インフィニット・ストラトス 〜月夜が照らす亡国者〜 作:セイイ
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7月6日の日の出 私、篠ノ之箒は、重要な任務を与えられた。
初めて手に入れた、自分の力を試すにはちょうど良かった。
「箒・・・大丈夫か?」
隣にいた、私の好きなひと、織斑一夏が心配する。
前日、兄が私を認めてくれず、思わず彼を引っ叩いてしまったのだ。
「あぁ・・・大丈夫だ一夏・・・行くぞ!」
私は弱い・・・いつも兄に守られ、みんなに守られ、自分がいかに無力かを知った。
しかし、いまは違う、私には第四世代IS『紅椿』がある。
今度は、私が・・・悪を成敗する。
「おう・・・・こい白式!!」
「・・・・行くぞ紅椿!!」
私と一夏はISを纏う
「よろしくな箒」
「本来ならば女の上に男が乗るなど、私の意義に反するが・・・今回は特別だぞ」
「・・・・おう」
一夏が肩を掴むと、私はマップに表示されている、福音に向かって、全速前進した。
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「見えた! 福鈴だ」
海岸から出発してから数分後、前方に銀色のIS 福音が見えた。
「一気に決めるぞ箒」
「ああ!!」
私はスピードを上げ一気に距離を詰める。
一夏は紅椿の上に乗り、雪片弐型を構え、零落白夜を発動させ、剣を振るった。
「くらえぇええええええ!!」
しかし、その攻撃は当たらず、福音は攻撃をかわし、距離を離す。
「っくまて!!」
私も、いい気に速度を上げ、再接近を試みる。
しかし、再び接近しても、一夏の攻撃が回避されついに、福音は戦闘態勢に入った。
機体をこちら側に向け、ウィングスラスターから、無数のエネルギー弾を発射する。
「は・・・っく」
私はとっさに避け、追尾する前エネルギー弾を交わす。その時に、一夏と距離を取ってしまう。
初期の作戦は失敗に終わり、私の一夏は戦闘態勢に入った。
雨月(あまづき)・空裂(からわれ)を転送する。 一夏も雪片弐型を構える。
「一夏、私がスキを作る!」
「わかった!!」
二機のビットを放ち、福音にあて、ひるんだスキに切り掛かる。
私の剣を受け止めた福音の腕をしっかり掴み抑え込む。
「一夏、今だ!!」
スラスターからエネルギー弾が発射されるが構うものか。
後は一夏が攻撃をするだけだった・・・・しかし・・・
「・・・・あれは!!」
一夏は切り掛かるどころか、無数のエネルギー弾のところに向かい、弾を切った。
「何をしている!!」
「船が!!」
「なに!?」
一夏の後方の海面を見るとそこには国籍不明の船があった。
密漁船だ。
「っく!?」
私はエネルギー弾を受け、福音を離してしまう。
そしてそのまま一夏のところへ向かう。
「密漁船などほっとけ、奴らは犯罪者だぞ!!」
「・・・・そんなこと言うなよ箒!!」
福音はエネルギー弾を一夏に向けて打つしかし、SEエネルギーが尽きたのか、雪片弐型のエネルギー刃が消えてしまう。
私はとっさに一夏の前に立ち、彼をかばった。
「っく!?」
「箒!?」
面倒がかかる、あんなもの、助ける価値もない。しかし一夏は・・・
「集中しろ一夏、あんな奴らなんかほっとけ、死んでもなんのもんだいも・・・」
「箒!!!」
一夏の怒号が響く。
「お前・・・・そんなこと言うなよ・・・力を持ったら弱い奴のことが見えないなんて」
「!!」
「お前らしくない・・・お前らしくないよ箒」
一夏の真剣な眼差しが、私の目を覚まさせた。
「・・・・私は」
私は、今なんといった。死んでも問題ない?
そんな・・・人道に反することをいったのか私は・・・
私らしくない・・・その言葉が私を刺す。
思わず手から武器が落ちる・・・・。
認めたくない・・・こんなこと思うなんて・・・認めたくない。
私は・・・・・なにも守れていなかった。
むしろ、私は、自分を見失っていた。
兄さんの言葉を思い出す。
(・・・・・・・・・あなた自身は強くない・・・むしろ・・・・弱くなったわ・・・・)
私はまだ未熟者だ・・・ただ力を武器に暴力を振るっていただけ・・・自分の信念を忘れ・・・。
力に溺れていただけだった。
私は思わず頭を抱えてしまう。こんな自分が醜い・・・。
「箒!!」
突然一夏の声が聞こえ私の後ろに立ちはだかった。
ドゴォォオオン!!
突然爆発音がする。
一夏は私をかばい、福音のエネルギー弾の集中攻撃をまともに食らってしまった。
「一夏!!」
爆発で私のリボンが燃える。
そのなか、私は無我夢中でISが強制解除される一夏に手を伸ばす。
しかし、彼の手を掴むことができず、私も福音のエネルギー弾の集中攻撃を受けてしまう。
「がはぁ!? い・・・一夏!!」
爆炎で一夏の姿が見えない、この高かから海に落ちれば 彼は・・・。
「一夏ぁああああ!!・・・・っく!?」
私が海に向かおうとしても福音が許してくれない。
残りのSEも残り僅か。攻撃の手段もない。
「しぬのか・・・・ここで」
私は死を悟った。
福音は手加減を知らない。再びスラスターから無数のエネルギー弾を撃つ。
まともに食らったら・・・SE尽きる。
この場から撤退しようにも・・・私は一夏を置いていけなかった。
もう・・・だめ・・・なのか・・・。
「箒ちゃん!!」
突如、男性の声が聞こえる。
その瞬間、ISの全身を覆い隠すほどの大きさの盾を持った。
白と薄紫のISが私の前に立つ。
エネルギー弾は盾に当たると、そのまま福音に跳ね返る。
「にい・・・さん・・・」
そのISの名は『Vブロッサム』
私の兄さんが、私を守った。
「一旦引くわよ!!」
「なぜ・・・ここに・・・」
「任務が失敗した時、私がいつでも介入できるように、あなたたちを追ってきたのよ!箒ちゃんが心配でね」
「一夏は!?」
「大丈夫、海面に落ちる前にキャッチしたわ、そこの小島で寝かせている。でも、意識がない、早く連れて帰らないと!」
一夏はISが強制解除された後、爆発の衝撃が頭部を襲った。
私のせいだ・・・・私が・・・力に自惚れていたから・・・。
「・・・・兄さん・・・私・・・」
「話は後よ。本部こちら、篠ノ之心月、任務失敗を確認、撤退するわ。 それと、織斑一夏が負傷した、救命要員を待機さ・・・・・っく」
兄が通信をしている最中に福音が攻撃を仕掛ける。
盾を使って攻撃を全て跳ね返すが、福鈴が動きを読んでいるかのように、躱した。
「っく!!こうなったら、私が相手よ」
「・・・・・・・兄さん!!」
兄さんは福鈴に体当たりし、私から距離を離した。
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箒ちゃんについて行ってよかったわ。
私は、二人が飛び立った後、その後を追った。
前日千冬に、彼らが失敗した時にのために私を待機させるように提案した。
その案は見事にとうり、今に至る。
「っく!!」
福鈴の猛攻は止まらない。
『イージェス』を使いながらエネルギー弾の雨の中、接近し、近距離で刀で切りつける。
しかし福音は私の攻撃を読んでいるかのように避ける。
すかさずエネルギーガトリング『桜吹雪』を撃った。
何発かは当たったが、相手もエネルギー弾で攻撃を相殺した。
拡散している弾に当てた・・・・
私は確信した。
いくら計算してもことごとく外れる。無人機、ハッキング・・・
このIS・・・私のデータを積んでいる。
だからこそ、私の攻撃パターンが読めれ、計算されている。
あいつの仕業か!!
私はすかさず、『桜吹雪』を『イージェス』にドッキングさせた。
「エネルギーを全て、桜吹雪に流出・・・」
盾に残っている、エネルギー全てを桜吹雪に流し込む。
ドッキングを解除し、桜吹雪を再び、カスタムウイングにドッキング、全機体エネルギーを桜吹雪に集中させた。
私のデータを使っているなら、私がいままで使ってない戦法を取ればいい。
相手の、動き、位置、タイミング、速度を計算し 福音にめがけて全弾撃ちこんだ。
速度、威力が上がったエネルギー弾の雨は、想定したルートを通った福音に全て当たる。
ドガァアアアアン!!
そして爆発音とともに、福音は海に沈んだ。
「・・・・ふぅ・・・なんとかなったわ・・・」
あいつは、本当になんてものを作り出したんだ。
箒ちゃんを確認する。
私が福鈴の撃破を確認すると箒ちゃんは一夏を回収しに向かっていた。
よかった。私も撤退しようとする・・・・しかし
ギュィィイイイイイイイン
『兄さん後ろ!!』
突如、箒ちゃんから通信が入る。
「!?ぐぁああああ!!!」
私は海面から出できた、極太の光の光線に飲まれてしまう。
ギィィイいイイン
間一髪 盾で受けられたがISのSEが一気に減っていく。
「ま・・・・まさか・・・セカンドシフト」
福鈴が水面から現れる、スラスターはエネルギーの翼になっていたおり。
その羽、全面からエネルギー弾が打ち出される。
「っく!!!」
盾で守るが、エネルギーの尽きた今ではほとんど機能していない。
「こ・・・・このままだと・・・」
攻撃力が桁違いだ。
このままだとSEが持たない・・・・。
私は・・・・ここまでか・・・・。
「箒ちゃん! 一夏を連れて撤退を!」
『に・・・兄さん、しかしこのままだと兄さんが!!』
「いいから!! 早く・・・このままだとあなたも・・・死ぬわ!!あなたを死なせてくない!!」
『でも・・・・見捨てるわけには・・・!!』
「はやく行け!! 篠ノ之箒!!」
『!!!』
「お前だけでも生きて帰れ! そして、私の仇を・・・!!」
私の残りのSEが10になる。Vブロッサムに残された奥の手を使う、せめて箒ちゃんが逃げられる時間だけでも稼がないと・・・。
私は全エネルギーを盾に込める。SEさえも何もかも全部盾に込める。
盾は赤く輝き、そのまま私は福音に向かって突っ込む。
武器を自爆させる・・・。
「に・・・兄さん!!」
「はぁああああああ!!!」
・・・・・・結局復讐は・・・果たせなかった・・・でも、私は箒ちゃんのためだったら
愛する妹を救えるなら・・・命も惜しくない。
これは亡国者のムーンではなく
篠ノ之心月の意志・・・・
「愛しているわ・・・箒ちゃん」
ドガァアアアアアアアンン!!!
私の目の前が真っ赤に染まった。
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次回、第1章最終回!