インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜 作:セイイ
少女は空を見上げていた。
『人はみんな、優しくなれれば世界は平和になるのに。』
真っ黒い空に手を伸ばし、ぽつりと浮かぶ、青い星をつかもうとする。
『みんな、なんで優しくなんないんだろ・・・』
その手は届くことはなく、諦めて手を下ろす。
『地球はこんなにも綺麗なのに・・・・』
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保健室、私は一夏、シャルロットと共に、鈴、セシリアのお見舞いに来た。
簪が保健室に連れて行き、一時間後に目を覚ましたそうだ。
数カ所、軽い打撲で済み、IS学園の医療設備を使えばすぐに治るそうだ。
「別に、助けなくても良かったのよ。」
「そ・・・そうですわ!あのまま続けていいれば勝てましたわ。」
セシリアと鈴が、強がりを言う。
「おばかちん、ボロボロになってたじゃない、危なかったわよ?」
「そうだぜ、お前ら・・・・全く。まぁ、無事で何よりだ。」
一夏はホッとし、心配で曇っていた表情が晴れた。
「二人とも無理しちゃって、いくら好きな人にいいとこ見せたいからって・・・」
シャルロットは紙コップに入れてきた水を二人のそばにあるテーブルに置いた。
しかし、シャルロットは何かを口走ったらしく、鈴、セシリアが急にベッドから立ち上がり、彼女の口を塞いだ。
「きゃーーーーーー!!」
「わーーーーーー!!」
「お・・・お前ら!!安静にしてろ!!」
「!!!いっつた〜〜〜」
「!!、うぃ〜〜〜」
二人は痛を堪え、おとなしくベットに戻った。
「それで、あなたたちは、なぜラウラと戦ったのかしら?」
「え〜〜〜と〜〜」
鈴が一夏の顔を見ながら
「それわ〜〜〜」
セシリアは私の顔を見ながら、何かを悩んでいた。
「えーと・・・そうだ!!ばかにされてカチンとしたのよ!!」
「それですわ!!、そうです、私も祖国のことを侮辱されてですね・・・」
「あははは、無理しちゃって」
「「一言多い!(ですわ!)」」
シャルロットは何か知っているようだ。まぁ、正直興味ないから、私はそんなに深くは聞かなかった。
それから数秒後、突然保健室の棚や薬品の瓶が、小刻みに揺れた。その揺れは徐々に大きくなり、突然ドアが何者かによっって蹴り飛ばされた。
「「「織斑くん!!篠ノ之くん!!デュノアくん!!コレ!!」」
地震源の正体は同じ学年の女子たちだった。
彼女たちの手に持っていた、チラシを一夏が受け取り、書かれている内容を読み上げた。
「なになに・・・・今月開催する学年別トーナメントではより実戦的な模擬戦闘を行うため、二人組での参加を必死する、なおペアができなかったものは抽選で選ばれた者同士で組むとする・・・」
「つまり!私と組んで織斑くん!!」
「デュノアくん!!お願いします。」
なるほど、次の学年別試合はペアで行うのか。
「す・・・すまん!!俺シャルルと組むことにするから!」
「なーんだ、じゃぁ心月くんは!!」
「私も、もう決めてあるの・・・申し訳ないわ・・・」
「は〜〜〜ツマンナイ〜〜」
文句を言いながら女子生徒集団は退散していった。
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その後 私は、簪と一緒に夕食を食べていた。
簪はうどん、私はぞばだ。
「そうだ、簪 学年別トーナメント、私と組みましょ?」
「・・・・え?いいの?」
「ええ、もともとそのつもりだったわ。」
「・・・・・・なんで、そこまでしてくれるの?」
「?、私たちは友達なったから当然でしょ?」
「・・・・!!うん、ありがとう。」
笑顔で、返事をした。可愛らしい。
利用するつもりだったが、正直彼女といて楽しいと感じ始める。
彼女だけではない、一夏、シャル、セシリア、鈴。
私は、彼らの笑顔を眩しさを感じ、すこし温かみを感じた。
これは、箒ちゃんといる時に感じている、暖かさだった。
この正体は、今の私にはわからなかった。
試合当日、トーナメント表が発表された。
「まさか・・・こんなことって・・・」
一回戦の相手は『ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒VS更識簪&篠ノ之心月」だった。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・確か、前の騒動で・・・・」
「ほぉぉおおおおきちゃぁぁああああんんがあぁぁあああああああいいいいてぇえええええええ!!!???」
「そっち!?」
思わず立ち上がって大声を出してしまった。
そうだった・・・箒ちゃんとも戦わなければならなかった・・・でも一回戦でまさかの。
「ほ・・・箒ちゃん・・・任せられる? 私は・・・箒ちゃんを・・・撃つことが・・・できないの・・・」
涙目で言う。
「あ・・・うん、わかった。」
さすがの、簪も少し引いていた。
仕方がないじゃなん、愛する妹だもの。
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「貴様が相手か・・・まぁいい、あいつの前に先にお前を倒す。」
「・・・・・・・兄さん」
箒ちゃんには悪いけど貴女と戦うなんて無理だ。
剣道ならともかく、大怪我をともなうISの試合では。
ラウラが殺気を私に放つ。隣の簪には目もくれず。
「いい殺気ね・・・いいわ、来なさい。」
「っち!舐めるな!!!」
『試合を始めてください』
開始のブザーが鳴る。
ラウラはエネルギーブレードを起動させ、私に近接攻撃を仕掛ける。
「は!」
私は、盾で受けるが。
。
「甘い!!」
突如私の体が動かなくなる。AICだ。
「!!」
私は盾を置き、移動し、背後に回るが
「パターンは分かっている! 」
すでにエネルギーチャージを済ませた、レールガンが私にめがけて撃たれた。
その攻撃は見事に私に命中した。
「いやぁあん!!やったわね・・・・」
「ふふ、貴様の攻撃パターンは学習済みだ。私の勝ちだ。」
相手も、成長する。攻撃パターンを学習するほど、私を倒したいのだろう。
ラウラは今までにないほどの強者だ。
「だったら、あなたが来てくださる?」
ブースターの出力を上げ、ラウラに接近する。
レールカノンを一発避けるが右手にワイヤーが巻かれてしまう。
「ふん!!」
私を引っ張り、エネルギーブレードを食らわせようとする、しかし私も抵抗し、綱引きのようになっていた。。
「甘いわ!!」
私は、彼女が私のパターンを読むと仮定し、先日設計図を送った研究所が開発した『新型』の武器を転送した。
右スタスターに直結された、大型のエネルギーガトリング『桜吹雪』
ターゲットをラウラにロックし、エネルギーの束が彼女に襲いかかる。
「っく!? 新型兵器か!!」
ラウラが攻撃を受けている間に、私は『桜吹雪』をスラスターからパージし、そのまま、スタジアムに落ちている、盾を回収する。
「小癪な喰らえ!!」
私にめがけてレールカノンを打つが、盾で払いのける。
そしてそのまま、パージした桜吹雪を私の盾に食らわせる。桜吹雪は遠距離からコントロール出るBT兵器だ。
「な・・・なにを!?」
予想外だろう、自分の武器で自分を攻撃するなど。
もちろん作戦だ、エネルギー弾は盾を通し威力をあげてそのままラウラに降り注ぐ
ガガガガガ!!!
ラウラの反応は遅れ、そのままエネルギー弾の餌食になった。
「っく!??」
避けるのに集中するラウラの移動範囲を計算し、桜吹雪自体をラウラに向ける。
私はそのまま盾を持ち、ラウラに突っ込む。
しかし、ラウラはレールカノンで『桜吹雪』を破壊し、私の動きをAICで止める。
「っく・・・やるな・・・しかし、それもここまでだ!!」
「ふふ・・・・いいえ、終わりはあなたよ・・・」
「なに?」
「忘れたの?これは・・・ダブルバトルよ?」
「!?」
ドガァァァアア!!!
ラウラが気がついた時にはもうすでに、爆発がラウラを襲い、そのままスタジアムに落下する。
「ありがとう、簪!」
「うん、いいよ作戦どうり。」
そう、ラウラに攻撃を食らわしたのは簪のミサイルだった。
彼女が私に集中した時に狙え・・・いっけんシンプルな作戦だったがAICをメインにしているラウラには効果てきだ。
「箒ちゃんわ?」
「多分決めたはずよ。」
箒ちゃんとの戦闘を終わらせた簪が私の隣に着いた。
アリーナの端で、箒ちゃんの姿を確認し、ほっとする。
悔しがっている表情が可愛かった。
しかし、癒されている暇はなかった。
「うぁぁぁぁああああああああああああ!!!」
突然ラウラが叫んだ。
爆煙が晴れ、私が目にしたのは。形状が変化しドロドロなったISがラウラを取り込む光景だった。
完全に取り込み、ISだったものは人型に変形した。右手には剣を持っていた。
「なに・・・・あれ・・・」
「あれは・・・・・」
以前、組織の本部にいた時、資料で読んだことがある。
『ヴァルキリー・トレース・システム』
過去、モンド・グロッソ優勝者の戦闘データをそのまま再現・実行するシステム
しかし、パイロットにかなりの負荷が掛かり、命の危険もある。
開発は禁止されていたはず・・・。
あの剣・・・雪片か、第一回モンド・グロッソ優勝者『織斑千冬』のデータだろう。
『全試合中止!! すみやかに避難してください。』
緊急事態の警報が響き渡る。
ラウラだったもの、とりあえず『コピー』と名ずける。
コピーは簪に向けて剣を振るった。
「簪!?」
「っく!!
剣は素早く、簪はとっさに近接武器『夢現』で防ぐ
「お・・・おもい・・・」
「はぁぁぁあ!!」
飛び膝蹴りをコピーの顔にいれ、そのまま、盾で顔を殴る。
簪は隙をついて距離を置いた。
私も、とっさにその場を離れ、剣を避けながらも、距離を置く。
「まずいわね・・・エネルギーがさっきので尽きたわ、近接攻撃は無理ね・・・」
「あいつ結構硬いし・・・どうする?」
「とりあえず、ここは教員に・・・
「うぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!」
突如、白式を展開した一夏がピットから発進し、コピーに向けて雪片を振るった。
コピーも応戦し二つの雪片が混じり合う。
しかし、コピーの方が一歩上、剣が離れた瞬間、コピーは居合切りを使い、一夏を切った。
一撃で、白式のSEが削れ強制解除されてしまった。
「うわぁあああああ!!」
腕で防いだようで、右腕から切り傷で血を流す。
しかし、一夏は立ち上がり、生身でコピーに向かっていった。
「無茶よ!一夏くん!!」
「一夏!!」
箒ちゃんが避難エリアから出てきて、一夏の手を引っ張り強引に止める。
「話せ箒!!、あいつふざけやがって・・・あれは・・・あれは・・・千冬ねぇだけの技だぞ!!」
千冬のデータを元に作られた彼女が、そんなに気に食わなかったのだろう。
しかし、ISが使えなくなった今では彼は何もできない。
「いまのお前に何ができる!!」
「箒ちゃんの言うとうりだわ、あなた死ぬ気?」
「俺が倒さなければ・・・・俺がやらなければならないんだ!!邪魔するならお前を・・・」
「いい加減にしろ!!」
箒ちゃんが一夏の頬を叩く。
「・・・・・っく・・・・箒。」
「・・・・とりあえず、教員に任せましょ。」
教員達が5人ほど、訓練機ラファール・リヴァイヴでコピーの周りを囲う。
コピーは武器に反応し教員に襲いかかる。
「ここは危ないわ、さぁ早く避難しましょ?」
「嫌だ!!ここは俺が!!」
一夏が箒を振り払って、コピーへ向かっていく、教員が交戦をしており、流れ弾や爆風に巻き込まれたら
ひとたまりもない。全く世話の焼ける男だ。
「い・・・一夏!!」
「簪、箒ちゃんを守ってくれる?」
「わ・・・わかった。」
「ありがとう、お礼はデートでいいかしら?」
「え!?」
そう言い残し、一夏のところへ向かう。エネルギーが底をつきそうな今、『イージェス』の能力をフルに使えない。
『桜吹雪』などのエネルギー兵器に頼っていたことを少し後悔をする。
コピーの雪片の能力で、次々と教員が一撃で倒されたいく。
その中、私は一夏の前に立ちはだかった。
「し・・・心月さん!そこをどいてください。」
「周りが見えてないようね?あなたの実力では織斑先生をコピーしたアレには勝てないわ。」
「それでも・・・・俺は・・・・」
「聞き分けのない子は・・・・!!」
コピーは私に反応し、攻撃を仕掛ける。しかし、私は避けることはできなかった。
避けてしまったら、目の前にいる一夏が危険だ。
私はとっさに『イージャス』で受けるが、雪片の威力にだだでさい少ないエネルギーが徐々に減っていき、ついに0になってしまった。
Vブロッサムが強制解除せれ、私は地面に叩きつけられてしまった。
「あがぁ!?」
この時に右腕を下にしてしまったため、激痛が走る。
「し・・・心月さん!!」
「・・・・まったく、子供の世話は面倒ね・・・・」
私は右腕を抑えながら立ち上がる、どうやら骨折か罅が入ったのだろう。
教員達が戦闘を続けているようだが、一向にコピーを撃退していない。
このままだと中にいるラウラの肉体が持たないおそれがある。早く助けなければ・・・・
彼女を・・・助ける・・・?
ラウラの人間性は現段階では最悪だ。人を馬鹿にし、鈴、セシリアを自分の目的のために、傷つけた。
なぜそう思った・・・・。
「一夏くん、彼女をどうしたい?」
答えが出ず、一夏に質問した。
「・・・・え?」
「あなたは、彼女を助けたいの?それとも、姉の真似をする彼女を成敗したいの?」
「・・・・・・・どっちもだ。」
「・・・・・・・・」
「確かに、あいつはムカつくやつだけど・・・死なせたくない、それに・・・・」
「・・・?」
「・・・・俺はあいつに・・・千冬ねぇの弟だと認めさせたい。」
本当に純粋なやつだ・・・
「・・・・そう、なら行きなさい・・・」
「・・・・え?」
いろんな人を裏切り、傷つけた私に彼女を救う資格はないし、彼を止める資格もない。
私は簪に通信をした。
「簪、SEは残ってる?」
『え、・・・うん一応』
「・・・・嫌だと思うけど・・・一夏くんにエネルギーを供給してくれないかしら。」
「え?」
彼女は一夏を嫌っていることは知っている、しかし、彼女のISしかエネルギーは残していない。
「・・・お願い」
「・・・・・わかった。」
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その後、コピーは一夏の零落白夜によって、倒され、ラウラも無事救出に成功した。
私は保健室で診察を受け、全身の軽い打撲と右腕の骨折と診断た。
しばらくは保健室で安静にしなくてはならなかった。
今回の事件を振り返る
「私は・・・一体何をしたいのかしら。」
私はファントムタスクとして、何の感情もなしに、人を裏切り、人を傷つけてきた。
しかし、今回の事件、私は、彼女を救いたい助けたいと思ってしまった。
簪とセシリアも、利用しようとして近ずいた。
しかし、彼女達と親しくなっていくうちに、利用のことなんか、どうでもよくなってくる。スパイ失格だ。
鈴、セシリアを助けた時もそうだ。
いつもの私なら、ただ眺めていた・・・しかし、いてもたってもいられなくなり、助けに出た。
これが・・・・善意というものか。
感じたことのない思いが、私を苦しめる。今までこんなことはなかった。
無意識に私は『Vブロッサム』の待機状態を見た。
これが来てからだ・・・こう思うようになったのは・・・
Vブロッサムが何かを問いかけてくるように、クリスタルの部分が輝く。
しかし、それは何を訴えているのかは、私にはわからない。
まぁいい、だからと言って、任務を止めることはない。組織を裏切ったら、私に埋め込まれているナノマシンによって、死ぬ。
逃げ道はない。
いつも通りに白式と一夏のデータを送ればいい。
そう思い目を閉じた。
次からは新しい部分ですね、お楽しみに