ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

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五十二話 殺人予告

『 自分は今まで我慢してきた。今まで弟を貴様らに殺されてから、今まで我慢してきた。だが今は違う。警察、教師、犯罪者。どれであろうがもう関係ない。自分の敵はすべて殺す。

 警察諸君に次ぐ。

 我はツルギ。ハンターナイトツルギ。正義のヒーローである。諸君らが何も変えようとせず、また真の犯罪者を逮捕するつもりがないのは警察にいた自分自身がよくわかっている。しかしこれを送りつけたところで諸君らはどうせ何もしようとせずにこの紙はゴミ箱に直行するだけだろう。だから自分は、今、警察諸君に宣戦布告をする。先ず言っておくが、都内で教師を殺したのは自分である。そして、これから自分は次に該当する者を殺害する。

(1)都内の教師全員。

(2)諸君らが捕まえない犯罪者すべて。

(3)自分の邪魔をした者すべて。

 これらをすべて正義の名のもとに処刑する。当然これには犯罪者すべて。つまり諸君ら警察はもちろん、海保、消防、自衛隊員、政治家も含まれる。

 ちなみに言うが、これは宣戦布告である。自分は何のためらいもなく該当する者を処刑する。該当者に家族がいようがこれから結婚しようが関係ない。また、殺されるのが怖くて他県や海外に逃げても無駄である。全員殺す。しかし、それだけでは一方的に終わってしまうだろう。だから諸君らに一つだけチャンスを与えよう。これらの要求をすべてのめば、(2)から警察、海保、消防、自衛隊、政治家の者たちの処刑を免除する。

(1)警察はすべて国民に対し、今まで犯罪者を見逃し、また自分たちも犯罪に手を染めたことを発表し、謝罪せよ。またこの謝罪の場には海保、消防、自衛隊員もいることとし、この者たちも謝罪すること。

(2)(1)の謝罪の後、1ヶ月以内に犯罪に手を染めた者すべての名前を全国民に公開せよ。

(3)3ヶ月以内に憲法改正をし、元日本国憲法第11条、及びそれに関連する憲法を復活させよ。

(4)内閣は25年前にウルトラマンを見捨て、あのお方たちの犬となったことを、そしてかつてはウルトラマンが地球を守っていたことを認めよ。

 そして最後。一つだけ願いがある。これからを担う子どもたちのために、教師一人一人をもっと監視し、子どもたちの生命と自由を守ってほしい。それではいい返事を待っている。

 元警視庁公安部 公安総務課 第8係刑事 磯崎健二』

 

 

「で、俺にどうしろと?」

 それを読み終わり、紙を机の上に置いた宇佐美はいつかのSAT隊長、通称五分刈りの男に聞いた。目はもう治ることがないのか、この間着けていた眼帯をまだ着けている。

 ここはまだ米海兵隊の襲撃の爪痕が残っている警視庁である。部屋の中には相変わらずSAT隊員と思われる二人の男がいる。宇佐美はスマホに連絡を受けてここに来ていた。

「このハンターナイトツルギとやらを探して止めてほしい」

「断る」

 宇佐美は間髪入れずに即答した。

「……なぜだ?」

 五分刈りの男は特に焦る様子もなく、ただ非難の眼差しを向けて宇佐美に言った。どことなく二人のSAT隊員も怒っているように見えた。

「磯崎の言っていることは間違いじゃない。俺に止める理由はない」

 キッパリと宇佐美は言う。しかしその瞳からは何も読み取れない。まるでここ数週間で一気に年をとったようだ。

「もう教師が何人も殺され、犯行を止めようとした警官も一人死んでる。お前はそんなことをする奴を見過ごしにできるのか?」

 勝手なやつだ。と宇佐美は思う。この間は全部自分のせいにしておいて今は命令するように言ってくる。これをバカと言わずに何をバカと言おうか。

「奴をここまで追い詰めたのはお前らだ。その責任は俺がとるもんじゃない」

「お前は警察官だろ」

「警察手帳はあんたに返した。もう俺は警察官じゃない」

 五分刈りの男がぷるぷると震え出す。そして次の瞬間、またあのときのように宇佐美につかみかかってきた。

「お前それでも人間かッ!! 人間として貴様はこんなことを黙って見てられるのか!!」

 またあの時のように背中を壁に強打する。

「……俺から人間性をむしり取ったのは誰だ? お前にわかるか、誰も一緒に戦ってくれず、一人苦しみ続ける痛みが。お前ら仲よしこよしのSATちゃんにはわからないだろうな」

 まるで挑発するかのように宇佐美は言う。いや、バカにする。

「俺はあんたらには協力しない。それにあんたは俺に何を頼んでいるのかわかっているのか? (3)には自分の邪魔をした者すべて。と書いてある。つまりお前は何の関係もない一般人に死ねと言ってんだぞ」

「お前はウルトラマンだろ。それくらいしろ!!」

 んなむちゃくちゃな。この男頭おかしいんじゃないか?

「俺はやらない。考えてみろ。こんな世界になったのには教えた教師の責任でもある。大人ならちゃんと責任とる義務があるだろ。というか俺には自業自得としか言えない」

 五分刈りの男が唸る。今すぐにも殴りかかってきそうだ。

「あんたら調子がよすぎんだよ。この間は散々俺のことを拒絶しといて今さら協力しろだと? しかもなんだその言い方は」

 こんなやり取りをしている間に五分刈りの男は諦め、宇佐美は警察から解放された。




 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。
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