お気に入りが500を超えていてびっくりしています。笑
まさかこんなにも沢山の方にお気に入りをしてもらえるなんて、思っていませんでした!ありがとうございます!
では!どうぞ!
第19Q 決着
ーーーーーー
誠凛ベンチ
「ペースは今こっちにある。これ維持できるようにしましょ」
誠凛の試合内容的には、白鷺の貢献もあり思った以上に点数が取れていた。津川を白鷺が抑えてるおかげで他の選手も動きやすくなり、点数に繋がっている。もとより、白鷺が殆どの点にからんでいた。
「まだ油断は禁物だ! なんたって相手は王者だならな。気を抜いたら一気にもってかれるぞ!」
点差はあれど慢心などしない。日向の檄が飛ぶ。
今の誠凛に慢心など微塵もない。いくら点数が離れていようと油断はできない。
「おい! 白鷺!」
「なんだよ火神」
ミーティングが終わるとベンチに座っていた火神が、白鷺に声をかけた。
「お前、あのアンクルブレイク狙ってやったのか?」
「あぁ、あれか。あれはたまたまだな」
「そうか」
白鷺の返答に火神は納得していなかった。試合を見てる限り、あれは意図的にやってる節がある。そう火神は感じていたのだ。
「白鷺君」
「なんだ次は黒子か」
火神と話しているといつのまにか黒子もその場にいた。
「後半は本気でやってください」
「え?僕はちゃんとやっているよ」
黒子は少し不機嫌な顔をしている。外から見るとそう見えていたのだろうか。白鷺自身は手を抜いているつもりは無かった。ただ必要なことをやっているだけ。ただそれだけなのだ。
「........」
納得できないといった表情を黒子は浮かべていた。黒子自身、試合で手を抜いたり抜かれたりするのは嫌いなたちだ。そのせいもあってか、白鷺の態度にあまりいい気待ちではないようだ。
「はぁ....わかったよ」
そう一言いうと白鷺は二人に背を向けコートへと歩き出す。
「ちょっとだけな...」
白鷺は静かに呟いた。
ーーーーーー
正邦ベンチ
「まず、白鷺の動きを止めなければならない。津川でさえ簡単に抜かれてしまう。」
正邦は今までにない程に追い込まれていた。原因の一つは津川が簡単に抜かれてしまうというこの状況だ。普段ならどんな相手でも硬い守りをする津川が機能しないということ。それと同時に白鷺を止められないという現状にある。
「とりあえず白鷺をなんとかして止めろ。あいつを止めれば、誠凛全体の動きが止まるはずだ」
正邦はまず一番の問題である白鷺を止めることを優先。白鷺以外の選手は十分戦えている。だからその全体の動きをよくしている元凶、白鷺を止めることに重点を置いた。
「........」
「津川大丈夫か?」
少し元気がなさそうな津川を心配し、岩村が声をかける。
先ほどの白鷺にやられたプレイが、心にきているのだろう。そう岩村は思っていた。
「いつもの元気はどうした!!気持ちで負けたら、勝てるものも勝てないぞ!」
「....はい!」
岩村の言葉でなんと元気を取り戻した津川。
だか、まだ頭には白鷺のあの眼の感覚が残っていた。
ーーーーーーー
「これより第3Qを始めます」
第3Qが始まり、各選手ポジションにつく。
誠凛からのスタート。伊月がハーフラインまで上がり、ボールをキープしている。正邦の守備は変わらずマンツーだ。白鷺には津川がついている。津川は先程より白鷺に接近し、プレッシャーをかけている。一般の選手ならスキを作るどころか動くのも困難なはず。でも、白鷺は違った。
「へい!」
「くっそ!!」
白鷺はいとも簡単に津川の守りからスキを作り、伊月へパスを要求。
すかさず伊月は白鷺にパスを回し、白鷺がボールを受け取る。
「そういういえば、古武術だっけ?君たちが得意としてるの」
「それがどうした!」
「なら、それでいこうかな」
「なに....!?」
白鷺がドライブの体制に入る。しかし、まったく力感がない。これからドライブをしようとしてる感じはなかった。が.....
シュッッ....
「なんだと....!?」
気づいた時なは津川の目の前から白鷺は消えていた。津川は反応すら出来ず、そこに立ち尽くしていた。
「(くそっ!! 今のは完全に古武術じゃねぇか! 三年生の先輩よりうまい。でも、こいつ古武術なんてやったことないだろ! なんで...)」
津川は混乱していた。古武術は自分達しか出来ないもの、そう思っていただが、現実白鷺がそれをやってのけてしまった。
「日向先輩!!」
白鷺は津川を抜くと、日向の名前を呼びパスを出そうとする。しかし、すぐさま岩村のヘルプが入り、パスコースを塞がれる。
「絶対にいかせん!」
先程こいつがやったのは間違いなく古武術だ。でも、たまたま出来ただけのマグレ。そう簡単にできるものではない。俺は三年間、鍛えてきた。それで今の力がついた。こんな一年に真似できるようなものではない!!!ーーそう岩村は思い、白鷺のマークについていた。体格的には白鷺が不利である。
「君たちはそれしか言わないのか」
「....なに?」
白鷺はフロントチェンジで左右に揺さぶりをかける。岩村は三年生なだけはあり、その動きについていく。が、少しずつ反応が遅れ始めてくる。それを白鷺は見逃さない。
「....足が!」
先程、津川にやった時と同じように、利き足に重心がのった瞬間に切り替えし、それに反応できず岩村はその場で倒れてしまう。
「僕を止めることはできない」
倒れた岩村の横をドライブで抜き去る。ペイントエリアに入った瞬間に白鷺は勢いそののままにジャンプした。
「決めさせない!」
津川がゴール付近まで戻っており、ブロックの為にジャンプする。津川のジャンプ力は思ったよりも高く、白鷺とゴールの間にしっかりと手を出していた。
「お前のブロックの高さはさっき火神のブロックに飛んだ時に把握済みだ」
白鷺はわざとブロックに飛んでいる津川の手にボールを当てる。
「よっし!!」
完全に止めたと思い声がでる津川。しかし、津川の手に当て弾かれたボールはゴール下にいる水戸部の方に飛んだいく。そのボールは水戸部が掴み、しっかりとゴールを決める。
「くっそ!!」
「どんまい! 津川!」
坂本が津川に声をかける。これは単に運がなかった、誰しもがそう思うだろう。まだ誰もこの真意に気づいてはいなかった。ある一人を除いては.....
ーーーーー
誠凛ベンチ
「今のはラッキーだったな」
火神は今のプレイ運が良かったと思っている人達の一人だった。しかし、黒子は....
「今のプレイ、狙ってましたね」
「は⁉︎嘘だろ!」
黒子の言葉を信じきれていない火神。普通ブロックに弾かれたボールを意図的にコースを決める事なんてできやしない。それでも、黒子は狙ったと言いきる。そんな事が出来るのか、火神は半信半疑だった。
ーーーーー
攻守が変わり正邦ボール。
誠凛は津川には白鷺、岩村には水戸部、春日には伊月がつき残りの2人はゾーンで守っている。
春日は全体をよく見ながら様子をうかがっている。前半からのプレイも合わせて、白鷺がマークについている津川にパスを出すことはできなかった。
「(どうするか。津川に白鷺がついている以上あいつにパスは出せない。ゾーンで守っている場所で回すしかない)」
春日は伊月の様子を伺いながらパスコースを考えていた。
「(とりあえず、伊月を抜いてからパスを出そう。もし、出さなきゃ自分で決めるのみ)」
春日は古武術を使い伊月を抜きにかかる。が、伊月はそのドライブを読み春日の前に立ちはだかる。
「前半までまったく反応できていなかったのに....」
「あぁそれは前半までな」
伊月はニヤリと笑いながら答える。ビデオで研究していた成果が出始め、古武術の癖を見抜きその動きに対応していた。
「(くそ!! 白鷺一人でもキツイっていうのに!)」
春日は攻めあぐねていた。古武術といっても、いつでも使えるというわけではない。色々応用もあるが、相手が癖に気づいている以上、使うから抜けるということは出来ないということになる。
「春日!!」
「大室!!」
春日がパスを出せない状況を悟り、大室が春日に近づきパスを要求する。春日はなんとか大室にパスをだす。
「よし!」
大室はパスをもらうとドライブをしかける。小金井がヘルプに入るが、すぐさま坂本にパス。坂本はパスを受け取るとそのままシュート体制にはいる。
「いけー! 大室!」
大室はシュート体制に入り、シュートを放とうとした瞬間、目の前に影が現れた。
「そんなんで決められるとでも?」
大室が放ったシュートは白鷺にブロックされる。
「(こいつ...速すぎる!)」
津川をマークしていたはずなのに、気づいた時にらブロックに飛んできた。とんでもない守備範囲だと正邦全員が驚いていた。
「速攻!!!」
ブロックし弾かれたボールは小金井が広い、前線へ上がっていく。
日向、伊月はもうスリーポイントあたりに一度っており、それに遅れて水戸部が走っていく。
「伊月!!」
小金井は前線に上がっている伊月にロングパス。伊月はそれをしっかりと受け取りジャンプし、レイアップの体制にはいる。
「王者をなめるな!!この程度で抜けると思うなよ!!」
伊月の背後から岩村がブロック飛んでいた。伊月はもう既にシュート体制に入っている。これは止めた、と正邦の選手誰しもが思った。
シュン!!
「なに⁉︎」
伊月はノールックでフリーの日向にパスを出す。普通ならブロックされてもおかしくないタイミングであり、ましてやノールックでなどパスは出せないはずだ。しかし、伊月の能力、『鷲の眼』がある。普通の人よりも視野が広い伊月は、ノールックでも的確にパスを出すことができる。
「ナイスパス!伊月!」
パスを受け取ると、日向はすぐさまスリーを放つ放ったボールはリングにかすりもせず吸い込まれていく。
完全に流れは誠凛高校にあった。
ーーーーー
その後第3Qは勢いそのままに誠凛のペースで試合が進んでいった。日向達2年生が完全に癖を見抜き、相手の動きにしっかりとついていけるようになった。逆に正邦は、完全にペースを持っていかれてしまい、中々点を取る事ができなくなっていった。理由としては、白鷺の影響。想像以上の守備範囲、圧倒的な攻撃力。正邦は白鷺の事を止めることができなかった。そして、日向達の古武術に対しての対応力が上がった影響も響いている。それにより誠凛リードで第3Qが終了。
ーーーーー
「ナイッシュ!白鷺!」
第4Qが開始されるが、誠凛のペースで試合が進んでいく。
白鷺だけでなく、日向のスリー、水戸部のフックシュート、伊月や白鷺がうまくボールを回し、点数を重ねていく。正邦も負けじと点数を取っていくが、点差は中々縮まらない。東京最強のディフェンスはほとんど崩れ落ちていた。
そして第4Qも残り15秒
72ー50
「はぁはぁはぁ....」
白鷺のマークについている津川の体力が、限界に近づいていた。
試合開始から火神のマーク、交代してからも白鷺のマークをしていたそのツケが回ってきていた。
「やはり、その程度か」
「まだまだ....だ! 」
「いつもなら、相手の体力が先に切れているだろうが、今回はそうはいかなかったな」
白鷺の体力は十分にあった。逆に津川はもう動くことすらままならない状態であった。点差は離れ、体力も限界に近い状況だか津川はまだ諦めていなかった。ここで諦めれば何もかも終わってしまう、そんな感じがしたのだ。気持ちだけが津川を動かしていた。
「諦めないことは褒めてやる。だがな.....」
フルドライブで一気に津川を抜いていく。津川は反応すらできない。速さそのままにゴールに迫り、ジャンプをしダンクの体制に入る。
「白鷺ーーーー!!!」
岩村が全力で飛び、ブロックに入る。
「東京の王者正邦高校。最後まで諦めない心は認めよう。だが....」
白鷺はダンクをする為にあげた右手を下げ、背中に回しそのまま、ゴールへと放つ。
「この程度なら王者を名乗る資格はない」
放たれたボールは綺麗にゴールに吸い込まれいく。
ピピー!!!
「試合終了!!!」
「おおーー!王者が負けた!」
「誠凛の下克上だ!」
会場から歓声があがる。
「よっしゃー!!」
「やったな!みんな!!」
それにつられるかのように、誠凛も喜びの声を上げていた。
去年のリベンジ、借りを返すことができた。その事実を純粋に皆んな喜んでいた。リコはすでに泣きそうになっていたが、まだ準決勝で決勝が残っている為、なんとか我慢していた。
「集合!」
「74対50で誠凛高校の勝ち!」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
整列が終わると各々ベンチへと戻っていく。
白鷺も戻ろうとすると、津川が話かけてきた。
「次は負けないからな....絶対強くなってお前を見返してやる!」
「あぁたのしみにしてるよ。次だって俺たちは負けない」
さっきまでの殺気篭った雰囲気は消えいつもの白鷺の雰囲気に戻っていた。津川と握手を交わし、別れていく。
「白鷺君」
「うわぁ!! おい! 黒子びっくりさせるなよ!」
ベンチに戻ろうとしたところに、突如現れる黒子。この感じにらまだ、白鷺は慣れていないらしい。
「勝ててよかったですね!」
「おう!先輩達のリベンジの手伝いができてよかったよ!」
笑顔で話す白鷺。
普段の雰囲気に戻っている白鷺に少し黒子は安心していた。
だが、さっきまでの白鷺はなんだったのか疑問が残っているの事実だ。
「おい白鷺!」
「ん?どうした火神」
「やっぱりお前はすげー奴だ。でも、俺も負けない」
今日の試合を通じて改めて白鷺の強さを見た火神。改めて白鷺を認め、同時に負けたくないとも思っていた。
「あぁ。次の試合絶対勝とうな!」
「おう!」
白鷺と火神は拳を合わせる。それを見て微笑む黒子。
しかし、黒子はまだ心に引っかかるものがあった。
ついに決勝まで登り詰めた誠凛高校。
次はいよいよ、緑間真太郎率いる秀徳高校。
決勝へ
読んでいただきありがとうございます!
中々上達できませんね。泣
読んでいただいてる方にもっと読みやすいような文が書けるように頑張ります!!
次はいよいよ、決勝戦です!!お楽しみに!
感想、アドバイスお待ちしております!よろしくお願いいたします!