新光暦238年3月23日 午前5時時22分 アークスシップ1番艦フェオ
ねね、スゥリン、イフェメラの若き3人と垣屋、シンジュク、テツの老獪な3人は
アンネリーゼに惑星リリーパ地表の調査エリアへのキャンプシップを手配してもらい
キャンプシップの発着場へ足を運んだ、
お子様3人は始めての惑星のため緊張気味だ、無理もない誰しも必ず始めての時は
そうなのだ、テツはねねとイフェメラになにやら小さいパッケージを手渡した、
「なんですかこれ?」
イフェメラは丁寧にパッケージを開き始めた
「わらわにはくれないのかやー?」
自分だけがもらえなかったスゥリンはテツに不満の目を向ける
「リリーパは時々強い砂嵐が来るからね、その時にはこのゴーグルとマスクで
目と肺を守るんだよ、場所によっては石英質の砂だから肺に入ると面倒だよ
俺たちキャストには必要ないけどね」
テツはそう言うとスゥリンは納得して再び席に座った、
リリーパの砂嵐は単なる砂粒だけではない、豊富な鉱脈を持つこの惑星の砂嵐は
微細粉の鉱物が肺に入り込み深刻な呼吸障害を起こす事もあるのだ、
発信に向けて小刻みに振動しながら乗り込む隊員を待つキャンプシップに6人は乗り込むと
ハッチが閉まりフォトン噴射をしてキャンプシップはリリーパへ向って離陸を開始した、
「博士、リリーパはどんな敵がいるんですか?」
イフェメラは垣屋にリリーパの状況を尋ねる、少しでも予習をして
有利に進めようと考えていた、
「そうじゃなぁ~、どこの誰が作ったわからんのじゃが機甲種って呼ばれるマシンが
採掘基地や地下坑道エリアを守るようにうろうろしとる、後は・・・」
垣屋が言い終わる前にテツが付け加える
「なぜかダーカーが他の惑星に比べると異常に多いんだよね~、特に蟲型、
お互い争ってるけど機甲種がちょっと押され気味かな、」
垣屋は自分の言いたい事をテツが補足してくれた事に満足しお子様3人に目を向ける
ねねとスゥリンはじゃれあっていて話を全く聞いていない
「こら!ちゃんと聞けバカどもが!」
シンジュクがねねとスゥリンを怒鳴りつけると二人はビックリした猫のように
シャッキリとして席に着いた、
「後は現地に昔から住んでるリリーパ族って馬鹿なのがいるんだがそいつらの保護もね」
シンジュクはそう付け足すと愛銃のメナアリスの作動点検を始めた
話の限りではそのリリーパ族という原住民はダーカーと機甲種の衝突の
割を食っているように感じ取られた、
しかしそれだけではない、リリーパの尋常ではない鉱物の含有量を誇る
リリーパの鉱物資源をオラクルも利用しているのだ、
つまりダーカーvs機甲種vsオラクルという三つ巴の真ん中にリリーパ族が
逃げ場もなく置かれ右往左往しているというのが現在の状況である、
その昔オラクルの出発点であった惑星テラでも人類による資源の奪い合いから
西暦2020年に第3次世界大戦が始まり人類は一時壊滅的な打撃を受けたと
歴史書は語っている、
誰のためか不明の防衛が目的の機甲種と目的不明のダーカー、そして変わらず資源を
過剰に求める人類という妥協点が見当たらず現状放置すれば無限に続くであろう、
ナベリウスのある意味牧歌的な側面が懐かしくすら感じ始める3人であった、
「今日はおめぇたちの慣らしだからの、リリーパがどんな所か肌で感じられればええ」
垣屋も愛銃の双淡月の銃身に歪みや異常がないか、自動装填システムに異常がないか
チェックを手早く行う、
キャンプシップは惑星リリーパにと突き進んでいく、惑星のほとんどが砂礫なだけに
外側から見ても砂一色に見える、
キャンプシップのパイロットがまもなく調査エリアへ着陸する旨の通信が入る
6人は大気圏の突入ショックに備えシートに座りシートベルトを装着する
大気圏を越えると上空に舞い上がった砂塵や砂礫が機体に強く当たる音が
内部に響いていくがやがて静かになり砂でかすれた着地ポイントへ着陸した、
シンジュクがお子様3人に出撃を促すと全員シートベルトを外し
今回は着地したため開いたハッチから外へ出た
・・・空気が乾燥している、そしてオラクル内では体験できない強い日差しだ、
端末のアイディスプレイで確認すると気温は40℃をすこし越えた所である
ただナベリウスのような湿度を含んだ不快感は感じられない、
「昼になると気温が60℃を超えるからのパッパとやっちまうんじゃぞ」
垣屋は3人にリリーパではナベリウスやアムドゥスキアと違い活動時間に
制限がある事を告げた、
惑星リリーパは大半が砂漠のため昼は砂地の反射熱で場所によっては
70℃近くまで気温が上がり夜になると放射冷却現象で0度前後まで気温が下がる
いくらフォトンで全身が守られているアークスと言え昼間での活動時間には限界がある
そして自分たちは後ろから見ているから自分たちで調査するようにと付け加える、
お子様たちは前に逆三角に隊列を組み進みだした、
リリーパの砂は鉱物含有量が多く石英質が豊富なためか微細な星型の砂を
踏みしめるたびにキユッという音を立てる、いわゆる鳴き砂と呼ばれる物で
何かが歩けばそれを頼りにも出来れば敵にもそれがたよりとなる、
3人は70mほど前になにやら円形の土台のような物を見つけそれを目指して
歩き出す、砂の鳴く音とわずかな風に点在した砂漠の多肉植物が葉を揺らす
音ばかりしかしない、
足を砂に取られながらも3人はその円形の台までたどり着きその上に飛び上がり
乗ってみようとしたがふいに上部が緑色に光ったかと思うと
ドーム状に光が映し出され急いで飛び退く、
「なにかくるのじゃー」
スゥリンは下からせり上がって来る音を聞き急いでスキャンを開始する
アイディスプレイに適正存在の反応が表示される
「スパルダンA ダーカー侵食なし」
表示を読み終えるかどうかという時にはすでに台の中央から開いたハッチから
スパルダンAが6台飛び出し3人の上に覆いかぶさり押しつぶさんばかりに
飛び掛って来る、
スパルダンA4本足のクモのような姿をした機甲種で中央部の青いコアが
特徴的な機体で目立った武装は持っておらずもっぱら硬い装甲と
重量を生かした体当たり攻撃のみしか行えない、
時として密集して硬い装甲を生かした防御壁を形成することがある
3人は辛くもスパルダンAの押しつぶし攻撃をステップでかわして散会する
武器をそれぞれに構えて着地したスパルダンを挟み撃ちで倒し数を減らす考えだ
イフェメラとねねが武器を構えてアサギリレンダンとモーメントゲイルで一気に
殲滅を図ろうとするが
スパルダンAの方が早く着地と同時にバネで弾かれたように突進し
ねねとイフェメラの突進と激しくぶつかりフォトンの火花が散り重量が重い
スパルダンAが競り勝ちねねとライは後ろに吹っ飛ぶび着地するも
砂で足が滑り前に転倒する、
スゥリンは遠巻きから二人が体勢を崩したのを見受けると二人の反対側に
すばやく回り込むとフォイエを放ちスパルダンAの1体に火球をぶつけると
他の機体もスゥリンの側を向き一斉に4本の足をカニのように規則正しく動かし
迫ってくる、
スゥリンはあわてずアダマンの杖の先でフォトンを練り全ての機体が
突進するのを見計らうと杖を振り上げ短杖の先から磁力の渦を発生させる
小型の敵に有効と実証済みのゾンディールを発動させ敵が吸い寄せられると同時に
ミラージュエスケープで後方へ退いた、
基本的に知能を持ち合わせない機甲種は電磁の渦になすがままに巻き込まれ
お互いがぶつかり合ってもがいている、
3人は互いにうなずくともがくスパルダンAの群れを取り囲み
再びアサギリレンダン、モーメントゲイル、ゾンデを3方から浴びせかけ
敵は装甲を徐々に削られ持ち答えられずバラバラに分解し
周囲に残骸を撒き散らすのみとなった、
3人は笑顔でハイタッチをして喜ぶ
しかし後ろの3人垣屋とシンジュクとテツの顔は曇っていた、その理由は周囲への
注意がおろそかでありマシンファクトリーの動きが止まっていない
そしてそのハッチから新たな機甲種が這い出ていることに気付いていない
隙を突かれる事は確実だ垣屋たちは3人をそのままにしてみる事にした
それなりに鍛えてはいるのですぐに致命傷を受けることはないと判断したためで
彼らなりの体で覚えさせる注意喚起である、
マシンファクトリーから案の定機甲種がわらわらとハッチから湧き出している
シンジュクとテツはライフルを構えるが垣屋はそれを遮った
「あいつらほんと周り見てないのぉ・・・」
垣屋はため息をついてまだ敵の増援に気づかない3人の様子を見守り続ける
マシンファクトリーから飛び出したスパルダンいや・・・先ほどのとは様子が違う
コアの左右に細身の砲が載せられているスパルガンが送り込まれてきたようだ
せり上がってきた3体のスパルガンは肩の砲からスパイク弾を発射する
発射音でようやく気付いた3人はスパルガンの方を向き相手の弾の弾道を見切り
すばやく刀の鞘で払いイフェメラとスゥリンは身をかわしスバルダンAと同じく
ゾンディールでまとめられ切り刻まれて残骸の山の足しになるだけであった、
「もう出ないのじゃっ!」
ねねはマシンファクトリーの台に飛び乗りようやくハッチから
新たな敵が出ないか確認し敵が出ないと確認した後
垣屋たちに手を振った、しかし垣屋たちの顔は渋かったお説教が待っている。
新光暦238年4月1日 午前7時26時分 アークスシップ1番艦フェオ
原生生物研究所
マシンファクトリーから飛び出したスパルダンAとスパルガンに油断したお子様3人
その後たっぷりとお説教を受けその後調査エリアで機甲種への対応を体で学ぶ事となった、
砂塵の舞うリリーパで機甲種との戦い方、動きその物は単調な為
さしたる苦労はしなかったが不安定な足場が踏ん張りを利かせない
砂地は固まった地面とは違い勢いをつけて着地と移動をすると
足がすべり時として足を取られるため注意をしなくてはならない、
その場から勢いをつけて敵に飛び掛る手合いのフォトンアーツも同様だ
テクニックにせよフォトンアーツにせよ無駄に砂塵を巻き上げると
仲間の戦闘の妨げになるのでそのあたりも考慮してこそである、
そして3人はまだ遭遇していない砂嵐と油断していると飲み込まれる
流砂がアークスたちの敵として立ちはだかる、
本来ならオラクルの調査や資源の採取、移住プラントの候補から外され
他の惑星のように候補外として放置されるはずだが
リリーパには異常な程の鉱物含有量とダーカーの拠点ではないかと
目されているため不毛な土地に多くの資源と時間と兵力が割かれているのだ、
その手間と予算をかけても余りうる資源がリリーパには眠っている、
砂漠でアークスを阻むのは機甲種だけではない、テツが言っていたように
この惑星ではなぜか昆虫型のみだがナベリウスやアムドゥスキアと比べて
ダーカーの数が多くその対応も大切となる、
機甲種、ダーカー、過酷な自然環境この3つを意識して探索をしなくてはならない、
それ故に新人アークスの探索の優先順位が後に指定されている、
研究所では朝食が終わり、この一週間を鑑みて垣屋は3人に口を開く
「まぁこんくらい出来んなら次のステップに進むとするかね」
テツは
「ちょうど司令部から貴重物資運搬計画への参加要請が来ているねぇ~
せっかくだから皆で参加してみようよ」
「それってパスチャライズな任務なのかや?」
ねねはわくわくしながらたずねるとシンジュクがすこし面倒そうに付け加える、
「そりゃそうだよ行く度に採取する種類は変わるけど採掘基地外の採取は
一般作業員じゃ手に余るからね」
「そうその物資がワシらの装備になったり軍部の兵器になったりと色々と
皆の役に立つわけよ」
垣屋はそう言うと3人に受けるかどうか聞いてみたが予想通り3人はろくに
考えもせず受けると即答した、
少しあきれたような顔をして垣屋は任務を受ける旨を司令部に送信した、
この貴重物資運搬計画は常に行われている作戦で不特定多数のアークスが
常に参加可能でその名の通り貴重物資の需要は多く徒歩のアークスが
持ち帰られる物資は知れている、そのために常に続けなくてはならない、
それはリリーパが放棄されるまで何千何万と続いていくのであろう、
新光暦238年4月2日 午前6時48時分 アークスシップ1番艦フェオ
原生生物研究所
クエストカウンターでアンネリーゼに貴重物資運搬計画への参加の旨を
伝えるとアンネリーゼは
「今回は原生生物研究所の皆様が出撃されますので他のアークスの手に余る
エリアがありますのでそちらをお願いしたいのですが・・・・」
「ああ・ええよそんかわりお足はたんまり弾んでちょうだい」
なんとも申し訳なさそうに申し出たが垣屋は意に介さずそのポイントへ
向うと伝え手配されたキャンプシップを確認するとスペースゲートへ向って6人は
進んで行った、
アンネリーゼの話では研究所の面々が向うポイントで貴重な鉱物である
ゼルシウスの反応が見られたとの事で常に在庫の枯渇したオラクルは
調達に失敗があってはならないため垣屋たちにお鉢が回ってきたという寸法だ、
キャンプシップに乗り込むと他のアークスも同様の任務に向うため相乗りとなって
リリーパへと向かう事になった、
移動の最中にお子様3人にキャンプシップの乗務員からそれぞれに1つの小型パックを
手渡される、装着するように促されて装着する、
ウォーターパックだ、今までの任務では時間の関係もあり配給されていなかったが
今回の任務は終了時間が予想できないため配給される事となった、
このウォーターパックはせいぜい500ml程度の容量だがそれには理由がある
小型なのは暑さにかまけて一気に大量の水分を摂取するのを防ぐ役割も兼ねている
ストローが付いており弾丸の自動装填システムと同じく中身が減れば
オラクルのアークス需品部からパックに水が転送されるしくみで
砂漠での活動には必須アイテムの一つである、
惑星リリーパが近づくと大気に押し上げられた砂粒のために宇宙空間がかすかに黄色く色づく
その砂塵の大気圏に突入しリリーパ上空でキャンプシップは静止した
今回は様々なパーティーが各エリアで作戦展開をするため上空からテレプールに
飛び込み各任務地へと転送されていくのだ、
そして他のパーティーと離れたエリアで作戦任務に当たる6人は最後にテレプールに飛び込み
作戦エリアへと降り立った、
「あついのじゃーアイス食べたいのじゃー」
スゥリンは作戦開始と共に不満を漏らすが作戦は始まったばかりだ
オペレーターのブリギッタと位置確認と進行ルートと天候の確認を行うと
前に踏み出した、
キュッキュッキョ・・・誰が頼みもしなくとも鳴き砂が摩擦音を立てる
しばらく歩いては座標を確認しまた歩いては座標の確認をする
途中に偵察のつもりなのかダカンやさらに小型のダーカーであるクラーダ等が
散発的に出てきたがベテラン3人はもちろんお子様3人でも相手にならない
集団戦で進化を発揮するダーガーだが何をしたいのか窺い知れない、
「今回は楽そうだねぇ~」
テツは周囲に敵がいないか警戒を怠らずに皆に言った、
さらに採掘ポイント側を遠視モードで敵への警戒を続けている
このような局所では気候の影響を受けず他の種族と違い生理的な障害と無縁
疲労と言う感覚すらないキャストが圧倒的に有利といえる、
一方お子様たちはイフェメラとねねは少しスタミナが削れて来たらしく
ウォーターパックの水を口に運び、スゥリンはよほどアイスに執着があるのか
色々な味のアイスやアイスショップの名前をつらつらと挙げて
代償満足に徹している、
目標地点まであと2km程にまで近づいているのだが敵の姿も少なければ
オペレーターからも別段通信も入らない、
このまま歩き続ければ何のためにリリーパの砂漠地帯に来たのか
目的すら見失うだろう、
ねねは平素の落ち着きのなさも手伝いこの黙々と目的地へ向う行軍に
いらだったのか気に入らないのか幾度も喋ろうとするが
体内の水分の消耗を防ぐために喋るなと注意されて不機嫌だ、
さらに進むとオペレーターのブリギッタから通信が入る
「もう少しで貴重物資の埋蔵ポイントへ到着します、付近にリリーパ族の
集落がありますが臆病な性質ですので刺激しないようにお願いします」
と言うと通信を切った、
「リリーパ族にあえるのじゃー」
スゥリンはこの惑星に住むリリーパ族に興味があるようで嬉しそうな顔をしている
リリーパ族とは惑星リリーパに住む唯一の知的生命体であり
身長は最大でも1m20cmほどでオラクルの生物でいえばウサギに近いとも言えるが
二本足で直立し小太り気味の体型から鑑みると程遠くも見える
それを似ていると言わしめるのは大きな二本の耳と顔立ちのみで、
オラクルの人類でいえば子供程度の知能はあるらしく
声帯の問題で言葉を発することが出来ないが端末を通せば言語は解読されているので
コミュニケーションを取ることも可能だ、
リリーパではオラクルも資源の採掘を行っているが過去に幾度も繰り返された
原生住民への迫害や根絶行為を反省し可能な限り共存への方針を取っていて
その愛らしい容貌からオラクルではラッピーと人気を二分している、
スゥリンも間近でリリーパ族と会った事はないらしく期待感を膨らませ始めた、
スゥリンは嫌々歩いていたが急に足取りが軽くなる
しかしシンジュクがその喜びの足取りにハンドサインで待ったをかけた
「集落から500mほど先に大型車両用のテレポーターの反応が出たな・・・
全部で10台・・・あとは生体反応が100・・・それ以上だあいつらも採掘か?・・・」
採掘任務を任された自分たち以外に一個中隊分くらいの規模の人員を
転送してくる意図を測りかねてシンジュクはいぶかしんだ
「・・・ちぃときな臭くなったかもの、皆いくぞ」
垣屋は言うと皆識別不明な集団が転送された場所へと駆けて言った、
原生生物研究所の面々は砂塵を上げる車両の群れに向かって走った
この先に起こる事が尋常でない事を熟練の3人は経験から感じ取り
未熟な3人は雰囲気で感じ取った、
6人の駆ける砂がより強く泣き声をあげる、走っていくとただの砂地から風化して
削られ石柱のようになった岩や環境に適応した多肉植物や点在する岩が周囲に見え始め
ブースターをふかし込みいち早く前を進んでいたテツとシンジュクは
全員に止まれとハンドサインを送る
全員が止まるとその意味を読み取り風化した石柱のような石に身を隠した、
身軽なテツが岩の天辺に張り付き遠隔の状況を確認しその内容を伝える
「どうもこの先にあるリリーパの集落をつぶす気みたいだねぇ~
しかし車両は全部工事用の重機・・・人間はどうも建設会社の作業員がほとんどで
虚空機関の戦闘部隊の連中が20・・・いや30人くらいかな」
そう聞くと垣屋とシンジュクは顔を一瞬しかめた
恐らく今回の鉱石採取任務、その目的がぜルシウス鉱石の採取で
ヴォイドにとってもその在庫の不足は頭の痛い問題で、環境をつぶさず
少量の採取にとどめようと言うアークスの方針と違い
ヴォイドは既成事実的にリリーパ族を追い出しそこに採掘プラントを
作るつもりなのだろう、そして今日はその地ならしをする腹積もりなのだろう、
「よぉしオパオパちょいと偵察してきてくれや」
垣屋はマグのオパオパに周囲を撮影するよう指示を出すと空に放ちオパオパは小さい羽を
羽ばたかせて上空高くへ舞い上がっていった、
オパオパが飛び立つのを確認した後垣屋はオペレーターへ通信する
「ブリギッタちゃんよぉ、悪いがここの位置確認をそっちでもやってくれんかなぁ」
「どうしました?垣屋博士」
「今そっちに映像送ってるのが届いてるじゃろ?この場所はリリーパ族の保護区のはずじゃ
ヴォイドの戦闘部隊と建設会社の連中がリリーパ族の集落をつぶす気みたいなのよね
ここで破壊活動をするのは法律違反じゃろ
間違いがないようそっちでも確認して送った映像も保存しといてくれ」
「了解しました確認を取ります」
程なくブリギッタは急ぎ端末を用いて場所の確認を取り返信をよこしてきた
「この場所が間違いなく保護区ですね、これはオラクル法の違反行為です」
と研究所の面々に告げた、保護区に於いて無許可での採掘や開発、原住民の追い立てなどは
オラクルの法律で規制されておりそれに違反すると最悪死刑やオラクルからの追放刑も含む
厳しい処罰が下される、
ブリギッタはさらに続ける
「今の時点ではリリーパ族に危害が及んでいないため衝突を避けてください
こちらから勧告を入れてみますのでそれまで無用な衝突は避けてください」
通信が切られると研究所の面々は岩陰から立ち上がりリリーパ族の集落へと
歩いて行った、アークスの司令部はヴォイドとの衝突を避けたがっている、
それは政治的な問題からであり現在の所アークスよりヴォイドの私兵集団の方が格上に
扱われているためだ、
通信を待つ間に6人はリリーパ族の集落へと歩いて近づいていく
集落の入り口近くに到達したが文明的な集落というよりリリーパ族が何に用いるか不明な
ガラクタの山やアークスたちが捨てて行った資材を使ったテントが並ぶ
粗末にして質素な佇まいだ、中央に彼らの生命線なのだろう
古くて大きなウォータータンクがそそり立ち集落のシンボルのように見える、
目前150mほど前に例の集団が車両を停止させアークス司令部からの通信を
受けているのだろう乱暴な口調で怒鳴り散らしている、
独得な黒と紫のツートンカラーの制服にお仕着せの揃いの装備、ヴォイド戦闘部隊の
エムブレムそして人を捨てたかのような下劣な見た目と態度、まごう事無く特別行動隊の連中だ、
そしてその前には集落のリリーパ族たちが集落の中央に集められ
重機に横乗りしたヴォイドの歩兵に頭上から銃を突きつけられ
恐怖で身動きできずにいる、もし走って逃げればその運命は明白で
怖くて逃げられないのである、
「んだとこのアマァ~俺たちヴォイド特別行動隊に楯突こうってのかぁ~!」
ヴォイド兵は通信に乱暴に受け答えで返し
「この場所での開発や採掘は法律で禁止されています!リリーパ族の保護区で
乱暴な行為は慎んで下さい!」
「うっせ~んだよこの淫乱●●マンがよぉ!ヴォイドはお前たちの神だぞ
帰還したらてめぇ輪姦して家族全員収容所行きにしてやっから覚悟しろ!」
「・・・・・」
ブリギッタはあまりの暴言と恫喝に口をつぐんだ、見えはしないが恐怖と屈辱で
きっと涙を浮かべているだろう、
「ブリギッタちゃんよぉ、ヒルダちゃんに変わってくれや、良うがんばった充分だ」
垣屋はブリギッダをねぎらうように言うとすすり泣きを交えブリギッタは
了解の旨を伝えた、
暴言だけではないヴォイドによる越権行為は度が過ぎた物があり
政府はそれを容認している、現状はなにをしてもそれらしいお咎めがないのは事実なのだ、
この兵士の言うとおり無実の罪で連行され消息不明になった人々も多くいるため
その言葉は脅しでは済まない、
「むしゃくしゃして来たぜおい●●女!いまからこのクソウサギつぶしてやっから
よぉ~く見てろ!てめえのせいだからな!」
通信を終えたヴォイドの兵の将校は自分が横乗りしてきた大型ロードローラーの
建築会社の運転手に前進して村の中央で恐怖に震えて動かなくなっているリリーパ族たちを
踏み潰すように命令する、
「冗談じゃない!かわいそうじゃないか!こんな違法行為に協力なんかできるか!」
「そうだリリーパ族を殺す理由なんか無いだろ!」
作業員たちは口々にそれを拒む、元々はまじめな作業員たちでなんらかの命令や強制で
むりやりつき合わされてきたのだろう、採掘だけならまだしも無辜のリリーパ族を殺せなど
承服できない善良な人々なのだ、
ヴォイドの部隊長は銃の台尻で先頭車両のの運転手を殴りつけ突き飛ばすと自分が
操縦席に座りアクセルを吹かし始めた
「けぇひっひっひペチャンコにしてやるからよぉ覚悟しろ下等生物!」
それを見たテツは皆にそしてとかくねねとイフェメラとスゥリンに
「このままじゃリリーパ族が危ないねぇあいつらは源さんとシンジュクちゃんに任せて
轢かれる前にリリーパを助けるよ」
「わかったのじゃ!」
「なのじゃー」
「うん・・・助けよう・・・
と言うと3人はうなづいて相手の注意を引かないよう重機の隙間を縫って左右から回り込む、
4人の顔には明らかな怒りがにじみ出ていた、
将校の乗った車両のの前に垣屋とシンジュクが銃を構え立ちはだかった
「おい・おまえらいい加減にしとけや!」
垣屋がヴォイドの兵士らに怒鳴り声を上げる、額に血管が浮き出て全身の筋肉が
興奮で小刻みに隆起している
「んだよ下等なアークス諸君かよジジイにポンコツぶっつぶされたくなかったらそこどけや」
その暴言にシンジュクはさすがにカチンと来たらしく
「よっぽど死にたいらしいね、死刑でいいよな源さん」
顔にみるみるしわが刻まれ鬼女さながらの表情に変わる
「ヒルダちゃんの裁量を聞いてからの」
と口では言うが気持ちは明らかにシンジュクと同じであった、こいつらは死刑だと
その時研究所とヴォイド双方に通信が入る
「アークス司令部及びオラクル政府より通達、この場所はリリーパ族の保護区だ
法律に違反する行為は処罰される速やかに退去せよ」
威厳のある声、ヒルダがブリギッタと通信を変わったのだ
ヴォイドの将校がモニター越しの顔を見てにやりと下劣な笑いを浮かべる
「おっと誰かと思えば子殺しのヒルダのババアかよぉ~下等組織の将校が
偉そうに言ってるんじゃねぇよババアのくせに収容所で●便器にでもなりてえのかぁ
ヒャーハッハッハッ!」
まわりの兵士たちもつられて大笑いする
「なんだと・・・・きさまら・・・・・・・・・・・」
普段は威厳を持って冷静なヒルダが明らかに感情を高ぶらせている、触れられたくない事に
彼らは故意に触れたようだった
ひとしきり大笑いした後ヴォイドの将校は手をかざし
「やっちまえばこっちのもんだぶち殺せ!全員だ!」
他の工事車両に広場に集めたリリーパ族を轢き殺すように命令をした、
兵士が運転を変わったロードローラーの一台が広場に集められた
リリーパ族にうなりを上げて突っ込んでいく
どう言う訳かローラーに隙間なくびっしり棘の付いたおしゃれな雰囲気のこの車両は
砂塵を吹き上げリリーパ族目がけて突進する、
棘の植えつけられたローラーがうなりをあげて小さな命たちを踏み潰そうとする
臆病なリリーパ族は涙を浮かべてなすがままだ
逃げるとしてもその短い足と小太りな体型ではどうすることも出来ない、
「りっ・・・・りっ・・・・」
涙をうかべ抱き合うリリーパの背中を強く掴む何かを感じた
テツとイフェメラ、ねねがリリーパ族を両手で掴みすばやく後ろに飛びのいた、
「りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
しかしそれだけではリリーパ族をすべて救うことが出来ず
残されたのリリーパ族は轢かれる運命にあったと思われたが
スゥリンは念入りにより強くフォトンをアダマンの杖の穂先で練り上げ
いつもより強力なゾンディールを放った
残った全てのリリーパ族はその磁場に吸い込まれ無事にスゥリンの目の前に
吸い寄せられ渦の中心で押し競饅頭になっている、
ヴォイド兵の操るロードローラーは威勢よく空を轢き飛ばし前に突進を続けた、
人質・・・いやリリ質がいなくなって形勢逆転
リリーパ族に逃げるように促すと彼らは散り散りになって逃げて行った
舌打ちして部下に怒鳴り声を上げるヴォイド将校たちを6人は
怒りの目でにらみつけ武器を構えた、
「ヒルダちゃんもうこれで分かったじゃろ?これより鎮圧作戦を開始する」
「まて垣屋博士!ヴォイドと衝突すると後でどう・・・」
ヒルダはなんとか冷静さを取り戻して垣屋を止めようとするが
「ヒルダ少佐、ワシの階級がなんだかわかってるよの?」
垣屋は少しだけ口をニヤリとゆがめて言った
「技術少将相当官・・・・・殿・・・」
「そう・兵科が違えど階級は絶対なのよ、よって口を挟むことは許されんわな」
垣屋はゲラゲラと笑う
「このアークス如きが!ここで殺しちまえば後でいくらでももみ消せる!
おまえらぶっころしちめぇ!」
ヴォイドの小隊全員が研究所の面々目に銃を向ける、垣屋とシンジュクは殺気に満ちた
鬼女の顔を浮かべリリーパの安全を見送ったテツとお子様3人も合流し武器を構え
臨戦態勢に入った、
垣屋はシンジュクに笑顔でアイコンタクトを取った、号令を譲ってあげると言う
合図だ、シンジュクはそれを確認すると周囲が震えるばかりの大声で叫んだ、
「魂取ったれやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」