屍番犬(ナベリウス)の鳴く夜  REBORN!×青の祓魔師 クロスオーバー   作:cibetkato

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ギルティ

 案内された部屋はそれぞれが上等な家具が揃えられておりセンスは良い。だがツナの部屋の“検索”と“消毒”を行おうとした獄寺がクローゼットを開けた瞬間、表情を引き攣らせた。

 

「・・・隼人?」

 

「あー、いえ・・・何でもないッス・・・」

 

 パタン、とクローゼットを閉めた獄寺は、ツナの元に行き真剣な表情で告げた。

 

「10代目・・・今すぐこの部屋を出ましょう」

 

「は?・・・なにそれ」

 

 首を傾げるツナに、獄寺は必死の形相をうかべた。

 

「お願いですから、ここから出ましょう!!」

 

 獄寺の声があまりにも大きかったのか、他の守護者や祓魔師達まで集まって来た。

 

「なんだ、どうしたんだ?」

 

 山本が首を傾げる。その肩にはリボーンが乗っていて眉を顰めている。

 

「あ、いや・・・なんか、隼人がここから出ようってしきりに言うから理由を聞いてるんだけど・・・話そうとしなくって」

 

「どうしたんだよ、獄寺」

 

「理由言わないと、ツナ君だってわからないよ?」

 

 山本や炎真にそう言われ、獄寺は渋々クローゼットを指さした。

 

「お前等行って見てみろよ・・・10代目はちょっと我慢してください。貴方にお見せするわけにはいきません」

 

 そう言われてクローゼットに向かった山本と炎真、そして、燐。

 

「・・・って、なんで兄さんまで行くの!!」

 

「いや、気になって、つい」

 

 慌てて雪男も燐の傍に行ってクローゼットを覗きこみ・・・絶句した。

 

「あー、これは・・・うん。ツナ、俺の部屋か獄寺の部屋で休んだ方がいいのな」

 

「えー、何なの?・・・俺、見ちゃダメ?」

 

「ダメです・・・とにかく、俺の部屋に行きましょう!」

 

 山本の言葉に、更にクローゼットの中身が気になったツナだが、超直感は何も訴えはしないし、ズルズルと獄寺に引っ張られて部屋を後にした。

 

 そんなツナを見送った他の守護者や祓魔師達は、それぞれにクローゼットを覗きこんで、揃って呻いた。

 

「うわぁ・・・すごいね、この“金塊”」

 

「コレって・・・いわゆる賄賂っちゅうやつか?」

 

 しえみが呆然と呟けば、竜士が呆れたようにそう言って山本に視線を向ける。

 

「あー、たぶんそうなのな・・・こんなことされたらツナのヤツ激怒するのな~」

 

 なにしろ、マフィアランドの入島審査で賄賂の贈り方を見せろと言われた時でさえもダメツナの皮を被りつつぶちキレていた人間である。(その後、スカルと大だこが八つ当たりされていた)

 

 こんなみえみえな手で賄賂を贈られたら、怒髪天を突く勢いでグロッタファミリーを抹消するに決まっている。

 

「タコ頭も極限によく気付いたな!」

 

 了平がうんうんと頷いて獄寺を称賛すれば、クロームがそっと金塊に幻術をかけた。

 

「・・・後で、ボスが確認しに来てもパッと見は見えないようにしておく」

 

「ああ、それがいいね」

 

 雲雀が青褪めたまま頷く。こんなツナの逆鱗に触れるような真似をしてくれたグロッタファミリーを咬み殺しておこうかと考える。

 

「そもそもボンゴレにこんな事をしてきたら逆に同盟解消されてもおかしくないって、気付かねェもんか?」

 

 山本が呆れた様子で己の肩の上で唸っていたリボーンに視線を向ける。

 

「グロッタファミリーは新進気鋭のファミリーでな。同盟になったのもつい最近なんだが・・・まさか、こんな事をしてくるとはな」

 

「ボンゴレの同盟って幹部の推薦とか必要なんだろ?・・・調べた方が良くね?」

 

 山本の言葉にリボーンは深い溜息をついた。

 

「やれやれ、大きくなりすぎると組織も腐ってきたトコロが見つけにくくなって困る」

 

 リボーンは携帯電話を取り出してチェデフへと繋げた。

 

「ああ、家光か?・・・グロッタファミリーのことと同盟の推薦をした幹部のこと、少し調べてくれ」

 

 その一言で通じたのか家光は二つ返事で了承し、すぐに調査を開始する旨を伝えてきた。

 

「さて、叩けばたくさんほこりが出てきそうだが・・・これ以上ツナの逆鱗に触れてくれなければ良いがな」

 

 リボーンの懇願にも近い呟きに、守護者もそして祓魔師達も屍番犬の出没なんかより、もっとヤバいことになるのではと不安を抱いたのだった。

 

 

***

 

 

 そして、一休みしている間にチェデフから派遣させた運転手と車が到着するや否や、本当にすぐ出かける準備を始めたツナ達を見て、バルトロは大慌てで見送りに出てきた。

 

「あ、あの・・・お、お戻りはいつ・・・?」

 

「ああ、コイツ等は野宿とかは慣れてるからな。しばらくはヤツ等のアジトを見張ることにもなるだろうし、帰りの心配はいらねェぞ」

 

 最強の赤ん坊・アルコバレーノの言葉にバルトロは二の句を告げずに頷いた。

 

「・・・わ、わかりました・・・せ、っ!」

 

 せめて護衛を、と口にしようとしたバルトロだが、リボーンに睨まれてビクリと肩を揺らす。

 

「余計な真似はしなくていい。ここまでの案内ご苦労だったな」

 

 黄のアルコバレーノ、リボーンは読心術を使える。それは裏社会ではよく知られている話で、バルトロも警戒はしていたようだが、表情一つにしても考えていることはまるわかりだ。

 

 リボーンもそれを隠すつもりはなく、お前の考えはわかっているぞと警告のつもりで“余計な真似はしなくていい”と告げたのだ。

 

 これ以上不愉快な真似をされてツナが本気でブチギレたらどう責任を取ってくれるのか。

 

 ツナがフルパワーで暴れまわったら、島1つ消える可能性だって無くはない。・・・本気でそう思っているリボーンである。

 

「綱吉様・・・ご依頼のありましたヴルカーノファミリーの元祓魔師の情報を調べて参りましたので」

 

 運転手兼チェデフからの調査員として派遣されてきたターメリックが、うやうやしくその書類をツナに差し出す。

 

 ターメリックはツナの暴れぶりは家光やバジルを通して知っているため、ついツナの顔色を伺ってしまう。

 

 そんなターメリックに見つめられながらツナは書類に目を通し、ある一文を目にした瞬間に眉間のしわを深くした。

 

「ターメリックさん・・・ここの一文は、ウラはとれたの?」

 

 ツナが指し示した一文に視線を向けたターメリックは、わずかに目を細めて頷いた。

 

「はい・・・間違いございません」

 

「そう・・・ブリツィオ・ルティーニ・・・復讐者の牢にでもぶち込んでやろうか。正十字騎士團に引き渡すよりもその方が良いと思わない?ね、リボーン」

 

「ツナ・・・復讐者のコトは外部の連中の前では口に出すなって家光に言われてんだろうが」

 

 呆れた様子のリボーンに、ツナは肩を竦めた。

 

「いいじゃん、どうせ関わって来るよ。アイツらのことだからどうせ全部が終わってからこっちに姿を現すに決まってんだ。・・・ホント嫌味の1つでも言ってやろうか」

 

「じゅ、10代目!!いけません!復讐者を敵に回すようなことだけは・・・!」

 

「ハン!何弱気なコト言ってんのさ隼人。こっちはアイツらの仕事の肩替りだってしてやったんだ。しかも、ちまちまちまちまと情報開示して戦いを長引かせたのは誰だっつの!!・・・あー、思い出したら腹立って来た。どれだけエンマ達や俺達が迷惑被ったか!」

 

「いや、それはその・・・Ⅰ世と復讐者との契約で・・・」

 

「あ゛!?」

 

「・・・イエ・・・何でもアリマセン・・・」

 

 反論しようとして心が折れた。いつも以上にツナの機嫌が悪いのはきっとバルトロのせいだ。そうだ、この件が終わったら、守護者全員でコイツ等シメておこう。

 

 獄寺は心の中でそう呟いて、そそそ・・・とツナから距離を取った。

 

「・・・ツナ、なんだかXANXUSみてーだな」

 

 ボソリ、と山本が呟く。バカ!と小声で獄寺が叫び、くる~りとツナが山本の方を振り向いた。

 

「誰が猿山のボス猿だって?」

 

「・・・いやいや、そこまで言ってねーよ、俺」

 

 というか、XANXUS=猿山のボス猿って認識なんですか。はい、そうですね。聞こうとした俺がバカでした・・・。

 

 山本が強張った笑みのまま後退りする。

 

「・・・どうでもいいけど、準備が出来たなら早く行かない?」

 

(じゃないと、目の前のこの男咬み殺しそう)

 

 珍しくも雲雀が行動を促す。

 

 というのも、先程から不穏な空気をかもし出しているバルトロを咬み殺したくてしょうがないのだが、ここで暴れたらツナの“お仕置きねっちょりコース”直行だとわかっているため、それならばと口を開いたのだ。

 

「わかった、恭弥の言う通りだね。さっさと行こう」

 

(じゃないと、こいつら全員氷漬けにして粉々になるまで粉砕したくなっちゃうし)

 

 危険極まりない副音声が聞こえたような気がした他の守護者は、ツナと雲雀を慌ててターメリックが乗ってきた車にぶち込んだ。

 

「じゃ、ここにはもう寄らないと思うんで。休憩させてくれて、どもッス」

 

「あー、ここまでの案内は助かったぜ」

 

 山本と獄寺がおざなりに礼を言うと、残りの者達も車に乗り込んだ。

 

 ボンゴレの次期幹部といえどまだ子どもの守護者達に馬鹿にされたと捉えたバルトロは顔を真っ赤にして、走り去る車を睨みつけた。

 

「・・・おのれ・・・生意気なジャッポーネのガキ共が!!!」

 

 腹立ちまぎれにガツン、と庭にあった彫像を蹴るとバルトロは屋敷の中へと入って行った。

 

 この先どんな道を選んでも滅びしかないと気付かないまま。

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