真剣で池袋最強に恋しなさい!   作:カブタロウ

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お久しぶりです。
早速、やらかしたかも。


第七話 十勇士との関わり

静雄は勢いよくドアを開ける。

ノックをしたところでハルに対して猶予を与えるだけである。

だからこの状況に置いてノックをしないことは至極当然の事だ。

しかし静雄の思惑は外れ、目の前に居たのは【尼子ハル】ではなく、【尼子晴】だった。

何もない筈の胸部には所謂「スポーツブラ」を着用し、トランクスでも履いていると思っていたが少なくとも男が履くものではないぐらいに生地が薄い下着を履いていた。

 

要は、女だった。

 

「……………」

 

絶句する。

男だと思っていたのに実は女だったのだ。

 

対して尼子晴。

ノックもなく突然ドアが空いたかと思うと入って来たのは見知らぬ男。しかも金髪グラサンという側から見れば怪しい事この上ない格好をしている。

この時彼女は羞恥心などよりも危機感や猜疑心が勝っていた。

(彼女が下着を見られることがそれ程恥ずかしくないと思っているのも一因ではある)

 

この寮は今の時間帯、施錠されている。武道が盛んなこの地域にも対応できるほどにそれはしっかりしている。

つまりこの男は元々忍び込んでいたか、…考えたくは無いが新しい入寮者という可能性もある。

後者ならば入寮早々に然るべき処置を考えなければならない。

それを判断する為、男に注目した。

そして男の口から紡がれるだろう言葉に耳を傾ける。

 

 

「…お前、女だったの、か?」

 

「………え?」

 

「………は?」

 

疑問符の応酬の後、沈黙が流れる。

戸惑いながらも先に口を開いたのは静雄だった。

 

「尼子【ハル】であってるよな?」

 

「あ、ああ、尼子【晴】であってるよ」

 

静雄の頭には疑問符ばかり浮かぶ。

口調が変わっている?

言葉のイントネーションが若干ちがう?

いや、全部気のせいか?

静雄がすっかり混乱している中、比較的冷静だった晴はこの状況の理由に近づいていた。

 

この男の表情から汲み取れるのは「驚き」や「戸惑い」だけだ。

「焦り」のようなものはない。

下心での侵入では無さそうだ。

それからさっきの言葉。

「お前女だったのか」

つまり私のことを【尼子ハル】と間違えている。

したがって。

私を尼子ハルと感違いして女子の浴場に入るハルに何かしら気になったんだろう。

…はぁ、これで何度目だ。

最も、間違えられたのはこればかりではない。

風呂で間違えられたのは初めてだがそろそろうんざりだ。

…でも、我慢するしかない、か。

 

「アンタは誰?因みに言っておくけど私()は女。多分、アンタの会った尼子ハルは私の双子の弟」

 

「ああ、そういうことか。俺は平和島静雄だ。スマン。失礼な事をした。出来る事なら何でもする」

 

警戒から入ったのでなんとなく羞恥心が出てこず、微妙な空気が漂う。

 

「いいよ、別に。そこまで気にして無いし、…まぁ顔合わせは最悪だったけどこれからよろしくね」

 

「そう言われると助かる。…よろしくな」

 

一通り終わると晴に羞恥心が込み上げる。

 

「さ、さっさと出ていってくれ!」

 

「ちょい待ってくれ。男の風呂は何処だ?」

 

「アッチだ!」

 

その後、静雄は風呂につき疲れを癒せたのだった。

 

「ああ、やっと入れる…」

 

尼子晴は湯に身体を沈めていく。

そのまま脱力していき仰向けに湯に浮かび、背泳ぎを始める。

この風呂は複数人で使う為に大きく作られている。

よって彼女が泳いでもまだまだスペースがあった。

 

「しかし、静雄かぁ…」

 

さっきは気にしていなかったが、私の下着を見ても静雄は何の動揺もなかった。

つまりはそういうことか…。

未練がましく己の胸部を見つめる。

 

ゴンッ。

 

「イタッ」

 

浴槽に頭をぶつける。

身体も温まったしそろそろ頃合いか、と痛む頭をさすりながら風呂をあがった。

そうして二人の奇妙な会合は過ぎさった。

 

翌日。

 

『静雄殿、朝食の時間です』

 

「……もうそんな時間か」

 

時計を見ると短針は6を指している。

 

「早くね?」

 

ほとんど夜に行動することが多かった静雄はこの時間に朝食を取ることに違和感を感じる。

しかし、これからこの時間から行動を始めることになると思うと憂鬱になる静雄だった。

適当に身支度を済ませて、食堂に向かうともうほとんどの面子が既に朝食を食べているところだった。

 

「ーー!おお、やっと起きたか静雄よ!皆、もう飯を食べているぞ!」

 

「まだ6時なのに朝から元気だな、大友」

 

「ははは!何を言っている!皆5時には起きているぞ」

 

武人の朝は早いのである。

 

「マジか。…お、尼子じゃねぇか。おっす」

 

「ん?なんだ静雄?」

 

ハルが反応したが静雄が言葉を掛けたのは晴であって。

 

「お前じゃねぇ」

 

「何だ私か…。静雄。おはよう」

 

晴が挨拶したと思うと急にそっぽを向いて皿を片付けに行ってしまった。

 

「まあ、思春期の女だしな。気にするか…」

 

昨晩の己の失態を悔やみつつ、朝食に手をつける。

朝食が既に用意されている事に違和感を感じつつも、栄養バランスが徹底されている食事に舌鼓をうつ。

 

「そういえば、静雄。今日は来て貰う場所がある」

 

「なんだ石田」

 

石田はニヒルな笑みを浮かべてこう言った。

 

「我らが『西方十勇士』の稽古場だ」

 

 

_______________________________________________________________

 

『西方十勇士』。

鍋島が西日本から選んだ才覚を持ちし10人(11)の少年少女。

静雄が訪れた稽古場にはその中でも武芸に秀でる9人が陳列していた。

 

砲術使い(火力バカ)『大友焔』

天下五弓(ナルシスト)『毛利元親』

剛槌の使い手(高利貸し)『宇喜多秀美』

分身(そっくり双子)『尼子晴』

暗殺忍者(生涯童貞)『鉢屋壱助』

筋肉闘士()『長宗我部宗男』

大将の腹心(オッサン)『島右近』

十勇士大将(かませ犬)『石田三郎』

 

「俺はかなりの魔窟の寮に入れられたっぽいな」

 

稽古場に入ったとたん闘気で溢れさせた9人を見て呟いた。

 

「で、俺は何するんすか。鍋島館長」

 

「大体お前の想像どうりだ。こいつらと戦りあってもらう」

 

「そう言う事だ静雄。聞けば貴様はあの『川神院』からの推薦と言うではないか。ならば少し実力を見させてもらおう」

 

「嫌だね。俺は戦いたくねぇ」

 

「これは確定事項だ。覆せない。天神館に来た己を恨むんだな」

 

「…テメェッ!」

 

「フン、そんなに吠えてはただの野犬だぞ」

 

「御大将、挑発もそれまでに…」

 

「…このぐらいにしておいてやる。…行け!宇喜多!」

 

「てゆー訳でウチが最初の相手や。…おーこわ、お手柔らかに頼むで?」

 

「…邪魔だ」

 

「審判はこのヨシツグ…「はぁぁああ!」、合図くらい聞いてくれ…」

 

開始とともに宇喜多がハンマーを担いで走り出す。

流石十勇士というべきか、その図体からは考えられない速度である。

 

「先手必勝!とおりゃぁぁああぁあ!」

 

ハンマーは無慈悲に静雄へと叩きつけようと振り落される。

すると。

衝撃音が稽古場に響きわたると同時にハンマーがピクリとも動かなくなる。

宇喜多がいくら力んでも静止したままだ。

それもそのはず、ハンマーは静雄によってしっかりと受け止められ、握られていた。

 

「ラァァアアア!!」

 

「どわぁぁああ!?」

 

ハンマーごと宇喜多は投げとばされる。

 

『ハァ!?』

 

一同唖然。

それも関わらず宇喜多は十勇士の立つ場所に飛んでいき、毛利の方へと真っ直ぐに向かっていた。

 

「ち、ちょっとまて!私の方にくるなぁぁあ!」

 

叫び虚しく、毛利は宇喜多に押し潰された。

 

『ぐへぇ…』

 

「う、宇喜多、毛利ともに戦闘不能…」

 

「信じられませぬ…」

 

「ああ、俺もだ右近…。そんなバカなことある筈がない」

 

石田たち、西方十勇士は静雄のことを武道が出来るとはいえ、《気》からして精々アマチュアレベルだと評価していた。

十勇士からすると気の量は一般的、いやそれより少ないと感じるほどだった。

『気』なくして『気』あるものには勝てず。

十勇士達のほとんどは気の扱いに長けている。

気によって筋力だけでは限界がある大筒の反動抑えたり、ハンマーを振り回したり、身体能力を凄まじい次元で昇華させているのだ。

静雄はそれを覆す。

あろう事か重量級の宇喜多をハンマーごと筋力だけで持ち上げ、投げた。

この時、十勇士たちからは慢心が消えた。

 

「次はホムホムだよ」

 

「ああ、この大友、推して参る!」

 

「…あいつをぶん殴る。邪魔だっつってんだろ!」

 

大友は大筒を構え、唯一で絶対の自信を持つ得意技を繰り出す。

 

「国崩しでりゃぁあああ!」

 

砲撃による爆炎が静雄を飲み込んでいく。

 

「油断せず!一気にトドメをさしてくれる!」

 

連射。

更に爆炎が増え、こうなっては静雄の様子は確認できない。

その時、大村が呟いた。「グミ打ちは負けフラグだぞ…?」と。

 

「ダァァアア!!」

 

「大筒が効いていないだと!?」

 

静雄の身体には幾ばくか火傷の痕があるが怯む様子はない。

静雄は駆け出していた。

まだ若い身体に慣れていないのかバランスが悪いながらも脚を無理矢理動かして走る。

怯えた大友は大筒を連射するが、軸のぶれた砲撃など当たる筈もなく。

そのままを襟を掴まれ容赦なく地面に叩きつけられた。

 

「ふにゃああ…」

 

ーー大友焔、退場。

 

「まさかここまでとは…次は鉢屋だな。…あいつはどこだ?」

大村が周りを見渡すが忽然と姿が消えている。

鉢屋の立っていたところには一切れの紙。

 

『仕事があるので帰るでござる』

 

「なにぃ!?」

 

静雄はこれ幸いとばかりに石田を殴ろうとする。

誰もが唖然としたその時、鉢屋は静雄の上、『天井』にいた。

 

どんな手を使ってでも勝利する!それが忍者。

人間意識していないところに一撃与えればすぐ寝付かせれる。

容赦はしない。その首もらった…!

 

音もなく天井から飛び降り、静雄の背後、首の急所にその手刀を振り下ろす。

静雄は反応できなかった。

そうして静雄は気絶する。

 

…そういうシナリオの筈だった。

鉢屋は大きな誤算があった。

静雄は意識していなくともその筋力は発揮される。

どれだけ意識が外でも圧倒的防御は保たれ続ける。

結果、静雄は倒れる事はなく、その背後の『何か』に対して裏拳を決めた。

 

「うぐっ、これは予想外だ……」

 

立て続けに十勇士が倒れていく。

残りはあと、四人。

 

___________________________________________________________________

 

 

結果からすると静雄は次にきた尼子の双子に敗北した。

敗因は相性が悪かった、大筒のダメージが残っていた、怒りの矛先が石田に向かっていたなどもあるが一番の原因は武術を知らなさ過ぎたことだ。

尼子の一糸乱れぬコンビプレーによる高速の撹乱に反応し切れずそのまま押し負けた。

まさに『当たらなければどうという事はない』である。

静雄はその不甲斐ない敗北を胸にし過去を断ち切るためにも武術にのめり込んだ。(当時の大きな理由は石田を殴るためだったりする)

ここの九州という風土が静雄にあってしまっていたのもある。

温暖な気候からか男女問わず荒くれ者の多いこの地ではキレることも多かったがそれよりその静雄の力を恐れるどころか認め、尊敬した。

更には静雄の全力を受け切れる、鍋島館長という存在。

好きに全力を出せる機会があるというのも静雄を武術にのめり込む一つの要因だった。

 

そして争いが日常茶飯事の日々が一年過ぎ。

ある意味非日常(いけぶくろ)より非日常した毎日に静雄は少し変わった。

そんな静雄に川神に戻るキッカケがきた。

 

「『東西交流戦』?」

 

「ああ、川神学園との全面で戦う。どうだ?来るか?」

 

「そりゃ愚問っすね。勿論、参加しますよ。館長」

 

「『西の喧嘩人形』、『西方十勇士の最終兵器』のお前さんよ」

 

「止めて下さい、んな小っ恥ずかしい異名で呼ぶのは」

 

「ハッハッハ、すまねぇな…。静雄、ついでに川神学園に転校するか?」

 

「…ことごとく俺の思ってることを当てるな、館長」

 

「これでもお前より歳をとってるんでな。川神の方には連絡を入れてある、後はお前がどうするかだ」

 

「…そこまでされてりゃ後には引けねぇな…。行きますよ、川神に」

 

「俺の悲願を叶えることを待ってるぜ」

 

「俺の目標でもあるんですから、絶対叶えてやります」

 

「そうか…。じゃ待ってるぜ」

 

 

___________________________________________________________________

 

 

東西交流戦の行われる、川神の工業地帯の一角。

既に彼方此方では戦闘が起き、指令やら、悲鳴やら、鬨の声やら様々な物が飛び交う。

 

「そろそろ行くか」

 

金髪でグラサンをかけた男が戦場に放たれた。

 

 

 




はい、お解りなられたと思いますが、一気にすっ飛ばしました。
正直、天神館でやりたいことはいっぱいあります。ヒロインとのフラグ建てとか…残りの三人との戦いとか(ry
多分やってたら延々と原作に行けない気がしたので急遽変更しました。
原作入ってからの回想とか、閑話とかで妄想を垂れ流していきたいです。
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