屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜  REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー   作:cibetkato

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許す、暴れろ

 ツナの後に続いて敷地内に入った面々は、その庭の広さに思わず感嘆の声をあげた。

 

「うーん・・・ま、新進気鋭のマフィアであるグロッタよりは大きいのな~」

 

 ぐるりと辺りを見回して山本が言えば、ツナが頷く。

 

「確かにね~。それなりに歴史のあるファミリーっぽいし、崩れてきたのは数代前のボスからだっけ?」

 

「ああ、そうだぞ。元々は良いモンだったはずなんだが・・・代を重ねると少しずつその理念にもズレが生じてくるんだろうな」

 

 ツナの問いに答えたのはリボーン。

 

「ふーん・・・まぁ、どうでもイイよ。奴等はやっちゃいけないことに手を出した。その報いは受けてもらわないとね」

 

 目を細めたツナが屋敷を見据えた時だった。

 

「侵入者を殺せ!!」

 

「生かしてここから出すな!!」

 

 サーチライトに照らされ、ヴルカーノファミリーの構成員達に囲まれる。

 

「・・・わー・・・素敵なお出迎えだね~」

 

 平坦な声で呟くように言うツナに、リボーンは恐怖を覚えた。

 

「・・・感情こもってねーぞ、ツナ」

 

「え~、そう?・・・あ、祓魔師の皆さんは手を出さないでくださいね?マフィアのことはマフィアが始末をつけますから」

 

 ニコリと笑って振り返ったツナに、燐が困ったような視線を向ける。

 

「・・・でも、俺達は・・・」

 

「任務だってことはわかってます。でもそれは悪魔祓いがメインでしょう?屍番犬を倒すために、今は力を温存していてください」

 

 その言葉に、獄寺がハッとした。

 

「10代目・・・最初から屍番犬が出てくるまで祓魔師には手を出させないおつもりだったんですか?」

 

「ん?どうだろう?」

 

 笑顔を崩さないツナに、獄寺はそっと溜息をついた。

 

「・・・俺、もっと10代目の考えていることがわかるように精進します」

 

「ふふっ。うん、頑張れ・・・ん?あれ?この感じは・・・」

 

 ツナが後ろを振り向いた時だった。

 

「クフフ・・・さて・・・暴れるとしましょうか。このゲス共は地獄に落としてあげることにしましょう」

 

「のわっ!?・・・む、骸!?」

 

 隣にいたハズのクロームが突如骸に変わったため、山本が驚いて飛び退く。

 

「いい加減に慣れなさい、山本武。・・・クフフ、わざわざ手伝いに来てあげましたよ、沢田綱吉」

 

 そう言って笑う骸に、ツナは苦笑をうかべた。

 

「その様子じゃ、フランにしこたま遊ばれてきたらしいね?・・・っていうか、手伝いじゃなくてストレス解消だろ?」

 

「・・・クフフフフ・・・ああ、ムカツキますね、その超直感は」

 

「あはは、図星?ヤダなぁ・・・当てずっぽうだったのにィ」

 

「・・・巡らしますよ?」

 

 こめかみに血管を浮き立たせて微笑む骸に、器用だなと感心する。

 

「巡るのは勘弁だなァ・・・まぁ、良いや!ストレス解消でも何でもしなよ。幸いなことに良心が痛まない相手だからね。許す、暴れろ」

 

「クフフ・・・では遠慮なく」

 

「六道骸、僕の分まで取らないでよ。こっちだってムカツキはMAXなんだ」

 

「・・・雲雀恭弥、あなたは好きに暴れなさい。僕も好きに暴れます。どちらが多く獲物を狩っても文句なしです」

 

「・・・フン、負けないよ」

 

 トンファーを取り出した雲雀が勢いよく飛び出した。その後を三叉槍を手にした骸が追う。

 

「むっ、極限に負けていられんぞ!!・・・我流!形態変化!!」

 

 了平も叫び、ヴルカーノファミリーの構成員達につっこんでいく。

 

「・・・どいつもこいつも、好き勝手にやりやがって!!おい、野球馬鹿!!俺等も行くぞ!!」

 

「おう!わかったのな!!・・・次郎、小次郎!形態変化」

 

「瓜!形態変化!!」

 

「燐さん、ランボをお願いします」

 

「あ・・・おう」

 

 守護者が先んじてつっこんで行くと、ツナは事態が呑み込めずにキョトンとしているランボを燐に預ける。

 

「ランボ、良い?危なくなったら牛丼を呼ぶんだよ?」

 

「わかったんだもんね!」

 

「よし、ランボは良い子だね。後でぶどうキャンディーあげるからな」

 

「やったー!ツナ、約束だもんね!!」

 

「うん、約束」

 

 小指を絡ませながら約束すると、ツナは炎真とアーデルハイトに視線を向ける。

 

「エンマ、アーデルハイトさんも好きに暴れてね」

 

「うん」

 

「わかったわ」

 

「・・・ナッツ」

 

「がおっ!」

 

 ピョン、と肩に飛び乗った相棒に、ツナは笑みを向けた。

 

「あっちの方角に咆哮よろしく」

 

 ツナが指したのは、味方が誰もいない方向だ。

 

 その言葉に、リボーンがサァっと青褪める。

 

「つ、ツナ・・・」

 

「フフフ・・・不格好な彫像が増えちゃうねぇ」

 

 大空の調和。石畳の続く庭園である以上、おそらく石化するであろうと思われるヴルカーノファミリーの構成員達に思わず同情してしまいそうになる。

 

「はい、ナッツ。さん、にぃ、いちっ!」

 

「GAOOOOOO!!!」

 

 ナッツの咆哮と共に、ヴルカーノファミリーの構成員達が次々に石化していく。

 

「す、すげぇ・・・」

 

 燐が呆然と呟けば、雪男もその隣でコクリと頷く。

 

「うん、すごいね・・・」

 

「あんな可愛いなりしてんのに、立派な兵器だな」

 

 シュラが僅かに表情を硬くする。

 

「見境なく使うヤツには渡せねェのは確かだな」

 

 シュラの表情を見ていたリボーンが言えば、祓魔師達はハッとする。

 

「アイツ等は使い方を間違ったりはしねェ。それだけは保証できる」

 

 自信たっぷりに告げるリボーン。

 

 それは彼等と短いながらも深く付き合ってきたからこそできた発言だった。

 

 やたらと反抗的な骸も戦闘狂の雲雀も、場をわきまえるということを知っている。了平もああ見えて年長者であるが故に意外としっかりしている。

 

 獄寺も山本も未来で匣を手にしてからは力の使い方を考えるようになったし、VGの威力もわかっているのでむやみに使ったりはしないだろう。クロームも骸より素直なので抑えは利くし、なにより悪い事をしようという考えがない。

 

 ツナは―――VGが無くても炎を出したり氷漬けにしたりするので、持っていても持ってなくてもあまり関係はない。それに、己の力の異常性はツナ自身が一番よく知っているから使い所は絶対に間違わない。

 

 残るはランボだが、幼さゆえの暴走はあっても悪いことに使おうという知恵は無いし、その前にツナが止めるから問題は無い。

 

 以上の理由からリボーンは自信たっぷりに宣言できたわけだ。

 

「・・・信頼してるんだな」

 

「まぁ、俺の生徒達だからな」

 

 シュラが目元を緩めれば、リボーンは胸を張った。

 

「リボーン、終わったよ」

 

 そこに少しは鬱憤が晴らせたのかスッキリした表情のツナがやって来る。

 

「早っ!」

 

 廉造がギョッとして辺りを見回せば、あれだけいた構成員は全員ツナと守護者達によってのされていた。

 

「・・・皆さん、えらいお強いんですねェ」

 

 子猫丸も感心したように頷いている。ヘタをすれば上一級祓魔師や上二級祓魔師にも優るとも劣らない戦闘力を持っているのではないだろうかと考える。

 

「特殊な武器があるとはいえ、かなり強いことは確かなようやな」

 

 竜士も子猫丸に同意して頷き、三賢者がどうして彼等を選んだのかわかったと呟く。

 

「・・・実戦に関しては、候補生である皆さんよりも経験豊富と見ていいでしょうね」

 

 雪男が言えば、その隣にいた燐が溜息交じりに呟く。

 

「スゲェなぁ・・・中学生だろ?俺、その頃は俺自暴自棄になってたしなァ・・・」

 

「でも、今は兄さんもちゃんと目標に向かって進んでるだろ?・・・過去じゃない今だよ!」

 

(よし!今僕すっごイイコト言った!!)

 

 冷静そうに見えてかなりテンションが上がっている雪男。

 

 そうとも知らずにガシガシと後頭部を掻いて照れくさそうにしながら、燐は雪男に向けて笑みを向けた。

 

「ん・・・そうだな、雪男」

 

 その綺麗な笑みに、雪男の顔が徐々に真っ赤になっていく。

 

「どした、雪男?」

 

「・・・な、ななな、なんでもないよ!!!」

 

(ち、近い!!顔近いよ!!兄さん!!)

 

 ずい、と顔を近づけた燐の無自覚さをちょっとだけ恨みながら、雪男はブンブンと首を振った。

 

「・・・もしかして、雪男さんって禁断の恋とかしてるんですか?」

 

 ズバッとその質問を口にしたツナに、シュラは噴き出した。

 

「ブッ!!にゃははははっ!!!・・・お前、ソレ、気付いても言わないもんだぞ普通!!」

 

「え?でも、良いんですか?燐さん気付いてないみたいですけど」

 

「良いんだよ!あのビビリは兄貴に直接告白なんてできないんだから」

 

 シュラの答えに、ツナは首を傾げた。

 

「・・・溜めこみ過ぎて、告白すっ飛ばして押し倒すかもしれないですよ?」

 

「・・・・・・いや、それ、本気でありそうで怖いんだけど」

 

 思わず笑うのを止めて、冷静にツッコミを入れてしまったシュラである。

 

 その時だった。

 

≪おオオオォおおおおぉオオおおおおおおおオオぉ・・・≫

 

 人ならぬ鳴き声がその場に響き渡った。

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