星熊童子とONE PIECE   作:〇坊主

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 描写を追加するため二つに分けました。
 この話に変化はありません。
 
 


東の海
星熊童子と海賊狩り 1


「おーい、勇儀!飯ねぇか?」

 

「おいおい、ルフィ。いくらなんでも消化早すぎだろう?食べてまだ一時間経ってないよ」

 

「そうですよルフィさん。もうちょっとしたら町があるんですから、頑張りましょう」

 

 

 手漕ぎ舟に乗ってそんな会話をしながら次の町を目指す。人が増えているが彼の名前はコビーと言うらしく、海軍に入りたいらしい。海賊王になると断言しているルフィは気にした様子でもないため自分も気にしない。海軍として敵対するのもまた一興だ。

 

 コビーの夢を叶えてやるべく雑用係を押し付けていたアルビダという女海賊をワンパンしておいた。そのときに多少説教染みたことを言ったが、命を取っていないだけありがたく思って欲しいものだ。

 そして食料をある程度積んで海軍基地があるという町へ航海に出たのだが流石の鬼。手漕ぎ舟でも持ち前の腕力でどんどん進んでいくことが可能であったし、なにより疲労なんてない。こういう時だとかなりうれしい。

 

 船を止め、勝手に消えていかないようにロープで括り付けた後、町に足を踏み入れたのだがどうもおかしな感じだった。ルフィ達は何も思うところはないようだが、“見聞色”を身に着けていることで住民たちの感情を微量ながら感じ取れたのかもしれない。

 

 

「そこのアンタ。ちょっと聞きたいことがあるんだがいいかい?」

 

「…見ない顔だね。なんだい?」

 

「ここに“海賊狩り”と呼ばれている男がいると聞いてこの町にやってきたんだが…」

 

「!??!」

 

 

 ご丁寧にその男以外の住民も“海賊狩り”の単語を聞いた瞬間に私たちから距離をとった。

 どうやらこの町ではその単語はNGワードのようだ。それにこの町の基地のトップにいるモーガンという男の名前も同文らしい。気を付けよう。

 

 

「はっはっはっは!この町のやつら面白いなーっ!」

 

「妙ですよ…!なんだか僕不安になってきました。いつ脱走するかもしれないロロノア・ゾロの名前に過敏になる気持ちはわかりますが、なぜ海軍大佐の名前にまでおびえるのでしょうか?」

 

「そうさねぇ…名を出すことすら烏滸(おこ)がましいのか、そいつがここの住民を弾圧しているのかのどっちかじゃないか?」

 

「そんな真顔で考察されるととても怖いんですけど!!」

 

「あくまで可能性の話だよ。そんなにビビってると海軍に入ったとしても苦労するよ?」

 

 

 コビーと話をしている間に海軍基地についていた。ルフィは塀をよじ登って中に捕まっている魔獣がいないかを探して、それらしい人物を見つけたようで移動を開始。個人的には基地であるのに見張り無しで普通によじ登れそうな高さの塀だけというのはどうなのだろうかと思っていたりする。

 

 

「ほらあいつ」

 

「・・・!!」

 

「どうした?」

 

「く、黒い手ぬぐいに腹巻・・・!なんて迫力・・・っ!これが本物のロロノア・ゾロ・・・!!!」

 

「本当かい?ちょっと失礼するよ」

 

 

 ゾロを見て腰を抜かしそうになっているコビーの横を失礼して中の様子を確認する。

 そこには両腕と腹を縄で何重にも縛られた“海賊狩り”がそこにいた。手ぬぐいをしているせいで目つきが悪く見える。口から血が出ていた後もあり、確かに迫力がある。

 

 

「あいつ、ボロボロだけど・・・この状況だと縛ってる縄解けば簡単に逃がせるよな」

 

「そうだねぇ。いくらなんでも監視が緩すぎやしないかい?まるで逃がしてくださいって言ってるようなものじゃないか」

 

「ば、馬鹿なことを言わないで下さい二人とも!!あんな危ない奴を逃がしたら暴れますよ!町だって無事じゃ済まないかも知れないんですよ!」

 

「おい お前」

 

「ん?」

 

「ちょっとこの縄解いてくれねぇか?九日間飲まず食わずでこのままずっと居てな。・・・俺でも流石にくたばりそうだぜ」

 

 

 コビーが騒いだおかげかはわからないがこちらに気づいたゾロは縄を解いてくれと言ってくる。九日間も野ざらしでよく生きているな。本当に人間なのだろうか?

 

 

「解いてくれるなら礼は勿論する。その辺の賞金首をぶっ殺してその賞金全てをてめぇにやる。嘘は言わねぇ。おれは約束は守る(・・・・・)

 

「…ほぅ?」

 

「だ、駄目ですよ二人とも!口車に乗っては!縄を解いたとたんに僕らを殺して逃げるに決まってるんですから!」

 

「殺されねぇよ。おれは強いからね」

 

「ハハハハッ!!それもまた一興さ。それにルフィはともかく私を殺すのは相当手間がかかるよ?」

 

(こ…この人達はもぉぉお!!)

 

 

 ギロリと表現されそうな視線をこちらに向けてくる。ルフィの自分は強いという言葉と殺されるというコビーの言葉に対して面白いと笑う勇儀に対して懐疑的な感情を持ったのだろう。

 

 

―――ガタッ

 

 

「ん?」

「え!?」

「?」

 

「しーっ」

 

 

 そんな自分たちとは別に塀を乗り越えるために梯子がかかる。

 誰かと思い目線を向けるとコビーと同い年かそれよりも年下の女の子が静かにしてくれというジェスチャーをした後、ゾロがいる海軍基地の中へと入っていく。コビーが止めるが気に留めることはなく、そのまま少女はゾロに近づいておにぎりを出した。

 

 先ほどの自分たちに対する接し方とは異なり閉鎖的に帰れと叫ぶゾロだが、どうも本心で言っているようではなさそうだ。おそらくあの子に被害が出ないように強気に出ているのだろう。

 

 そんなときに入ってきたのはマッシュルームカットをしたいかにも親の七光りを受けていそうな男だった。自分をモーガンの息子だと言っていることからこの町では偉い立場なのだろうということが予想できる。

 それだけならいざ知らず、少女が作ってきたおにぎりを無断で食し、まずいと言って踏みつける始末。流石に頭にくる。さらに後ろで待機していた海兵に少女を塀の外に投げ捨てろとまで命令していた。

 

 

「さっさとこのガキを外へ投げ飛ばせっていってんだよ!俺の命令が聞けねぇのか!!」

 

「は、はい!只今!(すまない嬢ちゃん!)」

 

「い、いやぁぁあ!!」

 

「ほっ。大丈夫かい?」

 

 

 少女を受け止めて声をかけるが泣きながらその場で崩れ落ちてしまった。

 少女に意識を置いていたらルフィがいないことに気づく。あのモーガンの息子がいなくなったところを見て中に入ったのだろう。ゾロと話をしているようだ。

 

 

 

「おれはルフィ。今海賊になる仲間を探してるんだ」

 

「海賊・・・?そうかい。自分から悪党に成り下がろうなんて御苦労なこった。こんなとこじゃなく、別の所に当たるんだな」

 

「海賊になったのは俺の意志だ。・・・それと先に言っとくけどおれはお前をまだ誘うつもりはねぇよ。お前、悪い奴だって評判だからな」

 

「悪い奴ね…」

 

 

 ハン…!と鼻で笑うゾロは不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「ここで一か月生きたままつっ立ってりゃ助けてやるとさっきの奴と約束(・・)してんだ。別にお前に逃がしてもらわなくとも問題はねぇよ。自力で生き延びて、おれの為すべき目的を成し遂げる!海賊になりたいなんて言うもの好きな奴を探すんなら他をあたるんだな・・・・・・・・・おい、ちょっと待て」

 

「ん?なんだ?」

 

ソレ(・・)・・・とってくれねぇか?」

 

 

 ゾロの目線の先には踏みつけられて泥だらけになったおにぎりの残骸。

 さっさと食わせろと急かすゾロに負け、ルフィは拾ったおにぎりを口に放り込む。当然ながら砂や泥が混じっているおにぎりを口に含んだためにジャリジャリと嫌な音が聞こえてくる。

 

 

「・・・だから言ったろ?死にてぇのか?」

 

「ゴブッ・・・うるせぇよ。あとさっきのガキに伝えておいてくれ…『うまかった』と『ご馳走さまでした』…てよ」

 

「!……はは!任せろ!!」

 

 

 そうして戻ってきたルフィは町に戻ってあの少女に頼まれたことをちゃんと伝えに走って行った。

 対して未だに磔になっているゾロに勇儀は視線を向ける。泥が混じったおにぎりを食べたのだ。口の中は悲惨なことになっているに違いない。ここでルフィに一声かけて、勇儀はゾロの元へ向かった。

 

 

 

 

 

「よっ。さっきはかっこよかったよ」

 

「あァ…?さっきの女か。帰りな。さっきのバカ息子に告げ口されたくなけりゃよ」

 

 

 先ほどの子供ほどではないが女である私に対しても冷たく当たるゾロ。彼なりの心配というところか。このツンデレさんめ。

 

 

「それなら心配いらんさ。誰かくればわかるし、そもそも誰もこの場を見れない(・・・・・・・・・・)

 

「?どういうことだ?」

 

「今は他人の目を気にする必要なんかないってことさ。…飲むかい?」

 

「なんだそりゃあ?」

 

「何、あんた飲まず食わずだったんだろ?これは水さ。私が飲んでるのさ日本酒に分類される酒だけどね」

 

「なら酒の方をくれ。水はいい」

 

 

 差し出した水には目もくれずに酒をよこせと急かしてくるため、原作勇儀の持ち物である 星熊盃 に酒を注いで口に運ぶ。

 

 この星熊盃はどんな酒であれどこれに注がれた酒のランクそのものを上げる鬼の名品。一升ほどの量が入り、酒であれば純米大吟醸に変えるものだ。それに加えて本来なら伊吹 萃香(いぶき すいか)が持っている瓢箪 息吹瓢 も現在持っているため、実質毎日飲み放題という贅沢な生活が出来るのである。

 

 日本酒というものを飲んだことがあまりないのか驚いたゾロであったがしばらく酒を飲ませた後「うまかった。ありがとう」と言ってくれるため、悪い気はしない。

 

 

「なぁ、あんた。どうして律儀にあいつらの言い分を聞いてるんだい?」

 

「…海軍(あいつら)約束(・・)してるからだ。一月このまま耐え切れば解放するっていう約束をな」

 

「その約束(・・)を守るために律儀にここにいると。…いいねぇ、その気概。気に入ったよ。さっき船長(キャプテン)と話していたようだが、私からも言わせてもらうよ。あんた、仲間にならないかい?」

 

「お前もあいつの仲間ってか。あいつにも言ったががお断りだ。好き好んで海賊なんていう外道になる気はなんてさらさらねぇし、そんなもん俺は望んじゃあいねぇ」

 

「…自棄(やけ)に嫌うねぇ。それならあんたも悪い賞金稼ぎだなんだ言われてるそうじゃないか」

 

「それはさっきも言われたよ。だがな、世間がおれをどう見ていてどう言ってるかなんて興味もねぇし関係もねぇ。おれの信念に後悔するような事はなに一つやっちゃいねぇからな。今までも、そしてこれからもだ。海賊になるよりも俺には成し遂げることがある。だから海賊なんて悪党に成り下がるつもりもねぇ!!」

 

「そんなこと知るかっ!お前を仲間にするっておれは今決めた!というわけで仲間になれ!」

 

「てめぇまた来やがったのか!勝手な事言ってんじゃねぇよ!」

 

 

 コビー達と共に町に戻ったルフィは再びこちらにやってきたようだ。

 ゾロの言い分なんて一切無視して仲間にすると言い張るこの姿勢はそう簡単に崩せるものではない。

 

 

「縄解いてやるから仲間になれ!」

 

「てめぇはさっきからおれの話を聞いてんのか!」

 

「まぁ落ち着きなよ。私は星熊 勇儀さ。ところであんたは刀使いだと聞いてたけど、刀はどうしたんだい?」

 

「・・・・・・取られたよ。あのキノコ頭のバカ息子におれの大切な宝をな・・・・・・!」

 

「へー宝物を盗られたのか。そりゃ一大事だなー・・・よっし!おれがお前の宝物を奪ってきてやる。返してほしけりゃおれの仲間になれ!」

 

「質悪ィぞてめぇ!!」

 

 

 はっはっはと笑うルフィはそのままゾロの制止を聞かずに基地へと走っていく。

 

 

「基地に・・・それも一人で乗り込むつもりか…バカかあいつは…!」

 

「ははっ。ああなったら止められんさ。あの程度の海兵に負ける男じゃないよ」

 

「…あっ!勇儀さん!ルフィさんはどうしたんです!?」

 

 

 コビーがやってきて町で何があったのか事情を話す。

 それに伴ってモーガンの息子 ヘルメッポが約束を初めから守る気がなかったことを知ってゾロは困惑していた。コビーは捕まる理由がないとゾロの縄を解き始める。

 

 

 ところで鬼は嘘を嫌う種族である。

 「勇気のある者や正直な者」を好み、逆に「臆病な者、狡猾な者、虚弱な者」を忌み嫌う。

 

 今回ヘルメッポが行った行為は正直な者を蔑ろにする狡猾な者だ。つまり忌み嫌うタイプの存在だ。今の気持ちを表すならスペルカードではない“三歩必殺(マジもん)”をあのキノコにぶち込みたいくらいだ。

 

 

「…そうかい…コビー。今すぐ半歩後ろに下がりな!」

 

「えっはい…うわっ!!」

 

 

 コビーが半歩下がった瞬間、コビーの足元に弾丸が着弾した。

 “見聞色”を解放していた今の状態であれば、この東の海(イーストブルー)にいる海賊の攻撃であれば当たることなどないだろう。

 ゾロに近づいて縄を引きちぎる。その行為に唖然とする二人だがこの際気にしない。

 

 

「そこまでだ!貴様たちにはモーガン大佐への反逆罪がかかっている!無駄な抵抗は止めろ!お前たち三人を今この場で処刑する!!」

 

「処刑すると言ってるくせに抵抗は止めろとは傲慢なことだねぇ・・・ゾロはともかくコビー。あんたは私の後ろに居な」

 

「おい!向こうは銃だぞ!お前どうするつもりだ!?」

 

「ただの銃だったら特にやることもないさ」

 

 

「おめぇらぁ!さっさと基地を取り囲め!それとあの麦わらの小僧は絶対逃がすんじゃねぇぞ!俺の権力に逆らったことを後悔させてやらなきゃ気が収まらねぇ!」

 

 

 海兵が銃を構えながら取り囲むなか、片腕が斧になっている男がこちらへと近づいてくる。

 どうやらあの男がこの町のトップであるモーガンという男なのだろう。

 

 酒を口に運びながら海兵達へと近づいていく。辺りの様子をも探ることが出来る見聞色。これを使える勇儀はルフィがこちらに飛ぼうとしていることを察知していた。

 銃口を向けられても一切物怖じしない様子の勇儀に海兵はびびっているようだが、怒りに我を忘れているモーガンはそんなことは気にしない。

 

 

「射殺しろ!!!」

 

 

ズドドドドドドドド

 

 

 ハチの巣になるはずであったその体は途中で割り込んだ(ルフィ)によって阻まれた。

 “ゴムゴムのロケット”で飛んできたルフィがその弾幕を一身に受けたのである。

 事情を知らない面々は当然驚くが、私は何も驚かないし、心配もしない。

 

 

「効かーん!!んなっはっはっは!!」

 

 

 ゴムゴムの実を食べた全身ゴム人間 モンキー・D・ルフィ。

 ただの銃弾など意に返さず全て弾き飛ばした。

 

 あり得ない事態に海兵たちは腰を抜かしている。

 

 

「生身で銃弾を弾き変えすだと!?てめぇ・・・!一体何者なんだ!」

 

 

 明らかに普通の人間では起こりえない出来事を目の当たりにした後、ゾロはそう呟く。

 こちらに振り返り、口角を上げてルフィはこう言った。

 

 

 

「おれは、海賊王になる男だ!!」

 

 

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