屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜  REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー   作:cibetkato

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ボンゴレというマフィア

「・・・骸か」

 

 リボーンがクロームに視線を向けると、その姿が霧に包まれ、その霧が晴れると中から骸が姿を現した。

 

 驚いたのは祓魔師達である。

 

 人間が姿を変えるなど、まるで悪魔のような能力に警戒を強める。

 

「・・・アルコバレーノ、彼を1人きりにして大丈夫だったのですか?」

 

「どうせあっちのシマに着いたら合流すんだ。移動の間くらい大人しくしてるだろ」

 

「大人しくって・・・どっちがですか?」

 

 骸の質問に、山本と獄寺が口元を引き攣らせた。

 

「・・・ツナに決まってんだろうが」

 

 リボーンもまた苦虫を咬み潰したような表情で答える。

 

「だと良いですけどねェ・・・彼、あの時点で既にプッツンしかかってましたよ?」

 

「ああ、クロームの記憶か?まぁ、超直感で何か感じたんだろ・・・っていうか、お前今どこにいる?・・・ったく、クロームをこっちに預けるとか言って金を寄越したっきり消息不明になりやがって」

 

「フランスです。・・・人材確保に向かってましてね」

 

 ちょうど飛行機の中なので、こちらの状況を確認しがてらクロームの身体に憑依したのだという。

 

「フランスか・・・いざとなったら呼ぶぞ」

 

「わかってます。ヴァリアーも動き出したようなので、もしかしたら難しいかもしれませんがね」

 

「ヴァリアーも動く人材確保って・・・」

 

 獄寺が1人の人物を思い浮かべる。

 

「・・・あぁ、わかった。あのカエルの被りモノしたヤツだろ。お前の弟子とかいう・・・」

 

 山本がポン、と手を打てば骸はフッと笑った。

 

「まぁ、今のおチビがどれ程使えるのかわかりませんが・・・未来の記憶があるのであれば、なかなかに便利でしょうからね」

 

 未来では復讐者を騙しきって自分を牢獄から出したのだ。今から囲っておくのも悪くない。

 

「あ、あの・・・」

 

 雪男がポンポンと交わされる会話の間をぬって声をかける。

 

「ん?なんだ?」

 

 リボーンが雪男に視線を向けると、彼は骸に視線を向けた。

 

「あの、彼は・・・?」

 

「ああ、コイツは六道骸。術師でな、幻術の腕はマフィア界の中でもトップレベルだぞ。昔、とあるマフィアに人体実験を施されていて、他人の身体に憑依できる能力と“六道輪廻”っていう力を右目に宿してんだ」

 

「・・・は、はあ」

 

「クフフ・・・悪魔と勘違いしましたか?・・・まぁ、幻術も突き詰めれば似たような生き物に変わってしまうというのもこの目で見ましたから、気をつけるつもりではいますがね」

 

 Dも生前は人間であったが、あのような人間とは言い難い能力を得ていた。同じ術師として、あまりにも人とかけ離れすぎたその姿に、嫌悪感を抱いたのも確かだ。

 

「・・・まぁ、骸がああなる前に、ツナにボコられるのは間違いねェがな」

 

「その映像が容易に想像出来るんですが・・・」

 

 どうしてあの猫被りに気付かなかったんだ!という位に開き直ったツナは良い笑顔で黒い発言をかましまくっていた。

 

 なにせ、Dに身体を乗っ取られたと知るや否や、

 

『うわー、自分の十八番を奪われちゃったの?シロップ漬けになってた間に脳みそふやけちゃった?』

 

 とか、Dが人間離れした能力を披露していた際には、

 

『アレって骸の身体だろ?ああいう機能が備わってたの?気持ち悪っ、新しい身体用意してあげるからアレ塵になるまで燃していい?』

 

 とか・・・まぁ、散々な言われようだったのだ。

 

「・・・ツナ君、そんなコト言ってたかな?」

 

 その場にいたハズの炎真だが、ツナの言葉は耳に入っていなかったらしい。

 

「言ってましたよ。間違いなくね・・・君には良い所だけを見て欲しかったんでしょう。せっかく出来た上下関係無しの友人ですからね」

 

 さすがのツナも炎真にドン引かれるのは嫌だったらしい。

 

「そっか・・・でも、どんなツナ君でも僕は受け入れる覚悟があるのに。せっかく友達になったんだから・・・」

 

「炎真、それを沢田に言えばいいのよ」

 

「そっか、そうだね、アーデル」

 

 怖いもの知らずな炎真の言葉に、守護者は一様に顔を青褪めさせた。

 

「人体実験・・・」

 

 雪男が眉を顰める。

 

 今回の屍番犬の件もそうだが、命をあまりにも軽く見過ぎている。

 

 医工騎士として、そして、医者を目指す者として許せないという気持ちが湧き起こって来る。

 

「・・・雪男?大丈夫か?」

 

 燐が心配そうに雪男の顔を覗き込むと、ハッとして首を振った。

 

「だ、大丈夫だよ、兄さん」

 

「ホントに?」

 

「あ、ああ」

 

「雪ちゃんはお医者さん目指してるんだもんね。・・・怒って当然だよ」

 

 未だに心配そうな燐の隣で、しえみが眉間にしわを寄せた。

 

「こらこら、あんまりマフィア界のコトに口出さない。お互いにやましい事があるのは当然だろ」

 

 守護者達の方を見ながらシュラが言う。これからしばらく行動を共にする相手と仲違いをするのは避けたいところなのだ。

 

「・・・なんか、勘違いしてねーか?」

 

「のわっ」

 

 リボーンが燐の頭の上に乗り、燐がガクンと前のめりになる。

 

「ボンゴレは人体実験や麻薬、人身売買なんかは禁止してる。それを破った連中を取り締まることもしてるぞ。・・・ボンゴレの前身は自警団だからな」

 

「え、あ・・・」

 

 雪男が戸惑ったように目を瞬かせ、シュラがニヤリと笑った。

 

「なーるほどにゃ~・・・それで“ヴァチカン”とも懇意なわけだ」

 

「そうだぞ」

 

「クフフ・・・同情は結構ですよ。ウチのボスがそういったマフィア界を更地にして作り変えてくれるそうですから。それよりも今回の屍番犬の事件に集中した方が良い」

 

「骸、楽しそうなのな~」

 

 山本が苦笑すると骸は胸を張った。

 

「当然です。・・・エストラーネオの二の舞にしてくれる」

 

「・・・あんまりやりすぎんなよ?10代目に迷惑がかかる」

 

「獄寺隼人、わかってるでしょう?・・・心配すべきは僕じゃなく沢田綱吉当人ですよ」

 

「・・・言うな、わかってるから」

 

 骸に言い返された獄寺はそっと視線を外した。

 

「沢田はああいう輩を嫌いそうだからね。それでなくても猫被りを止めて遠慮がなくなってるっていうのに・・・」

 

 雲雀もまた微妙な表情をうかべた。

 

 そう、なぜ骸がいるのに雲雀がくってかからないのか。

 

 器がクロームだから。という理由だけではない。

 

 ここで騒ぎを起こしたら、自分が我慢してるのに、とツナが怒り出すのが目に見えているからだ。

 

「・・・と、言うわけだそうだぞ、雪男」

 

「・・・あ・・・すみません・・・勝手に思い込んで、勝手に幻滅して」

 

 マフィアだからと一括して考えた自分を恥じるように雪男が項垂れると、守護者達は揃って苦笑した。

 

「いやいや、そう思うのは当然なのな~、俺らだって人を傷付けたことがないかと聞かれたら、ないとは言えねーし」

 

「ま、マフィアなんてそんなもんって思われてもしょうがねえしな。言い訳もできねーよ」

 

「当然ですよ、マフィアなんてくそくらえです」

 

 それぞれに口にする言葉は雪男を責める色はなく、自嘲めいたものばかり。

 

「よかったな、雪男。怒ってねーってさ」

 

「・・・うん、兄さん」

 

 ホッとした様子で表情を和らげた雪男に、燐はニカリと笑った。

 

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