せずを貫いている。

 

「レイヴン!お前もなんか言ってやれよ!男だろ!?」

 

「…………」

 

一夏もレイヴンに促すが、レイヴンの対応は先ほどのセシリアと同じく細めで一夏をただ無機質に見た後に目を閉じ、沈黙する。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!貴方!いい加減に!」

 

セシリアがレイヴンを叩こうとした瞬間、そこからレイヴンが消えた。

 

「…………」

 

そして次の瞬間には叩こうとした右腕の手首が左手で掴まれ、セシリアの首筋、丁度延髄と気管が同時に一直線で潰せる場所に、右手で握られたコンパスが突きつけられていた。しかもその右腕は曲げきっておらず、仮にセシリアが腕を振りほどき距離を取ろうと、コンパスを投擲するという攻撃手段がレイヴンには取れる。

 

「…………」

 

レイヴンは睨むような目つきだが、その瞳は全くの無機質であり、まるでものを見ているかのような瞳だった。

 

「…………っ!?離しなさい!」

 

セシリアがレイヴンの手を振り払うと。

 

コキンッ

 

「え…………?」

 

叩こうとして掴まれた方の腕、右腕の肘から先が動かなくなる。

 

「いっ…………!貴方、いったい何を!?」

 

「…………左で掴んだ瞬間に一瞬だけ最大限に関節に負荷をかけて外れる直前までにした、あとはお前が勝手に外しただけだ。」

 

レイヴンはコンパスを仕舞うと、もとの体制に戻る。

 

「…………はあ、全く。一週間後、オルコットと織斑「はーい、私はレイレイを推薦する〜」…………と、レイヴンのクラス代表選出戦を行う、良いな?保健委員、オルコットを医務室に連れて行ってやれ。他のものは参考書を開け。」

 

こうして、一週間後に決闘が行われることになった。

 

「…………(ジェネレーションシステムに報告、回避不可の戦闘行動に遭遇、使用許諾の出た秘匿機体"ハルファス"の使用許可を求める。)」

 

レイヴンは参考書を出しながらジェネレーションシステムにそう報告していた。

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

「…………」

 

その放課後、レイヴンは割り当てられた部屋の前に来ていた。だが、明らかにドアの向こうには人の気配、しかも明らかに待ち構えていた。

 

「…………」

 

レイヴンは腰から黒い拳銃を取り出す。全長は四十センチ程、口径は13mm、マーベラス科学薬莢"NNA9"。ランチェスター大聖堂法儀式済水銀加工弾殻、弾種は爆裂徹甲弾。その銃の名を、"ジャッカルmkー9"。それを躊躇いなく、扉に向かって撃つ。頭と心臓に二発、左右の肺に一発づつ。

 

「…………」

 

「もう…………いきなり撃つなんておねーさん、ガッカリだなぁ…………」

 

扉がレイヴンの方に倒れる。弾丸は全て透明な壁により、空中に固定されていた。その壁の向こうに壁を張っているであろう女子生徒がいた。

 

「…………」

 

レイヴンはその女子生徒の横を素通りしようとする。そしてガクンと足が動かなくなる。足元を見れば弾丸を停止させた透明な壁と同じような透明な足枷がレイヴンにはまっている。レイヴンの足にはひんやりとした感覚が残っている。

 

「無視はいけないなぁ、先輩は敬わなくちゃ。」

 

女子生徒はしてやったり、といった笑みを浮かべながらレイヴンを見る。

 

「水、か…………」

 

「正解♪貴方の撃った弾を止めたのも、今貴方の脚にはまっているのも全て水よ?」

 

レイヴンは半ば反射的にジェネレーションシステムのデータベースにアクセス、情報を引き出していく。

 

「…………(検索完了、ロシアの第三世代兵装"アクアナノマシン"と断定、対処法、超高温による水の瞬間的な蒸発。)」

 

「うん、少なくともこれで話すことはできそうだから、単刀直入に話すわね?貴方、何者?」

 

女子生徒のレイヴンを見る目が鋭くなる。レイヴンはあいも変わらず興味も無さそうな無機質な目で女子生徒を見る。

 

「全て調べさせてもらったわ、経歴は傭兵集団の頭領の父子家庭。学校に入っておらず、就学経験も一切なし、それなのに文字の読み書きは出来る…………ちょっと異質だけどなくもないわ、でも、逆にそれが怪しすぎる」

 

「…………」

 

「だんまりか…………まあ、いいわ。でも、あなたがこの学園に害をなすと言うなら…………私はあなたを全力で排除するわ」

 

「…………そうか」

 

レイヴンは一言だけ言い放つと、足の水の枷を青い炎で焼き払う。

 

「…………」

 

そして足首の動きを確認するように回し、虚空に向かって数回の蹴りを放つ。

 

「問題ない」

 

そしてそのままベットに横になり目を閉じた。

 

「レイヴン…………ね…………。」

 

先ほどの女子生徒、更識楯無は、レイヴンに対しての警戒心を最大まで引き上げていた。

 

「水の枷を焼き払った…………普通なら青い炎は温度が高すぎてすぐに着火する物じゃない、そんな高エネルギー反応、ハイパーセンサーで見逃すはずない…………なのに…………」

 

若干の自信を無くしつつもレイヴンへと視線を向ける。まるで死んだように眠っているレイヴンをみる。

 

「朝も織斑先生の出席簿をデコピンで弾いたって報告もあるし…………警戒のしすぎで損は無いわね…………」

 

楯無もベットに横になり、眠りについた。

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

「…………」

 

一方、ベットに横になったレイヴンは、眠りについたわけではなかった。

 

「…………」

 

「やあ、遅かったね、レイヴン」

 

レイヴンがアクセスしたのはジェネレーションシステムの奥底にある電脳会議室のようなもの。ドーナツのように真ん中に穴の空いた円卓の中央にレイヴンが、その正面には白い服に緑色の髪をした人物が立っていた男が座っていた。

 

「やあぁ、随分と遅かったじゃないか。ま、私は心優しいから人間絶滅を今すぐにでも行えば許してやらんでもないぞ?」

 

その男の左には顔に奇妙な形のやけどのような傷のあるオールバックの男

 

「煩いぞ貴様…………ベラベラと。無駄な自慢話は聞き飽きた」

 

その左には全身真っ白で紅い目の左右で長さの違うツインテールの少女。

 

「まあ、君たち二人がどうなろうと僕には知ったことではないんだけど…………まあ、人間の可能性を否定できるならそれでいい」

 

「俺は見てて面白いけどな!ぎゃははははははは!あ、キャロリーン!お茶!」

 

その右には黒いづくめのスーツの男と、その隣には金色や銀色の派手な装飾が施されたスーツを着崩している男。

 

「まあ、そうカリカリとするな、諸君。もうじき、私の大好きな戦争が始まるんだ、そう、私達と、彼ら人類とのね。オペラの幕間ぐらい静かにしようじゃないか」

 

レイヴンの真後ろに座るのは肥満体型の白い軍服を着た、眼鏡の男。その顔は常にニタニタと笑っている。

 

「無駄話はいい…………早く報告をしろ…………」

 

するとある一点がスポットライトで照らされる。他よりも一段高くなっているその場所には、髪を短く切り揃え、バイザーで目を隠した中年の男。

 

「ゲンドウ…………まだレイヴンしか来ていないんだ。」

 

「すでにリンクスに強制アクセスをかけた、もうじき来る」

 

「なら早く始めようじゃないか、私は早く、あのバンディット共が、我々にどう足掻くかを見たいんだ」

 

「煩いと言ったはずだぞ?それ以上言うのなら私がその前に貴様の頭を吹き飛ばしてやろうか?」

 

「おおなんだなんだ?喧嘩か!おーう、大歓迎だ!大好きだ!やれやれ!」

 

「やめてください主任。あなたが煽ると碌な結果になりません」

 

目の前の人物たちはガヤガヤと騒いでいる。そしてレイヴンの横に1人の少女がデータ転送される。

 

「…………遅れて申し訳ありません…………リンクスです…………」

 

「きたか…………なら報告を聞こう…………レイヴン」

 

「了解、現時点での見解では女尊男卑思考者が多数存在。ヴァーディクトデイの予定日を四月一日から一月一日に変更を提案する。」

 

「まあ、それは分かった。だがレイヴン。お前からの報告では、バンディットとの不可避戦闘に巻き込まれたとか言ってたが、そこのところはどうなんだ?んん?」

 

顔に火傷のある男、ジャックが空中ディスプレイを叩きながら、レイヴンを問いただす。

 

「現在、クラス代表と呼ばれる役職の決定の為に決闘を行うとの事。日にちは今から一週間後、今、織斑千冬と事を構えるのは任務に支障をきたすと判断、よって戦闘は不可避と判断した。」

 

「ふん、まあいい。あいも変わらず使えんつまらん奴だ。せめて3回回ってワンという犬の方がまだ面白いぞ?」

 

「煩いぞ、ハンサムジャック。いいだろうレイヴンの報告は理解した。してリンクス。お前は何故遅れた?」

 

今度はツインテールの少女、WRSがリンクスに問いただす。

 

「所属組織『亡国企業』の任務にイレギュラーが発生、排除に予定時間よりも360秒オーバー、アクセス予定時刻を超過した。」

 

「ふん、貴様も使えんな。まだ擦り寄ってくる猫の方が可愛げがあるぞ?」

 

「貴様は黙っていろジャック。まあ、今回は不問としよう。それで、お前の報告を聞こうリンクス。」

 

「了解、現時点では報告はレイヴンと以下同文。しかし、『亡国企業』のリーダーには未だ接近できず。ヴァーディクトデイの予定日を四月一日から十二月二十九日に変更を進言。以上。」

 

「そうか…………両者引き続き見定を続けろ。」

 

「「了解」」

 

そして2人の体がデータ転送されていく。

 

「…………人類がどう出るかは全て知り尽くしている。我々もまた元人類なのだからな」

 

そしてその場の全員がデータとなって消えた。

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

一週間後。

 

「織斑、時間がない。今回のアリーナの貸切時間が3時間と心許ない。よって、今回の方式はバトルロイヤル方式とする」

 

「えーと…………生き残った奴が勝ちって事か?」

 

「あぁ、そうだ。すでにオルコットも準備が完了している。」

 

一夏は周りを見渡す。あと一人が足りないからだ。

 

「ち…………織斑先生、レイヴンは…………?」

 

「奴は…………」

 

千冬は画面を指すと、アリーナの一番高いところ、シールド発生器部近くのところに目を閉じ腕組みをして立っているレイヴンの姿。その格好はIS着用時に身につける特殊素材で出来たISスーツではなく、緑色の背中の肩甲骨部分の露出したタンクトップに、半ズボンというラフすぎる格好であった。

 

「あんな所に…………」

 

「という訳だ、早く行け」

 

「お、おう…………」

 

一夏はカタパルトに自身の専用機"白式"を固定すると勢い良く射出されて行った。

 

「あら、逃げずに来ましたわね?」

 

「おお、男が決闘って言われて引けるかよ!」

 

一夏とセシリアがお互いににらみ合う。

 

「さあ残りは貴方だけでしてよ?専用機だろうと訓練機だろうと私に敵うはずもありませんわ!」

 

セシリアがレイヴンに向かい指を指す。レイヴンは目を開き腕組みを解くと、そのまま歩き始める。

 

「お、おい!」

 

ものの数歩で足場は無くなり、レイヴンは虚空に足を踏み出す。

 

「あぶねぇ!」

 

当然のごとくレイヴンは落下する。レイヴンは落下しながら、ハイパーセンサーの聴覚強化よってようやく言葉の端々が聞き取れる程度の声で呟く。

 

「ジェネレーションシステム、アクセス…………データインストール…………"ハルファス"…………ターンアップ」

 

すると落下するレイヴンの前に何かが描かれた電子の薄い膜が現れ、レイヴンがそこを通過すると、レイヴンの姿はあっという間に全身装甲の機体へと姿を変える。

 

「なんだ…………あれ…………」

 

明らかに異質な機体。周囲に圧倒的威圧感を与えていた。白く光るツインアイ。黄色のV字のアンテナ。肩の前後から生えるウィング。そして黒と藍色を基調とした機体はレイヴンと同じく無機質に二人を見ていた。

 

『システム…………起動…………網膜投影開始…………』

 

レイヴンの目にハルファスの見る世界が映る。ハルファスの視界はレイヴンの視界と言っても過言ではなくなった。

 

『敵性ユニット確認…………敵残数2、システム戦闘モードへ移行。』

 

腕組みをしていた手を解いたハルファスは、二機を見つめる。二機はすぐさま搭乗者へ警告する。ロックオンアラートを。

 

『攻撃開始』

 

ソロモン72柱の悪魔の名を冠する機体との戦闘は悪魔の八本の閃光により開始された。

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

「い、いきなり撃つってありかよ!?」

 

ハルファスから撃たれた八本の閃光のうち四本を危なげに回避した一夏。

 

「このっ…………!これだから男は!」

 

多少驚きはしたものの、放たれた八本の閃光のうちの4本を余裕を持って回避したセシリア。

 

「返してさしあげますわ!」

 

手持ちのスターライトmkⅢをハルファスに向けて放つ。丁寧にも胸部という急所に放たれたそれは、あっさりとハルファスに回避される。

 

「どりゃ!」

 

武器がないのか、それとも呼び出せないのか一夏がハルファスに体当たりを仕掛ける、が、横に回避されると同時に首筋を掴まれ引き寄せられる。

 

「がっ!?」

 

そしてそのまま背中に膝蹴りを撃ち込まれる。しかも引き寄せる様に引っ張ってあるのでその衝撃は一夏の意識を半分飛ばし朦朧とさせる。

 

「隙ありですわ!」

 

セシリアがレーザーライフルを3連射でハルファスに放つ。ハルファスは一夏をレーザーの前に投げる。投げられた一夏にレーザーが直撃する。

 

「このっ!敵を盾にするなど!ならばこれはどうですか?お行きなさい!"ティアーズ"!」

 

するとセシリアの背部に浮くユニットが分解され、ハルファスに向かっていく。イギリスの第三世代兵装"ビット兵器"である。

 

「…………」

 

ハルファスは素早くスラスターを吹かし、高速移動を開始する。ビットもそれに追従し、ビットからレーザーが発射される。

 

「…………」

 

高速移動をしながら、身を捩ってビットから撃たれるレーザーの悉くを紙一重で回避する。すると、一瞬だけビットの動きが悪くなる。

 

「このっ!落ちなさい!」

 

「うおおおお!」

 

原因は一夏がセシリアに仕掛けたからだった。一夏の手にはブレードが握られている。ビットはもはや浮遊する鉄くずにしかなっておらず、それをわざわざハルファスが見逃す義理もなかった。

 

『…………フェザーファンネル』

 

背部バインダーから、三角形に近い小型ユニットが無数に飛び出し、セシリアに向かっていく。

 

「な…………!?私と同じビット兵器!?」

 

すぐさまセシリアはビットを呼び戻そうとするが、ハルファスの出したフェザーファンネルに瞬く間に撃墜されていく。

 

「くっ!?」

 

セシリアはフェザーファンネルから、逃げようとするも、推力があちらの方が高く、すぐさま追いつかれてしまう。そして機体のあちこちにビームがグレイズしていく。

 

「うおおおお!」

 

一夏は今度はハルファスに狙いを定めブレードを構えて突っ込んでくる。ハルファスもビームサーベルを二刀流で抜き放ち、一夏に斬りかかる。

 

「び、ビームサーベル!?」

 

実体剣とビームサーベルが打ち合えることなど滅多にないのだが、このブレードはハルファスのビームサーベルと現に鍔迫り合いを演じていた。

 

「…………」

 

「がっ!?」

 

ハルファスは一夏を蹴り飛ばすと、両手の持っていたビームサーベルを親指と人差し指の間で挟むように持ち、残った指の間にビームサーベルを出現させ、それを蹴り飛ばした一夏に投げつける。

 

「うおっ!?」

 

流石にビームサーベルを投げつけられるとは思ってもいなかったらしく、ウィングスラスターや足の甲の部分にビームサーベルが突き刺さる。

 

「く、くそっ!」

 

ハルファスはそのままウィングを全て一夏に向ける。

 

「しまっ!?」

 

一夏の言葉は最後まで続かず、閃光に飲み込まれた。

 

「この…………ッ!しつこいですわ!」

 

一方、セシリアは未だにフェザーファンネルに追い回されていた。レーザーは回避され、ビットは撃墜される。焼け石に水だった。

 

「クッ…………!」

 

何よりもセシリアが悔しかったのは、あちらは一夏を相手にしながら自分をこの遠隔操作兵器で追い回していた事だ。セシリア自身、ビットを動かしながら自分が動くというのはまだ出来ていない。

 

『…………』

 

「えっ…………?」

 

フェザーファンネルから逃げようとスラスターを吹かした瞬間に、セシリアは顔をハルファスに掴まれる。

 

『予定戦闘時間終了まで残り20秒…………バーニングフレア…………使用…………』

 

そしてセシリアの身体が青い炎に包まれる。

 

「きゃああああああ!?」

 

装甲が焼け焦げ、ケーブルが焼け千切れ、フレームが焼け落ちる。絶対防御機能により火傷は防がれているが、熱までは遮断できず、言うなれば怪我はしないが痛みはそれ、の状態が続いていた。そしてやがて青い炎で焼かれたセシリアはそのままアリーナの地面に落ちていく。

 

「あ…………悪魔…………」

 

その時、アリーナにいる全員が見ていたのは、青い炎に包まれた黒い不死鳥だった。

 

 

 

 

 

 

 

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