まさかのシリアスです。
妖夢の話を書きたかったので。
こっちは不定期更新です。
では、どうぞ。
私は、生まれたときから主が決まっていた。
私の名は魂魄妖夢。半分人、半分幽霊の剣士・・・もとい、庭師だ。
身長は162くらい。
白い髪に、青い目。
肌は幽霊に様に白く(幽霊だが)、手触りが良いらしい。
頭にはいつも祖父から貰った黒いカチューシャをつけている。
カチューシャに黒いリボンがついていて、私はそれが好きだ。
緑のベストを白いシャツの上に来ている。
スカートも緑だ。
体温は常人より低いらしい。
・・・他人に触れた事なんて、一回も無いが。
長刀、楼観剣と短刀、白楼剣をいつも持っている。
主は桜と蝶を好む、おっとりとした人だ。
私はその人と話した事が無い。
話したいとも思わない。
・・・これまでと同じ。人と触れ合わず生きてきたのだから、これからもこれで大丈夫だろう。
特に気にしている事も無い。
主のご飯を作り、庭の手入れをして、剣の修行に明け暮れる。
毎日、毎日。
ずっと変わらず。同じような日々を過ごす。
春夏秋冬。年が変わっても。
私は冥界に住んでいる。
幻想郷という地の、上に入り口がある。
まあ、とじられているのだが。
剣の師匠は私が幼いころにどこかへ行った。
もう顔も覚えていない。
思い出そうとも思わない。
このまま。
孤独なまま、生涯を終えるんだろう。
春夏秋冬。年が変わっても。
それは変わらないだろう。
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ある年の春。
主が急に私に話しかけてきた。
「妖夢、春を集めてきてくれる?」
それだけ。
私は命令を遂行するのみだ。
・・・冥界の、私たちが住まう場所。
白玉楼にある、一つの大きな桜。
西行妖。
永久に咲かぬであろう、呪いの桜。
主はこれを咲かせるつもりらしい。
・・・そんなことは関係ない。
ただ、春を集めれば良い。
それで、終わり。
何も変わらず、毎日過ごし。
やがて、天命をまっとうするであろうその日まで。
私は、誰かと話すのだろうかーーー
春を集め始めて一ヶ月。
ひとりの、メイドらしき人が来た。
名前は十六夜 咲夜というらしい。
相手は名乗ったが、こちらに名乗る義理はない。
まあ。適当にぶった切ろう。
私はそう思い、刀を抜いた。
結果は、惨敗。
惨めなまでに、叩き潰された。
そして、春も取り戻され。
・・・私は、何をしていたのだろうか。
咲かなかった西行妖を見つめ、私は毎日考えた。
とある夜に。
主が私に話しかけてきた。
「妖夢、何を見ているの?」
わざわざ言う必要も無い。私は西行妖を指差す。
「・・・この前のこと、気にしてるの?」
たった一言。主の口から紡がれた言葉は、私の心に深くのしかかる。
「・・・貴方に何がわかるんですか。」
私は生まれてこの方、初めて人と話したかもしれない。
一度口に出てしまった心は、一気にあふれ出す。
「今まで積み重ねてきたものが。一瞬で砕かれ、無に戻るんです。・・・惨敗して、それなのに私は全然強くなれなくて。・・・このまま、死ねれば楽なのに。主の貴方が居なければ!私は楽しく天命をまっとう出来たのに!」
いつしか、私の目からは涙が流れてきていた。
目元を乱暴に擦る。
それでも止まらない。
落ちた涙は地面に滴る。
「妖夢。・・・なら聞くわ。それじゃあ貴方の積み上げたものはすべて無になったの?貴方が幾年も振り続けてきた剣は、全て無駄になったの?」
主はそこで言葉を区切り、私の手をとる。
「こんな綺麗な手に、いくつもいくつも豆や傷を作って。この今までの努力は、全て無駄だったの?」
「違うでしょう?貴方が積み上げてきたものは、しっかりここにある。無になんかなってない。いいえ、無になんかさせないわ。」
・・・人の手は。言葉は。こんなに暖かいものだったのか。
「顔を上げなさい。前を向きなさい。妖夢。常に前へ・・・」
私が顔を上げると、主は笑っていた。
「ともに、歩いていきましょう?」
主が。私を抱いてくる。
人は温かく。言葉は優しく。
・・・繋がれた手は、私を受け入れてくれて。
孤独で、弱い私を認めてくれて。
涙は溢れ出す。
「はい。・・・幽々子様」
私は、初めて人と話し。
初めて、主を名前で呼んだーーー
どうでしたか?
よければ応援よろしくお願い致します。
一日二本投稿したラギアからでした。