屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜 REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー 作:cibetkato
「あ・・・アレが復讐者」
燐がごくりと喉を鳴らす。
いくら悪魔を見慣れているとはいえ、得体のしれないその存在感と風貌は悪魔とは違う恐怖を感じる。
「悪魔・・・ではないみたいだな」
シュラが呟けば、雪男も頷く。
「そうみたいですね・・・彼等から感じる力は悪魔のそれとは全く違いますし」
「・・・たとえ悪魔じゃなくても、奴らは・・・」
獄寺が苦虫を噛み潰したような表情をうかべて呟く。
復讐者には言いたいことが山ほどある。だが、彼らを敵に回せばこれ以上厄介なことはないだろうから何も言えない。
歯ぎしりして悔しがる獄寺を見やった燐が首を傾げた時だった。
「・・・遅い!もっと早く来い!!こっちがここまでお膳立てしてやらなきゃ罪人を捕まえられないなら復讐者なんてこの世に存在する価値がねェんだよ!!」
ギロリ、と復讐者を睨み据えて暴言を吐いた人物がいた。
復讐者の恐ろしさを知るマフィア達(ボンゴレの守護者を含む)は顔を真っ青にして震えあがった。
『・・・準備がある』
「ハァ?準備だァ?・・・こっちはとうの昔にヴルカーノについては報告してあるはずだ。どんだけのんびり準備してんだよ?それとも何か?ボンゴレの報告が信じられねェのかよ?あ゛?」
「・・・チンピラがいますよ、チンピラが復讐者に喧嘩売ってますよ・・・」
骸が思いっきりたそがれる脇で、雲雀がそっと視線をそらす。
「・・・あの子が敬意を払う人間なんて、この世に存在しないんじゃないの?」
というか、チンピラのように復讐者へ啖呵を切っている人物が自分達のボスだなんて思いたくない骸と雲雀である。
『・・・・・・悪かったと、思っている』
「はぁ?悪かったと思ってるだァ?それ、心の底から言ってるわけ?なんなの、お前ら。性懲りも無く後からおいしいトコどりとかさァ、俺の心がもうちょっと狭かったら、復讐者潰してるよ?」
((((((ヤメて!?復讐者にこれ以上ケンカ売らないで!!))))))
守護者がそろって頭を抱える中、リボーンはそっとため息をつく。
「・・・復讐者を潰すか。本気でやりそうだから怖ェな」
「リボーンさん!!」
獄寺が涙目で止めてくれるようにと視線を送ってくる。
「獄寺、オメェ、俺に死ねって言ってんのか?」
「そんなことありません!!リボーンさんなら半殺しで済みます!!」
「・・・獄寺」
“半”がついているだけで、死地に赴けと言っていること自体は変わっていないと気づいているだろうか。
「えーと・・・え、どっちが怖いんだ?復讐者?それとも・・・」
「みなまで言うな・・・頼むから」
燐が戸惑ったように尋ねると、リボーンはそっと視線を外した。
「・・・まぁいいや、とにかくこいつらを連れてってよ。こいつらの顔見てるだけで吐き気をもよおすし」
酷い言い様だが、復讐者に対するツナの態度に凍りついてしまったアルド達に反論する気力があるわけがない。
『承知した』
復讐者に異論などある訳もなく、ジャラジャラと鎖に繋いでヴルカーノファミリーの者達を連れて行く。
「・・・ああ、そうそう」
ツナの声に、ビクリと復讐者が肩を揺らす。
『・・・なんだ?』
「グロッタファミリーの方も連れて行っておけよ?・・・いちいち相手にするのも面倒だ。罪状なんて叩けばいくらでも出てきそうだし。・・・そのくらいのことはできるだろう?」
じろり、と復讐者を睨んでツナが言えば、ガックンガックンと頷き返す復讐者。
両者の力関係が一目瞭然である。
「・・・ツナ」
「ん~?どしたの、リボーン」
ニッコリ。
いつの間にこんな関係になったのかとか、そもそも復讐者の直通番号なんて知ってたのはどうしてだとか、いろいろと聞きたいことはあったというのに、リボーンはその笑顔ひとつで口を閉ざした。
「・・・な、なんでもねェぞ」
「ん?そう?」
ニコニコ。
殺人的にまぶしい笑顔だ。リボーンを笑顔で黙らせることができるのはツナだけだろう。
「ツナ君・・・」
そこにもう1人の危険人物がやってくる。
「あ、エンマ!お疲れ!」
「うん・・・お疲れ様」
笑顔を交わし合う2人を見て、リボーン達の頭の中で警戒レベルMAXの警報が鳴る。
「じゃ、ヤろうか!」
「そうだね・・・やっぱり・・・ここはヤっておかないとね」
((((((何を!?))))))
と聞きたいが聞けない雰囲気をかもしだす2人。
付き合いの長い守護者達は悟った。ここにいたら危ない!!・・・と。
「え?なに?どうしたんだ??」
祓魔師組も連れて大きく2人から距離をとり始めたリボーン達に、燐が首を傾げる。
「いいから離れるぞ。・・・お前達だって、命が惜しいだろ?」
「命!?・・・っんむー!?」
「声がデケェ!」
雪男が素っ頓狂な声をあげると、獄寺が慌ててその口を塞ぐ。
「どういうことかにゃ~?」
シュラが一番話の通じそうな山本に視線を向ける。
「あー・・・まぁ、見てればわかるっすよ。・・・スゲーから」
ははは、とから笑いする山本に、祓魔師達は理解できずにそろって首を傾げる。
と、その時だった。
どぉおおおおおおん!!!
凄まじい音と光が背後から追いかけてきて、ギョッとしながら防御体制を取る。
「て、敵がまだいたんか・・・!?」
竜士が振り返って目を瞠る。
そう、そこには凄まじい勢いでヴルカーノファミリーの本拠地を破壊している、ツナと炎真がいたのだ。
大空と大地の最凶タッグで、大きいと感じていた屋敷があっという間に破壊されていく。
「・・・・・・す、すげぇ・・・」
としか言い様がない。
「ほんまに・・・あの子ら、人間?」
「・・・・・・否定しにくいな」
ぼそりと低く訊ねた廉造に、リボーンが遠い目をして答える。
こと最近、猫かぶりをやめたツナが“人間やめてます”的な行動ばかりをしているので、否定できる材料が少ないのだ。
「・・・まぁ、必要な処置ではありますね」
苦し紛れにそうフォローしたのは、送迎担当のターメリックだ。
「・・・それって、チェデフの仕事でしょ?遠まわしに壊すなって言ってたじゃない」
雲雀がボソ、と呟く。
「まぁ、必要ですよね、隠蔽。身寄りのない子どもばかりを選んで集めていたようですから、ここは全部灰にしてしまった方がいい」
骸もまた顔を青ざめさせて告げる。
「な、中に人がいるんじゃ!?」
しえみが声をあげると、他の祓魔師達もハッとしてリボーン達に視線を向ける。
「確認しながら破壊してるみてェだから、大丈夫だろ。屋敷の図面も報告書にはあったしな」
「10代目のことですから、ぬかりはないハズっスね」
獄寺もそういってリボーンに同意する。
「そ、そっか・・・な、ならいいんだけど」
しえみは破壊されていく屋敷を呆然と見つめた。