「君にこんな行動をさせてしまったのは俺のせいなんだ」
「・・・・・・どういうこと」
光の灯らない虚ろな目を見ることのできなかった俺は、ただ俯きながら重い口を開いた。
「俺には能力があるらしいんだ。その能力のせいできっと君を可笑しくしてしまったんだと思う」
「・・・・・・何を言っているの?この人達は私が殺しちゃったんだよ!?」
響く少女の叫び。虚ろな目から溢れる涙は、彼女の溜め込んだ辛い気持ちを全て吐き出すかのようにボロボロと少女の頬を滑り落ちた。
「この女の人も!!この男の人も!!みんなみんな私がこの手で殺したんだよ!!」
少女は俺を睨み、一瞬で目の前まで移動してきた。俺の目の前に現れるまでに物音一つもたてずに、まるで瞬間移動でもしたかの様な早さだった。そして、驚きの声をあげる間もなく突き飛ばされた。
飛ばされた俺の体は壁に打ち付けられ、背中からの激痛に耐えれずに声をあげてしまう。
「ほら、また私が人を傷つけた」
俺を見下ろしながら少女は笑っていた。でも、それと同時に目から涙が先程よりも多く頬を滑った。
この子・・・・・・まさか・・・・・・。
「私が人と関わるとこうなっちゃうんだよ。だから、だから、お願い・・・・・・もう私に関わらないで」
金髪を揺らしながらその場に崩れ落ちてしまう少女。両手で顔を隠し、鼻をすする音が聞こえた。
「ごめん。それはできない」
少女は覆っている手をどかして、俺を見上げるようにして睨んだ。
少女は敵視するように桂を見るが、桂は逃げる様子もなく、恐がる様子もなく、目から涙をこぼしていた。
真っ赤に染まった部屋で行われているこの二人の言い争い。それを見守るようにして部屋の隅でこの様子を眺める咲夜は、拳を固く握りしめて二人の行方を見守った。
「もう、関わらないでだって?・・・・・・そんな事できる筈がないよ」
少女の隣に座り込み、少女の小さな手を握りしめる。
「俺は君に償いをしないといけない。だから、もう関わるなって言われても無理だよ。それに、そんな助けを求める目で見られて黙っていられる筈がない」
驚きの顔をする少女。大きく目を見開いたその先には、黒髪の少年が笑顔で目を見つめていた。
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・」
嬉しさのあまり、少女は声が上手くだせずただひたすら、目の前にいる自分を救ってくれた人に抱きついた。今度こそ壊れないように、優しく。
少女の寝息が聴こえるまでそう長くはなかった。きっと疲れたのだろう。
「あの、咲夜さん。この後は?」
「私はこの部屋をどうにかします。貴方は妹様を責任もって見守っていてくれませんか?」
「・・・分かりました」
「では・・・」 と咲夜さんが呟くと、瞬時に風景が変わった。本棚にタンス、真っ白のシーツのベッド。家具から察するに客室か何かだろうか。ベッドの直ぐ隣にある窓には、少し厚めのカーテンがしてあり、窓の下にある小さな円上のテーブルには、紙切れが一枚置いてあった。
"カーテンは絶対に開けないように"
何故かは察しがついた。この子は吸血鬼。日光は一番の天敵。それくらいは言われなくても分かっていた。
抱っこしながらでも寝続ける少女は、羽を揺らしながら一定の早さで寝息をたてていた。今さらなのだが、少女の体や服、どこを見ても血や汚れなどが見つからない。咲夜さん、仕事がはやいです。
せっかく綺麗治しても、すぐに汚しちゃ悪い。そう思い、ベッドに寝かせる事にした。少女は綺麗でも、俺の服が所々赤い。
少女を寝かせるためにベッドの隣に行き、少女の細い体に腕を通して寝せようとした時、あることに気が付いた。少女は腕を両方とも背中まで伸ばして手を組んでいるため、中々少女をベッドに寝かせることができない。流石人間ではないだけあるのだろうか。本気で力を入れて離そうとしてもびくともしない。
「しょうがない」
少女を抱き抱えたまま、ベッドに寝込んだ。流石にずっと抱っこしているのも辛いものがある。しかも今日一日、肉体的にも精神的にもどっと疲れた。
「少し横になるだけ・・・・・・」
横になった瞬間急に出てきた睡魔に抵抗せずに、そのまま目をゆっくりと閉じた。
昨日更新できなくて申し訳ありません。
次からはもう少し長く、早く更新できるように頑張ります。それでは、次回で。