「チッ!逃げられちまったよ」
シンジュクは口惜しそうにつぶやく、
「余裕こいて遊ぶからじゃ、まぁあんだけ痛めつけときゃ当分悪さはできんじゃろ」
「ずいぶんやられてんなぁ~キャンプシップこっちに呼ぶかい?」
シンジュクは満足したらしく落ち着き払って垣屋に聞く、
「もう呼んだわい10分ほどで来るとさ、一番ヤバイのはリリンパの母ちゃんじゃなぁ~
刻一刻を争うのぉ、シンジュクちゃんはあっちのガキどもを見てやってくれ」
「あんな訳の分からない畜生の治療なんて出来んのかい?」
「どういうわけか知らんがこいつらって体躯の構成が似ても似つかんくせに
こっちのウサギとかんなり共通点があるんよなぁ~ぶっちゃけパーツが足りなくなったら
ウサギからちょちょいと失敬して移植も出来ちまうんよ」
「へぇ~こいつのためなら生きてるウサギを犠牲にしてもかい、さすが源さん」
「じやろ?シンジュクちゃんもちっとはワシの偉さを再認識できたんじゃないかの?」
垣屋はシンジュクの方を見ずに応急処置用のキットを広げ止血処置に集中している
シンジュクはやれやれと肩をすくめると泣き叫び母にすがろうとするリリンパの
首根っこを掴んで引き離しもがくリリンパを引きずったままアッシュたちのそばに歩み寄る
その視線の先の5人の状態を確かめるためにアイディスプレイを出してフィジカルスキャンで
状態を確認する
「そっちのヒューマンの兄ちゃんは肋骨が3本やられていて肺にささってるか・・・
あっちのディスタとランクスの二人は大破して自立不可ってところか・・・
あとの二人はショック状態でヘタってやがるこりゃ自力で帰還は無理そうだねぇ・・・」
シャリシャリと砂を踏みしめシンジュクは5人に声をかける
「おーい、大丈夫か?」
返事はない、へたり込んだスゥとルピカもこっちを見てはいるがショックで声が出ないようで
シンジュクは自分の判断で事を進めなければならず面倒に思い始めていた、
「ああぁ・・・嫌・・・・来ないで来ないでったらぁぁぁぁぁ!」
声を震わせ助けようと近づいたシンジュクにルピカがようやく悲鳴を上げ
シンジュクはその金切り声に一瞬眉をひそめたがパニック状態で無理からぬ事と思い
傷が一番重いと思われたギリアムのそばでより正確な状態のチェックを始める
しかし母の元へ駆け寄ろうとするリリンパはシンジュクの手から離れようとさらにもがいていた
「リィィィィィ!リィィィィィィ!」
「リーリー言うな埋めんぞ!後は源さんにまかせておけ!」
そう言うとリリンパの頭をバシりと張って地面に押し付けギリアムのチェックを始める
「・・・脳は無事なようだねぇアイカメラがダメか・・・まぁ頭入れ替えたら何とかなるだろ
んでそっちのは・・・」
フーリエはシンジュクの声を聞くと弱弱しく
「・・・たはは・・・すいませんやられちゃいました・・・」
「しゃべるなもうすぐ助けが来るから、相手をよーく観察しねーからこんな目に
遭うんだよ、覚えときな」
そう言うと命に別状がない事を確認して次にアッシュに目を向ける
肺に血が入り込んでいるため激しく咳き込みその度に口から血が吐き出される
「こっちはこのままじゃ危ないねぇ」
シンジュクは今の状態では回復剤の服用は無理と判断しキャンプシップの到着時間まで
こつらも止血と痛み止めでの対処を行う事にした、
「まったく・・・弱えくせに粋がりやがって!あたしらが来てなかったら全滅だぞ」
ぶつくさと文句を言いながらシンジュクは応急処置を続ける
惑星リリーパは昼になると人間が生存するに困難なほど気温が上がり
夜間には放射冷却で急激に下がる、救援隊が到着するまでに要救助者が持たずに
遭難者が衰弱し死亡するケースがある、
そして比較的地形が平坦であるために機甲種やダーカーに発見されやすく
また足場の悪い砂地が多く植物が少ないため酸素濃度も低く
日中に逃げおおせる事も容易ではない、
全てにおいて生きとし生ける者にハンデを追わせる最悪の星でもあった、
程なくして上空からキャンプシップの飛行音が聞こえ少し距離をあけて着地すると
機内で待機していた衛生兵たちがストレッチャーとキャスト回収用のキャリアを
引きながら一行の下へ駆け寄ってくる、
「お待たせしました博士!」
「すまんのぉ状況は話したとおりじゃまずはそっちの坊やたちを回収してやってくれんかの
んでそこのハンターのガキとリリーパは移動中に処置するでよ機内に簡易無菌室の用意、」
「はい、出来ています、すぐに処置できますよ」
「ほぉよく見たらディナルんとこの部隊か手際がいいのぉディナルのヤツ
墜落王のくせに部下を良く仕込んであるわい」
垣屋は対応の早さと適格さに満足し衛生兵の腕のワッペンに目をくれると
金色の槍を掴んだ鷹があしらわれている、
軍部のディナル少佐が率いるアクィラフォルゴーレ空戦部隊の証である、
彼らが持ってきたホバー式幼児用ストレッチャーにリリンパの母を慎重に乗せると
開いたキャンプシップのハッチに向かってストレッチャーを導くため歩きだした、
手際の良い衛生兵たちの協力で全員キャンプシップに格納され素早く上空へと離陸した、
シンジュクは窓から眼下にリリンパの集落の仲間があてどもなく逃げ惑う姿が見える
「ケッ!自分たちだけさっさと逃げるか・・・」
その姿に侮蔑の意を込めて見下ろしシンジュクは軽く舌打ちした、
「源さん何か手伝う事はないかい?」
シンジュクは急に手持ち無沙汰になり垣屋にたずねる
「まあ衛生兵が手伝ってくれとるから特にないのぉ、休憩でもしとってくれや」
簡易無菌室の中から相変わらずこちらを見ずに垣屋は答えその視線はリリンパの母と
衛生兵へと向けられていた、
シンジュクはしかたなく泣き叫ぶリリンパを捕獲生物用ゲージに乱暴に投げ込むと
座席のある2階に移動しベンダーからアイスコーヒーを出して飲みながら
ぼんやりと外の宇宙空間を眺めていた、
「そうだチヒロさんに連絡いれとくか・・・」
はたと思い出しチヒロへ通信を送った、通信がすぐにつながらないが
時間を見ると昼時でありいつものように食事の仕込みか掃除でもしているのだろう
少し間が空きチヒロが通信気付いてに応答してきたようだ、
「シンジュクさんお疲れ様です、今夜はビーフシ・・・」
「うまそうだねぇしかし緊急事態だよ」
「えっ?何かあったんですか?まさか・・・」
シンジュクは今しがた起こった出来事をチヒロに話すとチヒロの顔が曇るが
シンジュクは続けた、
「人間の方はメディカルセンターにぶち込むからいいとしてあの畜生は
こっちで面倒見なきゃならないからね源さんと通信して
研究所への受け入れについて話したほうがいいんじゃないか?」
「そうですね博士に連絡を取って指示を仰いでみます、ありがとうございます」
チヒロはすぐに通信を切るとシンジュクは再び手持ち無沙汰へ戻ってしまい
シートにごろりと横になると端末のチェックと自身へのメールメッセージのチェックを始めた
「ん?なんだこりゃ?テツちゃんからか?」
雑多なメールの中からテツからの「重要」と書かれたメールに目が留まり開封してみる
内容はジャン・レオン・ジェロームに向かう途中出合った母子の事について
そしてその遺族年金と資産を横領した役人たちへ制裁を加えたいが
忙しいので代わりに頼む旨が記されておりシンジュクはそれを読み終えると
ニヤニヤと笑いながらテツに向け
「了解まかせとけ」
と短く返信を入れると即座に妙案を思いついたらしく端末を広げて
邪悪な笑みを浮かべながらカタカタとなにやら打ち込み始めた、
「ドゥフフフフフフ・・・・」
再び鬼女の顔に逆戻り、ささやかな暇つぶしが出来満悦の様子だ、
新光暦238年4月9日午後14時35分 アークスシップ1番艦フェオ
キャンプシップは着陸すると連絡を受けて待機していたメディカルセンターの職員たちが
アッシュとスゥとルピカを生身の体に対応したメディカルセンターへ、
フーリエとギリアムはキャスト用のメディカルセンターへそれぞれが搬送されていく
リリンパの母は帰還中に検疫を終え垣屋がリリンパ共々引き取り管理する事となり
チヒロが研究所から車を飛ばして駆けつけリリンパの母をストレッチャーごと後部座席に
収容し研究所に戻る事となった、
「すまんのぉチヒロ手をかけさせて」
「大変でしたね・・・リリンパちゃんのお母さん・・・助かりますか?」
「脊椎が折れてたからのぉ~まぁおおよその処置はしといたからあとはそいつ次第じゃの
フォトン接合は一応しといたから死にさえしなければ一カ月くらいでなんとかなるじゃろ
モモラーノちゃんの件があったから手術道具や薬をアイテムパックに詰めとって
正解だったわい」
チヒロは車のキーを回しエンジンをかけて出発しようとしてはたと気付いた
「博士リリンパちゃんはどうしたんですか?」
「ワシは知らんぞ確かシンジュクちゃんが掴んでたじゃろが」
「あ~いっけねぇ、うるせぇからキャンプシップの捕獲生物用のゲージにぶち込んだままだった」
げらげら笑うシンジュクにチヒロが困ったような顔をしている
「シンジュクさんリリンパちゃんがかわいそうですぅ」
そういうと車からおりてリリンパを小脇に抱えてこちらに向かって歩いてくる
キャンプシップの職員に歩いていきリリンパを受け取ると優しく抱きしめて戻ってきた
垣屋はリリンパのためを思いチヒロに助手席に乗るよう指示を出し
自ら運転して家路へと急いだ、
研究所に戻るとパイオニア一号とベッコにラピ子が玄関まで心配そうな面持ちで
出迎えに来ていた、
「博士お帰りなさいませ、大変でございましたねこの件はお嬢様たちに・・・」
パイオニア一号はチヒロにしがみついて泣くリリンパの頭をやさしくなでながら
垣屋の判断を仰ごうとしたが垣屋はそれをさえぎり
「報告しなくてええよどうせあいつらに出来ることはねぇし存分に遊ばせとけ」
「承知いたしました私にできる事がございましたらどうぞお申し付け下さい」
「ありがとよやっぱおめえはやさしいのぉ、ねねが素直に育つわけじゃ」
垣屋はパイオニア一号にニヤリと笑顔を作って見せるとストレッチャーを押して
リリンパを研究室へと運び込んだ無菌室をすでにチヒロがセッティングしてあり
ここがリリンパの母の病室となるのである、
チヒロはリビングのソファに抱き上げていたリリンパを下ろし
心配してついて来たベッコとリリンパに後を任せ夕食の支度に取り掛かろうとした
「チヒロさん後は私が」
「パイオニア一号さんすいません、お言葉に甘えますね、よしよしリリンパちゃん
大丈夫よ博士が治してくれるから」
パイオニア一号が気を遣い夕食の準備のためテーブルに食器を並べ始める
「リィィィ・・・リィィィィ・・・」
泣き続けるリリンパをベッコとラピ子が柔らかいくちばしで優しくなでチヒロが
背中をさすりリリンパを落ち着かせようとしていた、
その様子を見てシンジュクはここに自分の居場所はないと思い自室へと引き上げていく、
垣屋は既に用意された無菌室でキャンプシップ内で行った脊椎の接合と
それに伴う背中の切開縫合の状態を再チェックして心拍とその他の状態を確認すると
計器をにらんで眉をしかめる、
「・・・内臓が破裂しなかっただけでも奇跡ってとこじゃが・・・」
ため息をついて椅子に座ると急に体がくらくらしはじめた、
よくよくに考えればリリーパ降り立ってから食事はもちろん水もわずかしか口に含んでいなかった
「さすがにのどが渇いたのぉ」
そうつぶやくとデスクの横にある冷蔵庫から冷えたコーラを取り出しラッパ飲みを
しながら端末を開けリリンパの母の容態が悪化した場合に備えて必要な機材や
治療に使う医薬品が足りているか確認し足りないものを端末から注文していく、
新光暦238年4月9日午後16時22分 アークスシップ1番艦フェオ キャスト用メディカルセンター
ギリアムとフーリエは精密チェックの後センターのロビーのイスに腰掛けた
二人のパーツは量産されていたのですぐにそれらは手配されすぐに戦線に復帰できるまでに
修理が完了した、
「やられたな・・・」
「すいません・・・私のせいでこんな事になってしまって・・・」
「いや俺たちが油断したから・・・いや実力不足だったからだ」
「アッシュさんスゥさんルピカさんは大丈夫でしょうか」
「様子を見に行くか・・・」
そう言うと二人はアッシュたちが収容されている病棟へと足を運んだ
職員からそれぞれの病室を教えてもらい足を運ぶ、まずはアッシュの病室へ向かおうとするが
病室の廊下で看護師長のフィリアが二人をさえぎった、
「ギリアムさんアッシュさんは重体です、折れた肋骨が肺に刺さってしまって
今手術が終わってお休みになってます、お見舞いは後日お願いします」
「そうですか・・・アッシュの事よろしくお願いします」
二人はその場を辞して次にスゥの病室へ、スゥはベッドの上で毛布に包まりカタカタと震えていた
そして視線を開いたドアに視線を送る
「ギリアム・・・無事でよかった・・・ほんとうによかった・・・」
スゥはギリアムが無事である事に安堵しゲッテムハルトに一度ならずも二度までも恐れをなして
何も出来なかった事に恥じ入ったようだったがギリアムとフーリエは彼女をなだめ
売店で買ってきた彼女の好物のタルトをすすめ気持ちをやわらげようとつとめた
自信の喪失、無力感今の彼女は嫌と言うほど打ちのめされているのである、
今の彼女に必要なのは優しさに満ちた慰撫のみであった、
「ありがとう・・・おいしい・・・」
スゥは震えながらもタルトを受け取りカタカタ震えながら二人の好意にこたえようと口に運ぶが
生地と具ががベッドにこぼれ汚らしくなっているが意に介していないようだった、
「とにかく落ち着くまでゆっくり休め、しばらく出撃もないからな、何かあったら
連絡してくれ」
「そうですよ、今は元気になることだけを考えて下さい!」
二人はスゥに暇を告げるとスゥはどこへ行くのかたずねる、ギリアムは気の進まない
ニュアンスをふんだんに滲ませながらルピカの見舞いだと言って部屋を辞した、
次にルピカの見舞いのため病室へと二人は足を運んだ、
ルピカの病室に向かうと外からなにやら声が漏れ聞こえるルピカ本人の声ではない
ギリアムにいやな予感がよぎる、おそらくルピカの両親だろう
このまま引き返すわけにも行かずしぶしぶドアをノックして中へと入る、
予想は的中した、ギリアムの顔を見た途端ルピカの両親が顔を高潮させ詰め寄ってきた、
「ちょっとあなたっ!私たちのかわいいルピカちゃんになんて事してくれてるのよっ!」
「そうだ責任を取れ!責任を!ただで済むと思っているのか!」
まったくこちらの都合も聞かず両親はまくし立てている、フーリエは責任感を感じ
何度も頭を下げていたがギリアムはいつもの事でその言葉を拾うのも
バカらしくなりわめくにまかせる事にした、
ルピカのわがままぶりもそうだがこの過保護な両親の口出しもパーティーを組んでくれる
相手がいない理由の一つであった、
「ギリアム、他のみんなはどうなの?」
「アッシュは重体でスゥは無事だがしばらくは出撃は出来ないだろう、ゆっくり休むといい」
「こら聞いてるのか!お前たちがしっかり守らないからこうなるんだぞ!」
「そう・・・アッシュが面会できるようになったらお見舞いに行こ」
「そうだな」
「ルピカちゃんはあなたたちと違って特別な存在なのよ!それをあなたは・・・」
ギリアムとフーリエはまだわめいている両親を無視して病室を辞した
「ギリアムさんどうしましょう」
「そうだな・・・助けてくれたのは確か垣屋博士と言ってたな・・・お礼に行こうと
思うが・・・」
「私も行きます」
二人は端末から調べて原生生物研究所へと足を運んだ、ギリアムは垣屋の事はずいぶん昔に
話で聞かされた事があった、かつてエルダー戦争でレギアスらの
サポートパーティーの一員だった事、
戦後の食料事情の建て直しの陣頭指揮を執った事、そしてヴォイドに喧嘩を売り続け
犯罪組織スパルタクス党に肩入れし
怒らせるとオラクル全体の食糧供給を止められるという実しやかな噂がある事、
政府から危険人物の一人として目されている事、
凶暴で人肉を好物とする猛者を研究所に配下として住まわせている事・・・
そんな状況でこのオラクル内で好き勝手に振舞って生きているのだから
きっとろくでもない人物なのだろう、できれば一生関わりあいたくないなと思いつつ
自分こそがアッシュやスゥ、ルピカのようにベッドで寝ていて
他の誰かが自分のしている事をしてくれればと思わずにはおられなかったが
しぶしぶ粛々と研究所へと足を運んだ、
アークスの居住区のはずれ公園に隣接した5階建ての建物、雑然と置かれた物資に
高価なはずの車やバイクヴィンテージのついた戦車まで
ギリアムの思うろくでもない人物の雰囲気をかもし出す悪の牙城そのものであった、
「入るか・・・」
「はい!」
二人は物資の山の間にある入り口からドアを開けて中へと踏み入った
「あの、どなたかいませんかぁ!」
フーリエが大きな声で家人を呼ぶ、その張りのある声から少しづついつもの元気が戻ってきている
ようであった、
「はいはいただいま」
奥から声が聞こえ執事服を着た青年が姿を見せる
「垣屋博士の研究所でしょうか?先ほど助けて頂いたお礼に来ました」
「然様でございますか、博士はおいでですがただ今取り込み中でして・・・」
その時パイオニア一号の後ろから黒い影が近づいてきた、ギリアムは一瞬ぞくっとする
感覚と同時に先ほどに感じた物であることを思い出した、
「シンジュクさん今ご夕食用意いたします今しばらくお待ち下さい」
「パイオニア一号どうした?ってああさっきの、もう大丈夫なのか?」
黒い影はシンジュクであった自室に戻りはしたものの暇をもてあまして自室から
出てきていたのだ、
ギリアムとフーリエはシンジュクに礼を述べるがシンジュクは別にいいよとそっけない
そして垣屋はゲッテムハルトに傷つけられたリリンパの母の様子を見ているため
手が離せない旨を伝えるがシンジュクの後ろから再び足音が聞こえ二人はそちらへと
目を向けた、
「なんじゃ客か?ヘスティアの寄付乞食ならとっととつまみ出せ・・・ってさっきの
小僧どもか」
垣屋は二人を見止めると無事であった事に安心して笑顔を見せた
二人は礼を言おうと声を発する前に垣屋は続ける
「おめぇら腹へってるか?今日は色々遭って大変だったろ、ちょうどメシなんじゃが
お前らも食ってけ」
垣屋は二人を中へ招き入れ二人も遠慮しながらも中へと誘われて行った、
2階の居住フロアへふたりは通されるがそこはかとなくビーフシチューのにおいが
漂い二人の鼻に訴えてくる、思えば二人は今日何も口にしてはいなかった
疲れを知らぬキャストの体であるが気疲れしていたのも手伝い食欲が刺激される
テーブルにはパイオニア一号が完璧に配膳されたビーフシチューや様々な料理が
並べられていた、
「ほい・お客はこっちな、おーい野郎どもメシじゃぞメシ!」
垣屋が大声で呼ぶと上の階からパタパタといつくかの足音が聞こえてくる
リビングへピンク色の何かが走りこんで来るのを二人は見とめた
ふわふわとした羽毛の大きなひよこのようなおなじみのラッピーであり
珍しい毛色ではあると思いつつ二人は胸をなでおろすが
次に滑り込んできたベッコをみてギリアムはとっさにライフルを構えるが
垣屋とパイオニア一号は制止しベッコは政府の許可を得て生まれてこの方
ここで暮らしているからエネミーではない旨を説明しライフルを下げ
そして最後に粛々とリリンパを抱いたチヒロが入ってくる、
「パイオニア一号さんありがとうございます」
そう語りかける姿を見てフーリエはきょとんとした顔をするが
すぐに顔をほころばせ叫んだ、
「チヒロ姉さん?!チヒロ姉さんですよね!?」
一同がフーリエをそしてチヒロの顔を覗き込んだ。