器物転生ときどき憑依【チラシの裏】   作:器物転生

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→日没の殺人鬼 2-a

それは孤独になった時の事だった。

チンピラに脅され、エナジードレインを行って、

ラインハルトの忠告を受け、食客として世話をされ、

文字を学び、常識を学び、ラインハルトの下を離れ、

ーーナツキ・スバルは病にかかって死んだ。

 

死ぬほど熱くして、何も考えられなくなって、足掻き苦しんだ。

熱病だったのかも知れない。あるいは、ただの風邪だったのかも知れない。

地面が冷たくて、気持ちよかった事を覚えている。

結局スバルは、一人で生きていく事すらできなかった。

とても悔しかった事を覚えている。後悔した事を覚えている。

 

その思いは全て、幻だったのかも知れない。

一瞬の間に見えた夢だったのかも知れない。

そんな風に思うのは、あまりにも違いすぎるからだ。

どうして、ここにいるのか分からない。

どうやって、ここまで来たのか分からなかった。

 

ナツキ・スバルは果物を販売する屋台の前にいる。

スバルの知識に寄れば、リンガというリンゴに似た果物だ。

看板に書かれた文字を読めば「カドモン」と記されていた。

白い刀傷の目立つ店主が、スバルの様子を不審に思っている。

辺りを見回せば、見慣れた王都の大通りと分かった。

 

「どうしたんだよ、兄ちゃん。急に呆けた顔して」

「はーーっ」

 

あれは夢だったのか。それとも、これは夢なのか。

片方を立てようとすれば、片方は成り立たない。

リンガ屋の店主に曖昧な返事をして、スバルは歩き始める。

もはやラインハルトの下へ戻る事はできない。

行き先もなく、スバルは裏路地に入って座り込む。

 

「おい、おいおいおい、待てよ。なんだ、これ」

 

スバルは慌てて立ち上がった。

懐かしいジャージをスバルは着ている。

しかし、ジャージは異世界にないデザインで目立つ。

そのため、いつもは普通の服をスバルは来ていた。

思い出の品として、ジャージは大切に保存していたはずだ。

 

気付いてみればコンビニ袋を持っていた。

食べてしまったはずのラーメンとスナック菓子が復活している。

とっくの昔に充電が切れたはずの携帯電話も点いてしまった。

スバルの状態を例えるならば「初期状態」と言える。

異世界へやってきた時の装備品や所持品に戻されていた。

 

死ぬと定位置に復活する「リスポーン」か。

あるいは未来の出来事を知る「予知」なのか。

まずは今の年月日を知る必要がある。

スバルは立ち上がって、裏路地の出口を目指す。

そこで頭の中に声が響いた。

 

『ーー警告、敵二 接近シテ イマス』

 

異世界へ来た日の事をスバルは思い出す。

あの時も王都の大通りに前触れもなく立っていた。

コンビニのビニール袋を片手に提げていた。

「大通りの路地でも危ない」とラインハルトに言われた気がする。

そうして油断したスバルの前に、三つの人影は立ち塞がった。

 

「よう、兄ちゃん。少し俺らと遊んで行こうや」

 

その顔をスバルは覚えていない。

ラインハルトの輝く顔ならば一発で分かるだろう。

少なくとも王都で珍しくもない強盗である事は分かった。

ラインハルトと交わした約束もあるから、前のように妖刀を抜くことはない。

護身用の武器は目覚めた際に消失したので、スバルは素手で切り抜けるしかなかった。

 

「とりあえず持ち物全部置いてけ。それで勘弁してやっから」

「嫌だね。欲しけりゃ力尽くして奪い取ってみろよーーッ」

 

あれは予知夢だったのかも知れない。

それでも異世界で生きた経験はスバルの内にある。

これこそ異世界に召喚されたスバルの異能だった。

鍛えた力は元に戻っても、技量は積み重ねられていく。

スバルはチンピラを千切っては投げ、千切っては投げ、(以下略)

 

「動くんじゃねぇよ、ボケッ」

「痛いっ。あががが、痛い痛い痛いってーッ」

 

残念な事にスバルは取り押さえられていた。

コンビニ袋の中身を漁られ、ジャージを引き剥かれていく。

暴れようとすれば蹴りを叩き込まれ、強引に動きを止められた。

チンピラの汚い物を口に突っ込まれ、お尻をパンパンと叩かれる。

あまりの暴力にスバルは、反抗する気力も削り取られてしまった。

 

「なんかすげー現場だけどゴメンな。アタシ忙しいんだ。強く生きてくれーっ」

 

虐げられるスバルの横を、なにか通り過ぎて行った。

そいつは行き止まりとなっている裏路地の奥で、壁を蹴って跳び上がる。

その姿は断崖のような壁を登り切ると、尖った屋根の上を走り去った。

もっともスバルに見えたのは、傷んで破れたズボンの片脚から露出された生足に過ぎない。

それでチンピラの注意が逸れた隙に、スバルは妖刀を抜こうと試みる。

 

『ーー警告、敵ノ 殺害ヲ 推奨シマス』

『ーー警告、敵ノ 殺害ヲ 推奨シマス』

『ーー警告、敵ノ 殺害ヲ 推奨シマス』

 

我慢の限界だった。

妖刀は聞くに堪えないほど連呼する。

それでも抜くか否か、スバルは迷った。

妖刀によって死人が出ることを恐れた訳ではない。

またラインハルトの世話になる事を、スバルは恐れた。

 

「ーーそこまでよ、悪党」

 

白いコートを羽織った少女の、鈴音が鳴り響いた。

少女の纏う雰囲気が広がって、裏路地を侵していく。

それは異様な存在感を持つ少女だった。

チンピラたちは肌で気配を感じ取り、少女に気圧される。

まるでラインハルトが力を発揮する時のような感覚をスバルは覚えた。

 

「今なら許してあげる。私の不注意もあったもの。だから、潔く盗った物を返して」

「おい、着てるもんが高そうだ。こいつを助けにきた貴族とかじゃ……へッ、盗ったもの……ォ」

 

また違うらしい。

チンピラが話を聞いてみれば、すでに少女の目標は通り過ぎていた。

そいつが壁を登って行った事を、チンピラは三人そろって主張する。

すると少女は納得し、大通りへ引き返す振りをして見せる。

そんな少女を見て安心したチンピラは、飛来した氷の塊に吹っ飛ばされた。

 

「それはそれとして、見過ごせる状況じゃないの」

 

詠唱もなく、氷の塊は生み出され、霧散した。

白いコートを羽織った少女は魔法使いだ。

逃げ出すと思われたチンピラは、怒りと共に立ち上がった

どうやらチンピラにとって「魔法使い」は、恐れる事のない相手らしい。

しかし、「精霊術師」となれば違う。

 

『あんまり期待を込めて見られると、なんだね。照れちゃう』

 

少女の差し出した手の平の上に、猫っぽい生物が載っていた。

なぜ猫っぽい物かと言えば、人のように喋っているからだ。

数少ない精霊術師の存在はスバルも知っている。

さすがにチンピラも不利を悟り、気絶した仲間を連れて立ち去った。

助けてくれた少女へ礼を言うために、スバルは震える手足で立ち上がる。

 

「ーー動かないで」

 

見るからに被害者なスバルを、少女は疑っていた。

少女に見つめられて、思わずスバルは目を逸らす。

それは後ろめたい訳ではなく、恥ずかしかったからだ。

もちろん少女から盗まれた物に心当たりもない。

しかし、そんなスバルの態度を少女は怪しんだ。

 

「ほら、やましい事があるから目を逸らしたんだ。私の目に狂いはないみたいね」

『どうかなー。今のは男の子的な反応ってだけで、邪悪な感じはゼロだったけど』

 

盗人についてスバルに聞かれても分からない。

まもなく少女も、スバルは無関係であると悟った。

慌てる少女は急いで盗人の後を追う事を考える。

そこで猫型の精霊はスバルを指差した。

まだ石畳に腰を下ろしていたスバルは、急いで立ち上がる。

 

「助けてもらっただけで十分だよ。急いでるんだろ? 早く行った方がいい」

 

ーーなんなら、手伝うけど。どうする、お嬢さん

 

後半の格好いい言葉を口にする前に、スバルの意識は揺れた。

視界は斜めに傾いて、壁へ伸ばした手も体の支えにならない。

受け身も取れないまま、石畳に打ち当たった。

スバルの意識は飛んで行き、その体は動かない。

しかし、少女と猫型の精霊は慌てる事もなく、駆け寄る事もなかった。

 

場所は変わらないまま、裏路地でスバルは目覚めた。

残念ながら少女ではなく、巨大化した精霊の膝枕だ。

精霊と呼ばれる存在は、大きさを自由に変更できるらしい。

チンピラによって付けられた傷は、魔法によって治っていた。

少女が立ち去る事もなく、治療も行ってくれた事にスバルは驚く。

 

この人の良い少女は、大切な物を盗まれて困っているらしい。

チンピラから助けてくれた恩を返すために、スバルは手伝う事にした。

しかし、少女はスバルの協力を断る。

そもそもスバルは倒れていたために、盗人の顔や服を知らない。

せいぜい誰でも知っているような、王都の主要な場所を案内できる程度だった。

 

「盗んだ奴の名前も素性もどこ中かも知らねぇけど、

 少なくともボロいズボンから食み出た生足くらいは分かるッ」

 

なにを言っているのか、スバルは分かっていなかった。

混乱しているスバルを前に、少女と精霊は呆れ果てる。

スバルに悪気がないのは分かるけれど、とても付き合えない。

それにスバルのような一般人を巻き込むのは避けたかった。

盗まれて探している物は、公(おおやけ)に出来ない事情がある。

 

「じゃあ、急いでるから、もう行くわね」

 

行き止まりとなっている裏路地の奥へ少女は向かう。

どこへ行くのかと思ったら、少女は壁を登り始めた。

何の魔法を使ったのかスバルは分からない。

慌てて追いかけるものの、白いコートの内側しか見えなかった。

上から降ってきた氷の塊に顔面を塞がれ、少女の姿は見えなくなる。

 

「ケガは一通り治ってるはずだし、厳しく脅したから、

 あの人たちも、もう関わってこないと思うけど、

 こんな人気のない路地に一人で入るなんて危ないわよ。

 あ、これは心配じゃなくて忠告。

 次に同じような場面に出くわしても、私が貴方を助けるメリットがないもの。

 だから期待しちゃダメだからね」

 

越える事のできない壁の向こうへ、少女は去っていった。

ところが、この程度でスバルは諦めない。

裏路地から大通りへ飛び出すと、行き交う人混みを掻き分けた。

もはや最初の目的である「年月日の確認」は忘れている。

白いコートを羽織った少女の行き先を、スバルは通行人に尋ね回った。

 

「そういや、さっき騒ぎは珍しかったな。この通りで二~三発魔法が打っ放された」

「それ、どの辺りだったか教えてくれないか」

 

魔法と言っても、少女に限られない。

それでも向かってみれば「氷柱だった」という証言を得る。

スバル知っている魔法属性は「火・水・風・地」だ。

四種しかないので少女ではなく、別の魔法使いだったという可能性もある。

ちなみに珍しいけれど「陰・陽」もあるので、スバルの知識不足を補えば全六種だ。

 

魔法によって作られたという氷柱は、石壁に穴を開けていた。

すでに壁を貫いた氷柱は消え、通常の氷のような水滴も残っていない。

そこに少女の手掛かりはなく、すべては終わった後だった。

とにかく手当たり次第に探すしかない。

やがて疲れたスバルは足を休めた。そして、やっと頭を使い始める。

 

「あのボロい格好から考えると貧民街の奴らなんじゃ……俺はアホか。アホかなのかーッ。

 なんで早く気付かねーんだよっ。ちくしょう、時間の無駄だった」

 

大声を上げるスバルに、周囲は迷惑そうだ。

さっそくスバルは貧民街へ向かい、聞き込みを始めた。

長い間、王都で生活していれば、この程度の土地勘はある。

なぜか貧民街の住人は好意的で、詰まる事なく話は進んだ。

貧民街の人気者な訳もないので、スバルは首を傾げる。

それはチンピラの暴行を受けた際に汚れたままで、哀れに思われたからだ。

 

「なんか貧民街に入ってから調子いいな。ここの淀んだ空気が、俺に合ってるのかもっ」

 

ちょっと優しくされれば舞い上がる。

鼻歌を交えながらスバルは、汚れた狭い通路を跳ね回っていた。

ところでスバルは盗人の姿を知らない。

なので貧民街で聞けたのは、盗品の取り戻し方だ。

盗品の集まるという"盗品蔵"へ、スバルは向かっていた。

もっとも、そこに全ての盗品が集まるという訳ではないけれど。

 

「あ」

 

小さな驚く声が聞こえて、スバルは振り向く。

横道の奥に白いコートを羽織った少女の姿があった。

どうやら少女も同じ場所に辿り着いたらしい。

盗まれた物を探しているのだから有り得なくもない。

しかし、そこにスバルは運命を感じた。

 

「ふふん、どうよっ。俺と一緒に行動していれば、もっと早く着けたかも知れないだろっ」

 

大通りで聞き込みを行い、無駄な時間を過ごした事は忘れている。

少女としては他人に言えない事情があるから協力を断った。

スバルが役に立たない事のみを理由として、断った訳ではない。

それなのに後を追ってきたスバルに、少女は気持ち悪さを覚える。

おまけに舞い上がったスバルの言動は、落ち着きのない気に障る言い方だ。

少女は見直してくれると、この有り様でスバルは思っているから仕方ない。

 

「あなたって、すごーく厚かましいのね」

「面の皮が厚いって、よく言われるかも知んない」

 

少女が怒っているのは分かった。

しかし、なぜ怒っているのかスバルは分からない。

他人から見れば、ますます面の皮を厚くしている言動だ。

スバルから目を逸らし、少女は先を急ぐ。

無視された形のスバルは、それでも少女の後を追った。

 

「盗まれた物を探してるんだろ。俺の調べによると、盗品蔵って所に集められているらしい」

 

1つの成果を少女に差し出す。

それは少女の足を止める効果を示した。

貴族に見える少女は、貧民街の住人から情報を聞き出せない。

ここまで来たのは精霊よりも格の低い、微精霊の導きに寄るものだ。

大通りから貧民街へ、貧民街から盗人の住処へ、しかし盗人は居なかった。

とは言っても、最初から最後まで微精霊に頼り切っていた訳ではないけれど。

迷子の子供を助けて、その親に情報を貰わなければ、もっと時間はかかっていた。

 

「あなた、盗人の仲間じゃないわよね」

「なんで疑われてんのっ。路地で俺がボコボコにされてたの知ってるよね」

 

「じゃあ、どうして私を付け回しているの」

「君に命を救われたからさ。だから恩を返したい」

 

「それは、もう精算済みなの。私が質問をして、貴方は答えたでしょう」

 

そうなのだった。

ただし、スバルは盗人のことに何も答えられなかった。

スバルを助けて、魔法で治療して、少女は損をしたに過ぎない。

そんな少女に報いたいけれど、少女はスバルを拒否する。

望まれていない感情を少女に押し付けるのは、恩返しと言えなかった。

 

「俺が、君の力になりたい。そう思ったから、ここまで来た」

「きっと貴方が思っているよりも、私は強いと思うの……貴方は弱いから」

 

「嫌だね。意地でも帰らねぇ。それに帰る場所なんて……」

 

ラインハルトの下に戻る気はない。

所持品は初期化されたから、この世界の通貨も失われた。

復活したコンビニ袋にカップラーメンやスナック菓子があるとしても長くは持たない。

明日の食事に困るのは明らかだ。

時間を潰して、盗人の生足を追いかけている場合じゃなかった。

 

「貴方の帰れない理由を、私に押し付けないでよ」

「ここまで来て帰れるかよ。

 ちゃんとハッピーエンドまで見て行かないと、あとで気になっちゃうだろ」

 

「分かったわ。ちゃんと徽章は取り戻して見せるから、私の邪魔はしないでね」

「大丈夫、大丈夫。君の後ろで、借りてきた猫のように大人しくしてるからっ」

 

溜め息を吐いて、少女は受け入れる。

スバルを助けたことを、ちょっと後悔していた。

今回の事を、口の軽そうなスバルが言い触らさないか不安になる。

少女の一生に関わるほどの価値が、盗まれた物にあるからだ。

この問題が明らかになれば少女は、故郷の森へ帰らなければならなくなる。

 

「あの精霊……は居ないのか」

「うん、そうね。ちょっと疲れてるみたいだから」

 

スバルは猫っぽい精霊の姿がない事に気付いた。

少女の精霊は活動時間に制限がある。

その限界を超えたので、精霊は休眠していた。

今の時間に呼び出せば体外のマナではなく、体内のオドを消費する。

その弱点を素直に明かすほど、スバルと少女は親しくなかった。

 

スバルと少女は盗品蔵に辿り着く。

小屋のような建物が多い貧民街としては、それは大きな建物だ。

盗品蔵は貧民街の最奥で、王都の防壁に沿って建っていた。

もっとも馬鹿正直な看板はないので、ハズレという恐れも残っている。

空を見上げれば暗く、月明かりが唯一の頼りだった。

 

ーーすでに日没の時間は過ぎている。

 

「じゃあ、貴方は関係ないんだから、外で待っててね」

「そんなに心配しなくても、置物として立っているくらいの事はできるぜ」

 

「ずっと息を止めていられるのなら考えてあげる」

「それは無理だな。口を閉じたら死んでしまう」

 

盗品蔵の木扉を少女は開ける。

その姿をスバルは後ろから見ていた。

木扉の隙間から漏れる光はなく、中は真っ暗だ。

ガラスのない窓の木扉は開いたままで、そこにも光は見えなかった。

貧民街なのだから、灯りも無いのかも知れない。

 

『ーー警告、敵ガ 接近シテ イマス』

 

スバルは辺りを見回すものの、暗くて見えない。

しかし、妖刀が言うのだから間違いのない事だろう。

これは妖刀の共感機能とやらで警告を受けている。

そのため少女に聞こえている様子はなかった。

いったい敵は何処にいるのか。

 

「ちょっと待った。様子がおかしい」

 

スバルは少女に声をかける。

そうして振り返った少女の背後で、不自然に闇が動いた。

反射的にスバルは、少女の片腕を掴んで引っ張る。

しかし、先に動いた敵の方が、当然の事ながら速かった。

少女の羽織っていた白いコートが切り裂かれる。

 

「勘のいい子ね」

 

盗賊蔵の中から姿を見せたのは、黒いコートを身に纏った女性だった。

この国では珍しい、スバルと同じ黒髪だ。

スバルが腕の中に引き込んだ少女は、まだ呼吸をしていた。

少女の密着した服越しに、心地のよい感触が伝わってくる。

ただし柔らかい腹部を切られて、そこから溢れ出た血で少女は濡れていた。


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