リリカルでマジカルな世界で最強の狙撃手を目指す   作:たくヲ

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第29話 転生者と開戦

 転生者の正村島羽だ。

 

 俺はシャーリーとマリエル・アテンザ精密技術官、通称マリーのメカニックコンビとアースラの廊下を歩いていた。

 

「マッハキャリバーの強化プラン?」

「はい。マッハキャリバーが自分から」

 

 俺の目の前に半透明の設計図が現れる。

 

 ふむ、魔力消費1.4倍、重量2.5倍?

 

「随分重いな、まあスバルならこの程度大丈夫だろうが……多少無駄があるんじゃねえか?」

 

 気になったのは、ある一点。無駄に空洞がある。

 

「そこは、将来スバルが所属することになる部署に合わせて改造を施すスペースですから」

「へえ」

 

 驚いた。やっぱその場しのぎ的に強化するんじゃなくて、将来のことまで考えてるんだな。

 

 デバイスの整備室に入ると退院したスバルと透明な筒の中に浮いているぼろぼろのマッハキャリバーがいた。

 

「よお、邪魔したか?」

「いえ……」

「さて、スバルに朗報だ」

「先日、マッハキャリバーが改造プランを自分から申請してきたのよ」

「マッハキャリバーが?」

 

 マリーがスバルにデータを送る。それをスバルは流し読みする。

 

「魔力消費1.4倍、重量2.5倍……この程度ならやれます!」

「ふむ。なら、安心だな。細けえとこはシャーリー&マリーのメカニックコンビと相談しろよ?」

『Thank you.』

「まあ、なんだかんだで、話し合いをしてたんだろうから、いったんおれたちは出ていくぜ?」

 

 そういって、俺とメカニックコンビは外に出ていく。

 

「それじゃあ、あとは任せたぜ」

「はい、わかりました」

 

 これで、あとはマッハキャリバーだけ、か。さて、どうするかね?

 

 

「島羽さん!」

「ん?ベルか」

「早く来て欲しいですの」

「ああ、もう集まってるのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、数日間、襲撃はなく……スバルのマッハキャリバーの改造が終わった一日後、アラートが鳴り響いた。

 

 スカリエッティからの実況中継によると、やはりヴィヴィオを利用し、ゆりかごを浮かばせたらしい。それを見たなのはが一瞬殺意のようなものを発したが気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

「戦闘機人によって3基のアインヘリアルの破壊が確認。残りの1基で、地上本部部隊と戦闘機人一人が衝突しています。その直後に、ロストロギア『聖王のゆりかご』が浮上。それと同時刻に戦闘機人は地上本部に向かっています」

 

 さて、来たか。

 

「私たち機動六課の目的はヴィヴィオ、ギンガ・ナカジマ陸曹の救出や。私はゆりかご周辺にいるガジェットを殲滅する」

「私とヴィータ分隊長は『ゆりかご』内部へ向かって。フェイト隊長は、本局のヴェロッサ・アコース査察官と、聖堂教会のシスターシャッハと合同で、スカリエッティの本拠地を攻撃」

「フォワードメンバーは地上本部に向かっている戦闘機人を撃破および保護してもらいます」

 

 そんな会話を聞きながら、俺はベルとレストに指示をする。

 

「レストは最後のアインヘリアルの防衛線に加わってくれ。どうやら、今は地上本部の部隊でも何とかなっているらしいが、戦闘機人が新たに二人向かっているらしい」

「……わかった」

 

 レジアス中将は俺の進言通り、アインヘリアル4基の内、3基の防衛を破棄して、1基の防衛に戦力をまわしたらしいから、なんとか持っているって所か?

 

 今、地上部隊と交戦しているのはナンバーズの7番セッテ。新たにアインヘリアル攻撃に向かっているのは3番トーレと5番チンクだという。

 

 地上本部攻撃に向かっているのは、9番ノーヴェ、11番ウエンディ、12番ディード、召喚師ルーテシア、騎士ゼスト、そしてギンガ・ナカジマ。

 

 スカリエッティのアジトに戻ったと思われるのが、6番セイン。

 

 姿を見せていないのが、1番ウーノ、4番クアットロ、10番ディエチ。

 

 これに対応しつつ、『ゆりかご』を止めるのは至難の業だろう。

 

 『聖王のゆりかご』は衛星軌道上にあがると、攻防一体、完全無敵の戦艦として機能するらしい。そうなってしまえば、破壊はもはや不可能。なぜそうなるのかはよくわからねえが。

 

「ベルは、温存」

「へ?」

「ちょっと嫌な予感がするからな。悪いが頼めるか?」

「むー」

「お前しか頼める奴がいないんだ」

「な……なら仕方がないですわね」

「俺は地上本部にでも隠れとくぜ(・・・・・)

「わかりましたわ」

 

 作戦会議はこんなもんか?

 

 それじゃあ出発前に。

 

「フォワードメンバー!」

「「「「はい」」」」

「全員自信を持って行け。お前らの実力ならあいつらに後れをとることもねえ。持てる力を出し惜しみすんな、全力で倒せ」

「「「「はい!」」」」

 

 俺たちが伝授したことが吉と出るか今日と出るかはわからねえが、勝てるはずだ。

 

「じゃあ、俺は地上本部に隠れるから後はよろしく!」

「「「「はい?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、ミッドチルダのとある病室にて、一人の男が目を覚ましていた。

 

 機動六課のヘリパイロット、ヴァイス・グランセニック陸曹。正村島羽の師と言える人物である。

 

「ここは……どこだ?俺はどれだけ寝てた?」

 

 自問する声に応える者はおらず、声はむなしく響く。

 

(まあ、返答を期待してたわけじゃねえけどよ)

 

 見回すと、横のベッドには身体のいたるところに包帯を巻いた狼形態のザフィーラが横たわっている。

 

「お兄ちゃん?」

 

 聞きなれた声。見ると眼帯をした少女が病室の入り口に立っている。

 

「ラグナ……」

「良かった……目を覚ましたんだ」

 

 ラグナ・グランセニック。ヴァイスの妹で、数年前、ヴァイスのミスショットを左目に受け、左目の視力を失った少女。

 

「みんな心配してたんだよ。今は緊急事態みたいで六課の人達はいないけど」

「……そうか、あいつらヘリなしで……」

「アルトさんがお兄ちゃんの代わりにヘリパイロットをするんだって」

 

 言葉を交わしているが、ヴァイスはラグナの目を見ていない。

 

 ヴァイスの心には未だに、妹の視力を奪ってしまったことに対する自責の念が重くのしかかっている。

 

「あ……お兄ちゃんはあの日からあんまりしゃべってくれなくなっちゃったけど。私はもう大丈夫だよ。もう傷はほとんど治ってるんだって。もう眼帯をとってもいい、って先生も言ってたから。ほら」

 

 ラグナは眼帯をとり、左目を見せる。

 

 長い通院生活で傷は消えた。だが、彼女の視力は回復していない。一生か妹は目が見えないままかもしれない。そのことが、ヴァイスの胸を締め付ける。

 

「手術すれば視力も戻るかもしれないんだって」

「……ん?」

 

 今、目の前の妹はなんと言った?

 

「正村さんがどこかの次元世界で見つけてきてくれたんだ。その人なら、私の目も治せるかもしれない、って」

「正村が……」

 

 自分の弟子だった男の名前。

 

(中将っつー忙しい階級の中でそんな奴を探してやがったのか)

 

 そこで、部屋に看護師が入ってきた。

 

「グランセニックさん!今は緊急事態なんですから早く避難してください」

「でも……」

 

 ラグナはそのまま、看護士さんに連れて行かれた。ヴァイスの病室は再び静寂に包まれる。

 

「まだ迷っているのか」

「旦那……起きてたんスか」

 

 そこに話しかけたのは横のベッドのザフィーラだった。

 

「アルトにお前が起きるまで、見ているよう頼まれたのでな」

「そうっスか。……その通りです。何とも情けねえ話でしてね。妹はあんなことがあったのに俺のことを心配してくれてるってのに、俺はまだあの日のことを引きずってる。妹は自分の傷と向き合って、正村も医者まで探してくれたらしいってのに、俺は未だに自分の責任と向き合わねえで逃げ続けてる」

 

 ザフィーラは無言でベッドから降り、ふらふらと歩き始める。

 

「どう生きるのか、何のために戦うのか、失敗とどう向き合うのか、選ぶのはお前だ。……ここでの役目も終わった」

「ちょ、ちょっと旦那!?そんな体でなにを?」

「やらねばならぬ事がある」

 

 その言葉を残し、ザフィーラは病室から出ていく。

 

 ザフィーラが何のために戦うか、それはいつだって変らない。最後の主である八神はやてのためだ。

 

(俺は、どうする?)

 

 何のために戦うのか。そもそも、自分が管理局に入ったのは何のためだったか?

 

(そうか……俺は……)

 

 ふとベッドの横を見ると一つのデバイスが置いてある。

 

「ストームレイダー」

 

 それはヴァイス自身のデバイス。武装隊で、エース級の狙撃手と呼ばれていたころからの相棒。

 

 壊滅した六課のヘリに組み込んでいたこのデバイスが無事だったのは、幸運と呼ばざる負えないだろう。

 

「もう一度、俺に付き合ってくれ」

『OK. 』




 たくヲです。

 最終決戦スタート。

 次回からバトルです。

 これからも、『リリカルでマジカルな世界で最強の狙撃手を目指す』をよろしくお願いします。
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