アムドゥスキアの猛火
ロックベアに辛くも勝利した3人の未熟者、ねね、イフェメラ、スゥリンは
アムドゥスキア火山地帯への侵入許可を得てこそいるが実力不足を痛感していたので
毎日ナベリウスに通いクライアントオーダー(依頼)を受けながら自己鍛錬に励んでいた、
アザナミやサガのアドバイスや指導も功を奏しマグと呼ばれるアークスをサポートする
ペット型機械生命体を司令部から授与されユニットへの組み込みが終了し、
武器も全員配給された武器からアルバ社製の製品に切り替えることが出来た、
装備しているユニットが市販品の貧弱な代物で課題が残るがこれは地道に改善していくしかない、
短期間ではあるが3人の成長は著しく昨日再びロックベアに挑み無傷とまでは
行かないまでもロックベアの動きをそれなりに見切り、
衛生兵の介添えを受ける事もなく戦闘での勝利の後でも周囲への警戒に気を回す程度の余裕は
持てるまでに至った、
アークスカフェのブレイバーたちの定席で昨日の報告をアザナミする3人
「いいねいいね、余裕を持ってロックベアが倒せるようになったんだねぇ
まだ一番弱いランクだけど大したもんだよぉ」
「まだ強いのがいるのかや?」
「そりゃそうさ自分のレベルに合わせたランクのクエストが選ばれるからね、
でも今はそこまで行けないから気にしなくていいよ
次はアムドゥスキアの火山地帯だね、予習やっとこうか」
アザナミはその報告に満足し、今日は次の惑星である惑星アムドゥスキアの火山地帯へ
行くための予習をする事を提案した、
惑星アムドゥスキア
ナベリウスより一回り小さく以前に大きな隕石?の衝突があったらしく
その4/1は隕石のクレーターと荒地になっているが
その他の場所には豊かな森林地帯や上空に浮遊する大陸があり
竜族と呼ばれる先住民がいくつのかの部族に分かれて生活している、
知能が高く高度な文明が発達しているが過去にアークスと何事かがあったらしく
アムドゥスキアにオラクルが降り立った当時は友好的とまでは行かずともそれなりに
交流を持つことができたのだが
今は以前より交流が難しくなっていて一部の部族との衝突も起こるようになっているとの事、
「竜族はナベリウスの原生生物みたいには行かないよ、あたしらいやそれ以上かもしれない
知能と丈夫な体をしてるからね、そこでやられる子もけっこういるんだよ」
「しぬのはいやなのじゃー」
「だから予習するんだよ、無理をせずに予習してみんなで協力すればやられなくて済むからね」
「・・・みんなで・・・協力すれば大丈夫なんですね」
「そう・ええとアムドゥスキアの予習映像は・・・あったあった」
アザナミは端末の資料動画にアクセスして3人にディスプレイモニターを向けた
3人はロックベアの時と同じく身を寄せ合って食い入るようにディスプレイを覗く、
「いいかい、火山地帯では下から突然溶岩や炎が吹き上がってくるし
上から落盤があるから全方向に注意しないとダメだよそれと・・・」
火山ガスや下から吹き出る噴煙や炎、そして地形を利用して集団で襲ってくる
小型の直立型と四速歩行竜族とロックベアより危険な大型の竜族
その火山地帯の長たるヴォルドラゴンと呼ばれる竜のところでアザナミは注意して
見るように言った
「こいつがこのエリアで最強の竜族通称ヴォルドラゴンさ、一撃が強烈だから
油断しているとベテランでもやられる厄介な相手だよ」
その竜はあまりにも巨体だった、青黒いごつごつとした鱗に覆われ
オレンジ色の鋭い爪や角が嫌がおうにも目立つ
そのヴォルドラゴンに名も無きアークスたちが挑む、片腕を振り上げると下から炎の柱が
吹き上がり必死によけるアークスたち、逃げ惑うかのような相手に
突進しながら口から炎を吐きながら突進する、よけきれなかったアークスたちは
炎に巻かれ火達磨になって転げまわる、その上からおなじみの放送禁止のロゴが
覆いかぶさり、カメラに気付いたらしく口から巨大な火球を飛ばしてきた所で
画像はぶつりと切れた、
「・・・・」
「火達磨なのじゃ・・・」
「みなければよかったのじゃー」
いつか見たようなリアクションで3人は動画を見た事を後悔し狼狽する
「こんなのまだ序の口だよそんな事言っててどうするんだよぉ」
アザナミは呆れ顔で3人に言った、
彼女の言うとおりであった、ロックベアにせよナベリウスの探索にせよ3人が
相手にしたのは若い個体が生息していた言わば一番ゆるい地域の敵だったのだ、
縄張り争いの激しい地域であったり老成個体ともなれば比較にならないほど
強くなるので鍛錬の道に終わりはない、
資料映像が終わりアザナミはアクセスを切ると時計を見て
「良い時間だねお昼ごはんにしよっか、好きな物食べといで」
と昼食へ行くよう促した、
「おごっておごってなのじゃーやきそばたべたいのじゃー」
スゥリンはすぐさまただ飯にありつこうとアザナミに甘えるが
「自分のお金で食べておいで、」
とやんわりと突き放すと3人はフードコートへ向かい何を食べようか相談しながら
アザナミの視界から消えていった、
「まいったねぇ~あたしはスッカラカンだからさ・・・おごってあげられないんだよぉ
このままじゃまずいなぁ・・・垣屋博士に相談してみっか・・・」
アザナミは残金が4.2メセタと表示されたウォレットをみてため息を付いた
同時に垣屋に聞いてみたい事がありその件で顔を合わせなければと
思い出した、
3人はそれぞれに食べたい食事をテーブルに運びお互いに一口交換しながら
舌鼓を打つ、
「・・・おいしいね・・・」
イフェメラは穏やかな表情でしずかに食事を口に運ぶ
「なのじゃなのじゃっ!みんなで食べるとおいしいのじゃ!」
ねねは顔の割りにすこし大きい口で掻き込める限りのチキンライスを放り込む、
「いつもみんなで食べてないのかやー?」
スゥリンはフォークを置くとイフェメラにたずねた
「・・・うん・・・みんなで食べるのは始めてみんなと会った時・・・」
「そうなのかやー、でもこれからいつもいっしょなのじゃー」
スゥリンは無邪気に笑いジュースに手を伸ばす
「・・・うん・・・うん・・・」
イフェメラはなにかをこらえるように再び食事を口に運ぶ
そしてそれぞれが落ち着いた頃通信機に通信が入る
「メールなのじゃ」
ねねが通知を開くとクエストカウンターまで来るようにとの事、
丁度食事を終えた3人はクエストカウンターへ足を運ぶ事に決める
後ろのほうから食器を返却口に返すようフードコートの係員の声も聞かずに、
クエストカウンターに着くと冷血女コフィーの話を聞く、
「アムドゥスキアへ行かれるのですね?素粒子2個を回収し、内部の調査と
エリア内で確認されているキャタドランとカルターゴと呼ばれるダーカーの討伐をする事
それが達成できたら火山洞窟の自由探索許可を与え、ヴォルドラゴンを討伐できれば
惑星リリーパ地表エリアへの移動を許可します、」
「また素粒子ー?」
スゥリンは飽き飽きした顔で訊ねると
「そうです、各エリアに行くための必須条件です、今後もほぼ全てのエリアでの
通過条件となりますので留意して下さい」
コフィーはそう言い終えると目が終わったら行けと無言で語りかけてきた、
3人は手始めに明日からアムドゥスキアの竜族生体調査を始める事を決めて
解散した、
新光暦新光暦238年3月13日 午前7時3分 アークスシップ一番艦フェオ アークスロビー
3人はロビー中央に集まりアンネリーゼにクエスト開始を告げてキャンプシップへの手筈を頼む、
いつものように送り出されキャンプシップに乗り込み他の隊員たちとの相乗りで
アムドゥスキアに向った、
相乗りの隊員たちは人懐っこいねねとスゥリンに様々な雑談や経験談を披露して聞かせた
どこにでもいる暖かい人々、日々殺し合いで心が荒みがちな先遣調査隊の中で
まともなメンタルを維持している事は普遍な強さの証でもあった、
「ほらみてごらんアムドゥスキアに着いたよみてごらん」
相乗りの隊員に促されて3人はシップの窓から外を眺める
外から眺めるアムドゥスキアは両極端な外見だった、緑と水が豊かなナベリウスを思わせる箇所と
予習で言われた巨大なクレーターを中心に広がる荒地、その所々から炎が噴出し
火山ガスや噴煙でスモッグのように霞がかかっている、3人はその悪いほうの地でこれから探索を行うのだ、
「じゃぁがんばれよ!」
相乗りの隊員たちは手を振ると先にテレプールへと飛び込んでいった、
次にこの親切な隊員たちといつ会えるだろう、会えるだろうか?
3人もキャンプシップのテレプールへ3人は飛び降りて指定された調査ポイントへ転送されて着地した、
テレパイプから降り立つと3人の鼻に刺激が空気に混ざり入り込んでいく、
「くさいのじゃー」
スゥリンは降り立つなり鼻をふさいだ、無理もない火山ガスや硫黄のにおいが
蒸気等と混ざり合い独得のにおいを漂わせている、
所々に空いた岩の割れ目からそれらが噴出せんとうごめいている、
足元にも予習どおり充分な注意が必要なようだ、
3人は任務開始の報告を入れると周囲に警戒しつつ前に進みだした
火山地帯探索の第一歩を踏み出した未熟な三銃士、ねね、イフェメラ、スゥリン
着地点から歩みを進めるが火山礫の地面は割合平坦なナベリウスに比べ起伏のせいか非常に進みづらい、
スゥリンが「くさい」と言うようにガスが噴出しているため酸素が少なく息苦しい、
まるで温泉の吹き出し口や硫黄の鉱脈にいるような物と思えば想像がつきやすいだろう、
アークスは体の周囲にフォトンが取り巻いていて一定の環境へのバリアとなっているが
それらを持たない一般人ならすでに具合が悪くなり動くこともままならないだろう、
そんな環境なので動植物もそれらに適応した者しか生息しておらず
パリパリになった昆布やサンゴのような植物や小さな虫やトカゲくらいしか
すぐに見受けることが出来ない、
洞窟の中は地面の割れ目から噴出す炎やガスの音が反響し不気味な雰囲気に拍車をかける、
熟練者なら耳の利きが悪くなる事を考慮し目視とレーダーを駆使する方向へ
切り替えるのだが未熟者にはそこまで考えが回らない、
ひたすら前へと進んでいく、
ナベリウスのように樹木などの自然物が複雑な地形を作り出すとは別に
この場所は切り立った崖や岩、マグマだまりなど単純な地形で
風化した岩が長きに渡って削っていった単純な道が続く、
道が左右の分岐になった所でイフェメラはねねとスゥリンに注意を促す
10mもない目前に全身が黄色と青灰色に分かれた大型の犬くらいの竜が何匹も走り寄ってきている、
アイディスプレイで確認するとデータの予習で見たディッグと言う小型の竜族だ
表面化こそしていないが内部にダーカーの侵食が確認されている、
集団で行動し竜族の縄張りに入ってきた侵入者を襲い侵入者を執拗に追跡してくる番犬のような竜である
ディッグは3人に向って包丁の刃の様な頭で敵を刺し貫こうと突進してくる
5匹のディッグは一糸乱れぬ速度で飛び掛るが3人は一斉に散会して攻撃を避ける
短い2本足で立ち移動するので跳躍力自体は知れているようだ
スゥリンはウォンドの先でフォトンを練り攻撃を仕損じて団子になり
押し競饅頭しているディッグに近寄りゾンディールを発動し相手の動きを足止めした、
さして知能は高くないらしくデッグは混乱に拍車をかけ電磁の渦にもまれて逃げようと暴れている、
ねねはディッグの塊に×字に高速抜刀で切り伏せるサクラエンドを
イフェメラは敵を蹴り上げて切り裂くストライクガストでディッグに止めをさした
3人は敵を撃退し一安心しようとしたその時
後ろから突き飛ばされ3人は同時に地面に突っ伏した
ディッグに気付かないうちに包囲されておりその包囲の目前の敵を倒したに過ぎなかったのだ、
何が起こったか一瞬判断できなかったが急いで飛び起きて
振り返った先にいる4匹のディッグに飛び掛っていく
それぞれの個体の距離が開いていてゾンディールでまとめることが出来ず
散会して1匹づつ仕留めていく事にしたのだ、
数押しでさしたる力のないディッグ程度なら未熟者でもどうとでもなるようで
3人の攻撃にさしたる抵抗も受けずディッグは崩れ落ちていき目視で確認できる個体はいなくなった、
イフェメラははっと思い出しアイディスプレイのレーダーを起動して周囲に敵の
熱源がないか確認し始める、火山地帯であることも手伝い
敵の体温由来の熱源で確認するにも情報が非常に拾いにくい、
ただでさえそうであるから最初からより注意をしなければ
今のように囲まれる敵がディッグであったから良かったものの
より大型の竜族や直立歩行型の竜族それらの混成だったらどうであったろうか・・・
背中の軽い負傷で身につまされ一息つこうとしたその瞬間、
3人の後ろで地面の割れ目から炎が柱になって勢いよく噴出した
その場にいればどうなったであろう肝をつぶしつつ前に進む事にした、
先ほどのことが堪えたのか3人の足取りは慎重で緊張感が疲労に拍車をかけていく
この場所は少し留まるだけでも危険なのだ
目前に何かの作戦行動が行われた痕跡だろうかアークスの物資が撃ち捨てられ山積みになっている、
あさられた形跡があるのでおそらく知能のある竜族が調べでもしたのだろう、
イフェメラとねねが背中合わせに周囲を警戒しその隙にスゥリンが物資の山を
うにゃうにゃと意味不明な声を出しながら調べる、
ロケットランチャーの薬きょう、弾薬箱、未開封の軍部用のレーション(携帯食)
何故かページが所々くっついてしまって開かないエロ本、唾液にまみれ
噛み砕かれた食料コンテナの残骸・・・軽機関銃の銃座など
その隙間にスゥリンは鈍く光る物を見つけた、コフィーから言われていた
観測素粒子だ、
「素粒子なのじゃ~」
スゥリンはねねとライに告げると竜族の唾液を近くの草にこすり付けて落とし
アイテムパックに詰め込んだ、目標まで残り1つである、
その後探索でディッグの群れと再び交戦するもワンパターンな敵であったらしく
楽とは行かないまでも負傷する事無く撃退して先に進み
行き止まりで進むことが出来なくなっていた、溶岩の池がありそこから沸き立つ
マグマであたりはより気温が上がり息苦しい、来た道を折り返して
キャンプシップに戻ろうとしたその時、声が・・・耳から、いや頭の中に
直接響いているような声を3人は感じ取っていた
[アークス・・・・][アークス][アークス!]
帰り道をふさぐように竜族の集団が立ちふさがっていた
直立し片刃の剣と盾で身を固めた者と杖を持ち
ディッグより大きな胸元に1本の角を生やした4つ足の竜を従えている
直立した竜が4体4つ足の竜が6体いま見えるのはそれだけだ
竜族を急ぎアイディスプレイでスキャンすると
直立している竜はディーニアンとソル・ディーニアン
四足の竜はノーディランと判別されいずれもダーカーの浸食を受けていると
弾き出された、難しいながらも話し合いが通じるとされる竜族も
こうなってしまうと話し合いは無理だ、
吼え声を上げながら盾を前面に構えて剣を持つディーニアンが身を寄せ合い
盾の壁を作りつつ突進してくるその後ろからソル・ディーニアンが
なにやらつぶやくと杖の先から光の球を3人に向って高速で飛ばしてくる
ねねは刀の鞘でディーニアンの突進を受け止め一歩飛びのき
刀の刃の間合いを取り盾をかいくぐりディーニアンに切りつけていく、
イフェメラはジェットブーツで二段に飛びディーニアンをかわすと
後方で光の玉を放ち続けるソル・ディーニアンにブーツの刃で踵落としを
加え苦痛をうけた敵は呪文の詠唱をさえぎられた、
イフェメラは手を休めないはすばやく体の上下を反転させ表足を広げてジェットブーツの刃で
ソル・ディーニアンを切り刻むと敵は力尽きて地面に倒れた、
ねねは3対のディーニアンの攻撃をかわしたり受け流しながら
盾のかざした隙間から刀の物打ちを滑り込ませ1体2体と切り伏せていく
残りの一体は他の二体より手だれであるらしく
なかなか隙を作らずカタナと剣と盾が激しくぶつかり火花を散らす
スウリンはねねの手助けをしようとフォトンを杖先で練り
敵の気勢を削ごうとするが後ろから強い衝撃を受けてうつぶせに
吹っ飛んで倒れた、
ノーディランが回り込んでいたのだ、スゥリンは体勢を立て直し後ろを向けて走っていく、
逃げたのではなくテクニックを発動できる距離まで時間稼ぎの距離明けをしたのだ
良い距離と思うと振り返りバルバラから指導を受けた氷のテクニック
バータを発動させる、火山地帯の竜は寒さに耐性を持ち合わせていない事を
思い出したのだ、
弱点の冷気にふれてノーディランの足元は見る見る凍り付いていく
動こうともがくが氷の塊が張り付いてそれを許さない
後ろから回り込んだイフェメラが左右にスライドして相手を切り刻む
モーメントゲイルでノーディランを切り刻んでいく
ノーディランの群れはまとめて切り刻まれ、かろうじて氷の捕縛から
逃れた1匹は背中を向けて逃げ出した、地の利のためか逃げ足は速く
追いかけるのは困難と考え捨て置くことにした、
一方ねねのほうも激しい打ち合いをねねがディーニアンの隙を突き
わき腹に刃の一撃を加えひるんだ隙にのど元に刀の物打ちを突き入れ勝利した、
包囲されていたが各自の判断で包囲を崩し敵の弱点を突いて倒す
個人の戦闘力とパーティーの連携が当初よりできるようになり
理屈だけではなく体で覚え成長している現われといっていいだろう、
司令部のオペレーターブリギッタから通信が入り任務の終了が言い渡され
緊張が解けるとどうじに鼻に硫黄のにおいが感じられ不快感がよみがえる、
この場に留まりたくない3人は急ぎ足でキャンプシップへと戻って行った、
新光暦238年3月13日 午前10時32分 アークスシップ一番艦フェオ アークスロビー
未熟者3人は初の火山エリアでの探索を終えてキャンプシップの発着ゲートに降り立った
先ほどの卵が腐ったような硫黄と火山ガスの匂いから機械油臭いキャンプシップへ、そして
空調で整えられた正常な空気を吸い帰って来たことを実感する、
帰り道で3人は、正確にはスゥリンは居眠りをはじめたので二人で反省点を
洗い出し次回からレーダーをより積極的に使う事、
常に周囲の警戒を怠らない事に注意して火山地帯で行動しようと決めた、
端末を探索が始まると同時にレーダーが始動するように設定しなおし、
敵の接近を知らせるアラートの設定を行うこれで少しは先の失敗を補う事が出来るはずだ、
二人は自分の端末の設定を終えるとスゥリンの端末を引き剥がして
設定を行う、スゥリンはものぐさなため「後でやっといて」では忘れてしまう恐れがあった、
ロビーからアークスカフェの定席へ3人は直行するが定席にはだれもおらず
いつもの「でかけてはられます すぐ戻ります アザナミ」と書かれた
スタンドポップが以前より薄汚れた姿で3人を迎えた、
3人は少し早い昼食を取り翌日カルターゴの討伐と残りの素粒子を探すことに決め
今日は早めに休み明日に備える事にして解散して宿舎へ戻って行った、
新光暦238年3月14日 午前6時18分 アークスシップアムドゥスキア 火山地帯
ねねたちは再び火山地帯へと降り立ち、先日話し合った対策どおりに
探索を進めることにした、
司令部からこのポイントに中型のダーカーであるカルターゴと大型の竜族キャタドランが
出没したびたび両者による交戦が確認されているという、
残り1つの素粒子の探索とカルターゴとキャタドランの討伐指令を同時に
片付けられる見込みがあるため事が運べば自由探索への許可を即座に得られる
スゥリンは気が進まないようだった早朝からたたき起こされ
ヴォルドラゴンの資料動画を見てから探索への意気込みが感じられない
キャンプシップで移動中にもお腹が痛いだの頭痛がするだの様々な病気を
あげつらい帰還するよう促している、
しかしキャストは移植型純正型を問わずそのような病気にならない
ライとねねはスゥリンをなだめてすかしてこの場に降り立った、
「やっぱりくさいのじゃー」
スゥリンは火山特有のにおいがやはり好きになれないようだ
「ギニャッ!」
突然自動でアイディスプレイが起動してレーダーが表示されて驚いた
「スゥリンちゃんが寝ている時に端末の更新しておいたよ・・・」
イフェメラは昨日居眠りをしている間にねねと話し合って前の苦戦の対策で
スゥリンが寝ている間にセットしたのだと説明した、
そして3人は奥へと足を進めた、道すがらスゥリンは意味もなく
着生植物をウォンドで払ったりむしったりしてたしなめられながら敵に遭遇する事無く
探索を続ける、
レーダーは熱感知型のためやはり鮮明な感知情報が送られてこない
ノイズがかった不鮮明な映像が角膜に照射され3人は不快感を感じながら
周囲を警戒しつつ進む、
今回の探索ポイントは溶岩や崩落した天井岩で隆起こそ激しいが
分岐もなくはるか遠くの崖の上に次のエリアに続く穴が見える
3人はそこをめざして慎重に進んで行った、
次のエリアに進む崖のふもとまであと少しの所でガスとは違う異臭が
3人の鼻に漂ってくる、人間のそれよりもきつい血の匂いだ
登った岩から下を見下ろすと少なからぬ数のディッグと数体の
ディーニアンの死骸が無残に転がっている
ねねは下に下りて調べてみたがほとんどの傷は何かを刺された貫通傷と
熱戦で焼き切られたような傷が死因だと思った、
司令部のブリギッタから通信が入る
「死亡してからほとんど時間が経っていませんおそらくダーカーの仕業かと、
周辺に警戒しつつ探索を続けて下さい」
ねねは分かったと応答して3人で素粒子がないか調べてみたが見つからなかったので
崖から突き出た岩を足がかりに崖の上に登り次のエリアへ続く洞穴へ
洞穴を抜けると再びブリギッタから通信が入る
「多数の反応を確認充分な警戒をして下さい、分析終了後再度連絡します」
と告げた、司令部がそのような事をあえて言う時には相当数の敵が
潜んでいる可能性が高い、張り巡らしたレーダーも100mほど先に
多くの反応ありと不鮮明にアイディスプレイに映し出している、
レーダーの反応から見て大型の敵は1つしか確認できず小さな反応が
多数見受けられるようだった
反応のある方向へ身構えながらすこしづつ進むその場所まで30mほどの地点で
遠巻きにねねとイフェメラは身を潜めながら様子をうかがう
その先は広場のように開けていてレーダーの反応の主はそこにいた
ちょうど竜族とダーカーが交戦している真っ最中だったのだ
その場に竜族のディッグやサディニアン、ノーディランと様々な竜族の
死骸が横たわり、ダーカーは20体はいるだろうかのダカンと
今回の討伐目的のカルターゴが4体ダーカーは死骸が残らないので
どのくらい損害が出ているか判別できないが無傷の者がいない竜族が
圧倒的に不利な状況だ、
ねねとイフェメラは急いでスゥリンのいる所まで姿を隠しつつ戻り
偵察がてら撮影とスキャンした情報をブリギッタに報告した
数分が経過してブリギッタから分析結果と指令を知らせる通信が入る
現在交戦中の竜族はダーカーに侵食されておらずなんらかの理由で
この場所から動かない様子なので襲われてやむおえない限りは
竜族との交戦を避けダーカーの殲滅をして下さい
竜族と交戦せず友好的に解決した場合はそれに配慮するとの内容だ
そうこうしている間にも竜族はダーカーに押され陣形が崩れ
互いに雄たけびを上げ鼓舞して踏み止まろうとしている、
ねねとライは所々に隆起した岩を飛びながら踏みしめカルターゴに狙いを定める、
いきなり飛び出してきた小さき者に竜族は攻撃の構えを見せるが
ねねとイフェメラは二手に分かれてカルターゴに飛び掛る
イフェメラは自習していたらしくカルターゴの頭上で二段に飛び上がり背後に回り
後頭部のコアにジェットブーツに蹴りを入れる、手ごたえを感じたが
相手もすぐに倒れはしない向きを変えようと鈍い旋回をはじめるがライは軸をずらし
カルターゴの背後を取り続けカルターゴの後頭部を削っていく、
一方のねねはカルターゴの正面からラッシュをかけてアサギリレンダンを繰り出すが
正面の装甲の厚いカルターゴは微動たりしない、多少皮膜がめくれて飛ぶのみで
カルターゴの口から熱戦が発せられねねの左肩を舐めていく、
その熱さにねねはうめくが握り締めた刀を落としはしなかった
「後頭部のコアを狙って!」
イフェメラはいつもの大人しいたたずまいから想像し難い鋭い声でねねに向って叫ぶ
再びカルターゴが口から熱戦を吐き出すがねねは隆起した岩の隠れ
アイテムパックからすばやくモノメイトを取り出すと口に含み
岩陰から右回りに飛び出しカルターゴの背中に飛び乗り
後頭部のコアを見つけるとアサギリレンダンで何度も斬りつけ
カルターゴは崩れ落ちた、
スゥリンはカルターゴと交戦する二人と周囲に徘徊するダカンをすばやく
すり抜けて負傷した竜族へと走り寄る
ディーニアンたちとキャタドランは飛び出してきたスゥリンに視線を向け
身構える一斉攻撃を喰らえばいくら頑健な体を持つスゥリンでも
無事では済まないだろう、スゥリンは思うところがあり一か八かに
賭けることにした、
竜族たちが固まっている陣形の中心へ入り込む
ディーニアンが最後やも知れない力でスゥリンに剣で斬り付けるが
スウリンは紙一重でそれを避け、切っ先ですでに練られたフォトンを空間に放つ、
修羅場に白く柔らかい光が現れ竜族を包み込む
敵の攻撃と思い込んでいた竜族はスゥリンを切り刻もうとさらに迫ってくるが
それと同時に自らの傷がふさがっていくのを感じスゥリンに斬り付ける手を止めた
スゥリンはレスタを使い竜たちの傷を癒したのだ、しかし怪我の深い竜族は
それだけでは足りずスゥリンはそれを確認して再びレスタを発動した
高い知能と判断力を持ち合わせている竜族たちはとっさに判断し
横一列に並び盾で壁を作り向ってくるダカンからスウリンを守った、
スウリンは賭けが当たったことを実感してキャタドランに走り寄り
キャタドランの傷を癒す、
傷が癒え再び体勢を立て直したキャタドランは体を振り回しダカンの群れをなぎ倒し
カルターゴの正面に体を伸ばして噛みかかる、
カルターゴがそれに気を取られているうちにディーニアンたちは先ほど見ていた
ねねやライの動きを真似て背後に回りこみカルターゴへ止めを刺した
全てのダーカーは消滅して3人と竜族は向かい合って互いを見つめた
その時ブリギッタから通信が入る
「もし可能なようでしたら竜族と無用な交戦を避けてください」
3人は了解と応答して通信を切り、それぞれの武器を鞘に収めた
そして戦闘不能時に使用するムーンアトマイザーを宙に投げ
周囲に応急回復薬剤を散布させた、
全ての竜族とまでは行かなかったものの数匹の竜族は息を吹き返し
回復して立ち上がる
少しの間見つめあうとキャタドランの声が3人の頭の中に響いてくる
竜族の意思疎通で使われる声だ、
[あなた方の][助けに感謝]
若い女性の声に受け取れる、まだみずみずしさの残る赤灰色の鱗や磨耗の少ない
角や牙から若い固体なのかもしれない
「どういたしまして」
イフェメラは竜族たちに語りかけた
竜族たちはそれに既に納得してそれぞれに武器を納め竜族が敬意をもって相手に挨拶を
する時の羽ばたく竜の型で三人に返礼する、
キャタドランは3人にさらに語りかける
[あなたたちの好意に][応えられない非礼を詫びる]
3人は礼等考えてもいなかったので気にしないように言うが
ねねはその時キャタドランの口元に鈍く光る物を見つけた
目を凝らすとそれは観測素粒子であった、なんらかの理由で彼女の歯の間に
挟まっていたらしい
ねねはキャタドランに言った
「歯に挟まってるそれがほしいのじゃ!」
「〔歯に挟まったこれか〕〔取ってくれれば差し上げよう〕」
キャタドランは歯に挟まってとれない素粒子をいらだたしく思っていたらしく
取ってくれるなら差し上げようと快く応じて地面に伏せ口を大きく開いた、
「むぁぁぁぁぁぁっ固いのじゃっ!とれないのじゃぁぁぁぁ!むぎぃぃぃぃ」
ねねは手をよだれだらけにしながら素粒子を引き抜こうとがんばるが
なぜかスゥリンとイフェメラは手伝おうとしない、
ねねはさらに渾身の力をこめて牙から素粒子を引き剥がしたが勢いあまって
地面に転がり周囲はキャタドランのよだれだらけになった、
「とれたのじゃとれたのじゃっ!」
ねねはうれしそうに素粒子上下に振ってよだれを切るとアイテムパックに押し込んだ、
背後から竜の泣き声が聞こえ視線を向けると救援にかけつけた竜族が走り寄り
これで大丈夫と思った3人は竜族たちに帰る旨を伝えた、
「[わたしはヒ・レナ][ではまたいつか]」
キャタドランが名乗ったため互いに名乗りあった後3人は
竜族を刺激しないよう前のエリアに降ろされたテレパイプに向って歩き出した、
「スゥリンちゃん!わらわ新しい友達が出来てうれしいのじゃ!」
「わらわもなのじゃー」
「僕も・・・」
竜族は襲ってくる者ばかりとは限らず分かり合うことも出来なくはないと
思うと少し心が温かくなり3人は帰途へ着いた。
新光暦238年3月14日 午前11時38分 アークスシップ1番艦フェオ
アークスロビー
3人は昨日帰還してからさっそくコフィーの元を訪れ火山洞窟の自由探索許可の条件を
達成したことを彼女に告げた、
「カルターゴの討伐・・・・問題ありません・・・キャタドランとは交渉に成功したようですね
討伐はしていませんがアークスは竜族との衝突を本来望んでいませんから討伐クリアと
同じ扱いとします、素粒子も問題ありませんね・・・」
カルターゴは自ら討伐したので討伐扱いで認可され
キャタドランに関しては共同でダーカーを倒し平和的に対話して対処したため
討伐と同様に配慮してもらえる事になった、
アークスと言えどもすべての対し殺害するばかりが仕事ではない、交渉や折衝で
平和裏に解決する事も評価の対象になるのである、
「では素粒子を提出して下さい」
コフィーは観測素粒子を提出するように促す、ねねとスゥリンはアイテムパックから
それぞれ素粒子を取り出す、ねねの取り出したヒ・ゼナの口から取り出した素粒子は
唾液がカウンターに飛び散りコフィーは一瞬だけ表情を変えたが
またいつもの無表情な彼女に戻った、ゴム手袋をはめて淡々と背後のストックボックスに
素粒子を詰めて火山エリアの自由探索許可証を3人の端末に転送した、
「条件をクリアしたのでアムドゥスキア火山地帯での自由探索許可を出します、
自由探索の許可を得たいう事はそれだけ自分の責任が・・・・」
ナベリウスの時と同じ説明が機械的になされそれが終わるとさっさと行けと目で訴えられ
3人はクエストカウンターを後にした、
そして3人は再び早い昼食を取りショップエリアをひやかして歩き
それぞれの自室へと戻って行った。