吸血鬼の妹様   作:キーマカレー

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こんにちは、キーマカレーと申します。本当に申し訳ありませんが、メインの小説と掛け持ちになってしまいます。なので更新はゆっくりになると思います。
この小説はこんなフランを書いてみたいというただの願望で始めたものなので、話自体は直ぐに完結すると思われます。それでは、どうぞ。



一話 現実

 夢か現実かがわからなくなるなんて初めだった。薄暗い部屋の中で目の前に広がる光景に目を疑っていた。

 無数に落ちている肉片に、先程までちゃんと命が宿っていた死体。そして、目の前でまだ生きている人が苦痛を叫ぶ悲鳴をあげながら、金髪の少女に腹を食い千切られている光景。

 

 「え、え・・・・・・・?」

 

 まだ状況を理解出来ていなかった。震える手を押さえながら部屋の隅で怯える。情けないと思いながらもただひたすら恐怖に怯えなけらばならなかった。

 

 「う、うあああああああ!!」

 

 突然、隣にいた中年の男性が立ち上がり、少女の方に走っていった。自ら死にに行くのかと思ったが、すぐにその男の目的が分かった。

 少女のすぐ隣に古い木の扉がひっそりと佇んである。きっとその扉に向かっているのであろう。

 このままではいずれ死ぬと判断したのか。しかし、その男の希望は絶たれた。

 

 「―――ッ!?」

 

 俺の目の前で男の首が飛んだ。その頭は勢い良く飛び、血を巻き散らかして回転しながら俺の隣にコロコロと転がってきた。ギロチンかなにかで一瞬で切ったのかと思わせるほど綺麗に切られている首から、大量の血が溢れ出て真っ赤なカーペットに染み込んだ。

 こんな物を見て気持ち悪くならない筈がなく、吐き気が込み上げ、その吐き気を抑えるように手で口を押さえた時、耳元から少女の声が聞こえてきた。

 

 「もぉ・・・・・・。煩いから黙っててよぉ」

 

 幼い子の声でこんなにも恐怖心が込み上げるだなんて自分でも思わなかったが、今の自分は全身が震えて声すらまともに出そうになかった。

 

 「あれ、この人もう死んじゃったの?」

 

 少女は男の首を持ちながら俺に聞いてきた。なぜよりによって俺に聞いてくるのかと思ったが、周りを見ると一瞬で理解できた。

 この悲劇が始まる前は六人程いたのだが、もう生き残っているのは自分しかいなかった。

 

 「あ・・・ぁ・・・・・・」

 

 答えようにも声が喉に引っ掛かかり、声が外に出ない。この姿に苛立ちを覚えた少女は顔をムッとさせると、持っていた男の頭を壁に向かって投げつけた。その頭は一直線に飛んでいき、壁にめり込んだ。潰れるような音を立てた後に赤色の液体が垂れ、ゆっくりと床に向かって血が垂れだした。

 

 「ねぇ、答えてよ」

 

 「ぁ・・・ぁ・・・」

 

 「あれ、この人間も壊れちゃったのかな」

 

 と言うと、少女は俺の目を覗きこんできた。

 今初めて少女の顔を確認したのだが、少女の顔は西洋人形の様に整っていて、ナイトキャップと呼ばれる帽子の下に覗かせている金髪と、深い紅色の目が酷く魅力的だった。

 

 「な~んだ。まだ壊れてないじゃん」

 

 嬉しそうな表情にすると、少女は俺の前に座り込み、何かを考え出した。

 抵抗すら出来ない様な気がしたので、死を覚悟しながら少女を見つめていると、目に不思議な物が映りこんだ。小さな体を左右に揺らしながら何かを考えている少女と一緒に、何個もの宝石のような物が少女と一緒に揺れているのだ。部屋が暗くてくっきりとは黙視できないが、確かに少女の背中から木の枝のようなものが伸びていて、その下に宝石のような物がぶら下がっているのだ。

 飾りか。最初はそう思った。だが、少女の狂った行動と、あの力。そしてこの奇妙な羽。どこからどう見ても人間には見えなかった。

 そう、きっと彼女は人なんかじゃない。あれは化け物だ。ここで一つ、小さな希望が見えてきた。これはきっと夢なんだと。そう思うと緊張が少しほぐれて、小さな笑い声が出てしまう。

 

 「ふふっ・・・・・・はははっ」

 

 なんだか全てが馬鹿らしくなってきた。普通に考えてこんなことが起こるはずないじゃないか。馬鹿だなぁ。最初から気が付けることだろうに。

 早くこの悪夢から覚めたい。そう思っても中々覚めない。目の前の少女は不思議そうな顔をこちらに向けていた。

 

 「貴方大丈夫?」

 

 殺人鬼に言われたくはない。夢だと分かった瞬間、なんだか目の前の少女に恐怖という感情が出てこなくなった。

 

 「あぁ、大丈夫だ」

 

 「なら私と遊びましょ?」

 

 「それは無理なお願いだ。今から起きるんでな」

 

 「何を言っているの?」

 

 「だから・・・」

 

 ふと思ったのだが、夢ってここまでリアルだっけ。夢は確か必ずどこかに違和感や矛盾があるものだが、人の肉片から、部屋の中にある家具。どれも違和感なんてない。しかも鼻の奥にこびりつくように臭う悪臭。

 思い返してみると目の前には有り得ない存在がいて、聴覚、視覚、嗅覚、全てがはっきりとしたこの場所。

 考えれば考えるほどこれは夢なのか現実なのか分からなくなってくる。こんな姿を見ていた少女は、小さくため息をつくと、小さな口を開いた。

 

 「可笑しな人。壊しちゃいまショウか」

 

 ゾワリと体に伝わる殺気。身体中を舐め回すようなプレッシャー。先程の少女とは違う存在とも思えるほどの存在感を放っている彼女を前に、先程まで感じていなかった恐怖心がまたジワジワと沸いてきた。

 

 「や、やめてくれ!お、お願いします。殺さないで・・・」

 

 ジリジリと迫ってくる化け物に必死に命乞いをする。

 少女が近づいてくるごとに心臓が羽上がり、身体中に心臓の響きが伝わり始めた。

 

 「殺さないでって、貴方面白くないもの。それに叫びまわってる姿を見るとゾクゾクして楽しいの」

 

 「・・・・・・な、何でもしますから、命だけは、助けてください」

 

 「ふぅ~ん・・・・・・何でも、ね」

 

 どこか楽しそうに答える少女。まるで玩具を買ってもらったばかりの少女のようだ。

 

 「まぁ、お腹はもう満たされたし、殺さないであげる」

 

 「ありがとうございます・・・・・・」

 

 「助かったんだからもっと喜んでよ。ね?」

 

 「はい・・・」

 

 何かが気にくわなかったのか少女はムッとすると、俺の手を取り、人差し指を思いっきり握りつぶした。

 

 「あ"あ"あ"あ"あ"あっ!!?」

 

 一瞬気が飛びそうになるも、すぐに気を取り戻し、直ぐに自分の指を見た。人差し指は力なく垂れており、不気味な形をしている。

 涙を大量に出しながら少女を見た。目の前が滲んで良く見えないが、少女が笑っているのは分かった。

 

 「ほら、もっと嬉しそうに感謝の言葉を言ってよ」

 

 「あ、ありがどう、ございます」

 

 痛みに耐えながら無理やり笑みを作る。今自分がどんなに酷い顔をしているのかは分からないが、助かるには少女の言うことに従うしかない。

 

 「ふふふっ。じゃ、じゃあ次はね・・・」

 

 次の指令を言おうとした瞬間、部屋の奥の扉が軽いノックと共に静に開いた。

 

 「妹様。朝食をお持ちし―――ッ!?」

 

 扉から朝食と思われる物をお盆に乗せて持ってきた銀髪のメイド姿の女性は、この部屋の光景を目の当たりにし、驚愕した。

 

 「い、妹様!?こ、これはいったい・・・・・・」

 

 「これって?この人達は咲夜が私にくれた物じゃないの?」

 

 「そ、そんな筈あるわけないです!」

 

 「だって目覚めたら部屋に沢山いたし。てっきり私にくれた物かと・・・・・・」

 

 鼻を押さえている咲夜と呼ばれたメイドは、部屋を見渡し、俺の存在を目にすると口を開いた。

 

 「妹様。その方を少し貸して貰えないでしょうか」

 

 「え~。これ私のだし」

 

 「す、少しで良いので」

 

 「む~わかったよぉ・・・・・・」

 

 

 「妹様。ありがとうございます」

 

 メイドの頼みで折れた少女。自分の命が助かったと心から思うも、次の言葉で自分の絶望的な未来が見えた。

 

 「でも、返さなかったら壊スカラね」

 

 「は、はい。では」

 

 きっと俺はもう助からないのであろう。それにメイドは少女を妹様と言っていた。上下関係があるため、必ず俺は化け物の元へと返却されるだろう。そんな事を思っていると、薄暗かった部屋からいきなり広く長い廊下に変わった。自分の身に何が起こったのかと戸惑いが起きている時、あのメイドが話しかけてきた。

 

 「少し宜しいでしょうか」

 

 細身の長身で、背は俺より少し小さい位。銀髪に綺麗な肌。青い瞳をした彼女はとても凛々しい。

 

 「貴方は自分の身に何が起きたか理解していますか?」

 

 「えっと・・・それはどういう」

 

 戸惑っている俺を見て、ほんの一瞬考える素振りをすると、直ぐに口を開いた。

 

 「聞き方が少しまずかったですね。では、もう一度聞きます」

 

 彼女は俺の目を捉え一呼吸置くと、俺にこう告げた。

 

 

  貴方はどうやってあの部屋に行きましたか?

 

 

 




ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。誤字や文が可笑しいところがあると思いますが、気軽に教えていただけると嬉しいです。
では、次回。
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