※現代社会では爆弾を抱えて特攻することはテロ行為です。現代社会ではこれを許していません。これを見てる人にそういう人はいないと思いますが、その危険な行為を絶対にしないでください。
それでは、本文をどうぞ。
「…………」
真木は操縦桿を握りながらも、迷っていた。
目の前に広がるのは月明かりにのみ照らされている千代田区、そして、暗闇の中を逃げ惑うパジャマ姿の大人や子供たちの姿。
ミサイルを使えばそれなりの被害者がでることは一目瞭然だった。しかし、それでも真木は誰かを殺してしまうかもしれないことに躊躇って、ミサイルをうたない。などということをしてはならない。
真木と一緒に基地を飛び立った他のイーグルも次々とメビウスにミサイルを発射、命中させる姿が、イーグルを旋回させる真木の横目にちらりと写った。
真木とて、自分から望んでこんなことをしているのではない。上司からの命令だ。すぐに出動できる。その言葉の意味はメビウスを殺すミッションだということだ。その時ほど上司を心の底から恨んだことはなかった。自分たちは専守防衛をモットーとする自衛隊だ。それなのに侵略したとは言いがたいウルトラマンに対してなぜ攻撃しなければならないのか不明だ。きっとあの上司はもう長いこと出動してないから空にそこら辺の常識を置いてってしまったのだ。
そしてまた、真木がミサイル発射ポイントに再び来る。真木はミサイルを発射しようとする。
その時、自分たちの放ったミサイルに不意討ちされて苦しみ、倒れるメビウスの姿が見えた。
「許せぇぇッ!!」
叫ぶ真木の機体からミサイルが発射され、メビウスに命中した。
メビウスが苦しむような声をあげ、地面に膝をつく。
ものすごい罪悪感の波が自分を包み込むようだった。
後続のイーグル2機が追撃を行う。
メビウスのカラータイマーの点滅が早くなる。
なぜ自分がやらなければならないのか。なぜウルトラマンの苦しむ姿を見なければならないのか。
また真木の出番がくる。真木がミサイルを発射しようとした、まさにその時だった。
「――ッ!!?」
真木の目の前に突如ヘリコプターが現れた(目の前といっても結構遠い)。あの青い機体は間違いようもない。警視庁航空隊のヘリだ。F-15Jを前にして、怯むことなく、その場でホバリングしている。
真木は急いで操縦桿を左に倒して、激闘寸前のところで回避する。
そして、なおもその場にとどまり続ける真木は、警視庁がウルトラマンの味方をしているのだと気がついた。こんな自殺行為。生半可な決意ではすることができない。多分、もう腹をくくっているのだ。
真木はそれを見て迷った。
ヘリコプターすらがメビウスを守ろうと命をはっているのに、自分は命令に従うだけだ。そう思うと、突然自分が情けなく思えてきた。
他のイーグルがヘリを撃墜どころか、威嚇射撃すらしないことを見ると、どうやら彼らも迷っているようだった。
真木は威嚇射撃をするかどうか、迷う。たったボタンを押す。それだけで威嚇はできる。というかその気になれば撃墜することだってできる。
「エルボー
そこまで言ったはいいものの、次の言葉がでてこない。何を言おうとしたのかが思い出せない。いや、もともと何を言おうかなど考えていなかったのだ。ただ自分の不安をなくすために他の人の声を聞きたかったのだ。
真木は、大丈夫だ。と自分の心の中で言って自分を落ち着かせる。そして言う。
「ヘリに警告射撃をせよ。ただし撃墜はするな。繰り返す。ヘリに警告射撃をせよ。ただし撃墜はするな」
自衛官である自分にとっては、この命令を出して、ヘリを撃墜させないようにするので精一杯だ。
イーグル一機から20mmバルカン砲が発射され、それが警視庁航空隊のヘリの真横を通りすぎる。
ところが、ヘリはその場から動こうしない。
そして、そうこうしている内に、メビウスがその重い体を起こした。
どういうことかはわからないが、急に自衛隊からの攻撃がやんだ。
「シュアッ……ヘヤッ!!」
メビウスは体を起こし、再びメガリュームクラスタMark IIに向かって構える。そして、さっきまで自衛隊にやられるこちらの姿を眺めていたメガリュームクラスタMark IIに向かって走り、その腹に蹴りをいれる。
メガリュームクラスタMark IIは、それを受けて数歩後退する。
メビウスを後退したメガリュームクラスタMark IIに向かって再び走り、その腹にもう一度蹴りをいれようとする。
「フアッ!?」
しかし、メガリュームクラスタMark IIも、さすが機械ということで知能は高いのだろう。それを予測していたかのように、蹴りをいれようとしたメビウスの足を凪ぎ払う。メビウスはビルをなぎ倒しながら倒れ、左肩を地面に強打する。
「――――――ッ!!」
「――ッ!?」
左肩を押さえるメビウスに、機械的な声をあげて迫ったメガリュームクラスタMark IIはメビウスの背中を蹴り飛ばす。
地面にうつ伏せになるように倒れたメビウス。メガリュームクラスタMark IIは蹴りをしようとする。
「シュアッ!!」
メビウスはすぐにたち膝のような体制になり、蹴りを体全体で受け止める。
「ハァァァァ……セヤッ!!」
メビウスはメガリュームクラスタMark IIの足を抱えたまま立ち上がり、メガリュームクラスタMark IIの足を上に上げ、バランスを崩させる。
しかしそれでも倒れないメガリュームクラスタMark II。
メガリュームクラスタMark IIは数歩距離をおき、そして両肩のキャノン砲。そして口からの破壊光線がメビウスに向かって発射された。
「ハッ!」
メビウスは∞の形をしたバリア、メビウスディフェンサークルを出現させ、その攻撃を防ぐ。
さすがウルトラマンのバリア。破壊光線が直撃してもひび一つ入らない。メビウスは目の前にメビウスディフェンサークルを出現させたままメビュームシュートを放とうとする。
しかし、その時だった。頭上で何かが爆発し、火だるまとなって降ってきたのは。
真木は、たった今自分で見た光景が信じられなかった。
目の前で撃墜されたのは警視庁航空隊のヘリ。攻撃のはもちろん真木でもない。当然他の自衛隊機でもない。3時の方向から突然飛翔してきた対空ミサイルによって撃墜されたのだ。
例えロックオンされても、その事実をする術がない警視庁航空隊のヘリは、ミサイルが見えた時にはもう遅く、回避行動をする前に、ヘリは爆発、炎上。地面へと落下していった。
誰がやったのか、それはすぐにわかった。
『こちらは在日米軍、三沢基地から参上した。第35戦闘航空団だ。ウルトラマンが出現したと聞いて助けにきた』
英語でそう言ってきた。その機体はF-16戦闘機だ。
そして、こちらが何も言わないと、米軍F-16戦闘機4機はウルトラマンに容赦なく攻撃をする。それを受け、何かをしようとしたメビウスの行為は中断される。そしてその時、基地から真木のイーグルに連絡がくる。
『真木さん! 継夢君が千代田区にて発見……生きていますッ! そしてたった今自衛隊とハイパーレスキューによって救助中です!!』
息子が見つかったら任務遂行中だろうがすぐに報告しろと命令した隊員からだった。それを聞いて真木は思わず涙ぐんだ。しかし、息子が救助されている場所は千代田区のどこかのはず。そうなれば場所を聞くまで安心はできなかった。
「宮本、詳しい場所は?」
そう言うと、宮本はすぐにその場所を言った。
「――クッソッ!!」
それを聞いて真木は思わず自分の足を叩いた。
――戦闘地帯と目と鼻の先じゃねぇかッ!!
それはつまり、下手すれば息子が死んでしまう可能性があるということだった。
真木はその時考えさせられた。
このまま米軍機が攻撃を続ければ息子が死んでしまうかもしれない。それにメビウスがいなければメガリュームクラスタMark IIは暴走し、町をめちゃくちゃに壊す。そうなれば息子はほぼ確実に死ぬ。しかし、ここで米軍機の邪魔をしようものなら、自分は絶対撃墜される。
真木は考える。どうすればいいのか。
しばらく考えた後、真下は答えを決めた。
真木の頭の中には自分の命とかそういうのはもうぶっ飛んでいた。可能な限り米軍機の邪魔をするように機体をあちらこちらへ移動させる。
すると、米軍機から怒声がとんできた。
『――――ッ!!』
早口過ぎて何を言っているのかわからない。わかりたくもない。
真木には、もうどうでもよかった。
「エルボー
真木は米軍機に対して威嚇射撃を行ってその動きを牽制。間髪入れず、メビウスに攻撃しようとするメガリュームクラスタMark IIにミサイルを発射する。
ミサイルはメガリュームクラスタMark IIに直撃し、爆発する。
「――ッ!」
今度は米軍機から威嚇射撃がとんでくる。しかし関係ない。威嚇を無視し、全ミサイルをメガリュームクラスタMark IIに命令させる。
メビウスは目の前で起きたことに頭がついていかなかった。
自衛隊機がなぜか味方であるメガリュームクラスタMark IIに攻撃をしている。そしてその機体を追うように4機の戦闘機がバルカン砲を発射する。
そして自衛隊機が後方部から炎上した。おそらくバルカン砲が命中したのだ。
真木はすぐに自分の機の異常に気がついた。
脱出したところで、米軍機のバルカン砲で蜂の巣にされるか、それか、もしも生きたまま地面に着地できたとしても、後に秘密裁判にかけられ、有無を言わせずに牢屋にぶちこまれ、死ぬまでそこから出られないだけだ。そんなのは死んでもごめんだ。
「…………」
真木は操縦桿を操作し、機体をメガリュームクラスタMark IIに向けた。
メガリュームクラスタMark IIはメビウスに掴みかかり、その首をしめている。狙うはメガリュームクラスタMark IIの後ろの首の辺り。
真木は特攻する気である。
なぜか恐怖は感じない。まるで今のような状況を昔にも感じたことがあるように感じられた。
すべては息子を助けるため、息子を助けるためならこんな自分なんかがどうなったって構わない。
「うおおおおおおおお!!」
次の瞬間、真木は赤い炎の光に包み込まれた。
最後、その脳裏に浮かんだのは、息子の笑顔だった。
作者は別に米軍が嫌いなわけではありません。(念のため)
それと、念のためもう一回言います。現代社会では爆弾を抱えて特攻することはテロ行為です。現代社会ではこれを許していません。これを見てる人にそういう人はいないと思いますが、その危険な行為を絶対にしないでください。
※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。