人間とは、いったいなんだろうか。
自分……ウルトラマンを嫌い、時にはとんでもないことを言う人もいれば、あの小学生のように応援してくれて、こちらの身を思ってお守りまでくれる人もいる。
とんでもないバカの集まりだと、そう思う。そして自分もその中の一人だ。わざわざ他人のために命をかけ、精神を病み、ボロボロになっている。しまいにはお守り1つもらっただけでこんなに嬉しいと感じている。こんな自分がバカ以外のなんと呼べるだろうか。
死のうと思う度に、自分は思う。あと少しだけ、あと少しだけ。と。それが単なる延命にしかならないことはわかっている。でも、そうしていなければ、お守りをもらってこんなに嬉しく思うことはなかった。絶望のど真ん中でこんなにも心が暖まることはなかった。
不思議なものだ。この世界は、何もかもが不思議だ。とんでもなく残酷で、イラついて、大嫌いなはずなのに、たった一言あれば、少し元気ででてくる。そんな世界を自分は生きている。
何を考えたいのかと問われれば、それはわからない。最近は自分で自分が何を考えているのかすらもわからない。考えすぎて頭がおかしくなったのかもしれない。でも、それでも自分は考え続けたい。考えるのをやめてしまえば、自分はただ宇宙人や怪獣を殺すだけの存在になってしまう。それだけは嫌だ。自分は宇佐美翔夢という一人の人間だ。元警察官でとんでもなく心の弱い、しかしウルトラマンになってしまったアホな人間。
自分はそんな自分のことが大嫌いだ。勝手に考えて、勝手に落ち込んでしまう自分のことが嫌いだ。ウルトラマンになるまで誰も救えなかった自分も嫌いだ。もしかしたら自分がウルトラマンになったのは、そんな自分が大嫌いだったからなのかもしれない。そんな自分を捨てて、新しい自分を見つけるために、戦うのを選んだのかもしれない。
宇佐美は一歩、また一歩と首相官邸に近づく。距離は後10mくらい。そうしたら自分はもう一人じゃない。自分には日本政府。そして自衛隊がついてくれる。
だが、宇佐美がそう思いを膨らませてまた一歩を進めようとしたとき、それは現れた。
突然、周囲が赤く光ったかと思うと、何か質量のある物がすぐ近くに出現する。それは空から降ってきたのか、辺りは激しい砂埃に包まれて宇佐美は必死に目を守った。しばらくは砂埃で何も見えなかったが、少しするとだんだんと何がそこにいるのか見えてきた。
全体的に銀色で、一目見ればそれが金属でできているということはわかる、鈍い輝きを放っているその殺戮兵器は、かつてメビウスとその師、タロウを苦しめた沈黙の物体。その強さはきっとメガリュームクラスタの比ではない。そもそも、それの超大量量産型として造られたのがメガリュームクラスタなのだ。
奴の名、それは無双鉄神インペライザー。
あのお方たちは宇佐美の動向を監視していたのだ。だからここに訪れることもわかっていた。そして後もう一歩というところでわざとインペライザーをここへ送り込んできた。その行為から読み取れることは一つだ。宇佐美を絶望させること。何をやっても無駄だという印象を植え付けることで宇佐美から気力を奪おうとしているのだ。
彼に仲間をつくらせるほど、あのお方たちもあまくはなかった。
※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。