屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜  REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー   作:cibetkato

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圧倒的な差

「ッ・・・屍番犬!!」

 

 出雲がビクリ、と肩を震わせる。

 

 嫌な記憶が呼び起こされて、思わず顔をしかめた。

 

「・・・なんちゅう数や・・・」

 

 竜士が呆然と呟く。

 

「・・・・・・何人殺した?・・・これをッ・・・これを作るのに、何人殺したんだ!!」

 

 ギリリ、と奥歯を噛みしめて雪男は屍番犬を睨み据えた。

 

「ククク・・・“ヴァチカン”とボンゴレからの派遣が、こんなガキ共とはなァ」

 

 右脚を引き摺りながら現れた男に、シュラが目を細める。

 

「ブリツィオ・ルティーニ・・・堕ちるところまで堕ちたか」

 

「貴様は・・・霧隠シュラか。ガキ共のお守りとは、随分と面倒なことをしているな」

 

 ニィ、と笑ったブリツィオの表情は酷く歪んでいて、シュラは不快気に眉根を寄せた。

 

「ガキだからって馬鹿にしないことだな。コイツ等はそこらの祓魔師よりも強いぞ」

 

「・・・フン、所詮は“ヴァチカン”の狗に変わりない。飼い殺されて終わりだ」

 

 ザリ、ともう一歩踏み出した右脚に、燐達の視線が集中する。

 

「・・・“ヴァチカン”は俺達祓魔師を道具以上には考えていない。俺がこの脚を悪魔にやられた時だって―――」

 

「それはお前が弱かったからだ」

 

 ブリツィオの言葉をシュラが遮った。

 

「祓魔師になると決めた時から、時には命に及ぶ怪我をすることだってあるとわかっていたハズだ。・・・“ヴァチカン”を恨むのはお門違いってもんだろ?」

 

「煩いッ!!!・・・お前等に何がわかる!!・・・俺は“ヴァチカン”を許さない!いつか潰してやる!!その為の“研究”だ!!」

 

 ブリツィオがバッと手を広げる。その背後では奇怪な姿をした屍番犬達がじりじりとこちらとの間合いを詰めてきていた。

 

「・・・わかりたくもないね」

 

 怒りを押し殺した声でツナが告げる。シュラとブリツィオのやり取りを聞いていたら段々イライラしてきたのだ。

 

「“ヴァチカン”に飼い殺されて足が動かなくなった?道具扱いされて恨んでる?・・・なら、屍番犬の“材料”になった子達は?・・・命を奪われてこんな化け物にされて、お前に“ヴァチカン”を悪く言う権利なんてない!!」

 

「コイツの言う通りだ!!・・・テメェの気持ちなんか、わかりたくもねーよ!!」

 

 燐が叫び、ブリツィオに突っ込んで行く。

 

「やれ!!化け物共!!・・・あのガキを喰い殺せ!!」

 

 ブリツィオの号令に従い、屍番犬が燐に迫り―――。

 

 そこまでのビジョンを見ていたブリツィオだったが、次の瞬間には燐に殴り倒されていた。

 

「ぐッ・・・な、何故だ!!なぜ動かない!!」

 

 そう、屍番犬は一歩も動かずに燐を見つめていた。

 

「・・・フン、こういう時はこの“血”がどれだけ悪魔にとって特別なのかって実感するな」

 

 ブリツィオを殴った拳をさすりながら燐は屍番犬へと視線を向ける。

 

「ワ・・・カギ・・・ミ・・・ヲ・・・喰イ、殺セル・・・ハズ・・・モ、無イ」

 

 屍番犬の発した“若君”という言葉で、ブリツィオは首を傾げた。

 

「・・・どういう・・・ことだ?」

 

「・・・知る必要はない!」

 

 燐が答える前に、雪男がブリツィオに銃を突き付ける。

 

「貴方は元祓魔師だ。本来なら“ヴァチカン”に連れ帰り罰するところですが・・・今現在はマフィアに属しているし、ボンゴレ10代目にその身柄を預けることにしました。厳罰が下されることを覚悟しておくんですね」

 

 口調は丁寧だが、その怒りを孕んだ眼差しは厳しいものだ。

 

「よし、お前等“おさらい”だ。一体ずつ屍番犬を退治していくぞ!」

 

 シュラの言葉にまず竜士が動く。

 

「・・・猫、コイツの致死節は覚えてるな?」

 

「ハイ・・・いけます!」

 

 子猫丸が頷くと、竜士は詠唱の準備を始める。

 

 それを確認すると、出雲が使い魔であるミケとウケを召喚する。

 

「稲荷神に恐み恐み白す為す所の願いとして成就せずということなし!!・・・アンタ達は安心して詠唱してなさい、ここは私達が抑えるわ」

 

「・・・ああ」

 

「ニーちゃん!よろしくね!!」

 

 しえみも皆の支援をするためにニーちゃんを呼び出す。

 

「・・・お前等は後ろに下がっててくれ」

 

 燐がツナ達にそう言い、今度は自分達の番だと倶梨伽羅を引き抜いた。

 

「うぉぉおおおおおお!!!」

 

 次々と倒されていく屍番犬。

 

 あの“材料”となった者達のことを考えると胸が痛むが、死んだ者を蘇らせる術は無い。

 

「絶対に、お前達は許さないからな」

 

 ブリツィオ・ルティーニに冷たい視線を向け、ツナはそう告げる。

 

「・・・クソッ、絶対に後悔させてやるぞ、貴様等ァ!!」

 

 憎しみの宿った視線を向けてくるブリツィオだが、ツナはそれを鼻で笑った。

 

「ハン、後悔させられるもんならさせてみなよ?・・・お前は越えてはならない一線を越えてしまった。“奴等“がそれを見逃すはずがないだろう?」

 

「奴等・・・?」

 

 彼は最近マフィアになったばかりで、抗争にも参加しないで屍番犬の研究ばかりをしていた。

 

 だから、彼は復讐者の存在を知らなかった。捕らえられればどんな目に遭うかもわかっていない彼に、ツナは呆れた。

 

 マフィアになったのなら“オメルタ”と“復讐者”について知っていなければならないのに、と。

 

 燐達が屍番犬を全滅させると、再びマフィア達が表に出てきた。

 

 写真を見せられていた10代目ファミリーはその先頭に立つ男こそが、ヴルカーノファミリーのボス、アルド・プロタであることに気付いた。

 

「まさか・・・ボンゴレに嗅ぎつけられるとは・・・まぁ、グロッタの足止めもさして期待してはいなかったが・・・」

 

 目を細めたアルドの言葉に、ツナが反応した。

 

「グロッタ?・・・へぇ・・・まさかの協力関係とか?」

 

「・・・フン、知ってどうする。・・・悪魔の力など元々期待などしていなかった。我等にはもっと強力な武器がある!・・・生きて帰れると思うなよ、ボンゴレ10代目!!」

 

 まさに悪役らしく登場したアルドだったが、相手が悪かった。とにかく、悪かった。

 

 ヴルカーノの中でも精鋭の構成員達が、最近出回りだしたという匣兵器を取り出し、リングに炎を灯す。

 

 動物型のものは無いが、それでも強力な兵器であることには変わりは無い。さらに、数ではヴルカーノの方が数倍多い。

 

 アルドは勝利を確信した笑みをうかべてツナ達を見やった。

 

「先程お前達にやられた構成員は下っ端中の下っ端だ。アレが我々の全力だなどど、ゆめゆめ思うなよ?」

 

「・・・ん~・・・そのセリフ、そっくりそのままお返しするよ」

 

 ことりと首を傾げたツナはそう告げて、雲雀と骸に視線を向けた。

 

「・・・2人とも暴れ足りないだろ?好きにして良いよ」

 

 守護者の中でも雲雀と骸の戦闘力はずば抜けて高い。

 

 やり方次第では他の守護者でも上手く受け流せることもあるかもしれないが、純粋に戦って彼等2人に勝てるのは、ツナくらいだろう。

 

 だから、2人に任されても他の守護者も文句は言わなかった。

 

 が、アルドはナメられたと感じたのだろう。カッとなって構成員達に命じた。

 

「殺せ!!いくらボンゴレといえどまだ子ども!!ヴルカーノにケンカを売ったことを後悔させてやれ!!」

 

「「「「Si!!」」」」

 

「・・・隼人、燐さん達を守ってて」

 

「はい!」

 

 ツナの指示で、獄寺が燐達の元に駆け寄る。

 

 屍番犬との戦いでさすがに疲労していた燐達は、その配慮に感謝する。

 

「・・・助かります・・・でも、2人だけで大丈夫なんですか?」

 

 雪男の問いに、獄寺は盛大に眉間のしわを深くした。

 

「悔しいが、あの2人は守護者の中でずば抜けて強い。勝てるとしたら10代目くらいだ。・・・だから、あの程度の匣兵器で、あの人数なら・・・何の問題もない」

 

 未来での戦いが、そして、炎真達との戦いが。彼等の身体と心を成長させた。

 

 だから、獄寺は相手の力を素直に認めた。以前の獄寺ならば考えられない発言だった。

 

 そして、その発言通り、雲雀のVGと骸のVGが発動した瞬間に勝負はついた。

 

「・・・ば、馬鹿な・・・最新の匣兵器が・・・ッ!!」

 

「最新?・・・馬鹿だね、匣兵器が新しかろうが、使う人間にその実力が伴ってなかったら意味がないんだよ」

 

「まったくその通りですね。いくら数を集めようが、無能では意味がない」

 

 愕然とするアルドをこきおろす2人に、ツナが苦笑する。

 

「あーぁ、もうちょっとオブラートに包んであげれば良いのに」

 

「貴方に言われたくありませんね、沢田綱吉」

 

 それに反論した骸に、ツナは不満げな声をあげた。

 

「えー・・・」

 

「えー・・・、じゃありませんよ!笑顔で傷口に塩を塗るようなことを言う人間が!!」

 

 その犠牲者筆頭の骸が叫ぶ。

 

「あはは、そうだっけ?」

 

「~~~~~ッッ!!!」

 

 怒りで言葉も出て来ない骸に、同情の視線が向けられる。

 

 と、その時だった。

 

 ジャラ、という金属の擦れる音がして、アルドとブリツィオの首に鎖が繋がれた。

 

「ぐ!」

 

「な、なんだ!これは!!」

 

「・・・やれやれ、今頃になってご到着か」

 

 不機嫌そうに呟いたツナの視線の先に彼等がいた。

 

「・・・・・・復讐者」

 

 炎真が呟いたことにより、祓魔師達も彼等の正体を知る。

 

 黒のマントにシルクハット。そして服から出ている部分すべてを隠すように巻かれている包帯。

 

 あまりにも異様なその姿に、悪魔を見慣れている祓魔師ですらも息を呑んだ。

 

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