屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜 REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー 作:cibetkato
そして、皆が車の中で仮眠をとっている間に、目的地へと到着する。
「・・・皆さん、到着しましたよ」
ターメリックの声で目を覚ますと、それぞれに車を降りて硬くなった身体をほぐす。
「あ~バキボキいってる~・・・」
ツナがストレッチをしながらぼやく。
「長時間、同じ格好でしたからね・・・大丈夫ですか?10代目」
獄寺が気遣うと、ツナは笑みをうかべて頷いた。
「うん、平気。・・・これから暴れ回れると思うとワクワクするね」
「・・・えと、その・・・建物の原型は残しておいてくださいね・・・?」
そこまで!?と内心ツッコミを入れながら、雪男は辺りを見回した。
「・・・悪魔の気配は無いですね・・・」
「うん、いたって静かなもんだにゃ~」
敷地内に屍番犬が放し飼いにでもなっているのかと思ったが、そうでもないらしい。
「・・・見えない人間には危険すぎる代物ですからね。普段は檻にでも閉じ込めているのでしょう」
ターメリックが答えれば、雪男は頷いた。
「でしょうね。・・・しかし、屋敷まで随分と離れていますね」
「・・・このすぐ先に門があってそこからが敷地内になります・・・おそらく外部からの侵入者にかなり警戒しているはずです」
「広っ!」
燐が目を丸くする。
「中規模のマフィアでしたら、この程度の敷地は当たり前のように持っていますよ」
クスクスと笑いながらターメリックが答えるので、燐はツナに視線を向けた。
「えっと、ボンゴレは?」
「ボンゴレはヴァリアーとかチェデフとか外部機関もありますし、各国に支部もあるので・・・ハッキリとはわからないですねー・・・」
首を傾げながら答えるツナに、祓魔師達は愕然とした。
どんだけデカイ組織なんだ、と。
「・・・それを、お前はブッ壊そうとしてんだな・・・」
リボーンが無謀だと言った訳がわかったと呟く燐に、ツナは微笑む。
「無謀だと笑う人もいますし、そうはさせないと大反対する人もいますけどね・・・だからといって最初から諦めるつもりなんてありませんよ」
「・・・うん、だよな・・・そうだよな!!」
燐の目標もまた、無謀と言われ邪魔する人間も多く出てくるだろう。
ツナの言葉は、燐にとっても改めて目標に向かっていくための原動力となる言葉だった。
ニカリと笑った燐を見て、雪男はホッと息をついた。
「・・・兄さんは綱吉君から良い影響を受けてるみたいだ」
「にゃはは・・・根っこは悪い奴らじゃないんだから、そんなに心配しなくたって良いだろうに。ホント、お前はビビりだよな~」
「・・・煩いですよ、シュラさん」
ジロリ、と雪男に睨まれてシュラはひょい、と肩を竦めた。
「・・・さて、行こうぜ」
シュラの言葉に、ツナ達も祓魔師達も同意する。
ここでじっとしていたって始まらない。
もう、証拠は充分にある。後は―――屍番犬が出てくるようにしむければ良い。
門の前にやってきた一同は、その緩い警備に目を瞠った。
「・・・ボス、幻術はかかってない」
幻術で隠しているのかとも思ったが、クロームが探った限りでは何もない。
「ナルホド・・・入るのは簡単でも出るのは難しいっていう典型的なパターンらしいね」
肩を竦めるツナに、ターメリックが近寄る。
「綱吉様、ご無理をなさいませんように・・・そう、親方様より言付かっております」
「・・・わかってるよ」
頷いたツナはリングに炎を灯し・・・一気にその出力をあげた。
「ナッツ、形態変化・・・攻撃モード」
「・・・って、うぉおおおおい!!お前ターメリックの話聞いてたか!!?」
某暗殺部隊の作戦隊長の如く叫んだリボーンがツッコミを入れるが、ツナには全く届かず。
凄まじい殺気と共に膨れ上がった炎がツナの拳に集約し、そのまま門に向けてその拳を叩きつけた。
爆音と熱風と鉄の焼ける匂い。
呆然とする祓魔師の横で、守護者はすっかり青褪めていた。
「・・・ど、どうする、獄寺・・・ツナの奴、マジギレしてるぞ?」
「や、やり過ぎないように・・・お、お止めする。・・・い、命がけになるだろうが・・・右腕である俺の役目だ」
そう言うわりに恐怖からかプルプルと震えている獄寺である。同情はされたくないだろうと思いながらも、山本は憐れむ様な視線を獄寺に向けた。
「・・・止められると良いな」
「言うな・・・悲しくなるだろ・・・」
(珍しく)やんわりと拒否をされて、だよな、と苦笑いをうかべた。
とそこに遠慮がちに声がかけられた。
「・・・止める必要なんてないよ、獄寺君、山本君。だって、どうせこのマフィアは潰すんでしょう?」
気弱そうな笑みをうかべたままそう言う炎真に、獄寺と山本はギクリとする。
((ああ、すっごい既視感(デジャヴュ)。))
「僕もツナ君を手伝うし、皆で跡形もなく消しちゃおうよ」
キラキラと笑顔が輝く。
そういえばシモンファミリーの仇としてボンゴレを狙っていた頃の炎真は、結構過激な思想の持ち主だったと思いだす。
気弱そうな笑みに騙されてはいけない。炎真(コレ)はツナ(アレ)の同志なのだ。
「あ、あのな、炎真・・・」
「うん!任せてよ、山本君。ツナ君と僕が手を組めば跡形もなくあの屋敷を吹き飛ばせるから!」
キラリンキラリン。
ますます輝いていく炎真の笑顔に、山本はついに止めるのを諦めてアーデルハイトに視線を向けた。
ブンブン、と首を横に振るアーデルハイトは、既に戦線離脱していたようだ。
そうしている間にツナによる門の破壊作業が終わり、瓦礫の山の上に立つツナが振り返った。
「じゃ、行こっか♪」
ご機嫌な様子のツナにホッとしつつ、獄寺はその傍に走り寄った。
「・・・10代目、先陣を切るのは危ないですから・・・」
「ああ、ごめん。・・・でも、ランボは悪魔が視えないから先陣を切らせるわけにはいかないし・・・隼人は全体を見てもらいたいんだよね。武と恭弥と了平さんは近距離の方が得意だし・・・クロームは後方支援だろ?」
消去法で自分が先陣を切ることにしたらしいツナに、獄寺は肩を落とした。
「専門家もいるんですから、頭数に入れておいてください・・・」
「あ、そっか。そうだよね。祓魔師の人達を念頭に入れてなかったや・・・ごめんごめん」
しれっとそう言って謝るツナだが、絶対にわかっていてやっている。
注意することを諦めた獄寺は、溜息交じりに告げた。
「・・・もう、良いです・・・お好きになさってください。どうせ、跡形もなく消滅させるおつもりなんでしょう?」
「隼人は話がわかるから好きだよ!!」
満面の笑みをうかべて獄寺の肩をポンポンと叩き、ツナは瓦礫の山から飛び降りて、ヴルカーノファミリーの敷地内に入っていった。