屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜 REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー 作:cibetkato
「な、なぁ・・・マフィアの10代目候補ってさ、嫌じゃないのか?こんな子どものうちからそんなコト言われて」
「に、兄さん!!」
不意に燐がツナに近づいていきそんなことを訊ねる。ツナの優しげな風貌がそうさせたのだろうが、他人のお家事情に首を突っ込むのは非常にマズイ。しかも、その相手がマフィアなら尚更だ。
顔を青褪めさせた雪男をよそに、燐はツナに向かって更に問う。
「っていうか、お前、いくつ?」
「えーと、中学2年生です。14歳。・・・まぁ、最初は嫌で嫌でしょうがなかったんですけどね、もうこうなったら俺がボンゴレ継いでブッ壊してやろうかと」
ニッコリ。
「・・・・・・へ?」
「うん、ですからね?ボンゴレブッ壊すつもりで継いでやろうと決めまして」
「・・・・・・そ、そーなのか」
笑顔で結構危険なことを言ってくれるツナに、燐はちょっと引いた。
「はい。っていうか、貴方も弟さんも、かな?何かとてつもなく大きな負荷を抱えてるんじゃないですか?」
「!」
「・・・それは」
ギョッとする燐と雪男。
サタンの息子であるというのがバレているのだろうかと、冷や汗が吹き出す。
「あ、これ、ボンゴレのボスになる人間に必ず備わっている、ブラッド・オブ・ボンゴレ――超直感っていうんですけどね?・・・まぁ、通常よりも勘が良いって思ってくれれば良いですよ」
笑顔のままでそんなコトをのたまったツナに、燐と雪男は青褪めたままコクリと頷く。
「ツナ~、おまえなァ・・・ちょっと性格悪くなったぞ~?」
どうやら、見た目で判断されたことに腹を立てていたらしい。
家光が初対面の相手に脅すような真似をしたツナに苦笑いをうかべる。
「・・・誰のせいだよ」
「えっ、父さんじゃないよな!っていうか、今、無茶苦茶反抗期とか!?やめて!父さんツナにウゼェとか言われたら、ブロウクンハートしちゃう!!」
(ウゼェって言いたい)
「・・・まぁ、父さんは滅多に帰ってこないし?そういや、リング争奪戦の時以来ちっとも日本に帰って来ないじゃん。そのうち母さんに愛想尽かされるよ」
「父さん超忙しいんだよ!?一応これでもボンゴレのNO.2だかんね!?・・・っていうか、見捨てないで、奈々~~~!!」
家光が壊れた。
「あー、ちょっと言い過ぎ?ごめんね、オレガノさん」
「いえ・・・親方様は後ほど回収しますのでお気になさらず」
キリッとしたクールビューティー。今まで黙って家光の傍に立っていたオレガノが軽く頭を下げる。
呆然とする祓魔師達に視線を向け、オレガノは続けた。
「では、お迎えが参りますので、地階の駐車場の方へどうぞ」
「・・・え、あ、はい」
頷く雪男だが、やはり家光が気になるらしい。それに1つ問題があった。
「・・・オレガノさん、グロッタファミリーと面識は?」
「いえ・・・親方様ならばご存知かと思いますが」
「チッ、しょうがねェな。・・・ほら、父さん。母さんがそんなすぐに愛想尽かすわけないじゃん。俺だって父さんのコト好きだよ~?」
がばり。
「つぅな~~~!!!」
復活した家光がしがみついてくると、ツナは苦笑してその背をポンポンと叩いた。
「・・・これでよくボンゴレのNO.2とかできるよなー」
「くすん・・・他のファミリーとかヒットマンから狙われてもしょうがないって諦められるけど・・・ツナと奈々に見捨てられたら、俺、生きてけねーよォ・・・」
っていうか、情なさすぎだろ。
お客さんいるとか、わかってる?ほら、超ドン引いてるじゃん。
言いたいことはたくさんあったが、こうなった原因である以上は責任もあるし、とツナは諦めたように溜息をついた。
「わかったわかった俺が悪かったってば。・・・もー、リボーンからも何か言ってやってよ!」
ツナの言葉で前に進み出てきたリボーンを見て、祓魔師達が息を呑んだのがわかった。
見た限りでは最年少・・・というか、赤ん坊なのだから当然だろう。
「家光・・・わかる、わかるぞ、その気持ち・・・俺だってツナがこんなヤサグレてるとは思わなかった!」
「・・・一言余計なんだよ、アルコバレーノ」
殺気を含ませてギロリ、と睨むツナに、リボーンは口元を引き攣らせた。
「・・・うわ、ウチの雪男みてェ」
「ちょ、に、兄さん!」
燐がそんなコトを呟けば、雪男がギョッとし、ツナがキョトンとして燐を見た。
「え?そーなんですか?」
「そうなんだよ~、コイツ、キレると超怖いんだぜ?」
「兄さん!!」
余計なことを言わないで欲しい。というか、塾生からの生暖かい視線がすごく悲しい。
「あはは、燐さんって面白い人ですね~。これからも仲良くしたいな~」
ニコニコと笑うツナに、雪男もシュラもホッとする。
“ヴァチカン”と古くから繋がりがあるということは、それなりに“ヴァチカン”への影響力もあるということだ。
もし10代目ボスを継ぐ彼に不快な思いをさせたら、せっかく取り下げられた燐の処刑命令が再び持ち上がりかねない。
「ナルホドな」
「「!?」」
足元から聞こえた声に、雪男とシュラはギョッとする。
「色々、そっちも問題抱えてるってワケか」
訳知り顔で頷くのは、リボーンだった。
「あ、え・・・?」
何なのだ、この赤ん坊は。2人は子どもらしからぬ雰囲気を持つリボーンに警戒する。
「言っておくが、見た目で判断するなよ?俺は“虹の呪いをかけられた選ばれし7人”の1人だ。オメーらよりも長生きしてんだぞ・・・それに、俺様は読心術を心得ててな、オメーらがどんなことを考えてんのか、まるわかりだからな」
ニヤリ、と笑うリボーンに、雪男とシュラは息を呑んだ。
「・・・こらこら、リボーン」
そこに、ツナがやって来て、ひょい、とリボーンを持ちあげる。
「なんだ、ツナ。オメーだって八つ当たりしただろうが」
「ハイハイ。でも読心術を使いまくるのは止めようね?俺の超直感とはわけが違うからね?」
「チッ・・・呪いなんぞ受けてなけりゃ・・・」
「そーだねー。いつか、呪いは解いてやるからなー」
「絶対だぞ」
「うんうん」
「・・・あの、呪いって・・・」
しえみが口を開く。魔障と似たようなものなのならば、祓魔師に何とかできるのではないかと思ったのだ。
「・・・マフィアの掟に深く関わることだ、部外者には話せねェ。・・・それに、祓魔師じゃこれは解けねェ呪いだ。悪魔が関係してるわけじゃねェしな。・・・まぁ、悪魔みてェなヤツは関わってるが」
「すみません。呪いのことになるとコイツ、ナーバスになるんです。・・・気にしないでください」
「・・・あ、ご、ごめんね?」
しえみが頭を下げると、ツナは苦笑する。
「いえ、こちらこそ。・・・まぁ、悪魔なんてものを相手にしている以上は、不可思議な事象には慣れてるんでしょうけど、マフィア界にも色々あるんで・・・あんまり、驚かないでくださいね」
「あ、はい」
ツナの言葉にこくん、と頷くしえみ。
ポン、と燐に肩を叩かれて、ぺろりと舌を出して苦笑いをうかべる。
その時、ドアがノックされる。
「失礼します、親方様」
「・・・おお、バジル。どうした?」
「はい、地階の駐車場にグロッタファミリーの方々が到着しました」
「そうか。・・・なぁ、ツナ」
「ん~、なに?」
「・・・何があっても、表情変えるなよ?」
「・・・・・・りょーかい」
交わされた親子の会話に、マフィア側は表情を引き締め、祓魔師側は首を傾げた。
その意味はすぐに知ることになる。