ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

98 / 99
九十四話 別れ

 朝日が、四人の人間を照らしていた。

 血のように赤く塗られた大地にしっかりとその足をつけたものたち。しかしそのうちの一人の男は、他の三人と向き合うようにして立っている。

「俺はお前らのこと絶対殺すからな。覚えてやがれ」

 その男――ヒルカワはそう吐き捨てるとスタスタとその場から立ち去った。そして、残された三人のうちの一人も、くるりと二人に背を向けて、立ち去ろうとする。

「お、おい宇佐美!」

 なぜお前が去ろうとする? というふうに神原は思わず声をあげた。

「…………」

 宇佐美は立ち止まって振り返りかけたが、しかしすぐにやめて歩き出した。その歩調はゆったりとして、呼び止めようとすればいつでも呼び止められただろう。しかし、それは神原にも、楓にもできなかった。

 やつの背中は、追いかけるな。話しかけるな。と言っていた。何度も命のやり取りをした宇佐美のその背中には、有無を言わせない強さがあった。

 神原は衝撃を受けた。

 宇佐美は……神原の知る宇佐美はあそこまで冷たくなかったはずだ。

 お前はいったいどうしてしまったというんだ。

 そう心で問いかけるものの、宇佐美が答えることはなかった。

 遠くから、バラバラバラという音が聞こえた。空を見ると太陽を背にヘリが向かってきていた。多分、海保か海自のヘリ。目的は俺たちの回収か、何かの確認といったところだろう。

 そして、ヘリは近づくにつれその姿を露わにし、予想通り神原たちの近くに着陸した。

 よかった。と神原は思った。

 ヘリは海自のヘリSH-60Jだった。こんな時代の日本であるが、先の大戦の結果から旧陸軍関係者を徹底排除した陸自と違い、海自は扱う物の関係上、旧海軍関係者がかなり配属され、今でも彼らのシーマンシップ……海で生きる男たちの掟は受け継がれ続けていると聞く。

 彼らなら、楓のことも丁重におもてなししてくれるだろう。犯そうとするバカはいないはずだし、もしいたとしても、かなり昔に読んだ小説によればCPO室なる場所にいる先任海曹の猛者たちが黙っていないはずだ。

 ヘリの中から、艦長と思しき人が下りてきて、神原の前に立った。その横には小銃を構えた海自の自衛官が二人。

「神原佑一士だな? 我々は君を東京まで護衛するよう指示を受けた『ゆうだち』艦長、桑田だ。……そちらのお嬢さんについても、聞いている。誤解がないように言っておきたいが、これは逮捕あるいはそれに類ずるものではない。護衛だ」

 桑田の言葉に神原は疑問を覚え、思わずそれを口にする。

「護衛……? それはいったいどういうことですか?」

「私にこれ以上話す権限はない。……しかし、これだけは言わせてもらいたい。政府は君を殺すつもりではないということだ」

 いったいどういうことだろうか。

 楓はともかく、俺はクーデターを起こした上に逃亡した犯罪者だ。普通なら出会い頭に撃たれてもおかしくないはずなのに、それを護衛……?

 神原はまるで意味がわからず、頭の中ははてなマークでいっぱいになる。

 二人がヘリコプターに乗り込むと数秒後、ヘリは北海道の大地を離陸し、母艦である『ゆうだち』へと飛び立った。




 今回の章は皆さんも感じているかもしれませんが、個人的にはかなり悪い出来でした。申し訳ありません。

 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。