地球に初めてウルトラマンが現れて何年が経っただろうか。
ウルトラマンから始まり、ゾフィー、セブン、ジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、キング、80、ユリアン、メビウス、ヒカリ。たくさんのウルトラマンがこの地球にやって来ては、帰って行った。
どんな敵にも怖じ気づかずに向かって行く彼らの姿は当時の子供たちに大きな勇気を与えた。
宇宙警備隊と呼ばれる彼らは地球を幾度となく救ってくれた。いつしか人間は彼らと友情のような心を持ち、人間がウルトラマンを危機から救ったことも何度もあった。
しかし、それはもはや過去の出来事でしかない。今の地球人は昔とは違う。
25年前。地球に最悪が訪れた。正確な星人名すら不明のまま地球に進行してきたその宇宙人は、迎撃に向かった戦闘機を撃墜。その頃地球にいたウルトラマンを全員差し出せば地球の安全は保証すると世界各国に言った。もちろん、地球人がそんな要求を聞くはずもなく、ウルトラ兄弟と共に残っているすべての兵器を使い全力で戦った。
しかし、結果は惨敗。ウルトラマンたちも瀕死の人間状態で病院に担ぎ込まれてきた。
ここで人類は大きな選択肢に直面する。一つ目の選択肢はこのまま微かな希望を信じてウルトラマンと共に戦うか、二つ目の選択肢はウルトラマンを見捨てて地球の安全を護るか。
人類は二つ目の選択肢を取った。瀕死の状態で運ばれてきたウルトラマンたちを奴らに渡し、地球の安全を保証してもらった。奴らはそれから地球に住むようになった。当時の市民たちの中にはウルトラマンを渡すことに反対した者もいた。小さな子供からウルトラマンと戦ってきた隊員たちまで幅広い人間が。
しかし、そういう人間たちを反対を振り切ってウルトラマンは奴らに捧げられた。その後、ウルトラマンがどうなったのかは誰にもわからない。奴らに食われたのかも知れないし、わずかな隙を見つけて逃げたのかも知れない。
ウルトラマンが人類に裏切られたことを知ったのか、光の国から数人のウルトラマンが地球にやってきた。
しかし、その大半は奴らと戦う前に光となって消えた。
人類がウルトラマンを殺したのだ。ウルトラマンと共に戦うために作った兵器でウルトラマンを殺していく。反対した隊員たちは地下の独房に閉じ込めて洗脳する。
結果、今まで何人ものウルトラマンが、この星で命を落としてきた。25年も経って今ではウルトラマンが地球を侵略しに来た宇宙人。そんな洗脳教育がありとあらゆる場所で行われた。
誰もがウルトラマンを侵略星人だと思って疑わない世界。ウルトラマンと共に戦っていた人類がウルトラマンに矛先を向ける世界。それが今の地球だ。
今でも奴らはいる。しかしその姿は見えない。しかし、奴らがどこかにいるということなら誰にでもわかる。それは……
『今日、あのお方たちの生け贄として選ばれたのは愛知県○○市にお住まいに大林健太さんと、北海道○○市にお住まいの宮野さん一家です』
日本の都市、渋谷のビルに設置されている巨大なテレビでそんなことを整った顔立ちをしているニュースキャスターが言っている。
今日、つまり昨日もあったし明日もあるということだ。こうして奴らは毎日人間を補食する。補食される人間をどうやって決めているのかは一般人である俺にはわからないが、奴らは女子小学生からお年寄りまでなんでも食う最低の奴らだ。現に俺のいた学校でも補食された奴が数人いる。このままだといつか補食だけで人間がいなくなってしまうのではないか、ということが政府の間で話題になって、今では人間の養殖場を作る計画が世界各国で持ち上がっている。
現在の地球には人権も何もない。女子小学生が変な男たちに路地裏に連れ込まれて性的行為を受けるのは日常茶飯事。人権がなくなったから警察は動かない。目の前で起こっていることを止めることもできずにただ突っ立って、ウルトラマンを助けようとか言い出す人間たちを止める。性的行為を受けた人たちにできることと言えばやられた後に保護をすることだけ。警察はもはやかつての警察ではない。しかし、俺もそんな警察官の一人だ。
何かが変わると思い警察官になってこの様だ。夢は打ち砕かれ、現実という苦い味をとことん味わうことになった。
世界中の人々が明日への希望も見つけられないまま毎日を過ごしていく。
そんな時だったのだ。彼が空から降ってきたのは。
読んでいただきありがとうございました。続きを書くことがあったらまた会いましょう。
※この話はフィクションであり、人物名もすべて架空のもので実在する人物とは何の関係もありません。