PSO2水滸伝傍ら(かたわら)の群星   作:垣屋越前守

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凍土の象王狼王

新光暦238年4月4日 午前5時33分 アークスシップ1番艦フェオ 

 

早めの朝食を済ませ研究所の面々目とジャンとパティにティア

出発の前に凍土へ降り立つに当たり特別に用意しなければならない事がある、

惑星ナベリウスの最北部に位置する凍土エリア、南に最初に降り立つ熱帯ジャングル

エリアとは切り立った連山を隔てて急激に暑い熱帯一歩踏み出すと極寒という

常識では考えられない極端な気候変動を来たす、

 

フォトンの膜で体が覆われているアークスは常人よりは苛酷な環境に耐えうるが

リリーパの地表部同様活動時間を選び速やかに帰還する事が望まれる、

そして凍土の一部は地面が凍り滑りやすく転等やクレバスへの落下に注意しなくてはならない、

そのためにフォトンコーティングされたスパイクを履物に装着する必要がある、

そして体を冷やさない防寒装備、温かい水分を補給できるウォームウォーターパックが

初着任のアークスに支給される、

 

物としてはリリーパで配給されたウォーターパックと同じコンセプトであるが

こちらは温かい水が飲んだ分だけ補給され保温効果にも優れている、

しかしわるいアークスは極悪改造で温かい水でなく酒が補給されるように

したいけない隊員も少なからずいる、

 

後は防寒の簡易テントと暖房器具に化学反応で中身が温かくなるホットパックの

食料がセットになっていて1週間程度耐えられる装備がアイテムパックに加わる、

各フィールドでそこまで多くの装備の携帯を義務付けられるほど凍土は過酷なのである、

 

皆が装備を携帯した事を確認するとアンネリーゼに凍土の探索をする旨を

伝えキャンプシップの手配を頼んだ、

 

いつものようにフォトンエンジンを震わせながら研究所の面々を待つ

皆が乗り込むとハッチが閉まりキャンプシップはゆっくりと離陸し

宇宙の海原へと飛び立って行った。

 

 

皆それぞれに到着まで思い思いの時間をすごす、テツはのんきに昼寝

シンジュクはなにやら端末をいじっている、

 

「なのじゃっ!なのじゃっ!チューチューチュー!」

 

「レフトライトレフトライト・チューチューチュー!あーっスゥリンちゃん間違えたー!」

 

「にゃははははまちがえなのじゃー」

 

ねねとスゥリンとパティは、歌って踊れるオラクル第5チャンネルのリポーターうららの

ダンス番組を見ながら踊りをを真似てノリノリである

ジャンはステブウェポンの再点検をしながらお子様たちを優しい目で眺めている、

 

そして垣屋はティアが横から端末を覗き込んでいるのをさせるがままに

今から向うポイントを端末で再チェックしアークスがあらかじめ設置していた

定点カメラの映像になにやら地図に点滅する発信を眺め何か安心したような

顔を浮かべている、

 

「そろそろ到着します、今回はテレプールではなく現地に着陸します」

 

乗組員からアナウンスを受けキャンプシップはそのまま指定ポイント上空から

静かに着陸していく、着地時の危険を考えテレプールでの転送を控え着地し

ハッチからの出撃となった、

 

外へ一歩踏み出すと吐く息が白くキンと音を立てて白い霧となって天へ上っていく

 

ねねたちお子様たちは顔がほころぶ、うまれて初めての雪であった

 

「ゆーきなのじゃーねねちゃんそれぇ~」

 

スゥリンは雪を手ですくいぐっと丸めるとねねとパティにぶつけた

 

「ふやっ!スゥリンちゃんお返しなのじゃっ!」

 

「面白そうわたしもやるやるぅ」

 

嬌声を上げながら二人は反撃に転じ雪合戦が始まったが

 

「バカどもが!遊びに来たんじゃないよ!」

 

シンジュクに叱られしゅんとする3人、すでに任務は始まっているのだ

ねねたちお子様は鍛錬と凍土への順応、ジャンはジグの元気を取り戻す業物の探索、

そして垣屋とシンジュクとテツはそれぞれの背中を守るためそれぞれの任務が始まる、

 

凍土では同じナベリウスでも熱帯ジャングルエリアとは違い生き残れる植物は限られ

下草も少なくあるいは雪に埋もれ白い雪が光りに映え視界は良好である、

しかしその分日光の照り返しで眼を傷めやすいため日差しがきつい時には

バイザーやゴーグルで眼を保護する必要がある、

 

しかし単純な風景に足跡を残し一行は進む、垣屋たち研究所の大人が

前列を進み真ん中にお子様4人を挟み後ろを熟練のジャンが固める、

 

今日は凍土としては天気が良く太陽の光りが降り注ぎよりいっそう白く映え

初めて凍土に踏み入れるお子様たちを迎えてると錯覚させるに充分だった、

 

しかしその緩やかな行軍をテツが破る

 

「ダーカーの反応が遠巻きだけどあるねぇ~距離としてはそうだね15kmってところかな」

 

「同じところをぐるぐるしているからすぐに向かってくる事はないだろうけど

注意はしたほうがいいね」

 

シンジュクは索敵に補足を入れた、シンジュクのまるでスフィンクスのような

ヘッドパーツは無意味な飾りではなく頭頂部の台の様な箇所により高性能なレーダーが

内蔵しているためより遠くの索敵が可能なのである、

 

さらに2kmほどさしたる問題もなく進む

目の前に複雑な岩場と木々が生い茂りまるで茅葺屋根の民家のようなシルエットだ

本来家ではないのだがなにか安堵感を一行は感じ見上げている、

 

見上げているとふいに岩の上に生えた木の根元からいくつもの影がすばやく

飛び出してくる、

 

「原生生物か退いてはくれなさそうだな」

 

敵が来たのだろうかジャンはライフルをかまえ先頭陣形を組むが

垣屋とシンジュクとテツは武器を構えず悠然とその影を追っている

 

「何をしている!」

 

ジャンは前の3人に呼びかけるが垣屋たちは分かっているとハンドサインを出す

その黒い影は動きを止めるとそれが何であるか他のメンバーにも確認が出来た、

 

ガルフルとファンガルフルだ、オラクルの生物で言うオオカミに近い品種で

ナベリウスの生物に特有な特殊な角質層からくる爪が体を保護する鎧の役割を果たし

熱帯エリアのものと違い環境適応し白灰色の毛色と分厚い体毛に柔らかい綿毛の

2重の被毛に覆われ一回り大きくさえ感じる、

 

数の多いメス個体であるガルフルは敵の侵入にうなり声を上げ少し身を引いて

いつでも飛びかかれるような攻撃態勢を取るが

真ん中に陣取ったオスである群れのリーダーと思わしきファンガルフルは

何故かそれを制止した、オスであるファンガルフルのなかでもとりわけ大きく

凍土の凶悪な肉食獣であるスノーパンサーとまでは行かないが引けを取らないほど

規格外の大きさで立派な個体である、

 

「今までに見た事が無い大きさだなしかし原生生物なら対処は簡単だな」

 

ジャンは垣屋らのハンドサインを受けながらも構えを解いていない

リーダーと思われるファンガルフルは一頭で岩の下へ降りて行くと

着地と同時に全力で疾走し飛び掛ってくる、狙いは垣屋に定まったようだ

 

「何をやっているあれだけ大きいと噛まれれば無事では済まんぞ!」

 

ジャンは動こうとしない3人にもう一度怒鳴り声を上げるが反応がないので

ステブウェポンをかまえ弾丸を装填し狙いを定めた

今までに見た事もない規格外の巨大なファンガルフルに焦りすらにじませる、

 

「ジャン、大丈夫だよまぁ見てなって」

 

しかし目の前にテツがゆっくりとでできて制止する、ジャンはそれを見て

ようやく何か意図があるのだと見て取り銃口を下げた、

 

たくましいファンガルフルは垣屋への突進を緩めようとしない

甲高い声で吼え口をあけて垣屋の頭上に飛び上がりそのまま垣屋を組み伏せ

垣屋は地面に仰向けに倒れた、

 

垣屋の顔は敵に対する強張ったものではなく笑顔であった

そのファンガルフルも噛み付いているのではなく垣屋の顔を激しく舐めまわし

 

「ルドルフ!元気にやっとったか?良い子じゃ良い子じゃ」

 

垣屋もそれに応じ嬉しそうに叫び撫で回している、

 

お子様4人とジャンは訳が分からなかったがテツがそれを見て取り事情を

話して聞かせた

 

「あのファンガルフル名前ははルドルフって言うんだけど、源さんが

子供の頃に保護して研究所で育ててたんだよね、んで大きくなったから

3年前に元いた凍土に返したんだよ」

 

「なるほどそうだったかなら先に言ってほしいものだな肝を潰したぞ」

 

それを聞くと4人はようやく納得して、見てみれば分厚い被毛で見えにくくなっていたが

首輪と発信機がちらりと見え垣屋が端末で追っていた反応はこの事であったのだ、

 

ひとしきり再会を喜んだ垣屋とテツとシンジュクにルドルフは落ち着きを取り戻し

ルドルフの号令で他のガルフルたちも警戒感を解いて下に下りて垣屋たちの前に

群がってくる仲間として歓迎されたようである、

元来ナベリウスの原生生物はダーカーに侵蝕されるか縄張りを酷く荒らしでも

しないかぎりは好奇心旺盛で人が頭をなでられるほど温厚であり

餌が豊富なため常に飢えて凶暴な野生動物のイメージでかかると

拍子抜けさえしてしまう、、

 

そうしてガルフルたちの歓迎をうけていると頭上が急に暗くなり

お子様たちとジャンは驚いて上を見上げてる、

 

「なんなのじゃっ!」

 

巨大な何かがじっと見下ろしている、アークスデータベースにある原生生物の

デ・マルモスであった、しかもこちらも他のデ・マルモスより桁違いに大きい

岩陰で休んでいたらしく巨体の割りに静かに足音を立てずに歩くため気づくのが遅れたのだ

その後ろから大人の個体が4頭その足元に2頭の子供のマルモスが親にじゃれながら

チョコチョコとまとわりついている、

 

そこでも身構えようとするジャンたちをシンジュクは制止し

マルモスが伸ばしてきた鼻を優しくなでてポンポンと叩いてみせる

 

「こいつらも大丈夫だよこのマルモスはピョートル、このルドルフと一緒に育ったんだよ」

 

そう言うと懐からナッツを手のひらに取り出してピョートルの鼻先に差し出した

 

再会を喜び合う垣屋に凍土で初めて会った動物と戦わずして親しめた事に

お子様たちも満悦だがジャンとテツは二方に散って離れたところにいるダーカーに

警戒を怠らなかった、

 

「ねえねえだんなしゃま、ルドルフとピョートルのお話が聞きたいのじゃ!」

 

事情を知りたがっていた子供らに垣屋はルドルフとピョートルの馴れ初めを話聞きたがった

明るく楽しい話が始まると興味津々のお子様たちであったがシンジュクが

横から口を挟む、

 

「あんまり気分のいい話じゃないぞまともな神経してヤツにはの」

 

その出だしは健全な精神を持つ者には嫌悪すべき事柄であった、

 

「おまえたちは(缶詰ハンティング)って知ってるかの?今じゃ規制ができて

表立っては出来ない事になっとるあれだ」

 

ねねたちはきょとんとして知らないと首を横に振る

垣屋は見る見る顔に怒りがこみ上げてくるのを抑えながら続ける、

 

「フォトンサークル式の捕獲装置は知ってるじゃろ?研修でも習ったろうし

スゥリンちゃんがリリーパでコンテナに近寄った時に引っかかったあれじゃ

その中に無抵抗な動物を追い込んで逃げられないのをゲーム感覚で撃ち殺す

もちろん食うためでも任務のためでもないただ・遊ぶためにの」

 

それを聞いたお子様四人は怒りと嫌悪をあらわにし

 

「かわいそうのじゃー」

 

「許せないのじゃ!」

 

「ひどいよっ!」

 

「・・・・最低・・・・」

 

正義を重んじるお子様4人の思いは言葉こそ違えど同じで同情心にあふれていた、

 

「金のあるクソ野郎の間でそういうのが流行っていたんじゃよな、ガイドとして

ヴォイドやアークスのクソ連中がお守りについてやらせるのよ

コネが出来るかもしれないし護衛の報酬やチップももらえるからの

抵抗する敵はアークス任せで無抵抗な生物のなぶり殺しは金持ち野郎がする、

 

んでルドルフとピョートルの親と群れはそいつらの缶詰ハンティングの餌食になったのよ

それでたまたまあいつらだけが生き残って種としてのテリトリー意識とか警戒心とか

常識がなかったんだろうなお互い身を寄せ合って生きようと暖め合っていた

たまたま調査に来ていたワシら3人が生き残っていたこいつらを保護して

研究所で飼ってたのよな、

 

ルドルフとピョートルは仲良しのまんまで大きくなって 

ルドルフはまぁいいわでかいけど何とか食わせられる、問題はピョートルよ

さすがに食費がえげつなくなったし仲良し離れるのを嫌がってのぉ

一緒に連れて行って自然に徐々に慣らして帰したってぇ訳よ

すっかり忘れてると思ってたが覚えてるもんじゃなぁ・・・・」

 

垣屋はそう話すと自らも端末でダーカーの動きにチェックを入れた。

 

 

「ふむ・・・ダーカーのヤツ・・・・確かにジャンの言う通りまるでローラー作戦

みたいな動きじやのぉ」

 

垣屋はレーダーから送られたデータを眺めながらつぶやくがねねが垣屋にたずねる

 

「旦那しゃま、ダーカーって物を探すことが出来るのかや?」

 

・・・・誰も即答が出来なかったダーカーは平素はあまり連携した頭脳プレイで

襲ってくる事はない無計画な人海戦術でもあり力押しがほとんどで

そのような動きしか経験のないアークスがほとんどであろう、

誰も答える事はできなかった。

 

気楽に考えるとこちらもダーカーよろしくいつも力押しで終わるところだが

バカのねねからこのような指摘が来るとは一同思いもよらなかった、

 

ルドルフとピョートルの群れの仲間は落ち着きを取り戻したのか緊張感を解き

岩場の上からなにやら小さい声が聞こえお子様たちは見上げると

生まれてさして経っていないのだろうガルフルの子供たちが空腹なのだろうか

母を呼ぶ声を上げた、

 

「かわいいのじゃーさわるさわるー」

 

「もこもこしていてかわいい・・・」

 

スゥリンとティアが思わず声を上げる、どちらかと言うと歩き方がしょぼくれていると

言うか面構えがふてぶてしいと言うかのガルフルも子供の頃は予想以上に愛らしい、

母ガルフルは岩場を軽やかに飛び子供たちの下へ駆け上がっていく

お子様たちもそれに続き巣穴へと飛び上がっていった、

 

「勝手に子供にさわるな!かまれるぞ!」

 

垣屋はお子様たちを制止しようとするが既に遅くお子様たちは巣穴に向かって

飛び跳ねていってしまった、

 

「まぁ噛まれて痛い目を見るのも勉強じゃな」

 

垣屋は噛まれれば分かるかとため息をついた、

 

何も聞こえない・・・さては噛まれたかと垣屋は思ったがねねとスゥリンとパティは

顔を出しそれぞれに1頭づつガルフルの子供を胸に抱いて少し乱暴に撫で回している

ガルフルの子はお子様たちの顔を舐め母ガルフルは横に鎮座して子を

大人しく触らせている、一度心を許すととことん許す性質のようだ、

 

「だんなしゃま!ひとつ持って帰るのじゃっ!」

 

ねねはぬいぐるみのような子ガルフルがいたく気に入ったようだ

 

「ダメだ!親から離されるチビの気持ちになってみろ!親に返してやれ」

 

垣屋のダメだ!の一言でしょぼくれながら子ガルフルを地面に下ろすと

母に向ってチビは駆け戻って行った、

 

地面では一人残っていたティアがシンジュクに食べさせてみなよとティアの手に

ナッツの小袋を手渡され促されるのまかせティアはナッツの袋を開けて

ピョートルの群れのちびマルモスにナッツを与えると鼻で器用に受け取り

おいしそうに食べ、その礼なのだろうか母マルモスはシンジュクとティアに

鼻を摺り寄せたかと思うと鼻で二人を巻き上げて背中に落とすと

サービスのつもりだろうか背中をゆすって二人を喜ばせた、

 

「いいものだな種族が違っても仲良くできるという事は」

 

ジャンはテツと共に温かいコーヒーをあおりながらひと時の種族を超えた友情に

心和ませている、

 

「だねぇ~普段から荒んだ生活だから心が和むね」

 

「私も若い頃は命と命の裸の付き合いに憧れ様々な無茶をしたもんだ・・・」

 

・・・始まった、名物ジャンの長い長い昔話である、本来は非常に教訓に満ち

参考になる話なのだがなにぶん長く最長記録が7時間を超えるという

とてつもない代物である、

 

テツは好きなだけ話させてやろうと思ったが垣屋のハンドサインに気付き

再びレーダーに目を向ける、先ほどの場所より2kmもこちらに向かって前進している

 

「こりゃくるねぇ~こっちにまっすぐ・・・さっきと違って」

 

テツはダーカーの進行ルートの予測を垣屋とシンジュクとジャンに伝えた

シンジュクはマルモスの背中から飛び降り垣屋の元へ戻ってきた

 

一方ジャンはその場に立ち昔話を語るのに夢中で通信にに気付いていない

 

「そこで私は思ったのだ今こそ武器を捨て心の・・・」

 

「おい・ジャン!敵襲じゃ敵襲!」

 

垣屋が横でジャンを呼ぶが一行に気付いていない少しイライラ面持ちで

ジャンに近づき大声でジャンを呼ぶがまったく気付いていない

 

「敵襲っつっとろうが!」

 

垣屋は拳を握り締めジャンの脳天に振り下ろす、鈍い音がしてジャンが前につんのめり

 

「ぐおっ!なにをする!」

 

と気を良くして話すのを邪魔され声を荒げるが垣屋は動じず

 

「レーダー見ろバカタレが!こっちとの距離が縮まってるぞ、多分・・・来る」

 

そい言われるとようやくジャンは気持ちを切り替え自分の目でレーダーを確認する

 

「こちらまであと8kmと言ったところかこれは迎撃しなきゃならないようだ」

 

そう言うとお子様たちを呼び寄せ手短に作戦会議を開くことにした

迎え撃つか討って出るかから始まりルドルフもピョートルも幼い子持ちの群れで

その棲家で直接戦闘をするとダーカーに因子を植えつけられる危険性が高い、

 

「とにかく群れにダーカーは近づけないこれで決まりじゃな」

 

短い協議の結果討って出ることになり、ダーカーの数はマーカーが密接しているため

明確には分からない少しでも数を減らすためテツはキャンプシップと付近を

偵察中の偵察機にダーカーの位置情報を送り爆撃要請を、

そして一番近い補給基地には長距離射程のフォトン榴弾砲での援護射撃を要請した

アークス軍部の双方は了解!と力強く応答し

爆撃予想時刻と砲撃の着弾する予想時間をそれぞれの端末のアイディスプレイに

送信してきた、

 

ここからは時間の勝負である垣屋たち8人はそれぞれの武器を構え

巣のある岩場からダーカーへ向って走り出そうとする、その横に残る二人がの黒い影が

8人を覆う、ルドルフとピョートルであった、動物とはいえ彼らの知能は決して低くはなく

人と自然の両方で鍛えられたその知恵と力は人間のそれに大きく劣る物ではない

今では自分達の率いる群れを守ろうと言う気概が新手の戦士となって

共に戦おうとしているのであった、

 

ルドルフは口でパティとティアとねねの首根っこをくわえると

背に向かって放り上げ、ピョートルは垣屋とジャンを鼻で巻き上げて

背中に乗せ、

シンジュクとテツとスゥリンは脚部から勢い良く開閉音を出したかと思うと

格納していたバーニアを露出させブーストし疾走し各々がダーカーの群れに向かって

駆け出していった、

 

一方付近を哨戒していた戦闘機はダーカーの群れにむかって一直線に突き進み

いち早くダーカーの群れに接近していた、パイロットは手馴れた様子で

付近のダーカーの数と種類をスキャンして連携した補給基地と司令部

そして垣屋たち人獣混成小隊にデータを送信すると

 

「目標を捕捉、爆撃ポイントロック、投下!」

 

群れの真ん中にめがけてM66拡散型フォトン爆弾を投下してすばやく離脱した、

その鼻面には裸の女性がセクシーポーズを取った絵が描かれ

ダイヤモンドダストと共にきらめいている

 

爆弾は熟練のパイロットの狙い通りダーカーの群れの真ん中に着弾

主なダーカーは水棲種と分類されるダーカーたち

ミクダと呼ばれるヤドカリ型、ガウォンダと呼ばれる盾を持った闘士型と

熱帯エリアやリリーパでも見かけたブリアーダが

おおよそ150体前後と言ったところだが爆撃で数を減らし

撃破ならぬ個体もダメージを免れなかった、そして静かになったかと思うと

空気が歪み何かがうねるようなヒュンヒュンという音がと近づいてくる

その音のうねりはどんどん大きくなりダーカーに課せられた新たな災難、補給基地からのフォトン榴弾砲が着弾する、

 

周囲が閃光に包まれさらにダーカーは数を減らしていく、破壊される物

四肢が欠損して立ち上がろうともがく者、どこに敵がいるかくるくる回って探す物

反応はまちまちでこれは統制が取れていない事を指すに充分な判断材料であった、

 

少し遠めで10人の戦士たちはそれを確認し敵がおおよそ70体近くにまで

減った事を喜ぶ、後は自分たちでけりをつけてやると意気込んだが

後ろからなにかが飛んでくる空を切る音に驚き上を見上げそして後ろを

振り返る、

 

ピョートルの群れの大人のデ・マルモスが3頭いつのまにか後ろから

ついてきていて近くにある倒木や岩や氷の塊を鼻で持ち上げて

ダーカーの群れ目掛けて投げつけていたのだ、

 

うなり声と共にダーカーめがけて様々な物が飛んでいく

体制を立て直しかけたに見えたダーカーは再び困った飛来物の攻撃に晒され

投げつけられた物とダーカーの破片が共に凍土に飛び散り

また少し数を減らして行った

 

「残り50体ってところだねぇ~助かるよぉ~」

 

テツは既に目の前500mほどに迫ったところで補給基地へ近距離戦に入るため

砲撃の中止を要請した、

 

ここからは自分達の力で戦う番である

 

垣屋たちはピョートルとルドルフの背中から飛び降りねねとパティは損傷して

弱ったガウォンダに狙いを定め突進する、

 

スゥリンとティアはそれぞれのウォンドとタリスを構え一足早く投げた

ティアのタリスのピースとスゥリンの短杖のへさきで練られたフォトンがみるみる

隆起して赤い炎が渦を巻いているギ・フォイエがティアの投げたタリスの

パーツから吐き出され周囲のブリアーダとミクダが耐え切れず力尽き

スゥリンのラ・フォイエがさらに炎の地獄に華を添え

赤々とした核が黒く沈んでいくそれはダーカーが活動を停止した証であった、

 

ねねとパティはガウォンダに突進していた、なにやら土偶を思わせる

寸胴な体に顔があしらわれた巨大な盾を右手に構えて壁を形成しながら

距離を縮めてくる、その様はかつてテラに存在した古代ローマの重装歩兵を髣髴とさせる、

 

ねねは正面から突進してガウォンダが振り上げた盾をかいくぐり肉薄して攻撃しようと

突進したが凍土であり足場が本来なら水の上であったようで凍っている事をを忘れていた、

途中で足を滑らせ転んだままガウォンダに突っ込んでいく、

 

「うにやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ねねの慌てて発する悲鳴が周囲に響きスリップしたねねがガウォンダの群れに

突き進んでガウォンダの足に強くぶつかった

スリップ加工をしていないガウォンダは足に受けた衝撃で滑ってうつぶせに倒れ

他のガウォンダもパティと共に巻き添えを食い地面に転倒した

図らずもねねは自らが玉となり氷上ボーリングのような様相を示している、

 

倒れて起き上がろうとするガウォンダを見て取るテツはバーニアをふかしこみ

そのまま上空に飛び上がると天に向かってライフルを発射した、

しばらくするとフォトン榴弾砲ほどではないが空を切る音が光線弾とともに

降り注ぎガウォンダたちを襲う、

グローリーレインというフォトンアーツを使ったのだ

普段は盾で身を守るためしぶといガウォンダも弱点の腹部のコアを

晒しているため効果的で次々とコアに弾丸があたったガウォンダは活動を止めていく

しかしテツは決めポーズをとるでもなく余韻に浸るでもなく

すばやく状況を把握すると一回転して着地して再び跳躍しその場を離れる

するとガウォンダの上空に黒い影が差し込み生き残ったガウォンダは押しつぶされ

バラバラに砕け散った、

ピョートル怒りのボディプレスがお見舞いされたのである、

もしテツが格好をつけてその場にいたら哀れテツもただのクズ「テツ」に

変わり果てていたであろう、

 

さらに周囲のダーカーを鼻でなぎ倒すピョートルその勢いはまさに象の王そのものである、

 

そして垣屋とルドルフとジャンは残ったガウォンダやミクダらのまとまりのない群れに

勢い良く駆け寄っていくジャンが後方からワンポイントを放ち弾幕を張り

弾の発射が落ち着くと垣屋とルドルフはダイブするように体を水平に保ち

回転をつけて勢い良くダーカーに飛び込んで言った

グリムバラージュと呼ばれるフォトンアーツで耐久力のないミクダは何体かまとめて

活動停止に追い込まれ着地した垣屋は周囲にエルダーリベリオンで弾を打ち込み

ルドルフは手近なダーカーを噛み付いて振り回してから宙へ放り上げ

丹念にミクダとガウォンダの頭数を減らしていく、

 

いよいよダーカーの数は減って残りは10体を切り無傷の個体は

一体たりとも残っていない、

ジャンはこのままでは自分の見せ場が危ういと思ったのかライフルに

周囲からフォトンを集め銃口へ集中させる、2.3度急速に集まったフォトンが

空間をゆがめたかと思うと敵の中ほどに炸裂し数体のガウォンダが砕け散っていく

レンジャーのフォトンアーツであるエンドアトラクトと呼ばれる豪快な一撃技である、

 

そしていよいよ残るは1体

 

ミクダがよろよろと歩いているが恐れや恐怖を知らないダーカーは

やみくもに前にゆっくりとした歩みを進める、その様は哀愁漂い哀れだが

ダーカーに容赦してはならない、

 

シンジュクはバーニアではなく徒歩で近づきよろよろあるくミクダの前で

愛用のパンツァーファーストの柄の尻を両手で持ち

下から上へ力強くスイングする、

 

「うらぁぁぁぁぁぁぁ!ラストォォォォォォォォォォォ!」と叫ぶと

 

ミクダめがけ振り上げられた弾頭をたたきつけた、傍目から見るとまるで

ゴルフのスイングである、ミクダは叩かれた衝撃も加わり10mほど先まで

発射筒からすっぽりと抜けた弾頭を旅の友として飛んで行き

叩き付けられた衝撃からか着地した衝撃からか弾頭が爆発してミクダは上空3メートルほど上に

吹き上げられ地面に叩き付けられて力尽きた、

通でスポーツを愛するレンジャーの強い味方であるクレイジースマッシュが効いた

瞬間である、

 

ダーカーの侵攻はやはり妨げられ正義は示されたのである。

 

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