ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

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11月なのにこないだの雪凄かったですね(笑)


八十一話

 人を殺すことは、果たして罪だろうか?

 小さい頃から、我々日本人はそれを罪だと教えられてきた。だが、それは真実だろうか?

 警察はやむを得ない場合、犯人を射殺する。軍人は国を守るために、別の国の軍人を殺す。

 そして俺も、相手は人間ではないかもしれないが、相手を殺している。結局俺は同じだ。人間を殺していた磯崎とまったく同じ。何一つ変わりやしない。ただ殺す対象が地球人か宇宙人かの違い。それだけの違いだ。

 あいつが死んだ今、俺の中には人間を殺したいという思いが強くなった。

 やはり、やつのやっていたことは正しかった。俺たちがいくら頑張ったって、どんなに命をはったって、根本である教育の現場や政府の考えが変わらなければ何の意味もない。

 磯崎の死も、なにもかも無駄になる。

 ザギの咆哮が聞こえる。

 そう。だから俺は変えなければなない。教育の現場。そして腐りきった人間の根性を。それを変えるために、今ここで死ぬわけにはいかないのだ。

 メビウスはメビュームナイトブレードを瞬間的に巨大な剣へと変貌させる。

 そしてメビウスはそれを大きく振るう。

 ビルが真っ二つに斬れるが、そんなことは関係ない。

 メビウスはそのままメビゥームナイトブレードを振るい、ザギを一度斬ると、もう一度今度は逆から斬った。するとザギには∞の文字が浮かび上がり、次の瞬間に爆発した。

 すべてを変えてやる。磯崎の死を無駄にしないために。そしてこれ以上、あんなふざけたことを許さないために。

 

 霞が関の瓦礫の中を、彼は――イギリス人は歩いていた。その手にはやはり黒い筒が握られていて、そしてその体に傷はない。

 イギリス人はメビウスの攻撃を受けたにも関わらず、まったくの無傷だったのだ。

 風が吹き、それによって前が見えなくなるぐらいの埃が宙を舞う。

 その時だった。

 何かの光と共にパシャリ、という音がした。慌てて見ると、そこには四十歳ほどの男がカメラを構えてこちらを向いていた。おそらくはカメラマンだろう。

 イギリス人は自身が握る黒い筒と、カメラマンであろう男を何度か交互に見て、ニヤリと笑った。

 そもそもメビウスに負けたのはザギがまだ完成していなかったからだ。ザギの器であるイギリス人の持っている闇が小さいためにザギは完成できなかったのだ。しかし、人間はそうではない。やつらは我々より深く、そして上質な闇を持っている。

 イギリス人はカメラマンに近づく。カメラマンはいきなりのことにカメラから目を離してキョトンとする。その顔はやはり闇を抱えている者の顔だ。

 クックックッ、そう笑うのを堪えてイギリス人はカメラマンに向かって歩いてゆく。

「ちょっ、ちょっとなんだよ」

 イギリス人が目の前に来たところで、やっとカメラマンが言葉を発した。しかし、次の瞬間にイギリス人はカメラマンの頭を掴んだ。そして、頭の中で物を引っ張り出すイメージをする。

 そうすると、男の記憶が手に取るように見えた。

 なるほど、なかなかおもしろい人間のようだ。イギリス人は狂気に満ちた笑顔を浮かべて更に記憶を見る。

――こいつは、最高に使える。




 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。
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