ドゥーエを逮捕した翌日、俺はレジアス中将の前にいた。
ちなみにオーリス三佐は他の仕事をしている。
「さて、レジアス・ゲイズ中将?この4つの部隊を退かせてください」
「……どういうことだ?」
「ここの部隊には、新しい兵器の訓練をさせていましたね?そしてアインヘリアルの防衛をさせていると」
地上防衛用の巨大魔力攻撃兵器、アインヘリアル。
「確かにそうだ。そもそも貴様が進言してきたのだろうが」
「そうですか。ならば安心です。アインヘリアル四機の内三機を捨て、残り一機のみを守ります」
「あれが、地上の平和を守るのに必要だと知っていてそう言うのか?」
何を言っているのやら、この中将は。
「勿論です。そもそも地上本部を守る兵器としては、アインヘリヤルは不適切でしょう?町に向けて発射なんてしたら町が吹っ飛びますから、町に入った犯罪者相手には使えませんし」
ミッドチルダの犯罪の内、9割は都市部で発生している。だから、アインヘリアルの出る幕はほとんどない。あったとすれば、ミッドチルダ山岳部やらの人がいないところに造られた犯罪者グループのアジトを吹っ飛ばすとかそういうことだけだ。
つまり、アインヘリアルは犯罪抑制のためだけの兵器と言える。
なんというか使えない兵器を開発しても仕方ないと思ったからいろいろ進言しておいたが。
「さて、どうしますか?」
「……」
というわけで、正村島羽だ!!
現在、俺たちは時空管理局次元航行部隊のL級巡航船、アースラの会議室にいた。
「現在、地上本部の捜査は相変わらず後手に回っています。地上本部だけによる事件調査を強硬に主張し本局の介入を拒み続けています。よって、本局からの戦力投入はまだ行われません」
ったく、あの馬鹿どもは。地上本部だけで、やった結果あんだけ引っ掻き回されたってことをわかってねえのか?
「そして、機動六課には情報の提供はありません」
「そやけど、私たちが追うのはテロ事件でもジェイル・スカリエッティでもない。ロストロギア、レリック。それの捜査線上にスカリエッティの一味がおるだけや。そしてその過程で誘拐されたギンガ・ナカジマ陸曹とヴィヴィオを捜索救出する。両隊長意見はありますか」
まあ、こんな感じで原作通りなのはもはや仕方がないよな。こうでもしなきゃ動けねえし。
「方針に依存はありません」
「捜査出動は本日中の予定や、出動命令を待っててな」
さて俺も動くか。
「フォワードメンバー。ちょっと来い」
「はい?なんでしょうか?」
「仕事が片付いてから時間が空いてたら、アースラの特訓用スペースに来てくれ。あ、疲れていたら来なくてもいい」
「へ?何をやるんですか」
いや、特訓スペースに行って昼寝でもするとでも思ってんのか?
「少々、特殊な戦闘技術を覚えてもらおうと思ってな?」
仕事を終えた後。
俺とベルとレストはアースラ特訓スペースにいた。原作でシグナムとエリオが特訓していたあの部屋だ。
「本気ですの?」
「何のことだ」
ベルに問われる。
「フォワードメンバーにあれを覚えさせるって言うことですわ」
「勿論、本気だよ。あいつらはあれでも基礎を半年近くつづけてるんだぜ?今更俺が少し教えたところで変な癖はつかねえよ」
「まあ、それもそうですわね」
「それに、あれだけの敵と戦うのに今のあいつらの実力じゃ厳しいだろう。あいつらには何か一つ隠し玉が必要だ」
隠し玉。切り札。秘密兵器。呼び方はなんだってかまわねえが。敵を確実に戦闘不能にできる実力を手に入れてもらわなければならねえ。
「……みんなは来るの?」
「さあ?別に来なかったって構わないがな。実際、俺たちが奴らを鍛えた場合と、高町一等空尉の教導を受けた場合は結果が大きく変わるからな」
高町なのはが行うのは真正面から向かっていく力を育てる王道的な教導。比べて俺は狙撃や不意打ちといった技術を覚えさせる邪道的な特訓だからな。
アニメで主人公にはなれねえタイプの戦闘法だが、俺にとってはこの世界はもはやアニメの世界じゃなく現実の世界だ。
「レストにはアレになれてもらわなくちゃならねえしな」
「しかし来るんですの?」
「……来た」
その時、部屋のドアが開き六課フォワード陣(ただし、スバルを除く)が入ってくる。
「熱心なことで結構。じゃあ始めるぞ」
死屍累々。
いやまあ誰も死んじゃいねえが、語彙力のない俺じゃ、フォワードメンバーとレストが気絶寸前でぶっ倒れている現状はその言葉でしか表現できねえ。
「お疲れさま、ですの」
「まあこれぐらいはな」
うーん?この程度で疲れるような鍛え方はされてないはずなんだが?
「仕事後ってことを忘れてませんの?」
「ああ、そのせいか」
しかし、そう考えるとこの状態はレストの弱点が浮き彫りになっていることになるな。レストは特に仕事していたわけでもないし、管理局からはザフィーラと同じ扱いになっているし。
「まあ、これでだいたいやることはわかったと思う。今回教えたことはあくまで奥の手として最後までとっておけ」
「「「は、はい!」」」
「明日に備えて、飯食って寝ておけよ」
ぶっ倒れた状態で返事だけ返しているのもシュールだな。
「レスト、大丈夫かお前」
「…………大、丈夫」
「大丈夫には見えねえんだが」
「…………じゃ、ない」
ったく。
「…………おぶって」
「なんでそうなる」
「……うらやましいですの」
俺はレストを背負う。ベルの反応にはもうつっこまねえ。
『つっこんだ方がいいと思いますよ』
「……私もそう思う」
『ツッコミは必要ですよ。ベルさんに』
そうなのか……。でも『うらやましい』って言葉に突っ込む言葉を俺は思いつかねえ。
ところで、前からベルが口に出す言葉や態度は好意から来るものなのかね?
俺はベルのことは好きだし、たぶん恋しちゃっている状態なわけで、ベルからもおそらく好意を向けられていると思うんだが、勘違いだったら困るしな。
「…………気づいて、たの?」
「当たり前だ。といっても、これが勘違いでどこぞの小説に登場する勘違い野郎キャラに俺がなってしまうのは避けたいしな」
レストが地の文を読むのにはもはや突っ込むまい。
『主、それこそ突っ込むべきことだと思います』
なんでマンダまで地の文読めてんだよ!?
作者のたくヲです。
某漫画雑誌の作品のように特訓描写はなし回。
2500文字ちょうどという驚きの短さ。次回から長くなる……はずです。
これからも『リリカルでマジカルな世界で最強の狙撃手を目指す』をよろしくお願いします。