がっこうぐらしの中には危険人物が潜んでいるようです 作:犬LDK
危険です。いつ爆発するかわかりません。
前回からは時間軸が切れています。
事実上としては、これが一話目、ということになりますね。今までのはプロローグ的なもので。
■月■日
腐れ縁に出会ってしまった。
正直言って不愉快だ。建前としてすら不愉快だ。そもそも顔見知りというだけで不愉快だ。
友というものは作るだけで面倒だ。負担が大きくなる上に"助け合い"などと称して面倒事を押し付けられる。"親睦"などという名目で無駄につまらんものに駆り出される。
ならば陰口でも叩かれていた方が大分マシだというのに。
何故こんなところでよりによって無駄に面倒な奴に遭遇しなければならんのだ。
■月■日
不快だ。実に不快だ。
転校生が目立つのは小学生くらいまでだろう、と思っていたのだが。どうやらこんな年になっても人は新しいものに興味をひかれるもののようだ。
まぁ、僕も気持ちは分からんでもない。
今でも僕はおそらく、新しい"興味"が沸けば
これもそれと同じだ。
どうせここに顔見知りなど作るつもりはない。すぐ飽きられ失望されるまでの辛抱だ。
■月■日
案の定、僕は勝手に出る種目を選択されていた。
しかも面倒だ。よりにもよって種目は二人三脚などという一致団結して勝利を掴む、などという馴れ合いの種目。
二人の足を結んで息を合わせてゴール。絆の勝利。
ああ、聞こえはいい。
だが、それは勝てればの話だ。
負ければ別。そのパートナーが仲の良い奴なら「おしかったな」「悪い、俺のせいだ」。そんな心にもない寒気がする言葉を吐き。
そして仲が悪い相手がパートナーとして負けた場合、そいつはむすっとした顔を作り「お前が相手でなければ勝てた」という言葉を態度で話す。
後者に関しては実体験だ。
すべてがそう、ではないだろう。だが少なくとも俺はこの二人三脚を醜い言い訳の種目として見ている。
「二人で頑張った結果なら仕方がない/二人の負けなら俺の負けじゃない」
そんな心の声が透き通るように聞こえてくるようだった。
ああ、本当に不幸だ。
■月■日
あの女、まだ付きまとってくる。いい加減にしろ、いつまで逆恨みをする気だ。あの時の選択は仕方のないものだったし、他の答えなどそもそも選択肢になかった。
お前が気にしているのはどうせ、面子だろう。
そうやって正義感溢れるお姿。ああ、いいですねぇ。格好可愛いですねぇ。友達のために怒るそのお姿は格好いいですねぇ。
屑め。
貴様がしたいのはいい格好。人脈、人気が高い方を味方することで人望を得る。実に単純な手段だ。
そこに本当の正しさなどは関係ない。
やれやれ。まったく。くだらない。
まぁ、いいさ。いくらでも僕を悪とするがいい。お前は人望を得て、僕は平穏を得る。
ああ、実に良いギブアンドテイクじゃないか。
■月■日
最悪だ。
よりにもよってパートナーがこいつとは。僕のくじ運は最低ランクらしい。
漸く解放されて楽になった、とか思っていたらこの仕打ちだ。なんということだ。この世に神はいない。
まあいい、折角パートナーになれたんだ。
ならば嫌がらせに足を引っ張りまくって負けてやろうじゃないか。
■月■日
予定外だ。
そして予想外だ。
誰だこいつは。
昨日までと手のひら返し、まるで人格が反転したようだ。ああ、気持ち悪い、鳥肌がたつ。
やはり人間などこんなものか。ああ、実に嘆かわしい。
■月■日
最近、奴の雰囲気が暗くなった、という話をよく聞く。
否、嫌でも目に入ってくる。
ええい、しつこい誘いの嵐から解放されたと思ったらこれだ。いい加減にしろ。直接関わっていないのにも関わらず貴様の話を聞かねばならんとは……どんな呪いだ。
どうやら奴との腐れ縁は本気で呪いのようなもので繋がれているようだ。
おかげで「お前何かしらない?」など馴れ馴れしく話しかけられることが多くなってきている。ええい、鬱陶しい。
■月■日
奴が倒れた。
眠れていない、というのは一目瞭然だった。
しかしまさかぶっ倒れるまで気づかないほどとはなんたる馬鹿だ。そしてその周りもまた愚か者の集まりだ。
教師ですらもたついて状況対応が鈍い始末。
なんとまぁ、当てにもできん阿呆共ばかりのようだ。待ってられんので僕がわざわざ無駄な労力を使って保健室まで運んでやったが……軽い。
男の癖に、僕より身長が高いくせにここまで軽いとは。ちゃんと食っているのかこいつは。
まったく、なんという無駄な時間だ。
■月■日
奴に恋愛相談をされた。何故僕に、と思ったら、まさかの奴に好意を抱いている、ということ。故に一番関連性の高い僕を相談相手に選んだ訳のようだ。
愚か者め。
相談などしている暇があるならば話す努力くらいしたら良いものを。
挙げ句の果てに僕だよりな提案をしてきた。
ふざけるなクソアマ。何故僕が貴様ごときにいいように使われなければならんのだ。
だかまぁ、それにしても。
思いの外、奴も隅に置けない奴らしい。
■月■日
【あまりに殴り書きで読めない】
■月■日
流石の僕も本気で気遣うレベルだ。
奴の目がおかしい。別に見た感じから、というわけではない。何か色が変わった、なんてことでもない。
ただ、奴の周りを見る目がおかしい。まるで、怪物でも見るような目で、クラスメイトを見ている。
なんだ、心労なのか?
この前倒れたことと関係があるのか?
だが、奴のそんな目は時折マシになることがある。
まったく、面倒だ。
こんなくだらないことをわざわざ僕がやることになろうとは。
明日、奴をカラオケにでも誘おうか。話はそれからだ。
■月■日
はじ■て■を■■た。やっと見つけた、やっと見つけた、やっと見つけた、やっと見つけた、やっと見つけた、やっと見つけた。
■し■。な■て楽■い■■ろう。
―――さて、一人の男子高校生について語ろう。
何も変わらぬと日々を無意味に過ごし続けた男の物語を。
***
何をしていたのだったか。
家の明かりがない、恐ろしく暗い住宅街。その光景は皆が寝静まるような深夜の時間帯の光景そのものだ。それでも今の時間は、腕時計が確かならばまだ深夜どころか眠ってすらいない時間帯だったが。
ボタンを押せば光る腕時計。
無駄な機能だと思っていたが、本気で目のきかないこんな場面で初めて価値が見えてくる。まぁ、当然ながらこんな事態を想定して作られた訳ではないのだろうが。
さて、本当に僕は何をしていたのだったか。
こんな真っ暗な中で、何がいるかもまともには視認できない環境で、ただ宛もなく歩き続けている。何時間歩き続けたのかも既に記憶にないが、足の疲労からして何時間も座らず止まらず歩き続けていたのは分かる。
歩いているだけマシか。
ずっと突っ立ったままでいるのと比べるのならば、感覚としてはこちらの方が断然楽だ。まだそう考えられる内なのだから、限界という訳ではないらしい。
何処に向かっているのだったか。
何か大事なことを思い出したから、こうして歩いているのではなかったか。…駄目だ、記憶にない。
だが不思議と、僕の歩く方向に迷いはない。
体が僕の意思と切り離されて勝手に動いているようだ。
いや、ようだ、ではなく実際にそうなのだろう。
僕の意思が反映されている行動ならば、とっくにこの体は止まっている筈だ。僕の意思は既に『限界だ、もう歩きたくない』、という餓鬼の駄々こねにも匹敵する思考で沢山だろうというのに。
「……せめて星の光でもあればマシなのだがな」
生憎、天気が優れないらしい。
星の光も月の光もなければ電灯もなく家の明かりすら何処にも付いてなどいない。ライターなんかは持ってはいるが、それは全く別の理由があってのことであって、明かりなどには当てにはしていない。
いや、懐中電灯を持ってきたとして、それをこんなまっ暗闇の中で点けることなど愚策だ。今は
…本当にそこらにいる虫共もまた寄ってくるだろう。
それにしても、本当にこの時間帯は"奴等"が少ない。今に至ってはもはやいない、とすら言える。
いや、いないではない。姿が無いだけだ。
ここは住宅街。そこらの家からは"奴等"の
奴等は家に帰る。帰ってもただそこにいるだけで、寝るなどの行為はしないようだが。
数日――どれくらい経ったかなど数えてはいないが、奴等を見ていると見えてくる。"奴等"は可能な限り人間だった頃のサイクルを再現しようとしている。
当然、知能の欠片もない奴等に理由なんてものはないのだろうが。死んだ人間が生きるために人間が行っていたサイクルを再現しようとする、というのも笑える話だが。
―――まだこの時間なら迷惑にやかましく叫んでいたバカ共くらいいただろうに。随分と真面目なことだ。
少なくとも、生活リズムだけで考えるならばひょっとすると死んだ後の方が規則正しいのではないか。まぁ、そんなもの単なる偶然なのだろうが。
この時間帯になってから、今日は一度も"奴等"とは遭遇していない。まったく平和なことだ。
―――まったく、平和で静かで、なんとも
月の光もない風景、何の音もない夜…ならまだいい。あちこちの家の中からは奴等のうめき声らしきものがうっすら聞こえてくる。―――うめき声、うめき声、遠吠え。なんともやかましい。
「―――ん?」
はて、遠吠え。
奴等は遠吠えなどする脳があった…いや、そもそも遠吠えなどする人間など……どうやら、人間の体から発する声ではないらしい。
犬。なるほど犬か。
「そうだ、そう言えば考えていなかった。犬も人間と同じ条件なのか?それとも犬は噛まれたところで奴等になることはないのか………」
未だに動く屍に会った機会があるのは人間のみだ。あるいは犬や猫、さらには鳥類だって奴等にならないなんて証明は何処にもない。
まぁ、そもそも鳥類なんぞが奴等になるのなら人間に逃げ場は無くなるな。空を飛ぶ相手など厄介なことこの上ない。
いや、あるいは。
鳥類が噛まれて動く屍になったと仮定して、ひょっとすると飛べなくなる、ということもあり得る。人間バージョンの屍共も力こそ強いが移動速度は貧弱そのもの故に。
まぁ、飛行できる奴等はこの際またの機会だ。今は確かめる術がない。
ならば、今は現時点で確かめられることを確かめるか。
正直足も何日も止まらず歩いていた故か感覚がないが、まだ限界とは感じない。ならば、犬を
運良く聞こえる遠吠えする犬を捕まえ、噛まれているのなら
―――待て。
何故僕はその犬を捕獲する、などといった思考になった?犬を捕獲してどうするつもりだった。
いや、それを置いておいたとして寄り道をしている余裕などあるわけがない。『巡ヶ丘高校』へ行かなくては。そこに向かわなくては。アイツが言った通り――アイツとは誰を指す?――に一刻も早く向かわなく――何故向かう必要がある?――ては。
いよいよ疲れてきているのかもしれない。足も既に
会いづらい今は好機だ。この隙に早く距離をつめて、そして奴等が現れる時間帯になるまでにいい具合に隠れられる場所を見つけて少しでも休まなくては。
眠れなくてもいい。
問題ない、隠れ場所なら案外すぐに見つかる。昨日のようにまた奴等の多い時間帯は休んで――ここ何日も止まらず歩いていただろう――いい時間になったらまた出発すればいい。
ああ、あとどれくらい距離がある?
今までどれほどの距離を歩いた?
ここまで"止まらず"歩いて、僕は
おかしい。
僕は真っ直ぐ歩けているか?この星はこんなに回るのが速かったか?この暗闇、先程より暗くなっていないか。
暗闇でこそあったが、まだうっすら見えていたのだが。
今は本当に何も見えない。
「ぁぁ…あ゙あ゙ぁぁ…」
何の音か。
やけに近くでなにかが聞こえる。
何処かで聞いたことがある音だった気がするな。心地よい音色なんかじゃ断じてない。だがやけに心踊る音色だった気がしないでもない。いや、明らかにこれは嫌な音だろう。醜い音だろう。楽しい音だろう。
ああ、漸く少し見えてきた気がするな。
はて、あの近くで聞こえた音はなんだったのか…。
「ああ」
思い出した。この音の正体を。
―――
***
――明け方。
場所はリバーシティ・トロン・ショッピングモール。
普段通りならとっくに眠っているであろう時刻。そんな時刻でありながら、男は一人個室トイレの一室にこもっていた。
勿論それは化物と化した者達から逃れるための術である。
だが、別に男はその個室トイレを隠れ家にしているわけではなく、あくまで一時的に化物をやり過ごすための手段である。
男が本来隠れ家としている場所はまた別であり、現在はその仲間と分断されてしまい、仲間の迎えが来るまでの間を個室トイレでやり過ごそうとしているのだ。
彼の拠点としている場所には、彼も含め十一人の人間がその場所に避難している。まだ事件が起きて間もない故、集まって共同生活を初めてそこまで経ってはいないが、既にその中でサイクルは確立されている。
仕事は男女分業で、男性は拠点から出て下の階へ遠征へ行き、生活する上で必要なものを取りに行く。ショッピングモール故に品揃えは良く、化物達に気を付けていれば暫くは困ることはないだろう。
そして、女性陣は家事などを担当している。
彼がこの個室のトイレを出るタイミングは、男性陣が遠征へ降りてくるタイミングだ。その際に、仲間達と合流し、避難所へと戻る。
それが男の思い描いている予定だった。
だから、それまでは此処から出ず、このままやり過ごし続けるつもりだった。
―――人の声が聞こえるまでは。
『ぐっ、おおおおおっ!!!!』
そんな声と共に、ダン!という大きな足音。
足音から察するに、それは着地音。距離があるのか、その音は小さくはあったが。
「……まさか、生存者…かぁ?」
しかし、今の音と声から察するに、その生存者は恐らく"奴等"に襲われているところではないのか、と想像できる。
生存者なら奴等にやられる前に助けなければ。
しかし、危険性が高すぎる。
今行っても既に手遅れではないのか、という考えが脳を巡る。いや、そんなものは建前か。
男は、確かに事件が起きてからというもの、遠征などへ行ったりしている最中に奴等を見て、それを知っている習性を利用して全員で乗り切ったこともある。
しかしそれはあくまで集団だったから。
一人で、いけるだろうか。
「……バカッ!もう手遅れに決まってる!駄目だ、今言ったら俺も……!」
頭の中で男は、見捨てるための言い訳を探し続ける。
男は正義の味方などでは決してない。男は、死にたくない。人間として至極当然の思考。至極当然の恐怖。
男は葛藤し続けた。
自分の中で言い訳をし続けて、し続けて、し続けて。
「くそっ…!」
だが、それを通すことができない。
男が思い返すのは、自分が
何か変わっていただろうか。
――そして、また同じことを繰り返すのか。
「…………」
男は考える。
今の自分は、奴等の対処法を知っている。あの時とは違う。助け出せるかもしれない可能性がある。
ならば。
ならば。
今度は、今度こそ。
あの時とは違う結果が、導けるかもしれない。あの時の罪滅ぼしができるかもしれない。
それは勇気か、無謀か。
男はそれでも、無言でゆっくり、慎重に個室トイレのドアを開ける。……何もいない。
男は、手にビー玉を準備しておく。いざと言う時、奴等を撒くことができるように。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
無音の空間を、一人歩く。
途中で奴等がいるかもしれない。いつ来るかも分からない恐怖が、男の全身の体温を奪っていく。
今は寒い、なんて時期ではない。
それなのに、凍てつくように体感する温度は冷たかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…はぁ……はぁっ……!」
進む、進む、進む、進む、進む。
ひたすら音のしたであろう方向へと歩を進める。進めて、進めて、進めて。
―――男は、元の道を引き返す。
「やっぱっ…!無理だって…!今行ったって遅いって…!」
やはり、男は恐怖に勝てなかった。
先程までの慎重さなど捨てて、ただ元いた個室トイレへとかけてゆく。
そして、男が元いた個室トイレへと、もうあと少しまで迫った瞬間。
「――――ぁぁあ…あ゙……」
横から、先程はいなかった筈の化物が、自分に手を伸ばしてきていたことに気づく。
―――しまった、何故俺は音に気を使わなかった!あんなに足音をたてたら気づかれるに決まっているじゃないか!
迂闊だった。
気づいてももう遅い。勇気か、無謀か、答えは出た。
男がした行為は、無謀だった。最初から助けに行くなど、しなければ良かった。あの個室の中で、仲間が来るのを待っていれば良かったのに。
男は、自分が持っていた対処法すら見失い。
自分の命を諦め、目を閉ざした。
―――その場に、死の音が響いた。
男は、閉じた目を恐る恐る開く。
そして、その光景に息が止まる。目を見開き、途端に来た吐き気を押さえるために口を手で押さえる。
――男に襲いかかった屍は、顔の上半分が抉りとられたように消失していた。
「………ひ、はは、ははは……!」
そして、その上半分が抉りとられた屍の背後には、何処か気味の悪い笑みを浮かべた、全身ボロボロな年下であろう少年が立っていた。その手にナイフを持って。
「……はは…!……む、ああ。お前は生存者か…」
少年は男を見ると、疲れきった声で呟いた。呟いた、というよりは声が呟く程度しか出なかった、という方が正しそうに男には見えたが。
そして、男の姿を確認した少年は、その場で倒れ込む。
慌てて男は、少年を受け止める。
受け止めた際、少年の声が耳元に届く。その声は、男が至近距離で抱えてる状態にも関わらず、うっすらとしか聞き取れなかった。
「……奴等は一通りは片付けた。現時点では奴等との遭遇の可能性は殆どない筈だ」
片付けた、というワードに男は驚愕する。
一通りは、ということはそこそこ数がいたと推測できる。それではこの男は、それらを先程の化物のように全て殺めたというのか。
とても、それが可能な状態には男には見えなかった。
男に医学の知識などは皆無だが、そんな素人目でも分かる。
この少年はあちこちがボロボロだ。
目の酷い隈は暫く眠れていないことが分かる。そして、足元を見ると両足が出血している。特に左足は酷かった。制服であろうズボンの破れている部分からは、酷い腫れが見える。
これは――骨折くらいは安易に想像できた。
加えて腕もどう酷使したのか。
所々に痣が見えた。
一体、これまでにどんなことをしていたのか。想像できない、少年が過ごした今までの日々を想像して、男は恐怖を覚える。
何をしたのだこの少年は。
どうしたらこんなことになったのか。
男は思考を止めた。
考えても無駄、と考えたわけではない。少年がまだ何か言葉を発していることに気がついたからだ。
「……犬がいる。この建物の何処かに生きた犬がいる。この建物の何処かに……犬がいる……この建物のどこ…かに…」
そこで、少年の声は途絶える。
男は呆然としながらも、頭の中でやることを整理する。
まずは、この少年を自分達が暮らす避難所へ連れていく。そして仲間達と合流し、この少年の言う犬を探し、保護する。
「……はぁ。やれやれだ」
変わり続けた状況に整理のつかないまま、男は少年を担いで、自分達の隠れ家へと向かう。
その道中、無惨な姿で倒れていた大量の化物の残骸に、驚愕しながら。
前半は進展なし。ただ主人公の現状を書いただけのもの。
後半は進展させようとした結果。原作キャラはまだ出てこないこの体たらく。
……書き直すのもアレだからそのままにしたけど、この流れだと時間的にめぐねえ絶望的…カナァ?
ま、救いようのない主人公(予定)が何かを救うなんてあり得ないことなのかもしれませんが。