戦闘で一話使ってしまったこんなはずでは……!
できるだけ早めに次話を投稿するつもりなので少々見苦しいかもですが我慢して下さい。
「ワン子!クッキー!……百代先輩!私も!」
「京はそこにいろ!」
百代は自分の所属するファミリーの仲間を声で静止させる。
こいつは危険だ。京では敵わない。ここは私が目の前のこいつを食い止めないとな……!
しかし今の百代にとってはそんな事は建前であり、久しぶりの強者の登場に血が滾っていた。今の百代を形容するなら『血湧き肉躍る』という言葉が相応しいほど高揚していた。
「ラアッ‼︎」
男から放たれる弾丸の様な鉄拳。その一撃には武道の跡が見られず一目で素人だと分かる。しかし他と一線を成す圧倒的『力』がある。
『武神』の百代と言えど脅威を感じる程の威力。百代はソレを捌き、力の流れのまま軽く脇腹にジャブを入れる。
だが手ごたえがおかしい。硬すぎる。まるで服に鉄板を入れているようかの錯覚を感じるがこの質感からして筋肉なのだろう。この強度で気を使っていないのだから尚更おかしい。そして
「ハハッ……」
思わず口から笑いが出た。
楽しめそうだ!
一旦距離を置き、手に気を溜める。そして小手調べに『致死蛍』を打とうとするが一瞬我に返る。
ここは『秘密基地』だ。こんなとこで気弾ぶっ飛ばしたら柱が崩れビルが倒壊する事になる。
その事に気付いた百代は気を使うのを止め、危険と分かりつつ肉弾戦を挑む。
近づこうとする百代に凄まじい風圧で脚が薙ぎ払われる。
それを飛び上がって回避し空中で一回転。そのまま脚に気を纏わせ
「川神流『天の槌』!」
踵落としを決める。相手は咄嗟の判断か腕をクロスさせ防御した。しかし百代の気を纏わせた踵落としは凄まじい威力を持ち、防御した方の確実に両手を折るだろうと思えるほどだった。百代の脚は手の交差した真ん中に激突し、衝撃を相手の全身に伝える。強過ぎる衝撃は相手を軽く床にめり込ませた。
だがそんなのは関係ねぇ!と言わんばかりに相手は無理矢理体制を戻し百代めがけて裏拳を放つ。
空中に浮かんでいた百代は動けず裏拳を躱す事が出来ない。つまり必中。だが百代も『
百代の刃は弧を描いて容易く相手の服を斬り裂き、傷つけていく。しかし相手は百代でさえ見紛うほどの怪物であり皮膚を傷つけるに留まり致命傷に至らない。そして痛みとか勝負の流れなど一切無視して放たれるストレート。百代は相手の反撃を受け止めそれを境に一旦大きく距離を置く。
「クックック……」
また笑みがこぼれる。私の踵落としを受け反撃するとはな。しかもかなり『痛い』。まだだ。もっと
百代はもう一度近づこうと腰に力を入れたとき、唐突に相手が口を開いた。
「チッ…あー面倒くせぇ」
何を言い出すんだこの男は?
「俺はそこのバンダナを殴りたいだけだ」
相手はボロボロに壊れたサングラスをちらりと見る。
「さっさとどけ。お前らに用はない」
自らが投げ捨てたワン子達を見る。
「面倒くさいからどけ」
憤怒の顔表情で百夜を睨む。
「ほう、私に対して邪魔だからどけと言うか」
久々にイラっときたぞ。
「だったら力ずくで私をどかしてみろ!」
鋭い回し蹴りを放つ。
「邪魔だっつの!」
相手はその巨軀から放たれる腕の一撃ではねのける。
そしてこめかみに青筋をくっきり浮かべ
「『ブチのめす』」
百代に浴びせられる濃厚な『殺意』。
百代は『死』の雰囲気を感じ全身の毛を逆立て腕に鳥肌を立たせる。
幾多の修羅場を抜けた者の殺意はどこぞのチンピラとは訳が違う。
本能が訴える原始的『恐怖』、浮かび上がる『敗北』のイメージ。
ただひたすらに『負』を思い起こさせる気迫。
馬鹿な…この私が恐怖するだと……ハッ、笑わせる‼︎
百代は自分を貶めるように奮起させ、芽吹いた『恐怖』を誤魔化す。
そしてそのまま『ソレ』を振り切るように相手へ肉薄する。川神流に伝わる歩行術を応用した我流とも言える歩行術で距離を縮めボクシングのインファイターのように正拳突きを乱打する。
だがやはりというべきか目の前の化け物に効いた様子は無い。
そして反撃。
飛んできた一撃は武を少しでも嗜む者ならば鼻で笑えるほどの雑な拳だが先程の威力だけのものでは無く体重を乗せた速さがあった。
百代は久しぶりに恐怖心を煽られ敏感になった感覚で察知し最小限の動きで回避する。
更に攻撃を入れ返す。
時折フェイントをかけ本命の『頭』や『顎』を攻撃しようとするがそういった『殴られたらヤバい部位』の攻撃だけは躱され、その隙に拳を叩きこまれる。
こいつ…『喧嘩慣れ』している……!
『
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静雄はイラついていた。
邪魔だ。
生粋の短気な性格に合わせ自分の体格の変化という超常現象が起こるなか、正常な判断が出来ないでいた。
挙句の果てには喧嘩吹っ掛けられるしよ…。しかも女なのに強え。
静雄は様々な感情が入り混じり脳味噌が沸騰しつつも喧嘩に手は抜かない。
頭部の攻撃だけは避けがむしゃらに“全力“で拳を打ち出す。手加減なんてことは考えられなかった。
何発も殴られ、偶に躱して、一発殴り返す。
一見ジリ損に見えるが静雄の耐久力の高さを考えると互角と思われる。
静雄はアッパーを避けつつ、こんな事を考えた。…どうやら戦闘についてだけは頭が回るようだ。
クソッ…『武器』がねぇ……!
静雄の最強の戦闘法、それは『規格外な物を得物とする』こと。
あるときは『道路標識』を、またあるときは『ゴミの詰まったゴミ箱』を、またあるときは『公園のベンチ』を。
普通の人間なら持ち上げることさえ出来ない物を振り回して相手をぶっ飛ばす。
だが何も無いここではその戦法を使えない。
そして静雄が攻めぐあねているときに女は一気に攻勢に出た。
「川神流『蛇屠り』!」
体制を低くし脚を払うように蹴りを繰り出す。その蹴りは静雄の脛に直撃するが払うことは出来ず動じない。静雄はそのまま足を蹴り上げ反撃。しかし当たることは叶わずスッとステップで躱され更に
「川神流『地の剣』!」
脇腹に回し蹴り。
「イッテ……」
僅かながらダメージを与え怯ませる。
相手は追い討ちと言わんばかりに静雄の胴体に拳のラッシュを入れる。
静雄は拳を振り払い攻撃するが完全に相手のペースを作られ攻撃の速度に翻弄され後ろに回りこまれる。
咄嗟に“感“で相手の位置を察知し裏拳を繰り出す。
ダン!
鈍い貶めると共に手の甲に強く硬い感覚を感じた。
やっとしっかり当たったかと意識を向けるとそこには片手が光り静雄の拳を受け止め、もう片方の拳を大きく振りかぶる女がいた。
「川神流!『無双正拳突き』‼︎」
その拳は静雄の鳩尾に吸い込まれめり込む。
「グフッ……」
確かに鳩尾は鍛えることが出来ず、人体の弱点と言えるだろう。
しかしその痛みに『慣れる』ことは出来る。激痛が全身を貫くが気絶はしない。
恐らく相手は渾身の一撃が当たって油断したのだろうふっと拳から力が抜けた。
もらった……!
この千載一遇のチャンスを逃さず腕を掴む。
静雄の馬鹿げた握力で握られ女の腕からギチギチと不吉な音を立てる。
目の前の女は目を見開き驚いたように見える。
静雄はそのまま腕を砕こうと力を込めるがその腕がぼんやりと光を帯び始めた。
「川神流『致死蛍』!」
なんだ?と疑問に思った途端、凄まじい衝撃が全身を襲う。まるで至近距離で爆弾を破裂させたようだった。
だがその程度で静雄は手を放したりなどしない。
更に力を込める。
すると女は大きく仰け反り
ドゴン!
静雄の胸に頭突きを叩き込まれる。
肺が押し潰され口から空気が漏れ一瞬身体の力が抜ける。
「ハアァアア‼︎」
力が抜けた瞬間に腕を抜き、反撃の隙を与えないように『無双正拳突き』を連打する。
咄嗟に静雄は頭部を腕で隠して守る。しかしそれは悪手であった。これでは反撃出来ない。
完全に防戦一方になり、攻撃の嵐に反撃の糸口がつかめない。
そしてしばらくして腕の防御を突破され
「川神流『空衾』‼︎」
鋭い膝蹴りが静雄の顎を穿った。
視界が激しくぶれ、身体が高く打ち上げられる。
少しずつ視界が狭まり暗くなっていく。
喧嘩で負けた…?
俺がただ自慢できることで負けるなんてな。
頭に浮かんだのは怒りではなく静雄には珍しい諦めだった。
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「勝ったの………か?」
百代はつい先ほどまで戦っていた男を見る。その男は今は地面に倒れ伏している。
どっと身体から緊張が抜け床に座り込む。
気を使えなかったとしても面白い勝負だったな。
今度はちゃんとした場で試合したい。
そして百代は川神院に電話をかけた。
「ああ、ジジイか?ちょっとーーーーー」
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大分遅れて男子共が到着する。
俺の腕にはキャップがしがみついていた。
「大和ぉお、怖ぇよお〜」
「どうしたんだよ、キャップ」
「わざとじゃないんだ、わざとじゃ……」
「キャップ、マジで大丈夫か?」
「大和、これ見て……」
モロが震えた声で話しかけてきた。
そうしてモロの指差す方向へ顔を向ける。
まず目に映ったのはボロボロの廊下、次にそこに座り込んで電話する姉さんと倒れる金髪で長身の男。そして横たわるクッキーに気絶したワン子。その奥には腰を抜かした京がへなへなと座り込んでいた。
「これ、どういうこと?」
えーあとがきなんで一言言いたい。
やったぁあああああ!
お気に入りめっちゃ増えたよ!嬉しい!
頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします!
感想、批評お待ちしています。