東方魂魄記 完結   作:ラギアz

1 / 3
・・・ラギアです。
まさかのシリアスです。
妖夢の話を書きたかったので。
こっちは不定期更新です。
では、どうぞ。


半人半霊の孤独な少女

私は、生まれたときから主が決まっていた。

私の名は魂魄妖夢。半分人、半分幽霊の剣士・・・もとい、庭師だ。

身長は162くらい。

白い髪に、青い目。

肌は幽霊に様に白く(幽霊だが)、手触りが良いらしい。

頭にはいつも祖父から貰った黒いカチューシャをつけている。

カチューシャに黒いリボンがついていて、私はそれが好きだ。

緑のベストを白いシャツの上に来ている。

スカートも緑だ。

体温は常人より低いらしい。

 

・・・他人に触れた事なんて、一回も無いが。

 

長刀、楼観剣と短刀、白楼剣をいつも持っている。

主は桜と蝶を好む、おっとりとした人だ。

私はその人と話した事が無い。

話したいとも思わない。

・・・これまでと同じ。人と触れ合わず生きてきたのだから、これからもこれで大丈夫だろう。

 

特に気にしている事も無い。

主のご飯を作り、庭の手入れをして、剣の修行に明け暮れる。

毎日、毎日。

ずっと変わらず。同じような日々を過ごす。

春夏秋冬。年が変わっても。

私は冥界に住んでいる。

幻想郷という地の、上に入り口がある。

まあ、とじられているのだが。

剣の師匠は私が幼いころにどこかへ行った。

もう顔も覚えていない。

思い出そうとも思わない。

このまま。

孤独なまま、生涯を終えるんだろう。

春夏秋冬。年が変わっても。

それは変わらないだろう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ある年の春。

主が急に私に話しかけてきた。

「妖夢、春を集めてきてくれる?」

それだけ。

私は命令を遂行するのみだ。

・・・冥界の、私たちが住まう場所。

白玉楼にある、一つの大きな桜。

西行妖。

永久に咲かぬであろう、呪いの桜。

主はこれを咲かせるつもりらしい。

・・・そんなことは関係ない。

ただ、春を集めれば良い。

それで、終わり。

何も変わらず、毎日過ごし。

やがて、天命をまっとうするであろうその日まで。

 

私は、誰かと話すのだろうかーーー

 

春を集め始めて一ヶ月。

ひとりの、メイドらしき人が来た。

名前は十六夜 咲夜というらしい。

相手は名乗ったが、こちらに名乗る義理はない。

まあ。適当にぶった切ろう。

私はそう思い、刀を抜いた。

 

結果は、惨敗。

惨めなまでに、叩き潰された。

そして、春も取り戻され。

・・・私は、何をしていたのだろうか。

咲かなかった西行妖を見つめ、私は毎日考えた。

 

とある夜に。

主が私に話しかけてきた。

「妖夢、何を見ているの?」

わざわざ言う必要も無い。私は西行妖を指差す。

「・・・この前のこと、気にしてるの?」

たった一言。主の口から紡がれた言葉は、私の心に深くのしかかる。

「・・・貴方に何がわかるんですか。」

私は生まれてこの方、初めて人と話したかもしれない。

一度口に出てしまった心は、一気にあふれ出す。

「今まで積み重ねてきたものが。一瞬で砕かれ、無に戻るんです。・・・惨敗して、それなのに私は全然強くなれなくて。・・・このまま、死ねれば楽なのに。主の貴方が居なければ!私は楽しく天命をまっとう出来たのに!」

いつしか、私の目からは涙が流れてきていた。

目元を乱暴に擦る。

それでも止まらない。

落ちた涙は地面に滴る。

「妖夢。・・・なら聞くわ。それじゃあ貴方の積み上げたものはすべて無になったの?貴方が幾年も振り続けてきた剣は、全て無駄になったの?」

主はそこで言葉を区切り、私の手をとる。

「こんな綺麗な手に、いくつもいくつも豆や傷を作って。この今までの努力は、全て無駄だったの?」

「違うでしょう?貴方が積み上げてきたものは、しっかりここにある。無になんかなってない。いいえ、無になんかさせないわ。」

・・・人の手は。言葉は。こんなに暖かいものだったのか。

「顔を上げなさい。前を向きなさい。妖夢。常に前へ・・・」

私が顔を上げると、主は笑っていた。

「ともに、歩いていきましょう?」

主が。私を抱いてくる。

人は温かく。言葉は優しく。

・・・繋がれた手は、私を受け入れてくれて。

孤独で、弱い私を認めてくれて。

涙は溢れ出す。

「はい。・・・幽々子様」

私は、初めて人と話し。

 

初めて、主を名前で呼んだーーー

 




どうでしたか?
よければ応援よろしくお願い致します。
一日二本投稿したラギアからでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。