いやはや、遅れました。
これ読んでる人いるのかな・・・?
ではどうぞ!
森は暗く、静かだ。
夕暮れ時には、すこし気の早い日暮が鳴いている。
遠くにうっすらと見える山々。
その後ろに消えていく夕日。
私は鳴き声のする方へ歩いていく。
草が足に擦れる。
地面を踏みしめる度に、砂利が辺りに飛び散る。
鳴き声が、大きくなる。
たどり着いたのは、大きな大きな草原。
草が生い茂り、所々に紫陽花が見える。
草原の中心に、ひとり、不自然な少女が立っている。
・・・私は良くも悪くも人外だ。
その場に近づくと妖力が大きくなるのを感じた。
私は普通の村娘、としてその子に話しかける。
「・・・早く、村に戻りな?」
私がその子に触れると同時に、その子・・・いや、人型の物体は上に消え、目の前に大きな口が現れる。
私はそれを躱し、大きく飛び退る。
提灯アンコウのように、頭の先に棒が付いている。
その先には人をおびき寄せるための餌・・・
さっきの少女のようなものが付いている。
「グゲっ。大人しく食われろよ!」
そいつはまた大きな口を開けてこちらに飛びかかってくる。
私は愛刀、楼観剣でそいつを受けとめ、はじき返した。
「やっぱり、妖怪か・・・!」
楼観剣を高速で二回振った私は、その妖怪の歯を全て切り落とした。
「グギャアアアアア!!!」
そいつはのたうち回り、乱暴に体をぶつけてくる。
それらを全て冷静にさばき、私は問う。
「・・・昨日。男の子を食べたのは、お前かーーー?」
そいつはまた笑い、答える。
「なんだあ?復讐か?あいつはお前の交尾相手だったのか?グギャギャ!」
醜く顔を歪め、その妖怪は吐き捨てるように言う。
「そうだよ!骨ばっかで美味くなかったがなあ!!」
グギャギャと笑うそいつは、間違いなく村を騒がしている妖怪だった。
私は刀を構え、その妖怪に切っ先を向ける。
「おいおい、何で俺を殺そうとするんだあ?」
「お前が・・・人間を食ったからだ。」
「グギャギャ!可笑しいなあ!人間どもは生き物を殺して自分たちで食ってるぞ?」
妖怪は間を置き、私に向かって少し顔を突き出す。
「何で俺たちはダメなんだあ?同じ人外さんよお?」
私は歯を食いしばる。
もう人外と言う事がばれたのか・・・!
「人は俺たちにとって餌だ。何でそいつらを食っちゃいけない?俺は人間と同じことをしているんだぜえ?」
「・・・人は、生きるために命をもらう。」
私は妖怪をさらに強くにらみつける。
「お前はっ・・・!ただの娯楽だろう・・・!!」
妖怪は、物を食わなくても生きていける。
完全な人外だったら、食事はただの娯楽だ。
人の形をしている、人が入っている妖怪は体のつくりが人間と同じだから、物を食べなければ死に絶える。
「ギャハハ!人間は弱く脆い、虫のような存在だ!」
「俺は人間と同じ事をしてるんだぜ?汚くて現実から目を背けて。都合の良い時だけしゃしゃり出て。格差が生まれ、自分たちが一番偉いと思っている人間とよお?」
私は刀を鞘に納め、一回力を抜く。
過去。
私は人間の弱いところだけを背負い、生きてきた。
半分人で、半分幽霊で。
人で、人ではなくて。
ずっと、後ろばかり見ていた。
でも。
「人間はーーーそんなにも愚かだろうか?」
私は問いかける。
「確かにお前の言ってることは間違っていない。・・・寧ろ、人間そのものを表しているだろう。」
妖怪は首をかしげる。
こいつは何を言ってるのか、と。
「でも。だからこそ。」
弱く。脆く。醜く。厭らしく。
「人はーーー”生きている”のでは無いか?」
その小さな命の灯で。
弱き、儚い火を揺らしながらーー
「・・・私たち人外にとって、人間は弱い。でも、弱いからこそ、私たちには無い物を持っているんじゃないか?
毎日、毎日。ずっと働いて、会話して、喧嘩して。でも、人間は前を向こうとする。」
私は過去の自分をいつも何処かで見ていた。
・・・その私は、下ばっかり見てて。
「その儚い命で!毎日”生きよう”と!必死に前を向いて、馬鹿みたいに抗って・・・。人間は汚い感情ばっかり持っている訳じゃない!」
長寿だからこそ、毎日をないがしろにする。
強く、丈夫でいる私達にとって、当たり前のことでも。
何もしていなくても、出来る事だとしても。
「人は!幸せでいよう、幸せにしよう、って・・・支えあってるんだ!そこに疚しい感情が無いか、と言ったら嘘になるかもしれない!でも!短い天命を、悔いのないように生きようって!」
私たちは。
いつも。
前を向けているだろうか・・・?
下ばっかり見て。
後ろ向きに歩いてみたり。
人が前を向いて、一生をかけて進んでいる間に私たち人外は。
何も、出来ていないのでは無いか。
「アアアア!ウルセエナアア!」
妖怪が耐え切れなくなったのか、叫び声をあげながら私を食らおうと突っ込んでくる。
私はキン!と刀を抜き放った。
妖怪の体が、真っ二つに割れる。
地面に落ちたその肉片の中から。
とても小さい、少年の頭蓋骨らしきものが転がり落ちてくる。
私はそれを手に取る。
「・・・ごめんね。・・・お疲れさま。また会ったら・・・遊ぼうね?」
地中に埋め、長方形に斬った木の札をそこに立てる。
しばし黙祷をした私は、その場に背を向ける。
私も、前を向こう。
半分人の私は。
きっと、人と同じように前を向ける。
進んでいこう。
時に挫けることもあるかも知れない。
でも、私は。
人としてーーー
魂魄記は、次の投稿までに大分時間が空くと思います。
年末までに一本二本出せればなって感じです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。