ぼんやりとした気だるさを感じながら目が覚め、体の感覚も冴えつつある時、自分の体に何か抱きついている感覚が感じられた。目に入ったのは少女の綺麗な金髪。俺の胸に顔を埋めているせいか、胸辺りにからほんのりとした温かさを感じる。身体を起こしたいのだが、このまま身体を起こすと少女の眠りを妨げてしまいそうだ。かといってこのままの状態でいるのも辛いものがある。
少女が起きるまで待とうかと思い、暇潰しに首だけ動かして部屋を見渡すが、寝る前と全く変わっていないため、何の面白みがなかった。今の時間を確認しようにもこの部屋には時計がなく、窓も分厚いカーテンで遮られているため、今の時間帯を知ることすら出来なかった。
何の変わりもしない部屋を眺め続けて十数分。やっと少女が目覚めたようだ。
「ん・・・・・・あれ」
小さな声でボソボソと呟くと、少女は顔をあげた。そこで俺と目が合う。目があった瞬間、「あっ」と声をあげると頬を少し赤くした。寝る前の事を思い出したのだろうか。
「良く寝れた?」
「・・・・・・うん」
「起きられる?」
「・・・うん」
まだ気分が冴えないのか、あの時の事を思い出しているのかはわからないが、多分あの時の惨劇を思い出しているのであろう。こんな時、どういう声を掛けてあげれば良いのだろうか。産まれて今までこんなことが無かったため、どんな風に接すればいいか悩んでしまう。
不意に少女が俺の体を抱き締める力が強まり、少女の心臓の音が伝わってきた。
少女に抱かれたまま身体を起こす。少女の体が軽いためか、すんなりと起き上がることができた。寝ている時に外れてしまったのだろうナイトキャップをベットから取り、少女の頭に被せる。
「そろそろ離れられそう?」
「・・・・・・まだ」
「無理しなくていいからな」
あのパチュリーって言われていた人が俺に魔法みたいな物をかけてから、少女は異常な行動をしなくなり、今はこうして二人で一緒にいられる。咲夜さんが言っていた通りなのだろう。俺には人を可笑しくしてしまうような能力を持っているという事が。そう思うと急に自分に殺意が沸いてくる。自分が原因で人が死に、他の人達にも迷惑をかけた。そして、消えない心の傷も負わせてしまった。自然と腕に力が入ってしまう。
急に強くなった腕が気になったのか、少女は俺の顔を伺ってきた。
「ごめん。何でもないよ」
そう言うと少女はコクりと頷かせ、顔を戻した。それから数分たち、静かな空気が立ち込めてきた頃、突然少女は口を開いた。
「ねぇ、貴方の名前は何ていうの?」
「ん?俺は桂だよ」
「けい・・・・・・。私はフランドール。フランって呼んで」
「ああ・・・・・・」
またもや沈黙が続く。どうしてこんなにも気まずいのか。まるで付き合います始めたばかりの恋人どうしみたいだ。まぁ、どうみても俺達を恋人と間違える人なんていないと思うが。そう考えていると、ドアからノックが三回聴こえてきた。
「失礼します。よく寝れましたでしょうか?」
「・・・・・・すいません」
「いいわよ。別に」
咲夜さんはフランの様子を伺い、少し困ったような顔をした。きっと咲夜さんも元気になって欲しいんだな。良いメイドさんを持ったなと思っていると、ある事が気になった。
「あの、咲夜さん」
「はい。どうなされましたか?」
「今ってお昼頃ですかね?」
どうもお腹が空いたみたいだ。先程から小さく腹が鳴いている。
「いいえ、今日はもう日が沈みましたよ」
「・・・・・・え?」
思っていた時間とは全く違い、同様してしまう。よほど疲れていたのであろうか。
「ですから、今日はもう眠りになってください」
「でもさっきまで寝てましたし・・・」
「今無理にでも寝ておかないと生活バランスを崩してしまいますよ。それでは、妹様と一緒におやすみなさい」
そういいその場から消える咲夜さん。
「フラン。寝れるか?」
「・・・・・・無理」
一日更新を空けてしまい申し訳ありませんでした。最近よく強い眠気が襲うんですよ笑
それでは、次回。