「転生特典をもらっても全て得になるとは限らない」   作:野鳥

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第8話

 第8話

 

 アークエンジェルのカタパルトより射出され、オレの駆るジンは宇宙空間へと出撃する。それと同時にキラの駆るストライクももう片方のカタパルトより出撃した。

 敵の戦力は前方にナスカ級、後方にローラシア級。MSはナスカ級から一機、ローラシア級からは三機の出撃が確認されている。

 一方、こちらの戦力はアークエンジェルに、MSはキラの駆るストライク、そしてオレのジンだ。本来ならMAにムウの駆るメビウス・ゼロもいるんだが、今回はナスカ級に対しての奇襲を行うため先行しており戦力には数えられない。なかなかキツい戦いになりそうだなこりゃ。

 そう考えているとアークエンジェルから通信が入る。ミリアリアからのようだ。

 

『キラ、悠凪さん、聞こえる?』

「ああ。で、一体どうした?」

『はい、ナスカ級からの一機はイージス、ローラシア級からの三機はデュエル、バスター、ブリッツだと確認されました。どうか気をつけて』

「了解」

 

 オレはそう言って通信を切り、今度はキラに通信を行う。

 

「キラ」

『あっ、はい。何ですか?』

「さっきの通信は聞いたな?オレは後方の三機をやる。お前は前方の一機を頼む」

『えっ!僕一人でですか!?それに、悠凪さん一人でGを三機も相手にするなんて…』

「大丈夫だよ。オレ達はフラガ大尉が奇襲を成功させるまでの囮だからな。ようはその時がくるまで敵を引きつければいいんだからな、敵を確実に倒す必要はないんだから幾らでもやりようはあるさ」

『でも…』

「心配すんなって、アークエンジェルの援護もあるし、それに何の対策もなしに行くわけじゃないさ。とにかくイージスの相手は頼んだぞ。まあお前は生き残ることだけ考えとけ」

『…わかりました。悠凪さんも気をつけて』

 

 そうしてキラはイージスの相手をするためアークエンジェル前方のへと向かった。それを見ながら、今度はアークエンジェルへ通信を入れる。

 

『何かしら、悠凪さん?』

 

 通信にでたのはマリューだった。この人相手ならどうにかなるか。

 

「アークエンジェルはストライクの援護に集中してくれませんか?G三機の相手はオレ一人でします」

『なっ、相手はG三機よ?それにさっきナタル説明がしたけどGはPS装甲を持っていて実弾兵装は全く効かない。そんな状況で一機で戦うのは危険すぎるわ』

 

 マリューはオレにそう返してきた。確かにそうだがここで折れるわけにはいかないんだよな。

 

「しかし、フラガ大尉は奇襲の為に先行してますし、オレ以外は素人であるキラ。いくらザフトのものより性能の高いMSに乗っているとはいえ相手はあのクルーゼ隊、そしてキラと同じくGに乗っている。そんな相手に真っ向から挑んでも負けるのは明白。だったらアークエンジェルの援護で生存確率は上げておいた方がいいでしょう?」

 

 一旦言葉を切りながらさらに理由を補足する為、再び喋りだす。

 

「その点オレは傭兵暮らしが長いんでね。時間稼ぎ位なら最新型三機相手でも一人でやれる自信はありますよ。まあオレの戦闘見たことがないから信用できないでしょうが、いくら何でもコーディネイターとはいえ素人のキラにその三機の相手をさせてストライクを奪取。または破壊されるよりはいいと思いますが」

『でも…』

『いいだろう』

 

 オレが説明を終えるとマリューは反論しようと口を開くが、ナタルが通信に割り込み了承の返事をだした。 

 

『バジルール少尉!?』

『彼の言うことにも一理あります。仮にキラ・ヤマトにG三機の相手をさせても彼の言う通りの事態になる可能性が高い。ならば提案にあったようにストライクの援護に集中した方が得策でしょう。我々は何としてもアークエンジェルとストライクを月本部まで守りきらなければいけないのですから』

『……わかったわ…あまり無茶はしないようにね』

「了解」

 

 そう言ってオレは通信を切った。……かなり危険なのはわかってる。何せ相手はガンダム三機で、パイロットは全員レベルの高い連中だからな。だが、その三機をオレ一人で退けられないようじゃスパロボZの敵達を相手に生き残るなんて夢のまた夢だからな。絶対に負けるわけにはいかない。

 

「さて、じゃあ行くか」

 

 そうしてオレはジンのスラスターを噴かせ、ガンダム三機がやってくる方角へ移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たな」

 

 アークエンジェルの後方から進んでいくと、モニターに何やらデブリとは違う三つの物体がこちらに向かってくるのが見えた。モニターの倍率を上げ、確認すると映し出されたのは地球連合が造りだした五機のガンダムの内の三機、デュエル、バスター、ブリッツだ。

 オレは先制攻撃を仕掛けるため近くのデブリに身を潜めながら、バズーカを三機へと構える。だが、どうやらあちらもこちらに気づいていたようだ。オレがトリガーを引く前に散開し、デブリ帯へそれぞれ消えていく。

 クッ、もうバレてたか。あっちも隠れたんじゃこちらのアドバンテージが…

 そして、離れて行動されると三機の内どれかがアークエンジェルに辿り着く危険性がある。とにかくまずは一機でも見つけださなければと考えた矢先

 

ビー! ビー! ビー!

 

 敵にロックされたという警告音が鳴り響く。即座にその場から離れるとさっきまでいた場所に一条の光が降り注ぎ、隠れていたデブリを破壊する。

 上を見上げるとそこには超高インパルス長射程狙撃ライフルを構えたバスターの姿があった。バスターはオレがデブリから出て、ひらけた空間に出た瞬間、肩部よりミサイルを発射。オレの周りにあったデブリ群を破壊し、爆煙を巻き上げる。

 しまった!これじゃ周りが見えない!!とにかくまずはここから離れ……!

 突然左から高速で何かが迫ってくる。咄嗟に避けようとするが、爆煙で周りはろくに見えなかったため、最初にやってきた一発目は何とか避けたものの、二発目は避けきれずに足にかすってしまった。

 それによりバランスを崩したその時、爆煙をくぐり抜けブリッツがトリケロスからビームサーベルを発生させこちらへ突進してきた。クッ、マズい!

 だが、オレはブリッツが振り下ろしてきたビームサーベルを紙一重で避けることに成功する。各能力値の中でダントツで値が高い回避のおかげだろうか。

 まさかこれを避けられると思っていなかったのだろう。ほんの一瞬ではあるが、ブリッツの動きに隙ができる。

 即座に最大スピードでブリッツの胴体目掛けてタックルを仕掛ける。

「直撃!」

 

 タックルを当てた直後、「直撃」を唱え突撃機銃とバズーカをブリッツの目の前で構える。即座に逃げようと動き始めたがもう遅い!

 トリガーを引き、ブリッツに至近距離から弾丸の雨を浴びせる。「直撃」の効果でスパロボでいうバリア系の能力は無効化できるためPS装甲はこの攻撃に対しては全くの無意味だ。

 弾丸の雨はブリッツにトリケロスで防御を行うこと時間さえ与えることなく、その装甲を砕いていった。

 撃破するまでにはいたらなかったものの、ブリッツの装甲はかなりの部分が傷だらけになっており、その動きを完全に停めていた。

 あまりの衝撃に気絶したんだろうか?まあいい。気絶したってんなら残りの二機を早く探さないと…、こいつは時間稼ぎのためにオレの相手をしたんだろう。今頃アークエンジェルの近くまで行ってしまってるかもしれない。……全く、キラにあんなこと言っといてこれじゃ世話ねーな…

 デュエルとバスターを追うためスラスターの出力を最大にし、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 デブリ群をかいくぐり、アークエンジェルのいる方向へ向かっていると…いた!

 左前方を見ると、アークエンジェルへと向かっている二機のMS。デュエル、バスターを発見。

 二機の注意をこちらに向けさせるため、オレはバズーカを二機に向け、照準を合わせる。うまく当たってくれよ………発射!!

 トリガーを引き、バズーカより計四発の弾頭を発射。デュエルとバスターは弾頭の存在に気付き、ビームライフルやガンランチャーを使って迎撃する。

 オレは弾頭を放った瞬間その場を離れ、近くのデブリの陰へ隠れる。ブリッツへの一斉射撃で弾丸をかなり消費したため、カートリッジの交換をするためだ。

 手早く交換を済まし、使い終わったカートリッジを捨てて二機の元へと向かっていく。

 二機共今度はさっき見た時と変わらぬ位置にいた。どうやらアークエンジェルの方へ向かわずに先にオレを倒すことにしたようだ。二機はオレの乗るジンを発見するや否やバスターが対装甲散弾砲で先制攻撃を仕掛けてきた。

 バスターの対装甲散弾砲は広範囲用の攻撃手段であり、威力も強力であるため避けなければジンの装甲ではとてもではないが耐えきれない。

 オレはこちらへ攻撃が届く前に上方向へ退避した。だが、まるでこちらの行動を読んでいたかの如くオレが対装甲散弾砲を避けた瞬間にビームサーベルを引き抜きながらこちらへ突進してきた。

 機体は正面を向いたまま後ろへ後退していき、牽制のため 突撃機銃をデュエルに向けて放つが、デュエルはそんなものは避けるまでもないと言わんばかりに変わらずこちらへ接近してくる。弾丸はPS装甲で無効化され、デュエルは全くの無傷だ。

 チィ、PS装甲は実弾がほぼ効かないからか避けることさえしないな。まあ「直撃」を使えば効果はあるんだが…。

 オレはデュエルのビームサーベルをスラスターを使い左に急速移動することにより避ける。

移動したままジンの腰部にバズーカをマウントし、ナイフを引き出す。そして動きを停め、デュエルを迎え撃つ態勢を整える。

 そのデュエルは好機とばかりにもう一度こちらに突進し、ビームサーベルを振り下ろしてきた。

 恐らく、ナイフ一本で自分の攻撃が防がれる等とは思ってもいないのだろう。だが、それが命取りだ。

 デュエルが振り下ろすビームサーベルをナイフで瞬時に受け止める。このナイフは対ビームコーティングが施されているからな。スパロボでいうところの切り払いは問題無く出来る。

 ビームサーベルを受け止め、次の行動に移られる前にデュエルのコクピット付近を狙って膝蹴りを繰り出す。

 

『がはっ!!』

 

 一瞬、デュエルのパイロットの声が聞こえてきた。膝蹴りでデュエルの装甲に接触したからだろうか?

 だが、そんなことに構っている暇はない。すぐに突撃機銃をコクピット部分に突きつけ、トリガーを引く。

 

ズガガガガガガ!!!

 

 突撃機銃から繰り出される弾丸の雨は次々とデュエルのコックピットハッチに当たり続ける。PS装甲により直接的なダメージはないものの中への衝撃は凄まじいことになっているだろう。

 

ビー!ビー!ビー!

 その時、ロックされたという警告音がコックピット内に鳴り響く。位置から見るにバスターのようだ。デュエルのピンチを救う為にオレを狙撃するつもりだろうか?…だが、甘いな。

 バスターが長射程狙撃ライフルにてこちらを狙い撃った瞬間、銃撃を止め、ナイフを収納して余った左手でデュエルの右肩を掴む。そしてスラスターで方向転換し、右足を折り曲げ勢いよくビームの方向へデュエルを蹴りつける。

 巻き込まれないよう即座にその場から離れた直後、バスターの狙撃ライフルより放たれた一撃がデュエルを襲った。

 ビームはデュエルのコックピット近くの脇腹に直撃し、その装甲はその熱量に耐えきれず黒く焼けきれた跡が残っていた。爆発等は起こさなかったが、あの様子だとコックピット内にも被害はでているだろう。

 デュエルのパイロットが原作通りイザーク・ジュールなら個人的な恨みはないが、ここで消えてくれた方が助かる。キラには今回は倒さなくてもいいとは言ったが、本当にパイロットがイザークなら、この世界の後の歴史がオレの知ってる通りなら低軌道会戦で避難民の乗ったシャトルを撃墜するという暴挙をやらかすからな。本人は民間人が乗ってるとは思わなかったんだろうが絶対に防げる自信がない以上ここで排除した方が確実だ。

 デュエルの動きが停まったのを確認し、すぐさまスラスターの出力最大でバスターの元へと向かう。

 バスターはガンランチャーと火線ライフルでこちらを砲撃してくるものの、その狙いは先程より雑になっていた。

 元凶はオレであるとはいえ、自分の手で親友を殺してしまったかもしれないことに動揺しているのか…だが、ここは戦場だ。感情に流されると死ぬのは自分だぞ。

 突撃機銃でバスターを銃撃するが、バスターよりミサイルが発射され全て撃ち落とされる。だが、それは悪手だな。

 ミサイルで迎撃したことにより爆煙が両者の視界を包む。しかし、その瞬間に下方向へ下降し、突撃機銃とバズーカを発射する。

 バスターは後方に避けるが、オレはそのまま銃撃の手を緩めずに接近していく。バスターは迎撃する暇もなく徐々に銃撃が装甲に当たり始めていた。

 よほど焦っていたのだろう。バスターは上へ上昇することで銃撃を避け、二つの武器を連結して散弾砲の形態に変え、こちらに向けて構えた。

 だが、はっきりいってここまで近付かれているのにそんなモーションの長い動きをすると正に隙だらけなわけで…。

 散弾砲から放たれる砲撃を軽々と避け、バズーカをバスターに向けて構え、トリガーを引こうとする。

 だが、バスターに向けてバズーカを構えた瞬間何もない筈の左側からビームがこちらに発射されたのだ。

 バズーカはそのビームが直撃し、大きな爆発を起こしながら破壊されてしまった。

 爆発により一瞬動きが鈍くなったのを見逃さずバスターは散弾砲でジンを攻撃してくる。何とか斜め上へ退避することで当たらずに済んだが、見えない攻撃はまだ終わっていなかった。

 何もない筈の空間より幾つものビームがこちらに向けて放たれたのだ。

 この攻撃は多分ブリッツか。あれから復活してミラージュコロイドを使ったっていうわけか…面倒なことになったな。

 一応避けることはできるが、完全に攻撃で先手を取られる上にレーダーにも映らない為どこから攻撃されるかわからない、次に攻撃された時失敗してやられてしまうのではないかという不安が募っていく。見えないということがこれほど恐ろしいことだとは思ってもみなかった…くそっ、どうする……?

ドンッ!!!

 

 急に強い衝撃がコックピット内を襲う。モニターで確認すると何があったのかスラスターの片方で爆発が起こり出力が大幅に落ちてしまっていた。チィ、ブリッツの攻撃に当たっちまったか!…クッ!

 その時、まるでこの時を待っていたと言わんばかりのタイミングでバスターよりミサイルの雨が降り注ぐ。

 

「このっ!!」

 

 すぐさま後方に移動しながら突撃機銃でミサイルを撃ち落としていくが、左から鋭利な何かがジン目掛けて射出された。あれはランサーダートか、だが…

 

「そう何度も同じ手は食うか!」

 

 そう叫び、オレはジンのスラスターを使ってギリギリで避け、ランサーダートが射出されてきた方向へ猛スピードで突っ込みながら突撃機銃を乱射する。

 突撃機銃から発射された弾丸は何もない筈の場所でまるで何かに当たったかのように火花を散らす。

 

「そこか!!」

 

 火花が起こった場所へ再度突撃機銃で銃撃を行う。すると今回は耐えきれないと判断したのか、その何もなかった場所から徐々に黒主体の装甲を持ったMSブリッツが現れる。姿を現したということはミラージュコロイドを切り、PS装甲を展開したということで弾丸は全てその装甲を傷つけることなく弾かれてしまう。

 ブリッツがこちらへ仕掛けてくる前にこちらから攻撃しようと腰に引っ掛けてあった重斬刀に手をかけようとした。

 だが、戦闘は結局そこで終わることになった。アークエンジェルのいる方角より信号弾を確認したからだ。内容は撤収しろというものだった。ムウの奇襲が無事成功したんだろう。

 ブリッツの方も撤退命令が出され、そしてオレが何もしてこないからか特に攻撃も仕掛けずにその場から離れていった。まあ、後ろは絶対に見せずにだが。

 バスターもオレに何もせずにデュエルを回収しながら撤収していった。

 何とかなったな…まあこれから先、今回以上の戦場を戦い抜かないといけないんだ。ここで死ぬようじゃやっていけないからな。

 …というかデュエルのパイロットは…多分イザークだと思うが生きているんだろうか?しかし生きていたら確実にオレを倒す為に戻ってくるんだろうな。原作通りならかなり執念深いだろうし、生きてなくてもこれからクルーゼ隊には狙われるだろうし…自分でやっておきながら何だか、とてつもなく面倒なフラグ建ててしまったような…

 こうして、初のクルーゼ隊との戦闘は終わりを迎えた。途中、被弾した片方のスラスターが壊れ、四苦八苦しながらアークエンジェルへと戻るのだった。

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