屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜 REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー 作:cibetkato
一方、車の中では。
「あー・・・もうちょっとでXXバーナー発射だった」
「それ、無茶苦茶危険ですから止めてください」
「隼人、最近俺に反抗的だね」
「ち、違います!お、俺はそんなつもりは・・・!」
「うん、わかってる。ただの八つ当たり。ごめんね?」
上目遣いで獄寺の顔を覗き込むツナ。意識的に目を潤ませることも忘れていない。
「っ!・・・い、いえ・・・その・・・俺こそ、申し訳ございません」
(10代目っ!!お可愛らしすぎる!!!)
ツナにおちょくられている獄寺である。しかも、退屈になって寝てしまったランボを膝にのせているので動くに動けない。
「・・・あーあ、獄寺の奴・・・完全にツナに遊ばれてるのな~」
苦笑する山本の脇で、アーデルハイトが溜息をついた。
「まったく・・・“アレ(金塊)”のことがバレなくて良かったな。バレていたら今頃はあの程度じゃ済んでないだろう」
「ははっ、その話掘り返すのやめねェ?ツナに聞かれたらアウトだぜ?」
「そうだぞ、一旦暴れ出したアイツを止められんのは、この中じゃエンマくらいだってことを覚えておけよ、アーデルハイト」
山本の肩の上でリボーンが難しい表情をうかべて言えば、アーデルハイトは肩を竦めた。
「わかってるわ・・・炎真に危険な真似はさせられないし、この話はもうやめましょう」
「・・・えっと、皆?・・・なにげにツナ君を危険人物扱いしないで・・・?」
とりあえずツッコミを入れてみる炎真だが、アーデルハイトとリボーンと山本達が一斉に自分に視線を向けたので、ビクリと肩を揺らす。
「ツナが危険人物じゃねーって思ってんのか?エンマ」
「え?・・・あの、山本、君?」
「炎真、沢田は貴方の友達でしょう?ちゃんと見てあげてるの?」
「・・・アーデル、ちょっとそれ心外なんだけど?」
「極限に沢田が暴れ出したら、収拾がつかなくなることくらいはわかっていると思ったが」
「え?え?」
「はぁ・・・本当に沢田は古里にドン引かれたくなかったんだね・・・わからないでもないけど」
「ドン引くって・・・」
「ツナも無意識にエンマの前じゃ猫被ってんのかもな・・・不公平だ」
「ふ、不公平って・・・そんな」
「・・・ボスは古里炎真が大切だから、失いたくないの」
「・・・あ」
「「「「「「あ?」」」」」」
炎真がスッと視線を自分達の後ろに向けたのを見て、なんとなく後ろを振り返った皆はその瞬間に固まった。
「・・・ほほーう・・・そんな風に思ってたわけだ。ナルホドね~、ふふっ・・・武と了平さんは初“お仕置き”だね~。あ、アーデルハイトはエンマのファミリーだし免除ね?クロームも別に変なコト言ってないから免除~・・・野郎共、覚悟しとけよ?あ゛?」
((((ぎゃーーーーーッ!!!))))
ニコニコと笑顔のままでドスのきいた声で言われた面々は声にならない悲鳴をあげた。
「うわぁ・・・綱吉君・・・笑いながら怒ってる」
しえみが変な所に感心していると、燐が苦笑いをうかべた。
「はは・・・なんか、すげーなぁ」
「アレくらいやないと、マフィアのボスなんかできへんのとちがうか?」
「そ、そうかもしれませんねぇ」
竜士と子猫丸が顔を青褪めさせながら囁き合う。
「あの子、器用ねー・・・」
「まぁ、確かに・・・笑顔で怒るって大変そうですが・・・アレは彼らが悪いでしょう」
感心したように呟く出雲に雪男が肩を竦める。
近くにいるのがわかっていて悪口、とまではいかなくとも本人が怒りそうなことを口にしたのだから、しょうがない。
例え、それが本当のことでも。
「にゃはは!アイツ、燐と同じくらい面白い奴~!・・・祓魔師にスカウトでもしようかにゃ~」
シュラが指をさしてケタケタと笑う。
「シュラさんっ、指さしたらダメですって!・・・それにマフィアのボス候補だって紹介されたんですから、無理ですよ!」
「えー、ほら、祓魔師兼マフィアのボスとか!ちょー面白くない?」
「面白くありません!!」
悪いことに力を使うような人間ではないようだが、悪に対する容赦のなさを考えれば危険なことには変わりはなさそうだ。
とりあえず、燐としえみに変な影響が出ないように気をつけよう!と雪男は心に決めて、そっと2人の間に座って燐としえみの目を塞いだ。
「雪男?」
「雪ちゃん・・・?」
「うん・・・2人には刺激が強すぎるからね・・・(特に)兄さん、真似しちゃダメだからね?」
「・・・あー、いや・・・真似できねーだろ、アレは」
「うん、兄さんはそのままでいて・・・僕が最後まで面倒みるから!」
「あ?あー・・・お前の人生も大事だぞ?」
「兄さんは優しいね。でも良いんだよ、僕達は2人で1人じゃないか」
「えーと・・・まぁ、いっか」
こうなったら雪男がてこでも動かないことは長年の付き合いでわかっているので、燐はとりあえず頷いておいた。
「・・・奥村君、流されてるわ・・・」
ボソリ、と出雲が呟くのに塾生達はこっくりと頷いた。
「・・・で、アレってナニ?」
びくぅ!!!
ツナの言葉に、空気が凍った。
「・・・あ、アレ?アレってあ~、なんのことだろ~?なぁ?皆???」
山本が必死に誤魔化そうとする。
「武、お前・・・誤魔化すの下手」
「う゛!」
「・・・吐け。今すぐ吐け。この場で吐け」
笑顔で殺気をまき散らすツナに、山本はすっかり青褪めてリボーンに視線を送った。
「こ、小僧~~~!」
「リボーン?・・・アレって何だろう?俺、知りたいな~」
にこっ❤
(ああ、笑顔が可愛いな、こんちくしょう!!)
リボーンの心の中は色々と複雑なことになっているようである。
「・・・お、オメェは知らなくて良いことだぞ」
「へ~・・・俺、ボンゴレ10代目だよね?継承式はおじゃんになったけど・・・10代目だよね?だって、俺しか継げる人いないもんねぇ?」
「そ、そうだぞ・・・」
「ふーん、リボーンは俺との誓いを破っちゃうのか~。9代目との約束は絶対に破ろうとしなかったのになぁ~。傷つくな~、俺泣いちゃいそう・・・悲しすぎて――復讐者呼ぶぞ、ゴルァ」
「~~~っ!!」
アルコバレーノといえど、誓いを破れば復讐者行き。
炎真達との一件でリボーンが復讐者に手も足も出なかったのを見たツナは、開き直り後に即リボーンに誓わせたのだ。
ツナに隠し事はしない、と。
今までもなんだかんだと情報を小出しにされていたことに腹が立っていたツナの巧妙な引っかけに、リボーンはあっさりとハマってしまったのだ。
「くっ・・・俺様としたことが・・・ッ」
リボーンはがっくりと肩を落とした。