真剣で池袋最強に恋しなさい!   作:カブタロウ

3 / 7
申し訳ありません。この場をお借りして謝罪を申し上げます。
すぐに投稿すると言いつつ、一週間かかってしまいました。本当に申し訳ありません。
凍結は完結までしないのでこれからも拝見されると嬉しい限りです。


第三話 川神院にて

「くっ………」

 

平和島静雄こと、俺はゆっくりと目を覚ました。

目を擦り、腰を起こして辺りを見渡す。

部屋を見渡した感想を言うとしたら『和』に尽きる。

部屋の大きさは一室にしては大きく、床は全面に畳が敷かれ、部屋を分ける戸は全て障子。今自分が寝ている寝床も質素な敷き布団である。

どうやらここは病院ではなく、どこかの屋敷だと考えられる。…今時ここまでの和室がある家庭はそれこそ何処かの武家屋敷ぐらいだ。

ふと、自分の身体に動きが阻害されているような感覚がし、自身の身体を見ると全身に包帯が巻かれていた。

だが身体に怪我をしたような痛みや違和感は感じずただ過保護なだけなんだろうと包帯を無理矢理剥ぎ取った。

そしてグラサンをかけようと全身をまさぐるが一向に出てこない。疑問に思って過去を振り返る。

 

「そういや、ぶっ壊れたんだった……。」

 

そうして全てを思い出す。

 

「ん?じゃあここはどこだ?」

 

確か俺はどっかのビルで喧嘩に負けてそのまま気絶したはずだ。…あん時の誰かが運んだのか?

取り敢えず人を探そうと起き上がり軽くストレッチをして部屋の障子を開ける。

すると正面に手入れされた中庭が広がり、それを一周するように廊下が伸びていた。

廊下にそって少し歩くと前から胴着に身を包んだ男が歩いてきた。

ここはどこか尋ねようと口を開く。

 

「スンマセン、ここはどーーーー」

 

「うわぁあああああ!?」

 

まるで妖の類いを見たかのように叫び声をあげ、大きく飛び退く。

 

「どうしたんすか?」

 

「いや、え、あのもう動けるんですか?」

 

「?ああ、そうですけど?」

 

「そ、そうですか…」

(肋骨と腕に罅が入ってて顎の打撲の跡から考えてかなり威力で強打してんだぞ。それを3時間足らずで完治するってどういうことだよ……)

 

男は引きつった笑顔を見せる。

そして静雄はもう一度同じことを尋ねた。

 

「ちなみにここはどこなんすか?」

 

「あ、ああ、ここは『川神院』という武道場です。そして私はここで修行を積む修行僧です」

 

この修行僧は『川神院』と聞いてどんなリアクションをするのか若干期待していたがその期待は予想外な形で裏切られることになる。

 

「は?かわかみいん?」

 

「え」

 

「は?」

 

「あ、あの世界的に有名な『川神院』ですよ!?」

 

「ハァ」

 

「もしかして『知らない』と!?」

 

「まあ、はい」

 

目の前の修行僧はあまりに衝撃的だったのかふらふらと体制を崩した。

……おい、俺はマジで聞いたことねぇぞ。なんだよ修行僧って。あれか、ここはどっかの寺なのか?『伊勢神宮』みたいな有名な感じなのか?(※伊勢神宮は寺ではありません神社です。当たり前ですが)

まあ、知らんもんはしょうがないので誰がここまで運んでくれたのか聞くか…。

 

「あーちなみに俺をここまで運んでくれたのは誰だ?」

 

「あ、は、はい。ええ、確か総代のお孫さんか、その友達だと思います」

 

「ありがとうございます」

 

礼だけ述べてスタスタと歩き去る。

うーん、誰だ孫って。あそこにいた誰かだよな。俺が最初に投げたやつか?それともあの馬鹿みたいに強いやつか?それかあのロボット…は無いか。

取り敢えず俺と歳が近い奴に言っときゃいいだろ。

廊下を歩きとにかく広そうで明るそうな場所に向かう。

するとある大きな障子から話し声が聞こえてきた。

 

「そうだ!あいーーーーーーー僧とーーーーーやれよ!そんでーーたらーーーーーーーってのはどうだ!」

 

「勝ーーーーーてもなぁ、別ーーーーー出ーーーーーーーいいんーーーワシのーーーーーーーは強いぞ?あの男そーーーーーーー見えんだが」

 

「まあ、ーーーみろって!」

 

「しかしーーーーー」

 

ちょうどいいので障子を開け、部屋に入る。

 

「邪魔するぞ」

 

その部屋にいたのは、もう隠居していそうなジジイといつぞやの馬鹿強い女だった。

 

「おっ!噂をすればなんとやらだ!いいとこに来たな!…ジジイいいだろ?」

 

「うーむ、どうもそうはみえない、……はあ、しょうがないのう」

 

ん?なんの話をしてたんだ?

 

「おい、そこの男や、名をなんというんじゃ?」

 

「……普通は聞く前に自分から言うもんじゃないか?」

 

「おっとすまんのう、わしらのことを知らんだか。ワシの名前は『川神鉄心』という。そしてこの娘はワシの孫の『川神百代』じゃ」

 

「俺は『平和島静雄』だ」

 

……川神?そういやここは『川神院』って場所だよな。この爺さんが総代ってやつか?その孫ってことは……。

一言お礼を言おうと百代の方を見たが、見た途端そんなお礼を言うような気持ちは吹き飛んだ。

 

「クククッ、へい、へいわ、しずお(笑)、アハハハ!」

 

爆笑していた。

こいつ…ぶっ飛ばす……!

思わず詰め寄りかけたところであることを思い出す。

……負けたんだよな、俺。負けた相手に突っ込むとか……

負け戦になることが分かっているのに喧嘩吹っかけるのが馬鹿らしくなって怒りを溜め、抑える。(怒りが無い訳ではない)

プルプルと震える程に拳を握って耐えていると総代だと思うジジイが話しかけてきた。

 

「静雄と言ったか、お主に頼みたいことがあるんじゃ」

 

「……なんだ」

 

「ワシの修行僧達と組手をしてくれんか?」

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

この静雄という男がこの『川神院』に来たのはある休日の真昼間じゃった。(そのときは怪我人としてだが)

この男を初めて見た感想は『普通のチンピラ』だった。もともと世界的に武道が発展し、治安が悪化している中、その中でも一段と治安が悪い川神ではこういうグラサンの金髪でそこそこ筋肉があるチンピラはよく見かけた。つまりさほど気にも留めておらず忘れていたのだがある事がきっかけでその存在を思い出した。

それはワシが広間で一人で瞑想していたときだった。

 

「ジジイ!」

 

突然広間の出入り口の障子が開かれる。

開いたのは我が孫であり世界に誇る『武神』の名を持つ百代だった。

その顔には百代がとても興奮しているのがわかった。

 

「どうしたんじゃ?」

 

久しぶりに興奮しているのを見て不思議に思い何事か尋ねる。

 

「ジジイにお願いがあるんだ!」

 

……なんじゃろうか、また強い奴と戦いたいなんて言ったらどうしようもないのう。

 

「強い奴と戦いたいのならそれはーーーー」

 

「違う。私がして欲しいのはあの男を川神院に入れて欲しいんだ」

 

「?」

 

「あいつは絶対強くなる…そんときは……」(ボソッ

 

いきなりどうしたんじゃ?…しかしそれは難しいのう。さすがに孫の願いといえど一般人をやすやすと入れていいものでも無いしの。

 

「さすがに無理じゃ、そうやすやすと入れる訳にはいかん」

 

「なあ〜頼むよ、ジジイ〜」

 

「無・理・じゃ。まず、川神院の鍛錬についていけんだろう」

 

「いや、そんな事はないぞ。なんたって私と競り合ったんだからな」

 

「なんじゃと!?」

 

歳も忘れて大声を出してしまった。

あの何もなさそうな男がだと!?

 

「あいつは武道を習ったら強くなると思うんだ。そして強くなったら私の本気について来れると思う」

 

そこまで言わせるか!しかしなあ…

 

「どうにもそうは思えん。やはりダメじゃ」

 

すると良案を思いついたと拳を手のひらに落とす。

 

「うーん、そうだ!あいつとここの修行僧達と百人組手させてやれよ!そして勝ったら川神院に入れるってのはどうだ!」

 

そのときの発言は百代は知っている鉄心の弱点を突いたものだった。

 

「勝手に言われてものう、別に勝てたら川神院に入れていいんじゃがワシの育てた修行僧達は強いぞ?あの男そこまで強いとは思えんぞ?」

 

まず、一つ目に孫のおねだりに弱い。二つ目に『挑発』を入れることだ。今回百代は鉄心自慢の修行僧達を若干貶めるように言ったため鉄心の対抗心を煽り案を通す。

…爺さんを操る悪知恵だけは、はたらくようだった。

 

「まあ、とにかくやってみろって!」

 

「しかしーーーーー」

 

ガラガラ

 

またもや唐突に障子が開かれる。

そこにいたのは奇しくも話の中心の男だった。ーーーーーー

 

 

 

 

 

とまぁ、若干説明口調だったが今に至ることの顛末を思い返す。

目の前で準備運動で体を捻る『静雄』を見る。

……本当に強そうに見えないのだがなあ……。

すると、ふと静雄が口を開いた。

 

「そういや俺の着てたバーテン服ないか?このへんな寝巻きみたいなの着替えたいんだ」

 

「それなら直したやつがそこにある。…それでいいのか?」

 

「ああ、着なれてるからな」

 

バーテン服に着替え始める。

ん?おかしいのう。長身だが気の質とかを考えるとまだあやつは高校生あたりじゃないか?…まあいいか。

パキパキと拳を鳴らす。

 

「メンドイけど、さっきちょっとイラついたし、『少し』発散するか……」

 

準備はできたようだ。

後ろに控える修行僧を呼ぶ。

 

「総代!本当にやるんですカ!?」

 

師範代のルーが咎めるように声をかける。

 

「…信じられんが、百代と競り合ったらしいのじゃ」

 

「えエ!?まさカ!!しかしそうは見えませんガ?」

 

「ウム、ワシもじゃ」

 

「……総代、本当に全力でいってよいのでしょうか?」

 

修行僧からも心配な声がかかる。

 

…ええい、こうなったらやけじゃ!

 

「全力でいけいっ!」

 

『ハイ!』

 

「…まだか?さっさと終わらせたいんだが」

 

静雄からも声がかかる。

……余裕そうじゃのう。

 

「よし、それでは川神院伝統『百人組手』を行う!ルールは片方が(全員)戦闘不能になった場合に勝敗を決める!それだけじゃ!」

 

そのまま宣言を始める。

 

「東!平和島静雄!」

 

「おう」

 

「西!川神院修行僧!」

 

『ハイ!』

 

「それでは……始め‼︎」

 

開始の声が道場に轟く。

その途端空気が爆ぜる。

一瞬にして緊張感が場に走り、修行僧の棍棒使いの一人が修行僧の集団から飛び出す。

 

「イヤァアアアアアアアア‼︎‼︎」

 

掛け声と共に棍棒が薙ぎ払われる。

目の前の静雄という男は避けようとも掴もうともせずただ拳を力を溜めるように引き絞る。

 

 

バキン‼︎

ドゴン‼︎

 

二つの大きな音が道場の大気を震わせる。

空中には赤いものが球体となって舞っていた。

 

 

修行僧の持っていた木製の棍棒は裂帛の気合いを持って振るわれた。が静雄の筋肉という壁に阻まれ中心から割れる。

そしてカウンターの静雄の拳。その拳はお世辞にも綺麗とは言えないがカウンターで打たれて修行僧は躱すことができない。

無情にもその拳は修行僧の鼻にクリーンヒットし、鼻をへし折って鼻血が空に舞った。そのまま棍棒使いの修行僧は殴られた勢いのままぶっ飛び床に倒れる。

 

周りの人は展開についていけなかった。

 

 

 

「殴りゃいいんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は繋ぎですね。
次回は作者が個人的に好きな無双をします。(得意とは言ってない)
これからもよろしくお願いします。
感想・批評をお待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。