「転生特典をもらっても全て得になるとは限らない」   作:野鳥

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機動戦士ガンダムSEED編
第6話


 第6話

 

 オレが「荒廃した世界」から秘密基地に帰ってきて大体三カ月近く経過した。

 この三カ月は「機動戦士ガンダムSEED」の原作介入の準備をしていた。

 まずオレの原作知識とどこまで食い違いがあるか確かめるため、新聞やネット、果てはハッキングを行いそれぞれの勢力の軍事情報を調べた。………ハッキング云々は全部ハロまかせだったが。

 理由としては何せ初代ZではガンダムSEEDの話は詳しくは語られておらず、恐らくTVシリーズと同じことがあったのだろうと何となく予想できるがもし何か違いがあっていざという時それに対応できないと危ないからな。

 結果的に言えばガンダムSEEDの歴史の流れと特に違いはないのでオレの原作知識は有効に使えると思う。

 次にガンダムXを解析し、装甲材等の量産。ガンダムXの装甲に使われているルナ・チタニウム合金は実弾への防御力は高い上に重量はかなり軽いので、これを使えばコズミック・イラ世界のMS相手なら十分対応可能だろうと考えてだ。

 最後にストレイバードを元にしたオレの専用機をはじめ、幾つかのMSとそれらを運用するための戦艦の製作だ。これらの出番はかなり先なのである程度製作期間は余裕があるが、やはり作業に付きっきりにならないとオレが予定している使用時期に間に合わないため、ハロは基地に残って作業することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日、C.E.71  1月25日オレはコズミック・イラ世界に向かおうと転移装置の前にいた。

 

 

「いよいよか。」

『機体の作成は任せておけ。注文通りの仕上がりにしておく』

「頼むぜ。じゃあ行ってくる」

『ああ』

 

 

 オレはジンに乗り込み、ハロが転移装置を作動させる。オレはジンごと光に包まれ基地から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてオレは宇宙にやってきた。目的はガンダムSEED第1話から第3話の舞台となったヘリオポリスに向かうことだ。しかし、かなり到着まで時間が掛かりそうだなこれは。

 まあ、オレは何気に宇宙に来たのは、これが初めてになるので本番までに体を慣らしておく時間があっていいということにしておこうかな。機体の方も改造したばかりでまだ少し慣れてない。

 オレが乗っているジンだがこれからの戦いに辺り改良を加えている。スラスターの出力は通常のものより十倍以上も跳ね上がっており、その運動性はザフトで後々生産されるゲイツにも劣らない程高くなっている。マニピュレーターは格闘戦に耐えられるよう強度を増してある。装備は重突撃機銃に重斬刀と元々の基本装備に加え、バズーカ、それに腰部両脇を改造し、ストライクのアーマーシュナイダーを参考にし、対ビームコーティングされたナイフが内蔵されている。

 何せこれから戦っていくのはザフトの中でもかなりの実力派であるクルーゼ隊や砂漠の虎と恐れられるアンドリュー・バルトフェルドなのだからこれくらいの改造はしておかないと危険だからな。

 しかし、宇宙ってホントに静かだなぁ。どこを見ても星の輝きしか明かりのない暗黒の世界。人をはじめ生物が生きていけるとはとても思えないと見ただけで実感できるよ、これは…。なんか生活圏を広げるためとはいえよく宇宙にコロニー建設して住もうと思うな。怖くないのかねぇ?

 というような感じで大体出発から数時間過ぎたがまだ着かない。事前に確認した限りだとここいらにヘリオポリスがある筈なんだが………おっ。

 モニターを見てみると画面に小さいが、なにやら巨大な筒状の物体が映っていた。方向を調整してそれに向かって進んでいくとどんどんその巨大さを増し、全貌が見えてきた。

 あれがヘリオポリスか。いやぁ、初めて見るなコロニーは。改めてガンダム関係の技術の凄さを実感する。

 だが、そう悠長に構えている場合ではなくなった。突然コロニーのミラーに亀裂が入ったかと思うと崩壊を始めたのだ。

 

 

「何だ!何が起こって…」

 

 

 コロニーの崩壊が始まったかと思うと、外壁に使われていたミラーや内部にあった物が押し寄せてきた。このままでは衝突して死んでしまう。オレは押し寄せてくる残骸を避け、一旦この場を離れることにした。SEEDのガンダムみたいにフェイズシフト装甲はないから一回でも当たったらお陀仏だぞ!くそっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリオポリスから離れてしばらくした後、モニター越しにさっきまでいた場所を見てみるともうそこにはコロニーと呼べるものはなく、外壁部分やミラー、居住区の建造物の残骸を中心としたデブリの山となっていた。

 ………何でこうなった?まさかもう中でアークエンジェルとクルーゼ隊の戦闘が行われてたのか!? つまり完全に出遅れたってことか………。いや、となると今頃もうこの一帯から離脱しようとしてるかも…!!

 オレは急いでヘリオポリスがあった場所まで戻った。そしてアークエンジェルを探すが、大量のデブリでなかなか進めず時間はどんどん過ぎていった。

 クソッ! 本来の予定だとムウ・ラ・フラガがキラとクルーゼの最初の戦闘辺りには合流するのを前提で予定組んでたからこれはマズいぞ…!それどころかこのままじゃアークエンジェルが見つかるかどうかも怪しくなってきた………。

 このまま合流できずに終わるのかと半ば諦めかけていたが、オレにも運ってものはあったらしい。デブリ帯の中を進んでいると、センサーにMSの反応があったのだ。その反応があった場所へ急いで向かうとそこには、巨大な対艦刀を持ったトリコロールカラーのMSがいた。そして顔はガンダムヘッド。あれぞまさしくGAT-X105ストライク。キラ・ヤマトの初代搭乗機だ。

 よし! 一時はどうなることかと思ったが、これで原作介入への道が見えたぞ。 ……って、まずはアークエンジェルに案内してもらわないと。見たところ全く動いてないしまだヘリオポリス崩壊の衝撃から目が覚めてないのか………オッ、丁度起きたか。

 ストライクはその巨体を動かし、辺りを確認し始めた。

 さて、もうそろそろ話しかけようか、艦まで案内してもらわないといけないしとオレは思っていた。

 しかし、ストライクは急にこちらの方を向き、握っていた対艦刀を両手で握り直し、こちらに突っ込んできた。

 

 

「なっ!」

 

 

 ストライクはこちらに向けて対艦刀を振りかぶるが、オレは咄嗟にそれを回避、デブリの陰に隠れながらオレはストライクから距離をとった。

 まさかいきなり攻撃してくるとはな…。アレか?オレの乗ってる機体がジンだからザフトと思って襲ってきたのか? ………って、それしかないな、うん。というかさっさと誤解を解かないとっ…!

 ストライクは隠れていたオレを倒そうと、デブリごとオレに対艦刀で切りかかってくる。すかさず横に避け、右足でストライクの両手から対艦刀を蹴り飛ばす。そしてそのままストライクに突進。スラスターを全開にし前にあったデブリにストライクごと激突し、動けないように抑えつける。

 また攻撃される前にオレは接触回線を開き、ストライクのパイロットと通信を行う。

 

「オイ、オレは敵じゃない。止まれ!」

「えっ?」

 

 この声、やっぱり原作通りキラ・ヤマトだったか。さて、まずはコイツの戦意を削がないとな。

 

「お前何で攻撃してきた。こっちは敵対行動なんて一切してないんだが?」

「…あなたは、ザフトじゃないんですか?」

「ザフト? 違う、オレは傭兵だ。」

「傭兵? でも、何でそんな人がこんな所に…」

「輸送船でたまたまこの宙域にやってきたんだが、このコロニーの崩壊に巻き込まれてな。デブリにぶつかって輸送船が使い物にならなくなったからどうしようかと思ってたら、白い戦艦を見つけてな。そこで保護してもらえないかなと思ってな」

 

 まあ嘘だが。これはここに来る前に考えておいたものだ。アークエンジェルの艦長のマリュー・ラミアスってお人好しだからな。多分これでごまかせるだろうとは思っているが……。

 

「…その白い戦艦って多分僕の知ってる艦です。でも、だったら何で武装してるんです? そういう理由なら武器を装備する必要はないんじゃないですか?」

 

 ああ、そこをツッコまれたか…。だが、これに関しての言い訳もちゃんと考えてきている。

 

「理由ね…。それは護身の為だ。今ああは言ったが、さっき言った白い艦がこちらに友好的とは限らない。こちらからの通信を待たずにいきなり攻撃してくる可能性もあるし、念のためだ」

『…本当なんですか?』

「本当だよ。というか敵だったらお前に突進仕掛けた時点で武器使って攻撃をいれてる」

『……わ『X105 ストライク!応答せよ!!こちらアークエンジェル!』…あっ、こちらX105ストライク キラです。』

 

 アークエンジェルからの通信か。声からしてナタル・バジルールか。

 

『無事か?』

「はい、あの…」

『何だ?』

「MSに遭遇したんですけど、中のパイロットがヘリオポリスの崩壊に巻き込まれて輸送船が使えなくなったので保護してほしいと言っているんですが…。」

『何?MSだと?ザフトではないのか?』

『中の人は自分は傭兵だと言ってます…』

『…駄目だ。そんな確証もない話…』

『許可します』

『ラミアス艦長!!』

 

 今のはマリュー・ラミアスか。ナタル・バジルールもラミアス艦長って言ってたし。

 

『キラ君、その人と一緒にこちらまで戻ってきて。場所はわかる?』

『はい、大丈夫です。』

『わかったわ。本艦はこの宙域から離脱しなければなりません。できるだけ早くお願いね。』

『わかりました。』

 

 どうやら終わったっぽいな。それじゃそろそろ案内してもらいましょうか。

 

「終わったか?」

『はい、これから案内します。それで、あの…」

「ん?何だ?」

『…そろそろ拘束を解いてくれませんか?』

「あっ、悪い……」

 

 そういえばずっとこの状態のままで話してたな…。

 逆噴射でストライクから離れ、通常回線で再び通信をかける。

 

「さて、ずっと拘束してて悪かったな。」

『いえ…、僕の方こそいきなり攻撃してすいませんでした。』

「いや、もういいよ。そういえば自己紹介がまだだったな。オレの名前は悠凪・グライフだ。オレの事は名前で呼んでいい」

 

 今後の事も考え偽名でいく事にする。この世界だとこの名前の本来の持ち主もいないからバレる心配はしなくてもいいだろう。

 そう思っていると、あちらも自己紹介をし始めた。

 

『僕はキラ・ヤマトです。よろしくお願いします。それじゃあよろしくお願いします。悠凪さん』

 

 やっぱり原作通りキラ・ヤマトだったな。まあ、一悶着あったけどなんとかアークエンジェルにたどり着けそうだ。

『あの…、悠凪さん』

「どうした?」

『いえ、あそこに…』

 

 そう言ってキラはストライクの腕を動かし、少し先の方を指差す。そこには救難信号を発している脱出ポッドがあった。

…あれってまさかフレイ・アルスターが乗ってるやつか…。

 

『…あれって脱出ポッドですよね?』

「まあ、そうだな。というか助けるつもりか?ヘリオポリスの崩壊はこの宙域全体に知れ渡ってるだろうからオレ達が絶対に助けなきゃいけないってことはないぞ?」

 

 というか助けないでほしい。フレイ・アルスターがいなければ艦内が昼ドラみたいなドロドロした雰囲気にならなくて済むし、厄介事が減るし………。でも、あれだなキラがオレの思ってるような性格なら…

 

『でも、もしかしたら救助が来ないかもしれないじゃないですか。だから…』

「いや、誰も駄目だとは言ってないから。というか助けたいんなら助けたら?もう…。」

 

やっぱりな。……まあ、ああは言ったが逆に助けが絶対来るという保証がある訳でもないし、このポッドには他にも避難民が乗っているんだ。見捨てる事もできないか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてオレはキラの駆るストライクの案内の下、アークエンジェルに到着した。いやぁ、しかしすごいもんだな。やっぱこういうガンダムの主役級の戦艦は。ってんなこと言ってる場合じゃないな。

 格納庫に入ったジンの下には武装した大勢の兵士が構えていた。ざっと10人以上はいるかな。……どんだけ警戒されてんだオレ…。

 そのままコックピットの中にいる訳にもいかないので、オレは下に降りることにした。

 下まで降りていく訳だが、物凄い居心地悪い空間ができてるよ。もう帰りたい位だよ。…今頃キラは友達と楽しくやってんのかねぇ…。何この差………。

 そのままオレは兵士に連れて行かれ、しばらく歩き、あるドアの前まで連れて行かれた。兵士に促され、ドアを開けるとそこは艦長室だった。中にはブリッジクルーとおもわれる兵士達がおり、その中で立ってこちらを見ている二人がいた。

 二人の内一人が前にでて、オレに話しかけてきた。その人物は肩ぐらいはあるセミロングというのだろうか? その位髪を伸ばした包容力のありそうな女性だった。

 

「この艦の艦長を務めているマリュー・ラミアス大尉です。ゴメンナサイね。色々あって疲れているだろうにこんな所に呼び出して。」

「いや、いいですよ。保護してもらったのはこっちですし。ああ、名前がまだでしたね。オレの名前は悠凪・グライフです」

「そう言ってもらえるとこちらとしても助かるわ。それ…「艦長」」

 

 マリューの話に割って入ってきたのは、ショートカットのいわゆるお堅い軍人そのものなオーラを醸し出した女性だった。

 

「我々は一刻も早くこの状況を脱しなければいけません。そのためにもここは単刀直入にこちらの要件を伝えるべきです。」

「でも、ナタル…。」

「だいいち、最初に言い出したのは艦長あなたですよ。」

「あの~、オレに要件あるなら聞きますけど?」

 

 いや、こんな所で喧嘩されても困るのよ、ホント…。てか、仲悪いなこの二人。まあ、性格が初見のオレでもわかる位に真逆だからな…。

 

「…要件というのは、貴様傭兵と名乗っていたそうだな。」

「えぇ、まあつまりは…この艦に雇われないかということですか?」

「そうだ。報酬に関しては今のところは無理だが、いずれ必ず支払わせてもらう。」

「まあ、それで構いませんよ。少なくとも補給や整備はしてもらえるんでしょう?オレの機体。」

「ああ。」

「じゃあ契約成立ってことで。オレは格納庫に行ってますんで…」

「待て!」

 

 何だ?………ああ、やっぱあの事かな?

 

「確認しておきたいことがある。…貴様はコーディネイターか?」

 

 やっぱりな。そりゃこの世界だとMSは基本コーディネイターの扱うものって感じだからな。それにこの艦は地球連合のものだしそう問われるのも当然か。

 

「いえ、オレはナチュラルですが?」

「何…?」

「それは本当なの…?」

 

 オレの言葉にその場にいたブリッジクルー全員が反応する。中には驚きのあまりこちらを振り向く奴がいた位だ。…どんだけ驚いてんだコイツら。

 

「ええ。信じられないなら身体検査でもかけてもらって構わないですよ?」

「…わかったわ、パル伍長、彼を医務室へ案内して。」

 

 その後、オレは医務室へ連れて行かれ、検査の結果ナチュラルであることが証明された。

 …これからこれ以上の面倒事に見舞われるのか…。ストレスで倒れないことを祈ろう………。

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