第造話 転生者と作り出す者たち
アサシンのクラスで現界した、正村島羽だ。無論冗談だが。
「さて、シャーリーにマリエル技術官。これをどう思う」
「こ、これは!?」
「これを作成すればいいんですか?」
今、俺は機動六課のデバイス整備室だ。
本日、スバルの姉であるギンガ・ナカジマ陸曹、そして本局の精密技術官であるマリエル・アテンザ技術官が機動六課にやってきたのだ。
機動六課所属のデバイス関連の資格を大量に持つシャーリーに本局所属で機動六課隊長たちのデバイスと深くかかわっているマリエル技術官。そんな二人が揃ったのだからと、休日の一件の時から考えていたデバイスの設計図を見せたのだが。
「いいですね……やってみましょう!」
「しかし、この設計図通りだとするとなかなか……いえ、これをこうしてこうすれば……?」
結構、評判は良かった。
とはいえ、デバイスは本来高価な物である。そんなデバイスを作る金がどこから出ているのかと言われれば、ただ俺の貯金をおろしただけである。
ちなみに俺の貯金額はなかなか多い。まあ生活費を削減して安い食料を買ったりしていたからな。
「さて、協力してもらえるか?」
「「喜んで、協力させていただきます!!」」
うん、協力してくれてよかったぜ。
これから作るデバイスはかなり高性能な物を予定している。
待機状態には宝石の着いた指輪の形を採用。変形できるモードは二つ。カートリッジシステム搭載。とても丈夫。人工知能搭載だ。
まずは今日の内に基盤は造らねえとな。
「その前にご飯を食べましょう」
「ああ、そうだな」
食堂。
訓練を見学していた、レストとベルが六課の隊長、副隊長、フォワード陣、そしてヴィヴィオやザフィーラと帰ってきた。
驚かされるのはレストがヴィヴィオになつかれていることだ。レストお姉ちゃん、とか呼ばれている。なにがあった?……まあいいか。
食堂の机に食事を並べる。今日は全員日替わりメニュー。ヘルシーな豆腐ハンバーグにサラダ。スープにライス。デザートにアイスまでついている。驚いたな。
スバルたちの前には大量のサラダやらなんやらが並んでいる。ヴィヴィオの前にはオムライス。
「ベル、レスト。フォワード達はどうだった?」
「よくなってきていますわね。とはいえ、まだ隊長たちには勝てませんの」
「……エリオ君とキャロちゃんの相性はいいみたい。……スバルさんの力やティアナさんの指示もよくなってた」
ふむ、なるほどな。
「あと私の出番が少なくなってますの」
『私よりましでしょう』
「唐突なメタ発言!?」
しかも、ベルとアンタレスの二段編成だと!?……まあいいか。
「……まあよくない」
「地の文を読むな!!」
スープを一口飲み、サラダを一口食べ、豆腐ハンバーグを一口食べる。これは俺の中でのデザートの理から外れるがアイスも一口。
「これ、いつもの料理と味が違う?」
「でも、おいしいです」
「おいしー!」
「ホントだ」
「おいしーです♪」
「うめーな、これ」
「ほう、これは」
「おいしい。いったいこれを作ったのは誰なんやろ?」
「え、はやてちゃんじゃないの?」
「じゃあ、誰が?」
六課メンバーが絶賛している。まあ確かに俺の『絶対味覚』でも欠点が見つからないとは。
「……発表します」
「なにをですの?」
「……この料理を作った人」
その言葉に静かになる六課メンバー。
「……この料理を作ったのは……シャマルさんです!!」
「え?」
え?
「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」
「やかましい」
「驚きすぎですよぉ」
シャマルさんが涙目になっている。
食に並々ならぬこだわりを持つレストが教えてたんだから、これくらいの料理はできるようになっていなければ、どうなっていたことか。
「できてなかったら、どうなるんですか?」
「それを知ることがなかったことが幸運なんですよ。シャマルさん」
そういえば、俺がシャマルさんとシグナムさんに敬語を使っている理由は……まあ察してくれ。
「……よく、ここまで頑張ったね。……シャマルさん」
「先生!!」
キャラ崩壊がすごいんだが。とはいえ、これでシャマルさんの料理で人が倒れることはないな。安心したぜ。
「ちょ、ちょっと待って。レストちゃん?まさかあのシャマルがこれを?」
「……酷いです。はやてちゃん」
確かに食った人が失神するような料理を作っていたシャマルさんが、なんということでしょう的に料理がうまくなっているんだからな。
「いや、まさかシャマルの料理がここまで美味くなるとはなあ」
「まさかと思っていたが……」
「まさか、ここまでおいしい料理を作れるなんて思ってなかったです」
「うう」
なんか、シャマルさんふるぼっこ状態じゃねえか。……まあいいか。うまいし。
「あれ、ヴィヴィオ?ピーマン嫌いなの?」
「苦いの嫌い」
「っふ、ヴィヴィオ、まだまだ甘いぜ」
「正村中将?いきなりどうしたんですか?」
食事を残す奴は許さねえ。前世じゃそう言われて育ったからな。
「……ヴィヴィオは勘違いをしてる」
「聞いて驚け!!そのピーマンは全く苦味がない品種なのさ!!」
「「「な、なんだって!!」」」
そうこれは我が家で自家栽培している。苦みのないピーマンなのだ。それを、レストがシャマルさんに提供したのだろう。
「おいしい」
「おお!」
「はい。よくできました」
ってことはレストは知ってたんだよな。今日シャマルさんが料理をふるまうことを。
「しかし、いい料理だ」
誰も倒れない味ってところが特に。
「あ、あの」
「どうした、ベル」
「今度、
なん、だと!?まさか俺の体質であるところの『絶対味覚』を知っているのに、俺に挑戦してくるとは。
いや、でも俺はベルの料理食ったことないよな?そう思うと無性に食いたくなってきた。今飯食ってるけど。
「いいぜ。いくらでも作って持ってこい。お前の料理ならいつでも大歓迎だ」
「あ、ありがとうございますの」
ベルはそう言ってうつむいてしまった。心なしか顔が赤い気がする。……熱でもあるのか?
「……鈍感」
『鈍感です。主』
『鈍感だな』
どういうことだ?……まあいいか。
第充話 転生者の隠れた名店巡り
「さて、まず一件目はここだ」
「……お好み焼き屋さん」
「すごく小さいですの」
ヴィヴィオとレリックの回収。その後の処理やら全体の8割程(他の奴らの分も含め)終わらせてから機動六課部隊長であるところの八神はやてに丸投げしてきた。
店内は明るすぎず暗すぎないといった具合にライトが絶妙に照らし、なかなかしゃれた雰囲気だ。
「いらっしゃいませ」
「3人だ」
「カウンター席とテーブル席どちらになさいますか」
「テーブル、でいいよな?」
「いいですの」
「……うん」
「かしこまりました。こちらへ」
テーブル席に案内された。無論、テーブルの中心には黒い鉄板が取り付けられている。お好み焼きを選ぶ。
「島羽さん。よくこのようなお店を知っておりましたわね」
「ああ、ちょいと前に情報屋に教えてもらった」
「いくらでですの?あ、私これにしますの」
「本局のお偉いさんの裏でやってることを2・3個ほど、あ、俺はこれ」
「お店情報のためにそのようなことを!?」
「……すみませ~ん」
いまどき珍しいな。呼び鈴やらなんやらがない店は。
「いや、冗談だ。まあ、本当のところは次元世界転移許可やらなんやらをな」
「ああ、それならいいですの」
「……豚玉と焼きそば入りとミックスお願いします」
「ご注文を繰り返させていただきます。豚玉、そば入り、ミックス。それぞれお一つずつでお間違いありませんか?」
「……うん」
「それでは少々お待ちください」
しかし、なかなかいい店だ。綺麗に掃除されてるし、店員も噛まないし、高級食材ばかり進めてくる大男もいないし。
「そもそも、そういう情報をやる時は地上本部に所属を移してからするぜ?」
「やる気ですの!?やる気ですのね」
「それに2・3個どころじゃなくほぼ全員の裏でやっている黒いところをばらすぜ?」
「あなた本当に管理局員ですの!?」
おっと。店員が生地を持ってきた。
「その時はベルも地上本部に所属を移すんだぜ?」
「え?……あう」
まったく。心配性だよな、さて食うか。
「……その時」
『店員はこう思った』
「……リア充爆発しろ、と」
「ええっ!?」
もはや店員までいじりだしたか、うちの使い魔は……まあいいか。
この後4つの店を回るわけだし食う量はこの程度でおさえねえと。
第戦話 転生者VS
「レスト、いくぞ」
「……来て」
「勘違いされそうな発言はやめてくださいな」
これから模擬戦である。場所は六課の特訓用スペース。ステージ設定は街。今ここで正村とベルとレストの三つ巴の戦い。
正村の有効攻撃は魔力弾と蹴り。ベルは魔力を伴ったなんらかの攻撃。レストは両手両足を使った攻撃。
有効攻撃を受けたものは模擬戦から除外される。
正村は
地面に置いたタイマーが戦闘開始を告げる。
正村とレストが高速でぶつかる。正村はシールド魔法でレストの蹴りを受け止める。かつその姿勢で彼のデバイスであるマンダの銃口をベルに向けるのだから恐ろしい。
「アンタレス!」
ベルは自分と正村の間にシールドを張る。飛来する魔力弾。銃弾サイズのそれは一瞬シールドに阻まれる。その隙に横に跳び退き放つ。
「ガルーダブラスター!!」
蒼の砲撃は正村とレストを飲み込む。はたから見ればそう見えただろう。だが正村はその実力で中将まで上り詰めた猛者であり、レストは『管理局最速』の二つ名を持つ使い魔である。
標的を変更したのか、煙を引き裂きベルに突っ込んでいくレスト。
「アンタレス、『モードセカンド』」
『OK』
ベルはレストの攻撃をシールドで受け止めつつ言う。魔力を放出する直前に使用魔力を10倍にする、ベルの
『モードセカンド』のアンタレスはロケットランチャーの形状をとっている。
ベルは肩に担いだそれを至近距離のレストに素早く向ける。
「ワイバーンランチャー!」
放たれた人間一人飲み込む大きさの蒼色の魔力の球。正村の魔力弾とは違うそれは魔力球とでも呼べばよいだろうか?
それを前方に跳ぶことで難なく避けたレストはベルに蹴りを叩き込む。その速度にぎりぎり対応し、シールドを張ったベルは、それでも吹き飛ばされる。
その時レストの避けた蒼の魔力球が炸裂した。周囲にボーリング球サイズの魔力球をまき散らす。それを躱すレスト。
とはいえ、ベルにとっては想定内である。そもそも、この『ワイバーンランチャー』はレストを狙ったものではないからだ。
「ッ!?マンダ!!」
狙っていたのは正村。煙に紛れて距離をとっておこうとしていた彼は、いきなり、向かってきた魔力球をバリアを張ることで防ぐ。
大量の魔力球はバリアとしのぎを削る。バリアを破られるのも時間の問題だろう。
「『フルオートモード』!」
正村は『フルオートモード』にマンダを切り替え魔力球を物量の差で落としにかかる。
レストはベルに有効攻撃をあてるためにベルに高速でとびかかる。その時レストの前方にベルを守るようにように野球ボールほどの魔力球が割り込んだ。そこで一瞬制止するレスト。そこに上下左右から魔力球が飛来し衝突した。
アンタレスの『モードセカンド』で放たれた魔力球はベルの好きなタイミングで爆発、炸裂させることが可能になる。彼女が今回使用したのは炸裂であった。
炸裂させ小さくなったのと引き換えに増殖する魔力球。魔力球が炸裂する瞬間のみ、それが飛ぶ方向を指定することができる。それを使って魔力球でレストの周囲を檻のように囲んでから一斉に炸裂させてレストを倒したのだ。
正村はその周囲から襲い掛かる大量の魔力球を『フルオートモード』に切り替えたマンダから放たれる魔力弾で撃ち抜いているところだった。3秒もたたず魔力球を撃ち抜き尽くす。
正村は最後の魔力球を撃ちぬくと同時ベルに向けて突っ込んでいく。
『モードセカンド』のアンタレスを再び正村に向ける。『ワイバーンランチャー』再発射まで4秒。
遅れてマンダをベルに向ける正村。再発射まで3秒。
そしてマンダから魔力弾が放たれようとし……正村は蒼の魔力球に撃ちぬかれた。
~正村視点~
「ったく、驚いたぜ?ベル」
「ふふっ♪ただのあなたの戦闘法の受け売りですのに?」
「……負けた」
割と本気で驚いた。
ベルの戦法は簡単だ。『ワイバーンランチャー』の炸裂魔力球を俺とレストに分割して差し向ける。俺に向けた魔力球は足止め用。レストは向けた魔力球の
俺はベルの『ガルーダブラスター』によって生じた煙に紛れて距離をとっていたが、その時に逃げ切れなかったから、ベルの砲撃の隙に接近し攻撃することにしたが、ベルはそれを読んでいたのだろう。
戻ってきて攻撃しようとした俺の死角から、レストに対して使わなかった魔力球をぶつけるだけ。
『モードセカンド』をこちらに向け続けていたのは、そのモードの弱点を知っている俺に攻撃をさせるため。
してやられたぜ。
「とか言われてもベルに戦法を教えたことはねえんだが?」
「なにを言ってますの?私はいつもあなたを見ていましたわ」
「別部隊だったじゃねえか」
「正確にはここ半年間ですわ」
「……ベルは……なんでもない」
「ん?どうした、レスト?」
「な、な、な、なんでもありませんの!?」
「なぜ、疑問形?」
……まあいいか。
作者のたくヲです。
短編3話です。短編集なんて銘打っては駄目なレベルです。ですが短編の別作品として投稿すると本編に悪影響が出ますので。
ギンガとの会話がなかったのは、テンプレート的な上司と部下的な会話になりそうだったからです。ですが、後々絡みはあります。
これからも『リリカルでマジカルな世界で最強の狙撃手を目指す』をよろしくお願いします。