星熊童子とONE PIECE   作:〇坊主

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 簡単な前回の復習


・勇儀VS反乱軍
 
・革命軍行動開始

 



一味対組織

 

 

「オイオイオイ!それ大丈夫かい!?やれ大丈夫かい!?本当に来るんだろうねぇ王女と海賊共は!反乱軍の雄叫びがここまですでに聞こえてんじゃねぇーかね!これじゃ先に反乱軍が到着しちまうよ。まったく止める気があんのかい!?」

「間に合わないケースも当然あるでしょう?何しろ『レインベース』で彼らは大幅に時間をロスしているですもの」

「きぃ~~たぁ「何!?そうなのかい?!」

「衝突が起ころうがおれ達には関係がない。消せと言われたヤツをおれ達は消せばいいだけだ。最もそれができなかった奴らもいるようだが」

「…ッ!!言ってくれるねぇMr.1…!!今ここで叩き切ってやろうか!?」

「おやめなさいミス・マザーズデー。我々が任務をしくじったのは事実。ボスの情けで今生きているのは確かなのですから、私達はこれ以上の失態をしないように立ち振る舞うだけですよ」

「~~ッ!!!クソがっ!」

「おやめなさいなあなた達。これからが大事な時なのに仲間割れなんてみっともないわよ」

 

 

 場所は首都『アルバーナ』の西門に位置する岩陰に隠れて秘密組織“B・W(バロックワークス)”の主要幹部達が集結していた。

 

 これから戦争が起ころうとしている時でも慌てるようなことはなく、社長である“王下七武海”サー・クロコダイルの命によって目標が来るまでの間待機していた。

 なぜ反乱軍が来ると予測されている南の門ではなく、西で待機しているのかというとビビ王女がこの西門を通りすぎると考えられているからだ。

 王女が乗るカルガモ カルーはアラバスタ王国でも最速とされる超カルガモであり、長距離を短時間でかけることを可能にしていた。故に間に合うと踏んで待ち構えているのだ。

 

 王女を確実に仕留めるべく待機している幹部は7人

 

 胸に「壱」の入れ墨を入れた丸刈りの男であり、オフィサーエージェントの中でも最強の実力者と言われているMr.1。

 そしてそのパートナーであり、パーマをかけた長髪と露出度の高い衣装が特徴のミス・ダブルフィンガー。

 

 おかま道と書かれたコートを身につけ「2」の数字を模した白鳥を背負うオカマであり、今回の作戦においても重要な役割を担っていたMr.2・ボンクレー。

 

 言動がとてつもなくトロく、「4」と書かれた黄緑色の服を着た大男Mr.4。

 そのパートナーであり相方とは対照的なせっかちな中年女性であるミス・メリークリスマス。

 

 B・Wきっての狙撃手であり、任務失敗者の仕置き人であった13日の金曜日(アンラッキーズ)の上司に位置する『掃除屋』を担っていた神父。Mr.6。

 見た目はシスターの身なりであるが、スカート部分に大きなスリットを入れており、言動もかなりの好戦的な女性であるMr.6のパートナー。ミス・マザーズデー。

 

 

 7組いるB・Wのオフィサーエージェントのなかで4組もの面々を一つの場に集めている事実がどれだけ社長が危機感を持っているのか、それも特定の人物を始末するために残っている幹部のすべてを用いる分、どれだけ本気なのかを物語っていた。

 

 

「き~~~~てぇ~~~~~~~」

「んん~~?ちょっとォ~~あんた達あれ見てみなさいよォ~!!あちし達のほうに向かってきてるわよぉん!!」

「………!!カルガモ!?それも『超カルガモ』じゃないかい!!それも6人いるよ!!」

「…社長(ボス)の話では“Mr.プリンス”を名乗る奴が複数いると言ってたわ。2人増えていても数は合う」

「何人増えようが目標は王女(ビビ)一人だ。何をうろたえている」

「一人消せばいいって簡単に言うなMr.1」

「ふふっ、確かにあれ(・・)は単純でありながら効果的だ」

 

 

 Mr.4の声を遮りMr.2がカルガモの存在に気づく。

 最速の名を関する『超カルガモ』。それに乗る者たちを視認して、Mr.6は合理的だと笑った。

 

 

「あんた…どれが(・・・)王女だか当ててみなよ!!」

 

 

 カルガモに乗る全員が同じマントを着用していたのである。

 身を完全に覆い隠せるマントを着用していることで、どれが男で、どれが女なのかすら識別するのは厳しい。

 どれが本物かを確認しようにもそんなに悠長なことをしていれば、本物が反乱軍のリーダーと出会ってしまう可能性が極めて高まってしまう。

 

 故に先手をミス・メリークリスマスが取るべく行動を起こした。

 Mr.4は普段の言動とは相反して、素早く背に担いでいたバズーカを構え、弾薬を発射する。

 野球ボールの形状をしている弾薬はカルガモたちの前方に落ち、転がっていく。

 

 

「――!やっちまいな!Mr.4!!」

「!!それには近づくな!!」

 

 

 目の前で落ちた意図は時間差での爆破攻撃。

 それが何かにいち早く気付いた騎乗者が警告したことで被害は全くなかったが、まっすぐ突き進んでいれば爆発に巻き込まれて一羽は動けなくなっていただろう。

 そう断言できる破壊力を有していた。

 

 

「よけた!速いわねいっ!あの鳥達!!」

「南へは一人か…反乱軍の真正面へ向かうつもりか…!!逃がすわけねぇだろぅが!!」

「やれやれ、気が早いですねぇ…ですが、誰かが行かなければいけないもの。あれは私達が請け負いましたよ」

 

 

 初見で避けられたことに驚くMr.2を他所に、南門へとかけていく1羽のカルガモを追いかけて突貫していくMr.6とミス・マザーズデーを筆頭に、オフィサーエージェントたちは一斉に散開する。

 各オフィサーエージェント相手に対してカルガモに乗った二人。

 ある程度の距離を取ったと確信してから人気がない場所へと移ったのちに迎撃をするべく逃走をやめた。

 

 

「うっふっふ!よくここまでついてきてくれたわね!!」

「何ィ!?」

 

 

ある場所では建物が立ち並ぶ街中で、

 

 

「貴方たちは運がいいわ!なぜなら私こそがビビ王女!」

「何を…んんっ!いや、私こそがビビ王女です!」

「…………」

 

 

ある場所では広場で、

 

 

「ここまでくればいいだろ」

「…そうだな」

「ん?」

 

 

そしてある場所では首都への関門近くの休憩所近くで、

 

 

「さぁ、正体を見せてあげましょ」

 

 

各々が戦う相手がしっかりと追ってきていることを確認した後、一斉に姿を隠していたマントを脱ぎ棄てた。

 

 

『 残念 ハズレ 』

 

 

 B・Wからすれば想定外の面々。

 そして麦わらの一味たちからすれば想定内の状況。

 姿を現した中にビビ王女の姿はなく、事前に知らされていた各手配書の顔が眼前に居るだけだった。

 

 街中まで追ってきたMr.2にはウソップが。

 広場まで到達したMr.1、ミス・ダブルフィンガーにはナミ、そしてたしぎが。

 都市外まで追ってきたMr.4とミス・メリークリスマスにはゾロとサンジが。

 語られることのないアラバスタ内戦の秘話が開戦した瞬間である。

 

 

(ありがとう…みんな…!!)

 

 

 そして反乱軍を止めるために一人物陰に隠れる少女こそが本物のビビ王女。

 彼女だけを無事にリーダーと会わせるために身を投げうった仲間たちの無事を祈りつつ、彼女は相棒のカルーの足を走らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなやり取りが行われているなか、首都アルバーナの内部では重要人物たちに知られないうちに変化が起こっていた。

 

 

「チィ……せっかく弟に会えたってのにすぐに姿見失っちまうたァツイてねぇ…。なぁ?おまえもそう思うだろ?」

「バ…バイ。ぞうおぼいばす…」

「ほんど…すいまぜんでじだ」

 

 

 街中とは言えど風でハットが飛ばされないように押さえる男の背後にはボコボコにされたのか幾多の男たちが死屍累々たる有様を晒していた。

 元凶とされる男の問いかけに怯えながらも答える姿からは襲撃してきた加害者だとは思えない。

 だが悲しきかな。“偉大なる航路(グランドライン)”で活動する賞金稼ぎ達であっても今回ばかりは相手が悪すぎた。

 

 人差し指から発火させながらニヤリと笑う男は全世界名を轟かせる“白ひげ海賊団”の二番隊隊長であり、二つ名《火拳》を有する偉大なる航路(グランドライン)後半の海《新世界》でも単独で活動出来る実力者 ポートガス・D・エース。

 自然系(ロギア)の実である「メラメラの実」を食べた彼は全身炎人間であり、覇気を乗せた攻撃以外は全て自動で無効化する。覇気を纏わないただの拳銃や刀剣で敵う道理はなかった。

 

 そんな彼であるがこの海にまだいるのは理由がある。それが先ほど襲ってきたチンピラたちにも問うた弟の所在だった。

 本当は別の目的があって前半の海にまで一人で戻っていたエースであるが、血縁ではないが義兄弟であるルフィが無事にやってきたときのためにチョッパーの故郷であるドラム王国でも言伝を残していたのだ。

 アラバスタのメシ屋で偶然にも出会えたと思ったが海軍のスモーカーに邪魔されたこと。“麦わらの一味”が想像以上に練度が高く、海軍たちの追撃から逃れるのが早かったことも相まってエースはルフィを見失っていた。

 この国にルフィがいることが確定であり、何らかの行動をこの国で起こすことが分かっている以上、エースも急いでこの国を離れる理由がない。慌てたところで何の解決にもならないことを知っているエースは喧噪の流れに身を任せて王宮がある首都アルバーナまでやってきていたのだった。

 

 

「おいおい、なんだこのザマは…」

「!」

「てめぇがやったとみて間違いないか?」

 

 

 さて、気づいていると思うがエースがのした男たちはB・W(バロックワークス)の下っ端である。

 一定以上の実力者であれば力量差を判断して様子を見ることもあっただろうが、彼らは打ち取れれば莫大な賞金がもらえるという事実に目が眩み、馬鹿正直に正面から戦いを挑んだ。その結果が今の有様である。

 そんな彼らを下したエース自身はアラバスタでの一件は全くと言っていいほど無関係であるのだが、関係者が今の状況を視認したとあってはそう言ってはいられなくなる。

 

 

「まァそうだな。こいつらをやったのはおれだが、そういうあんたらは?」

「…やれやれ。まさかここであなたを拝める日が来るとは思いもしませんでしたよ。私はMr.6、そして隣はミス・マザーズデーです。以後お見知りおきを“火拳のエース”」

「おれのことは知ってるのかい?」

「この稼業やってる以上、てめぇのことを知らない奴はいねぇ。《新世界》を根城にする海賊がこんなとこまでご苦労なこった」

 

 

 超カルガモ部隊を追ってアルバーナ内部に侵入を完了したオフィサーエージェント Mr.6とミス・マザーズデー。彼らがエースと出会ってしまったのだ。

 

 踏み込む。そして切り捨てる。

 やったことはただそれだけであるがエースはただ受けるのでなく、躱した(・・・)

 エースの軽口を聞いたと同時に行動を起こす姿勢は不意を突いてでも厄介事を処理するという気持ちの表れだろう。

 

 

「いきなり斬りにかかるたァ血の気が多いお嬢さんだな。そして武装色の使い手か…!」

「チッ…素直に受ければ簡単に済んだモノを…」

「二人で行きますよマザーズデー。流石に一人で“火拳”は無謀だというものです」

 

(……あ~~ぶねぇ~~~~!!よくわかんないけど、頑張れ帽子の人!!)

 

 

 幹部二人と2番隊隊長が戦闘態勢に入るなか、本来ならば彼らに追われ、そして戦う予定であったチョッパーはこっそりと物陰に隠れながら様子を窺うのであった。

 

 

 

 




 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 お久。

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