屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜  REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー   作:cibetkato

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ブラコンと超直感と悪意

「・・・ていうか、お前頭にいきなり乗ってくんなよな~、ビックリしたじゃねぇか」

 

 そう言って頬を膨らませた燐に、未だ彼の頭の上に乗っているリボーンはニヤリと笑った。

 

「なかなか座りやすそうな頭だったからな。オメェ気に入ったぞ。ツナのファミリーになれ」

 

「へ!?」

 

「だ、ダメですよ!!兄さんは僕だけのッ・・・じゃなくて、聖騎士(パラディン)を目指してるんですから!!」

 

 本音キター。

 

 塾生から生暖かい視線が雪男に向けられる。

 

 “たまにキレると兄そっくり”“兄溺愛むしろ兄は嫁”が塾内では常識になっている雪男である。

 

「ぱ、らでぃん?・・・とはなんだ?」

 

 聞き慣れない言葉に了平が首を傾げる。

 

「祓魔師の最高ランクって言ったらいいかにゃ~。燐は無謀にもそれになるって、アタシに宣言しちゃったわけなのだよ~。にゃはは!」

 

 答えたシュラがその時のコトを思い出してケタケタと笑う。

 

 父親を侮辱されてその場の勢いで聖騎士になるなんて言う“悪魔の子”。それは滑稽としか言いようがないが、“父親が大好きな息子”としては100点満点の答えである。

 

「そうなのか~。ま、目標は高い方がいいのな~」

 

「よくわかんねーけど、頑張れよ」

 

 山本と獄寺は素直に応援する言葉を口にする。

 

「しかし・・・無謀さではウチのツナに負けず劣らずってトコだな」

 

「え?」

 

 頭上から降ってきたリボーンの言葉に、燐はキョトリとする。

 

「アイツもボンゴレブッ壊すって言ってボスになる試練を最年少でクリアしたからな。本気でやりかねねーが、アイツですらどれ程の時間がかかるかわからねーくらいにボンゴレは肥大化したからな。だから無謀っつってんだ」

 

「そうなのか・・・」

 

 本人が笑顔で宣言していたものが、冗談ではなく本気の言葉だったと知り、燐は神妙な顔つきになった。

 

「俺、いろいろとアイツに対して失礼だったかもな・・・周りに流されてるんじゃなくて、ちゃんと考えてマフィアのボス候補ってのをやってるんだな」

 

 燐の脳裏に浮かぶのは、実の父親に慇懃に頭をさげられても顔色一つ変えず役職名を口にしたツナの姿。

 

 相当の覚悟がなければ難しいことだと今更ながらに思い知ったのだ。

 

 自分も弟が先生という似たような境遇にいるが、あそこまで徹底できるかと聞かれればそれは無理だと答えるしかない。

 

「雪男を先生って呼んで、敬語使って話すとか・・・たぶん、俺無理だ~」

 

「そ、そんなコト考えなくていいんだよ、兄さん。兄さんは今のままでいいんだ。そんな他人行儀なことされたら、僕・・・」

 

 ブロウクンハートしちゃう――なんて、どこかで聞いたセリフだ。

 

 雪男は口を閉ざし、視線を燐から外す。

 

「あ、ああ・・・まぁ、雪男がそう言うなら・・・」

 

 弟からの過剰な愛に気付いているのか、いないのか。燐は戸惑ったようにそう告げる。

 

(いい加減気付かへんのですかねー・・・奥村くん。奥村先生の愛はかなりわかりやすいと思うんですけど)

 

 ボソリ、と廉造が周りに聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟く。

 

(さてな、アイツ・・・ちょお鈍感なトコがあるからな)

 

 竜士は呆れたように燐を見やり、肩を竦める。

 

(どうでもいいけど、杜山さんも気付いてないわよね)

 

(あー、純粋な兄弟愛とは思ってはるみたいですけどね)

 

 出雲が言えば、子猫丸もうんうんと頷く。

 

(・・・結論。あの3人は放っておくべし、やな)

 

 竜士が言えば、塾生は全員(なぜか宝も含め)こっくりと頷いたのだった。

 

 

***

 

 

 そしてグロッタファミリーの拠点の1つに到着し、ツナがフラフラと獄寺達の待つ方へとやって来る。

 

「お、お疲れ様です、10代目」

 

「うん・・・もうちょっと車の中にいたら、車ごと氷漬けにしてたかも」

 

 獄寺に声をかけられてホッと息をつくツナ。どうやら車中では相当我慢していたらしい。

 

 顔色が悪いうえに口元を押さえているので車に酔ったようにも見えるが、ただ単に怒りに任せて罵詈雑言が出て来ないように押さえていて、言いたいことが言えないから顔色が悪くなってしまっているだけだったりする。

 

「10代目、大丈夫ですか?・・・お水をお持ちしましょうか?」

 

 バルトロが声をかけてくる。どうやら車酔いと勘違いしているらしい。

 

「大丈夫です。酔ったわけではないので・・・」

 

 だから話しかけんな。と言わんばかりのオーラを出すツナだが、点数をあげたいバルトロは何かと世話を焼こうとする。

 

「・・・うわ・・・なんか大変そうだな、アイツ」

 

 燐がそんなツナを見てぼやく。はたから見てもうざったいのだから、ツナ自身相当キているに違いない。

 

「ど、どうしましょう、リボーンさん・・・10代目がキレたら、マズイことになりますよ。一応、同盟なんですし・・・」

 

「グロッタファミリーがどうなろうが知ったこっちゃねェが・・・ツナがキレて手がつけられなくなる方が怖ェな・・・止めてくるか」

 

 リボーンが深い溜息をついて、ツナとバルトロの方へと向かう。

 

「ワリィが、あんまりコイツを構わないでくれ。甘やかすと為にならねェんでな」

 

 リボーンがツナの頭の上に乗りそう言えば、バルトロは、でも、しかし、と口の中でモゴモゴと呟く。

 

「体調が悪いわけじゃねェんだ。ただ単に超直感が危機を訴えてるだけだろ。な?ツナ」

 

「ああ・・・ドン・グロッタには申し訳ありませんが、少し放っておいていただけるとありがたい」

 

「・・・こ、これは失礼をいたしました・・・その、落ち着ける場所をご用意しますので・・・!」

 

 これ以上しつこくすると、逆に点数が下げられると理解したらしいバルトロは、慌てて部下数人に東の離れに人を入れる準備をするようにと声をかける。

 

「・・・助かったよ、リボーン」

 

「いや・・・キレたオメェの相手が面倒だからな」

 

「一言余計だっつの・・・ったく」

 

 深い溜息をついてツナはその場にしゃがみこんだ。

 

「大丈夫か?ツナ・・・マジで具合悪そうに見えるぞ?」

 

「うー・・・。もう、超直感がバリバリ働きすぎちゃって、本当に気分悪くなってきちゃった」

 

「・・・やっぱり、ヤツ等は黒か?」

 

 リボーンが確認してくる。

 

「んー・・・黒っぽいんだけど、超直感だけじゃ何とも言えないな・・・でも、今回の事件に深く関わってるような気がする」

 

「ツナの超直感が外れたことはねェからな・・・オメェら、ヤツ等の目がある所では気を張ってろよ?」

 

 こっくりと頷く守護者と祓魔師達。

 

「あ、そうだ・・・途中で骸が来たでしょ?」

 

 ツナがチラリとクロームを確認する。

 

 到着直前で離陸態勢に入ったから、と自分の器に帰って行った骸の存在に気付いていたらしい。

 

「ああ、どうやらアイツらはフランスに人材確保に行ってるみてェだな」

 

「フランスに?」

 

「ほら未来で会ったカエルの帽子被った、ヴァリアーの霧の術師。骸の弟子とか言ってたヤツだよ」

 

 首を傾げるツナに山本が説明してやると、ああ、とツナは納得の声をあげた。

 

「フラン、って言ったっけ?あの間の抜けた喋り方が張り倒したくなるくらいムカつく子でしょ?可愛いよね」

 

(ムカつくのか?可愛いのか?どっちだ???)

 

「・・・あ、ああ、そういう認識だったのか」

 

 サラリとまた毒をはくツナに、リボーンが口元を引き攣らせた。

 

「あの子、素直に仲間にできるとは思わないなー・・・なんとなくだけど、すっごい骸達が苦労しそうな気がする」

 

「超直感か・・・?」

 

「さぁ?わかんない・・・でも、これだけは自信を持って言える。あの子は骸達もヴァリアーも手玉に取ると思うよ」

 

 骸、かわいそー。

 

 ちっともそうは思っていないような棒読みだったが、わずかに眉をひそめていたところを見ると少しは憐れんでいるらしい。

 

「ま、まぁ。骸達のコトは後で確認するとして、これから俺等はずーっとグロッタファミリーと行動を一緒にするのか?」

 

 山本が何とか話題を変えようとすると、ツナの機嫌が一気に悪くなった。

 

「それはヤダ。っていうか、無理」

 

 彼等からにじみ出る悪意を感じ取ってしまい、反射的に攻撃しそうになる。

 

 それを押しとどめるだけで疲れてしまうのだから、これから事件解決までずっと一緒というのは勘弁願いたいところなのだ。

 

「しかし、グロッタファミリーが納得するでしょうか?」

 

 それでなくてもしつこそうなのに、と獄寺が言えば雲雀が鼻をならした。

 

「フン、これ以上群れるなら、僕がヤツ等を咬み殺すよ」

 

「極限に待つのだ、雲雀!ここで守護者である俺達が暴れたら沢田が困るだろう!」

 

「煩いよ、笹川・・・僕がどうしようが僕の勝手だろ?」

 

「なにおぅ!!」

 

 火花を散らして睨みあう2人。

 

 今まで我慢していたものが爆発し、とうとう激突かと皆が身構えた。

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