ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

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『日本国召喚』
今一番オススメの小説です。


九十三話

 ズブリ、と剣は吸い込まれるようにウララに突き刺さった。しかしそれだけだ。特にウララが痛がっているとかそういった様子は特にない。

 それでも、ヒカリはナイトビームブレードで攻撃し続けた。ウララから繰り出される攻撃もすべて無視。痛くないということはなかったが、我慢した。

 そうして斬り続けているうちに、不意になにか勘が働いて、ヒカリはウララの肉の中に手を突っ込んだ。なにか腕のようなものがそこにはある。ヒカリは迷うことなくそれを掴むと、思い切り引っ張った。

 そうして出てきたのはウララの血肉と、そして赤い体をした巨人……ウルトラマンメビウス。

 彼のカラータイマーは赤いながらも輝いているが、さすがにぐったりしている様子だった。

 だが、それでも彼はすぐにそんな様子を消し去った。それが弱い姿を見せたくないという意地なのか、それとも心配をかけさせたくない。というメビウスの心の表れなのかは、ヒカリにはわからない。

 隣に立つメビウスは、ヒカリの方へゆっくりと首を回し、静かに頷いた。ヒカリもそれに応えて、頷き返した。

 青い巨人と赤い巨人。二人の巨人は今、共に戦わんとしていた。

 

 自分を動かす……戦わせるのは、もはや怪獣を殺す思うこの気持ちだけかもしれない。それだけが、自分のことを戦わせてくれるのかもしれない。

 だが、それだけでいいかもしれない。この殺意に身を委ねてしまえばいいのかもしれない。そうすればもう迷うことはない。怪獣を殺すだけでいいのだ。誰かが死んだことに傷つくこともないのだ。それが一番楽かもしれない。

 人はよく、楽な道を選ぶなという。しかし、厳しい道を選びすぎて頭がおかしくなったら、どうしろというのだ。それでもそいつは楽な道を選ぶなというのだろうか。

 しょせん、人間なんてそんなものなのだ。すべての可能性を考えた上で完璧な答えを出すことはできない。……誰にもできない。だから、そんな中で生まれた身勝手な言葉に誰かが悩まされる。世の中で名言と言われているものは人生をそう生きろというものではない。そんなことに気づかない人は、悩み続ける。

 楽な道を選んだっていいではないか。わざわざ過酷な道を選んで、何かを犠牲にして、それになんの意味がある。

 厳しい道を選び抜いた結果に磯崎の死があった。もしも俺が磯崎を止めようとなんて思っていなければやつはきっと死んでいなかった。例えその結果で何人もの一般人が死んだとしても、やつが死ぬことはなかった。

 そう思いながら、しかし宇佐美はそんなことを考える自分が嫌いでしかたなかった。

 そんなストレスを発散するかのように、メビウスはメビゥームシュートの構えをする。それと同時にヒカリもナイトシュートを撃つモーションに入る。

 直後、二つの光線は発射された。

 オレンジと青の光線は互いに交じりあい、ウララへと向かっていく。

 光線の反動で二人のウルトラマンの体はじりじりと後退し、光線の真下の地面は削れていった。

 そんな光線をくらったウララが無事なはずなかった。光線はものの数秒でウララを原子レベルまで分解した。

 戦いは、終わったのだ。




 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。
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